
備後福山ワイン振興協議会
この記事は、my grooveを運営する株式会社Groove DesignsがAIを活用し独自に調査・作成したものです。
広島・岡山にまたがる全国初の県境越え構造改革特区「備後ワイン・リキュール特区」を追い風に、福山市・福山大学・商工会議所などが2018年に設立した産学官民協議会。ワイナリー開業支援とワインフェス開催を通じ、備後福山ワインのブランド化を進めている。
備後福山ワイン振興協議会は、広島県福山市を中心とする備後圏域で「ワインを核とした地域活性化」を掲げ、2018年5月1日に設立された組織である。福山大学や福山商工会議所、福山市に加え、地域の民間ワイナリー・酒販会社も名を連ねる産学官民の連携体制であり、ワイン振興の機運醸成とワイナリーが活動しやすい地域形成に取り組んでいる。(参考:福山大学、福山市公式サイト)
この取り組みの土台には、2016年3月に認定された構造改革特区「備後ワイン・リキュール特区」がある。広島県福山市・三原市・尾道市・府中市・神石高原町と岡山県笠岡市・井原市の6市1町にまたがる県境越えの特区認定は全国初で、酒類製造免許の最低製造数量基準を果実酒(ワイン)で6キロリットルから2キロリットルへ、リキュールで6キロリットルから1キロリットルへ引き下げるものだった。この規制緩和により小規模事業者の参入障壁が下がり、市内に複数の小規模ワイナリーが開業した後、それらの動きを地域ぐるみのブランドと需要に育てる役割を協議会が担っている。(参考:福山市公式サイト(構造改革特別区域計画)、福山市公式サイト(備後ワインリキュール特区))
協議会は毎年秋に「備後フィッシュ&備後福山ワインフェス」を開催するほか、飲食店との連携によるブランド化、福山大学と連携した醸造人材の育成にも関わっており、2024年時点で同フェスは第7回を数える継続的な取り組みとなっている。(参考:福山大学)
福山市を含む備後圏域は瀬戸内海に面した温暖で降雨が少ない気候にあり、ぶどう栽培に適した土地として知られる。福山産のぶどうは広島県内でも有数の栽培面積を誇り、地域の特産物としての土台があった。(参考:福山市公式サイト)
一方、酒税法上の果実酒製造免許は年間最低製造数量基準が6キロリットル(一升瓶換算で約3,300本相当)と定められており、この基準が小規模な担い手にとって高いハードルとなっていた。(参考:福山市公式サイト(構造改革特別区域計画))地域に適した原料があっても、個人や小規模事業者が新規にワイナリーを立ち上げることは制度上難しい状況だった。
こうした課題に対し、2016年3月、国の構造改革特別区域計画(第39回認定)として「備後ワイン・リキュール特区」が認定された。広島県福山市・三原市・尾道市・府中市・神石高原町と岡山県笠岡市・井原市の6市1町という県境をまたぐ区域指定は、当時全国で初めての事例だった。特区内では、指定された農産物(ぶどう、もも、かんきつ類、レモン、いちご、かき、りんごなど)を原料とする果実酒の最低製造数量基準が2キロリットルに、リキュールが1キロリットルにそれぞれ引き下げられ、より小規模な主体でも酒類製造免許を取得できるようになった。(参考:福山市公式サイト(構造改革特別区域計画)、福山市公式サイト(備後ワインリキュール特区))
この規制緩和を受け、福山市中心部の商店街では2016年に「福山わいん工房」が、山間部の山野峡では2015年創業の小規模醸造が2017年から特区を活用して増産に踏み出すなど、民間の新規参入が相次いだ。しかし、個々のワイナリーが単独で認知度やブランドを確立するのは容易ではなく、規制緩和の効果を地域全体の産業振興につなげるための推進母体が必要とされた。これが2018年5月の協議会設立につながっている。(参考:JAグループ広島、福山ブランド|福山市都市ブランド戦略)
1. 規制緩和による参入障壁の引き下げ(2016年3月)
構造改革特別区域法に基づき、備後圏域6市1町が共同で「備後ワイン・リキュール特区」の認定を受けた。果実酒・リキュールの最低製造数量基準の引き下げにより、地域の農産物を使った少量生産からの酒類製造免許取得が可能になった。(参考:福山市公式サイト(構造改革特別区域計画))
