
沼津まちづくりデジタルプラットフォーム「ぬまぷら」
沼津市が2025年に開設した市民参加型のデジタルプラットフォーム。my grooveを活用し、中心市街地のまちづくりに多様な市民・企業が関わる仕組みを構築した。
沼津市は2025年2月、市民参加型のまちづくりを促進するデジタルプラットフォーム「ぬまぷら」を開設した。株式会社Groove Designsが開発した地域エンゲージメントプラットフォーム「my groove」を基盤としており、「ぬまぷら」という名称は市民からの愛称募集を経て決定した。プラットフォームの名称を市民と共に決めるというプロセス自体を、双方向コミュニケーションの実践例としている。 (参考:Groove Designs プレスリリース)
ぬまぷらは中心市街地に関する取り組み情報を集約し、行政と市民が双方向で発信できる仕組みを実現している。登録不要で情報閲覧が可能で、コメントや参加表明をする場合のみ無料アカウント登録が必要という設計により、参加のハードルを下げている。 (参考:Groove Designs note)
沼津市の人口は1995年をピークに減少が続いている。2020年には総人口が約18.9万人となり、25年間で約2.8万人、12.9%減少した。国立社会保障・人口問題研究所の推計では、2050年には約13.2万人まで減少する見込みである。特に若者の市外流出が課題となっており、進学や就職を機に転出した若者が戻ってこない状況が続いている。2013年から2014年にかけては、年間1,000人を超える転出超過が発生し、全国ワースト上位にランクインした。 (参考:沼津市統計書、国立社会保障・人口問題研究所)
中心市街地では大型店の撤退が相次いだ。かつての商業中心地としての賑わいが失われ、駅南側のアーケード名店街ではシャッター通り化が進行している。2019年の「ららぽーと沼津」開業は新たな雇用創出につながった一方、中心市街地の空洞化を加速させる懸念もあった。 (参考:沼津市中心市街地まちづくり戦略)
こうした課題に対し、沼津市は2020年3月に「沼津市中心市街地まちづくり戦略」を策定した。沼津駅周辺では総事業費約2,272億円の鉄道高架化事業が進行中で、2040年度の完成を予定している。高架化により南北の分断が解消され、駅近くに広大な跡地が生まれる。戦略では、この今後10〜15年を「変化の時代」と捉え、「沼津駅周辺を、多くの市民や来訪者が集い、交流し、住まい、回遊する、ヒト中心となった魅力ある場所として再生する」ことを目標に掲げた。 (参考:沼津市中心市街地まちづくり戦略)
戦略の実現には多様な市民・団体の参加が不可欠だが、従来の対面型ワークショップや説明会では、子育て世代や働く現役世代が時間的制約から参加しにくいという課題があった。my grooveの他自治体導入事例では、利用者の約70%が20〜40代であり、対面ワークショップと比較して潜在層の参加が7倍に増加した実績がある。 (参考:公共R不動産 my groove紹介記事)
2024年度、沼津市都市計画部まちづくり政策課が実施した公募の募集要項では、単なるシステム導入にとどまらず「本市のまちづくりにとって効果的な運用にかかる計画提案」を求め、専門的な経験・ノウハウ・創意工夫が成果に大きく影響する業務として位置づけた。その後、株式会社Groove Designsが選定された。 (参考:沼津市プロポーザル情報)
2025年2月6日、プラットフォームに関するプレスリリースが公開され、市民参加による愛称募集が開始された。「育てていく場所の名前を一緒に考える」というコンセプトで、暫定名から正式名称を市民と共に決めるプロセスが展開された。その結果、「ぬまぷら」という愛称が採用された。 (参考:Groove Designs note)
開設に合わせて2月8日には「OPEN NUMAZU TOUR」が実施され、駅前から中央公園、商店街を巡りながら参加者が意見をプラットフォーム上に投稿する活動が行われた。
プラットフォーム開設後は、すでに進行中の複数のまちづくりプロジェクトと連動する形で運営が進められた。
OPEN NUMAZU は、沼津駅周辺の公共空間を活用した社会実験である。2022年から継続的に実施されており、車中心からヒト中心のウォーカブルなまちづくりへの転換を目指している。OPEN NUMAZU 2024では、第1期(2024年11月1日〜10日)と第2期(2025年1月27日〜2月9日)が実施された。仲見世商店街に加えてさんさん通りにもエリアを拡大し、椅子や植栽を配置したくつろぎ空間の設置、駅前地下道のテープアート、旧西武百貨店跡地でのイベントが展開された。アンケート結果では約95%が「取り組みが良かった」と評価し、約79%が「まちの滞在時間が延びた」と回答した。 (参考:沼津市 OPEN NUMAZU 2024、ぬまぷら OPEN NUMAZU 2024レポート)
企業版リノベーションスクール@沼津 は、市内に拠点を持つ企業が参加する全6回の実践型プログラムである。2024年度(第1回)は2024年9月から2025年2月まで開催され、シゲタコーポレーション、アーティスティックス、明電舎沼津事業所、桃中軒など9社が参加した。2025年2月18日に沼津ラクーン3階で最終公開プレゼンテーションが実施され、各社が地域課題解決につながる事業を発表した。2025年度(第2回)も11社の参加で開催された。 (参考:沼津市 企業版リノベーションスクール、沼津つーしん)
高校生のまちづくり参加 では、OPEN NUMAZUのパークレット(仮設公共空間)の植栽管理から発展し、高校生が小規模プロジェクトを立ち上げる「OPEN NUMAZU SCHOOL」が展開されている。「まちなかで様々な人と関わりながら、やってみたいコトをカタチにする」をコンセプトに、学校では得られない実践的な体験を提供している。 (参考:ぬまぷら 高校生がまちを使い、学ぶ!)
