
まつながまるっとプロジェクト
この記事は、my grooveを運営する株式会社Groove DesignsがAIを活用し独自に調査・作成したものです。
広島県福山市松永町で、中学生だった住民が2022年に一人で始めたゴミ拾いを起点に発足した市民団体。約30年ぶりに復活させた夜市やハロウィンイベントが行政の公式ビジョンと接続し、恒久的な公共広場整備にもつながった地域活性化の事例。
広島県福山市松永町のJR松永駅周辺で活動する市民グループ「まつながまるっとプロジェクト」は、2022年12月に当時中学生だった本多春翔氏が一人で始めたゴミ拾い活動を起点とする。2023年4月に任意団体として正式に発足し、発足時4人だったメンバーは2026年4月時点で約30人まで増加、10代から80代まで幅広い世代が参加する組織へと成長した。(参考:まつながまるっとプロジェクト|福山市まちづくりサポートセンター「まちサポ」、まつながまるっとプロジェクト~中学生が始めた地域活性化の取組|備後とことこ)
活動の柱は、毎月第3土曜日に実施する清掃活動「まつながまるっと運拾い」、約30年ぶりに復活させた夏の夜市「まつながるカラコロ夜店」、大規模な仮装イベント「まつながHALLOWEEN」、冬季のイルミネーション「せせらぎイルミ」、老朽化した商店街アーケードの解体作業など多岐にわたる。2025年に開催した「まつながるカラコロ夜店」「まつながHALLOWEEN」はそれぞれ約5,000人を集客し、2026年には松永駅北口に恒久的な公共広場「まつながるカラコロ広場」が福山市によって整備されるなど、市民発の活動が福山市の公式な「松永駅周辺にぎわい再生ビジョン」の実現プロセスと重なり合う形で発展している。(参考:まつながるカラコロ夜店 チラシ|福山市、まつながるカラコロ広場|福山市)
松永地域は江戸時代に製塩業で栄え、明治初期には製塩の際に出る薪を活用した下駄づくりが始まった。機械化により大量生産が可能となった1955年頃には年間5,600万足という全国一の生産量を誇る一大産地となり、1966年に旧福山市と合併して現在の福山市松永町となった。(参考:松永下駄|福山市、まつながまるっとプロジェクト~中学生が始めた地域活性化の取組|備後とことこ)
しかし近年、JR松永駅北口周辺の商店街は空き店舗の増加とともに衰退し、かつて地元商店主が中心となって開催していた夏の風物詩「金曜夜店」も約30年前を最後に途絶えていた。駅周辺には人通りの少ないシャッター通りが広がり、老朽化したアーケードは撤去が課題となっていた。(参考:まつながるカラコロ夜店 チラシ|福山市、まつながるカラコロ広場|福山市)
福山市は2024年度、地域住民・企業・団体による「松永駅周辺活性化協議会」(全4回)と、若い世代や女性の参加を重視して開催された「松永未来会議」(全5回)での議論を経て「松永駅周辺にぎわい再生ビジョン」を策定した。ビジョンは「空洞化が進んでいる一方、地域の様々な主体による取組でまちが動き始めている」という現状認識のもと、地域が主役となるまちづくりの方向性を示したが、上位計画を実際に動かす担い手をどう継続的に確保するかが課題として残されていた。(参考:松永駅周辺にぎわい再生ビジョンができました!|福山市)
こうした状況の中、当時中学生だった本多春翔氏が2022年12月、プロ野球選手の大谷翔平氏が実践する「ゴミは人が落とした運。拾うことで運を拾う」という考え方にヒントを得て、一人で地域のゴミ拾いを始めたことが、後の組織的な活動へとつながっていく。(参考:まつながまるっとプロジェクト~中学生が始めた地域活性化の取組|備後とことこ)
1. 個人の清掃活動から任意団体の設立へ
2022年12月、本多氏が一人で始めたゴミ拾いに賛同者が集まり始め、2023年4月に「まつながまるっとプロジェクト」として任意団体化した。発足時のメンバーは4人。清掃活動は「まつながまるっと運拾い」として毎月第3土曜日午前8時30分〜10時に定例化され、継続的な活動の軸となった。(参考:まつながまるっとプロジェクト|福山市まちづくりサポートセンター「まちサポ」)
2. 老朽化アーケードの解体を参加型イベント化
危険な状態にあった松永駅北口の商店街アーケードについて、有志が近隣の店舗経営者や地権者と協力しながら段階的な解体作業を開始した。当初は限られたメンバーによる作業だったが、月1回のペースで実施する中で、一般の参加者も加われるイベント形式へと発展させた。(参考:まつながるカラコロ夜店 チラシ|福山市)
