
まつながる駅北ストリートキャンパスプロジェクト
この記事は、my grooveを運営する株式会社Groove DesignsがAIを活用し独自に調査・作成したものです。
福山市と福山大学が2026年8月に包括連携協定に基づき発足。空洞化が進む松永駅北口を学生と住民が日常的に滞在・交流できる空間へ転換するため、連続講座、高校生発の弁当商品開発、学生による公共空間デザイン提案を組み合わせて展開する官学連携の取り組み。
2026年8月26日、福山市と福山大学は包括連携協定に基づき、JR松永駅北口一帯を対象とする「まつながる駅北ストリートキャンパスプロジェクト」を発足させた。福山市長・学校法人福山大学理事長・福山大学学長が署名した宣言のもと、松永駅北口を学生と地域住民が「滞在」「活動・挑戦」「交流」できる日常的なにぎわい空間へ再構築することを目標に掲げる。具体的には、地域団体プロジェクトMの拠点「M亭」での連続講座「まつながるゼミ」、松永高校生と大学生が協働するお弁当商品開発、建築学科学生による公共施設のデザイン提案など、複数のプログラムを同時並行で展開している。(参考:福山市との新プロジェクト発足! | 福山大学)
松永駅北口では、住民主体の「まつながまるっとプロジェクト」や学生団体「プロジェクトM」による活性化の動きが既に数年にわたり積み重ねられてきた(参考:まつながまるっとプロジェクト | 備後とことこ)。今回のプロジェクトは、そうした草の根の活動と大学の教育資源を、包括連携協定という制度的な枠組みで接続した点に特徴がある。
JR松永駅は福山市西部の交通の要衝に位置し、港湾を核とした産業のまち、松永駅周辺の暮らしのまち、そして内陸側に広がる農業地区という三つの顔を持つ松永地域の中心に位置する。福山大学をはじめとする教育機関が集積し、学生が行き交う街としての性格を強めており、市の資料でも「多くの交流人口を抱える」地域と位置づけられている。2022年の1日あたり乗降客数は7,658人で福山市内では福山駅に次ぐ規模を保っているが、2013年の9,252人からは約17%減少しており、路線価も松永駅北口で2006〜2024年に最大38%、南口で最大40.7%下落するなど、長期的な地盤沈下が続いている。(参考:松永のいま | 福山市)
駅の南北で状況は対照的である。南側は福山市西部市民センターやはきもの資料館などの公共施設が集積し、2024年には駅前広場が完成するなど整備が進む一方、北側は「多くの大学生が行き交う」立地でありながら空き店舗が多く空洞化が進み、アーケードは老朽化していた。北口アーケードは14年間、所有者が定まらないまま使用され続けてきたが、住民や商店主による任意団体の働きかけで2024年に撤去が始まり、跡地を活用したイベントが企画されるなど、通りを作り直す動きが進行中である。(参考:福山市の松永駅北口アーケード撤去開始 | 中国新聞デジタル)
こうした課題に対し、福山市は「松永駅周辺活性化協議会」(全4回)と、若い世代や女性の参加が目立つ「松永未来会議」(全5回)での意見交換を経て、「未来から時間を流す」アプローチで松永駅周辺にぎわい再生ビジョンを策定した。さらに2026年3月には、人口減少下でも地域資源を生かして都市の活力を維持することを目的に「地域の拠点づくり戦略」を策定し、市内6地域の一つとして松永地域を「みんなで考える松永駅北口のまち」と位置づけている。2026年6月に開かれた第1回松永未来会議では、「まつながるカラコロ広場での過ごし方」や「立体駐車場の駐車以外の活用方法」といった、駅北口の日常的なにぎわいづくりに関する具体的な議題が話し合われた。(参考:松永駅周辺にぎわい再生ビジョンができました! | 福山市、地域の拠点づくりの取組を紹介します | 福山市、第1回松永未来会議を開催しました | 福山市)
この行政主導のビジョン策定と並行して、住民発の活性化活動も蓄積されていた。当時中学生だった発起人ら4人が2022年12月に活動を始めた「まつながまるっとプロジェクト」は、月例の清掃活動や旧商店街を歩行者天国化するハロウィンイベント「まつながHALLOWEEN」などを展開し、2026年4月時点で10代から80代まで約30人のメンバーを抱えるまでに成長した。福山大学の学生有志による「プロジェクトM」も、M亭を拠点に地域住民との交流イベントを重ねてきた。松永駅北口の再生は、大学を新たに誘致するところから始めるのではなく、既にこうした担い手と実績の土台がある状態で、大学側の教育プログラムをどう接続するかが課題だったといえる。(参考:まつながまるっとプロジェクト | 備後とことこ)
1. 包括連携協定に基づく宣言(2026年8月26日)
福山市の枝広市長、学校法人福山大学の鈴木理事長、福山大学の大塚学長が署名し、①誰もが心地よく足を止め、自然と人が行き交うようになる居場所をつくること、②失敗を恐れず新しい取り組みに挑める機会を設けること、③交流を通じた相互理解と絆の育成、という三本柱を掲げてプロジェクトが正式に発足した。(参考:福山市との新プロジェクト発足! | 福山大学)
2. 連続講座「まつながるゼミ」
プロジェクトMの拠点「M亭」を会場に、学生と地域住民が協力して運営する連続講座で、松永駅北口の日常的な活用方法を継続的に検討する場として位置づけられている。(参考:福山市との新プロジェクト発足! | 福山大学)
3. 松永高校生発のお弁当商品開発
広島県立松永高等学校の生徒がメニューを企画し、福山大学健康栄養科学科がレシピとして具体化、地元企業が商品化を担う三者連携で弁当を開発する。完成した商品は「まつながHALLOWEEN2026」での販売が予定されている。(参考:福山市との新プロジェクト発足! | 福山大学)