2026年秋、沼津駅南口の旧西武百貨店跡地に新たな賑わい拠点「NUMAZU JAMS(ヌマヅ ジャムズ)」がオープン予定である。沼津市、UR都市機構、民間事業者(フィル・カンパニー、ブルースタジオ、川田建設、フィル・コンストラクション)の公民連携で整備が進められている。計画地は約830平方メートル、2階建ての建物を中心に、飲食・物販店舗と広場を配置する。店舗部分は民間事業者が約2〜3億円で建設し、公共スペースと広場は沼津市が約1億円で整備する。名称は「ミュージシャンが音楽を楽しむジャム・セッションのように、多様な人が集まりまちの活気をともに創り出す」という意味が込められている。ぬまぷらでは施設の活用方法に関する意見募集や進捗情報の共有が行われている。 (参考:日本経済新聞、Groove Designs note NUMAZU JAMS、フィル・カンパニー プレスリリース)
新規にプロジェクトを立ち上げるのではなく、OPEN NUMAZUや企業版リノベーションスクールなど、すでに動いている事業と連動させることで、プラットフォームに情報を集約する仕組みを構築した。デジタルプラットフォームがリアルな活動と連携することで、新しい情報と参加機会の提供につながっている。
ぬまぷらは「知る」「共有」「参加」の3段階で設計されている。
1つ目は「まちなかの動きを知る」機能。インタビュー記事「ぬまのわ」やイベント・プロジェクトのレポートを通じて、地域で活動する人々の生の声を伝える。行政からの一方的な情報発信ではなく、まちづくりの臨場感を共有することを重視している。
2つ目は「まちへの思いを共有」する機能。意見交換スペース「ぬまチャット!」では登録ユーザーがコメントを投稿し、対話を深められる。NUMAZU JAMSの活用方法についての意見募集など、具体的なテーマで市民の声を集めている。
3つ目は「プロジェクトへ参加」する機能。掲載するプロジェクト自体をフォローすることで継続的に情報を得たり、意見を出したりと、実際のプロジェクトと連動した参加機会を提供している。
この段階的な設計により、情報を見るだけの層から、意見を述べる層、実際に活動に参加する層まで、多様な関わり方を可能にしている。 (参考:Groove Designs note)
「ぬまぷら」は、2026年3月時点で6,000人が関心を持って訪れる場となっており、400名以上がフォロワーとして参加している。また、「ぬまぷら」上の活動としては、5プロジェクトが立ち上がっている。(参考:ぬまぷら)
「ぬまぷら」上のプロジェクトにもなっている「マチカツ」は、沼津市の「民間まちづくり活動支援事業」である。これは、市民や団体、学生など、まちづくりに関わりたい人の活動や施設づくりを応援する補助制度で地域のイベントや交流の場づくり、空き店舗を使った拠点づくり、学生によるまちの魅力発信等、将来にわたって継続的な効果が見込まれる、沼津のまちを楽しくするアイデアを市が補助する仕組みとなっている。この制度を通じて、平成28年度からこれまでに200件以上の事業が生まれてきた。 ここに応募された事業は、「沼津市民間まちづくり活動支援事業アドバイザー会議」の委員による評価を踏まえ、市が採択・不採択の決定を行うが、新たな取り組みとして、応募者によるプレゼンテーションや各委員によるヒアリングに加え、社会的受容性や共感度を測る補助指標として「ぬまぷら」での”推しカツ投票”(フォロワーによる「いいね」の数やコメントを、定性的な材料として活用するもの)も取り入れることとなった。2026年2月9日より「ぬまぷら」上での投票がスタートし、多くの投票、応援コメントが集まった。(参考:マチカツ、R8年度推しカツ投票について)
my grooveは沼津市以外にも、栃木県小山市、札幌市、杉並区など全国30以上のプロジェクトで導入されている。小山市では約2週間半で約200件の意見、500件以上のリアクション、約1,300件の簡易アンケート回答が寄せられた。札幌市では、対面ワークショップ単体と比較して、プラットフォーム利用による潜在層の参加が7倍に増加した。また、登録者の90%超がプロジェクト終了後も継続参加の意欲を示している。 (参考:公共R不動産 my groove紹介記事)
約6ヶ月という短い履行期間でプラットフォームを構築・運営開始した点は、他の自治体にとって参考になる。初年度は基盤整備とコンテンツ蓄積に注力し、翌年度以降に運営を本格化させる設計は、一気に完成形を目指すのではなく実践しながら改善していくアプローチとして有効である。
プラットフォームを導入しても、発信する情報や参加機会が不足すれば活用されない。沼津市の事例では、OPEN NUMAZUや企業版リノベーションスクール、NUMAZU JAMSプロジェクトなど、すでに動いている事業と連動させることで、継続的なコンテンツ更新を実現している。新規にプロジェクトを立ち上げるよりも、既存の取り組みを「見える化」するアプローチは、他自治体でも応用しやすい。
my grooveの利用者データでは、ユーザー全体平均で70%超が20〜40代である。従来の対面型ワークショップでは参加しにくかった子育て世代や働く現役世代にリーチできる点は、デジタルプラットフォームの大きな強みである。時間や場所の制約を超えた参加機会の提供は、多様な市民の声を集める手段として有効である。
沼津市は2040年度の鉄道高架化完成を見据えた「中心市街地まちづくり戦略」を策定し、ぬまぷらはこの長期戦略を実現するための参加基盤として位置づけられている。単発のデジタル化ではなく、10〜15年スパンの都市再生の中にデジタルツールを組み込んでいる点は、持続的な運営につながる設計といえる。
2026年3月時点の調査内容に基づいて作成
この記事は公開情報に基づき、AIを用いた詳細調査により作成されました。記事内容への修正依頼、お問合せ等は以下までお寄せください。
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