3. 通年のイベント展開
清掃活動と並行して、冬季のイルミネーション「せせらぎイルミ」(2024年から実施、製塩業で使われた水路跡を公園化した「せせらぎ公園」を装飾)、対話の場「つれのうてまつなが〜いNIGHT」、秋の仮装イベント「まつながHALLOWEEN」などを順次立ち上げ、季節を通じて地域住民が集まる機会を増やしていった。(参考:まつながまるっとプロジェクト~中学生が始めた地域活性化の取組|備後とことこ)
4. 「金曜夜店」の復活と行政・地権者団体との実行委員会組成
地域住民から「金曜夜店を復活してほしい」という声が寄せられたことを受け、まつながまるっとプロジェクトは松永駅北口アーケード管理組合、福山市とともに「まつながるカラコロ夜店実行委員会」を組成した。約30年ぶりとなる夜市「まつながるカラコロ夜店」を、当初は「一夜限り」の企画として2025年7月25日に開催。会場は松永駅北口の市道約120メートル区間を歩行者天国化し、露店・キッチンカー約45店舗が出店した。(参考:まつながるカラコロ夜店 チラシ|福山市、まつながるカラコロ夜店|福山市)
5. パーパスの制定と夜市の定例化
活動の広がりを受け、2025年には「地域資源と新しい力で、次世代が誇れる松永を取り戻す」というパーパスを制定した。「一夜限り」だった夜市も、2026年7月31日に「まつながるカラコロ夜店Ⅱ」として2回目を開催し、単発企画から継続的な年中行事へと位置づけを変えた。(参考:まつながまるっとプロジェクト~中学生が始めた地域活性化の取組|Yahoo!ニュース、まつながるカラコロ夜店|福山市)
6. 公共空間の恒久整備と大学連携への波及
福山市は松永駅北口の民有地を借り上げ、芝生スペースと出店用の乗り入れエリアを組み合わせた公共広場「まつながるカラコロ広場」を整備し、2026年に開放した。市民や地域団体、大学、事業者といった多様な主体が協働しながら駅北口エリアの使い方を試行する社会実験の一環として位置づけられており、使用料は無料で誰でも利用できる。同じ2026年8月には、福山市と福山大学が包括連携協定に基づき「まつながる駅北ストリートキャンパスプロジェクト」を発足させ、学生と地域住民が交流できる空間づくりや連続講座「まつながるゼミ」、建築学科によるまちづくり設計などの取り組みも始まった。(参考:まつながるカラコロ広場|福山市、福山市との新プロジェクト発足!|福山大学)
1. 中学生の個人的な行動が公式ビジョンの実行プロセスに合流した
本事例の特徴は、一人の中学生による自発的なゴミ拾いという極めて個人的な行動が、3年余りで福山市の公式な「松永駅周辺にぎわい再生ビジョン」の実現プロセスと合流するまでに成長した点にある。行政が上位計画を策定する一方、実行段階を担うプレイヤーの不在に悩む地域は多いが、本事例では市民側から自然発生した活動が、結果としてその担い手の一角を占めることになった。(参考:松永駅周辺にぎわい再生ビジョンができました!|福山市、まつながるカラコロ夜店 チラシ|福山市)
2. 参加の心理的ハードルを下げる「物語」の活用
活動の起点となった清掃活動は、著名なプロ野球選手の習慣になぞらえた「ゴミは運」という分かりやすいストーリーを入り口に設計されている。同様に、夜市の名称「まつながるカラコロ夜店」やイベント内の体験企画「ゲタタワー」は、地域の伝統産業だった松永下駄の音や文化をモチーフにしており、地域資源を単なる歴史展示ではなく参加・体験できるコンテンツへと転換している。(参考:まつながまるっとプロジェクト~中学生が始めた地域活性化の取組|備後とことこ、まつながるカラコロ夜店 チラシ|福山市)
3. 負の遺産の解体プロセス自体をコンテンツ化
老朽化した商店街アーケードの解体という、通常は地域にとってネガティブに受け止められがちな作業を、一般参加者も加われるイベントとして企画した点も特徴的である。インフラの縮小・撤去という後ろ向きな事業を、参加体験と結びつけることで地域への当事者意識を高める機会に変えている。(参考:まつながるカラコロ夜店 チラシ|福山市)
4. 実行委員会形式による行政・地権者団体との役割分担