2. 民間ワイナリーの相次ぐ開業
福山市霞町の商店街では、フランス・シャンパーニュ地方での修業経験を持つ古川和秋氏と、フランス留学経験を持つ理香氏の夫妻が2015年6月に運営会社を設立し、2016年に醸造免許を取得して「福山わいん工房」を開業した。JA福山市から地元産「マスカット・ベーリーA」を仕入れる体制を組み、休耕地の活用や地元農業者の雇用による農業振興も視野に入れた事業として立ち上がった。市北部の山野峡では、耕作放棄地を開墾したワイン用ぶどう栽培が2015年から始まり、2017年以降は特区を活用して2,000リットルを超える醸造規模への拡大に挑戦した(山野峡大田ワイナリー)。(参考:JAグループ広島、福山ブランド|福山市都市ブランド戦略)
3. 産学官民協議会の設立(2018年5月)
福山大学、福山商工会議所、福山市を中心に、地域の民間ワイナリーや酒販会社も加わった「備後福山ワイン振興協議会」が2018年5月1日に設立された。特区制度によって生まれた個々のワイナリーの取り組みを、地域としてのブランドづくりと需要喚起につなげる推進母体として位置づけられている。(参考:福山大学)
4. 福山大学によるワイン人材の育成
福山大学生命工学部生物科学科では、地域特産のマスカット・ベーリーAを用いたぶどう栽培からワイン醸造までを学ぶ教育プログラムを設けている。学内には酒類製造場としての届出を行った醸造所があり、果実酒・甘味果実酒・ブランデーの試験製造免許を取得したうえで、2年次の果樹栽培加工実習、3年次の生物資源・生産実験などのカリキュラムに組み込んでいる。卒業生が世羅町の「せらワイナリー」に醸造家として採用されるなど、地域ワイナリーへの人材輩出の実績も生まれている。(参考:福山大学)
5. イベント・プロモーションの展開
協議会は福山商工会議所とともに、瀬戸内エリアのワイナリーを巡る「ワインdeバスツアー」の企画や、福山城公園プロムナードを会場とする「備後フィッシュ&備後福山ワインフェス」の開催を続けている。同フェスは備後の地魚料理と地元ワインを組み合わせて提供するイベントとして定着し、2024年10月には第7回が開催された。あわせて、ふくやまデジタルマップ上で「備後福山ワイン」を提供する飲食店を紹介する取り組みも進めている。(参考:福山大学、山陽新聞デジタル、福山市公式サイト)
6. 経営危機からの再建(2024〜2025年)
2024年2月、福山わいん工房は土地の企業買収を理由に家主から立ち退きを求められ、同年7月末に霞町の施設を退去した。同年10月からクラウドファンディングによる再建資金の募集を始め、自社農園に近い場所を新たな用地として確保し、延床面積約100平方メートルの木造平屋建てワイナリーを新設して2025年9月に再稼働し、同年12月から新ヴィンテージの出荷を再開した。(参考:山陽新聞デジタル、PR TIMES)
1. 「規制緩和」と「需要創出」を分けて両輪で整備した
多くの地域では酒類特区の認定自体をゴールとしがちだが、備後圏域では特区による参入障壁の引き下げ(2016年)と、需要喚起・ブランディングを担う協議会の設立(2018年)を段階的に整備した。免許取得のハードルを下げるだけでは個々の事業者任せになりかねない中、規制緩和から2年というタイムラグを挟んで推進母体を立ち上げた順序に特徴がある。
2. 全国初の県境をまたぐ広域特区認定
備後ワイン・リキュール特区は、単一自治体ではなく気候・土壌という地理的資源を軸に、広島県と岡山県にまたがる2県7市町が連携して国の認定を取得した点が独自である。行政区域よりも地域資源のまとまりを優先した広域連携モデルであり、単独では規模基準を満たしにくい自治体同士が連携して制度を活用する先行例となっている。(参考:福山市公式サイト(備後ワインリキュール特区))
3. 大学を「醸造人材の供給源」として組み込んだ
福山大学が学内に酒類製造免許を持つ醸造所を設け、正課の教育カリキュラムとしてぶどう栽培から醸造までを学生に経験させている点は、単なる産学連携の掛け声にとどまらない仕組みである。卒業生が地域のワイナリーに就職する実例が生まれており、小規模事業者が単独では確保しにくい担い手の供給ルートを教育機関が担う設計になっている。(参考:福山大学)