4. 「まつながるケンチク」による建築デザイン提案
福山大学建築学科の学生が、松永地域の建築物を題材とした設計・模型製作に取り組む。成果は「まつながるケンチク発表会」として地域に公開される。(参考:松永駅周辺のにぎわい再生をめざします! | 福山市)
5. 公共空間の学生デザインによる小規模施設整備
長和島公園の公衆トイレは株式会社中根電機の寄附、松永南口広場のテーブル・ベンチ等は福山松永ライオンズクラブの寄附を原資に、学生のデザイン提案を反映して整備が進められている。(参考:福山市との新プロジェクト発足! | 福山大学)
草の根活動の上に大学の教育資源を接続する設計
一般的な大学連携事業は大学の誘致や新規拠点の設置から始まることが多いが、本事例は既に住民主体の「まつながまるっとプロジェクト」や学生団体「プロジェクトM」が数年にわたり活動を積み重ねてきた土壌の上に、大学の学科・ゼミという教育資源を体系的に接続している。ゼロから関係構築を始めるより低コストで、既存の担い手・活動実績・イベント(まつながHALLOWEEN等)を土台にできる点が、大学を新規誘致する一般的な連携事業との違いといえる。
学び・実践・空間整備を並走させる多層構成
「まつながるゼミ」による継続的な学び、お弁当商品開発という短期の実践課題、建築学科による設計提案や公共施設デザインという有形の成果物を、単一のイベントではなく複数プログラムとして同時並行で走らせている。学部・学科をまたいで異なる時間軸の取り組みを組み合わせている点は、単発の連携協定にとどまりがちな官学連携事業の中では踏み込んだ設計といえる。
高校生を含む三世代連携による探究学習の出口づくり
お弁当商品開発では、松永高校生が企画したメニューを大学の専門学科がレシピ化し、地元企業が商品化するというリレー構造を取っている。高校生の探究学習的な発想を、大学の専門知識と企業の実装力が受け止めて実際の商品として世に出す仕組みは、高校生の企画がアイデアで終わらない出口を用意している点で特徴的である。
民間寄附と学生提案を組み合わせた低予算の公共空間更新
長和島公園のトイレや松永南口広場のベンチは、企業・団体からの寄附を原資としながら、デザインを学生の提案に委ねる形で整備されている。大規模な公共投資に頼らず、寄附と教育プログラムを組み合わせて公共空間を更新する手法は、財政的制約の大きい地方都市の公共施設更新に応用しやすい。
プロジェクトは2026年8月26日に発足したばかりであり、調査時点(2026年9月)では発足から日が浅く、定量的な成果を評価できる段階にはない。現時点で確認できるのは、市長・大学理事長・学長が署名した宣言に基づき、複数のプログラムを含む実施体制が構築されたことである。お弁当商品開発は「まつながHALLOWEEN2026」(例年10月開催)での販売、「まつながるケンチク」は発表会の開催が予定されているが、いずれも今後の実施結果を待つ段階にある。(参考:福山市との新プロジェクト発足! | 福山大学)
一方、プロジェクトが接続する土台となった住民主体の活動には、一定の実績が確認できる。「まつながまるっとプロジェクト」が主催する「まつながHALLOWEEN」は2025年に約5,000人の来場者を集めたと報告されており、旧商店街を歩行者天国化するイベントとして地域最大規模に成長している。この動員力を持つ既存のイベントに大学発の商品や企画が接続されることで、プロジェクトの各プログラムが一定の来場者・関心層に届く土台自体は、発足の時点で既に用意されているといえる。(参考:まつながまるっとプロジェクト | 備後とことこ)
大学と自治体の連携協定は各地で見られるが、本事例が示すのは、住民主体の活性化活動が一定の組織化と集客実績(継続的な清掃活動、数千人規模のイベント運営など)を積み重ねた後のタイミングで大学の教育資源を接続する方が、大学単独で新規に地域拠点を立ち上げるよりも低コストで再現しやすいという設計上の示唆である。既に人が集まる場やイベントが存在する地域であれば、大学側は集客の仕組みを一から作る必要がなく、教育プログラムの内容設計に注力できる。
高校生の企画を大学が専門知識で具体化し、地元企業が商品化するリレー構造も、特定の教員や学生個人の熱意だけに依存しない範囲では、他地域の高校・大学・地元企業連携に転用可能な枠組みである。ただし、この種のプログラムは担当教員の異動や学生の入れ替わりによって継続性が左右されやすく、属人性への依存をどう抑えて制度として持続させるかは、他地域が同様の枠組みを導入する際に検討すべき課題として残る。
もう一つの示唆は、民間企業・団体からの少額の寄附と学生の設計提案を組み合わせることで、大規模な公共投資を伴わずに公衆トイレや広場家具といった小規模施設を更新できるという点である。財政的な制約が大きい地方都市において、寄附と教育機関の人的資源を組み合わせる手法は、公共施設マネジメントの一つの選択肢となりうる。
一方で、本プロジェクトは発足から間もなく、成果はまだ検証されていない。市の「地域の拠点づくり戦略」の中で松永地域が「みんなで考える松永駅北口のまち」と位置づけられていることからも分かるように、宣言や体制の構築自体が最終的な目標ではなく、日常的な滞在・交流空間への転換という当初の目標がどこまで実現するかは、今後の継続的な検証が必要である。
2026年9月時点の調査内容に基づいて作成
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