夜市の開催にあたっては、まつながまるっとプロジェクト単独で完結させるのではなく、アーケード管理組合という地権者側の組織、福山市という行政を同じ「構成団体」として位置づけた実行委員会形式を採用している。市民団体が単独では担いきれない道路使用の調整や公共空間整備といった機能を、行政・地権者組織との役割分担によって補っている。(参考:まつながるカラコロ夜店 チラシ|福山市)
1. メンバーと参加世代の拡大
発足時4人だったメンバーは、2026年4月時点で約30人まで拡大した。参加者の年代は10代から80代までと幅広く、松永地域の住民だけでなく市外からの参加者も含まれている。(参考:まつながまるっとプロジェクト|福山市まちづくりサポートセンター「まちサポ」)
2. イベントの集客実績
2025年に開催した「まつながるカラコロ夜店」「まつながHALLOWEEN」は、いずれも約5,000人を集客した。夜市には露店・キッチンカー約45店舗が出店し、これはシリーズの中でも過去最大の出店数となった。(参考:まつながるカラコロ夜店 チラシ|福山市、まつながHALLOWEEN2025|福山市)
3. 単発企画から定例行事への移行
「一夜限り」と銘打って始まった「まつながるカラコロ夜店」は、2026年7月31日に「まつながるカラコロ夜店Ⅱ」として2回目が開催され、単発イベントから継続的な年中行事への移行が確認できる。(参考:まつながるカラコロ夜店|福山市)
4. 恒久的な公共空間整備への波及
イベントによる一時的なにぎわい創出にとどまらず、福山市が松永駅北口の民有地を借り上げて恒久的な公共広場「まつながるカラコロ広場」を整備し、2026年に開放した。使用料無料で誰でも利用できる広場として、駅北口一帯の使われ方を試すための社会実験的な取り組みの場として位置づけられている。(参考:まつながるカラコロ広場|福山市)
5. 大学との連携への発展
2026年8月には福山市と福山大学が「まつながる駅北ストリートキャンパスプロジェクト」を発足させ、学生を含む新たな担い手を巻き込む段階へと活動の裾野が広がっている。(参考:福山市との新プロジェクト発足!|福山大学)
1. 著名な習慣や物語を借りて参加の入り口を設計する
清掃活動という地味になりがちな取り組みを、著名なプロ野球選手の習慣になぞらえた分かりやすいストーリーとともに始めたことは、特定の地域資源や人物に依存しない、他地域でも再現しやすい工夫である。参加者にとって「なぜやるのか」を一言で説明できる物語を持つことは、初参加者の心理的ハードルを下げる効果を持つ。
2. 定例活動を軸にした継続的な関係構築
単発の目玉イベントだけでなく、毎月第3土曜日という固定の頻度で清掃活動を継続したことが、メンバーが4人から30人へと着実に増える基盤になったと考えられる。散発的なイベント参加者を、定例活動を通じて継続的な担い手に転換していくプロセスは、他地域のまちづくり団体にも応用可能な設計である。
3. 上位ビジョンと市民活動を実行委員会形式でつなぐ
行政が策定する上位計画(松永駅周辺にぎわい再生ビジョン)と、市民が自発的に生み出す個別イベントを、双方が「構成団体」として並ぶ実行委員会形式で接続した点は、他地域でも参考になる制度設計である。市民団体単独では実現が難しい道路使用や公共空間整備を行政・地権者組織が補い、行政単独では生まれにくい現場発のアイデアと熱量を市民側が提供するという、相互補完の関係が成立している。(参考:まつながるカラコロ夜店 チラシ|福山市)
4. ネガティブな公共インフラの縮小を体験型コンテンツに変える
老朽化したアーケードの解体という、多くの衰退商店街が直面する後ろ向きな課題を、参加型イベントとして企画した発想は、同様の課題を抱える他地域の商店街にも転用しやすい視点である。撤去・縮小のプロセスを隠すのではなく可視化し、参加体験として開くことで、住民の当事者意識を高める機会に変えられる。
5. 仮設的なにぎわい創出から恒久整備への段階的移行
夜市という一夜限りの仮設イベントで生まれたにぎわいの実績が、行政による恒久的な公共広場整備という次の投資判断につながった経緯は、限られた予算の中でまちづくりを進める他自治体にとって示唆的である。いきなり大規模な公共投資を行うのではなく、低コストな社会実験を積み重ねてから恒久整備に踏み切る段階的アプローチは、投資判断の不確実性を抑える手法として応用できる。(参考:まつながるカラコロ広場|福山市)
2026年9月時点の調査内容に基づいて作成
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