4. 「魚×ワイン」の掛け合わせによる集客設計
ワイン単体のイベントではなく、備後の地魚料理と組み合わせた「備後フィッシュ&備後福山ワインフェス」として企画している点も特徴である。ワイン愛好者に限定されない家族連れなど幅広い層を、地魚という別の地域資源との掛け合わせで呼び込む訴求設計になっている。(参考:山陽新聞デジタル)
1. 提供飲食店の広がり
福山市の公式ページによれば、ふくやまデジタルマップに登録された「備後福山ワイン」提供飲食店は52店舗にのぼる(2026年9月調査時点)。ワイナリー単体の販売にとどまらず、地域の飲食店を巻き込んだ流通・消費のすそ野が形成されていることを示す指標といえる。(参考:福山市公式サイト)
2. G7広島サミットでの採用による認知拡大
山野峡大田ワイナリーが醸造する赤ワイン「富士の夢2021」と白ワイン「北天の雫2021」は、2023年5月に開催されたG7広島サミットの首脳らの食事に提供された。特区制度を活用して立ち上がったばかりの小規模ワイナリーが国際会議の場で採用されたことは、備後福山ワインの認知度を全国的に押し上げる契機となった。(参考:福山ブランド|福山市都市ブランド戦略)
3. フェスの継続開催
「備後フィッシュ&備後福山ワインフェス」は2024年10月に第7回を迎え、家族連れで賑わうイベントとして定着している。単発の企画で終わらず、複数年にわたり継続開催されていること自体が、協議会による運営体制が機能していることを示している。(参考:山陽新聞デジタル)
4. 経営危機時の地域からの支援
2024年の立ち退きを受けた福山わいん工房のクラウドファンディングでは、目標500万円(最終目標1,500万円)に対し、616人の支援者から約1,700万円が集まった。特区とフェスを通じて築かれてきた「備後福山ワイン」というブランドへの支持が、個別事業者の経営危機に際して具体的な支援として現れた事例と位置づけられる。(参考:山陽新聞デジタル)
1. 規制緩和だけで産業は自走しない、推進体制とセットで設計する
酒類特区に限らず、規制緩和による参入障壁の引き下げは事業者数を増やす効果はあっても、需要創出やブランディングまでは担保しない。備後圏域では特区認定から協議会設立までに約2年を要しており、この間に生まれた個々の事業者の動きを、後から推進母体でまとめ上げる形をとった。規制緩和策を導入する自治体は、認定後に需要側を耕す組織をどのタイミングで立ち上げるかをあらかじめ設計しておく必要がある。
2. 単独自治体で基準に満たない資源も、広域連携で国認定を得られる
備後ワイン・リキュール特区は、気候・土壌という行政区域を越えた地域資源を軸に、隣接する2県7市町が連携して認定を受けた点が再現性のあるポイントである。単独の自治体では規模や実績が国の特区基準に届かない場合でも、地理的・産業的なまとまりのある近隣自治体と連携して申請するアプローチは、他の一次産業・地場産業の振興策にも応用可能な考え方である。
3. 教育機関を「担い手の供給源」として制度に組み込む
福山大学の事例は、大学の学科を単なる連携先ではなく、教育カリキュラムを通じた継続的な人材輩出のパイプラインとして位置づけた点に再現性がある。特定の起業家個人の情熱や技術力に依存する形ではなく、教育機関との連携によって次世代の担い手を継続的に育てる仕組みは、ワイン以外の地場産業支援においても応用できる。
4. 日常的な接点の積み重ねが、危機の際の支援基盤になる
福山わいん工房のクラウドファンディングが目標を大きく上回る支援を集めた背景には、フェスや飲食店連携を通じて地域内外に「備後福山ワイン」のファンとの接点を継続的に作ってきた蓄積があると考えられる。単年度のイベント開催で終わらせず、複数年にわたり同じブランドの下で接点を重ねてきたことが、個別事業者が困難に直面した際の地域的な支援につながったという構図は、他地域が地場産品のブランド戦略を検討する際の参考になる。
2026年9月時点の調査内容に基づいて作成
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