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かみね公園活性化基本計画(Park-PFIによる交流拠点整備の公募とその不調)
かみね公園活性化基本計画(Park-PFIによる交流拠点整備の公募とその不調)

かみね公園活性化基本計画(Park-PFIによる交流拠点整備の公募とその不調)

かみね公園活性化基本計画(Park-PFIによる交流拠点整備の公募とその不調)

茨城県
日立市
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開園から60年超を経た日立市の総合レジャー拠点「かみね公園」を、年間来園者100万人を掲げて再生する基本構想・基本計画。頂上芝生広場にPark-PFIで飲食・展望の交流拠点を整備しようとした2024年の公募が応募ゼロで不調に終わった経緯から、地方公園のPPP成立条件を考える事例。

概要

茨城県日立市の「かみね公園」は、関東北部でも屈指の規模を持つ動物園に加え、遊園地(かみねゆうえんち・かみねレジャーランド)や温水プール、研修・入浴施設「ホリゾンかみね」を敷地内に集約した、日立市を象徴する観光・レクリエーションの拠点である。1957年(昭和32年)開園と歴史が古く、敷地は約15.6ヘクタール、現在の年間来園者は約60万人にのぼる。日本さくら名所100選に選ばれた桜と、日本夜景遺産に認定された太平洋を望む眺望を併せ持つ点も特徴である。 (参考:日立市かみね公園(Wikipedia)かみね公園オフィシャルサイト

日立市は、人口減少・少子高齢化や観光需要の変化が進むなかでこの拠点の魅力を磨き直すため、2020年(令和2年)3月に「かみね公園活性化基本構想」、2021年(令和3年)9月に「かみね公園活性化基本計画」を策定した。構想はおおむね10年後を見据えた将来像を描き、年間来園者数100万人を目標に掲げる。計画はその実現に向けた具体的な取組をまとめ、公園を複数のゾーンに区分したうえで、中央部の「交流やすらぎゾーン」を再生の起点に位置づけている。 (参考:かみね公園活性化基本計画(日立市)かみね公園活性化基本構想(日立市)

その目玉として日立市は、頂上の芝生広場約7,000平方メートルに、飲食と眺望を楽しめる交流拠点施設を、都市公園法の公募設置管理制度(Park-PFI)を使って民間主導で整備・運営する事業を計画した。2024年に事業者を公募したものの、提出期限までに応募がなく不調に終わっている。本稿は、計画自体の到達点と、この公募の経緯から読み取れる地方公園における官民連携の成立条件を、事実に基づいて整理する。 (参考:かみね公園にPark-PFIで交流拠点、日立市がサウンディング(日経BP・新公民連携最前線)

背景・課題

かみね公園は、海と山に挟まれた日立市の地形を象徴する高台に立地し、戦後の早い時期から市民の行楽地として親しまれてきた。動物園は1957年に4種7点の動物を擁する「神峰動物園」として開園し、その後レジャーランドやプール、研修施設が順次加わって総合レジャー拠点へと発展した。半世紀以上にわたって増築・更新を重ねてきた結果、施設群の老朽化と、来園動機が動物園など一部施設に偏る構造が課題として浮かび上がっていた。 (参考:日立市かみね動物園(Wikipedia)日立市かみね公園(Wikipedia)

基本構想・基本計画が前提としたのは、公園を取り巻く環境の厳しさである。市の人口減少と少子高齢化により近隣からの来園基盤は縮小傾向にあり、レジャーの多様化で「家族で一日を過ごす行楽地」という従来型の集客モデルだけでは新規来園者を取り込みにくい。市はこの逆風のもとで、公園が持つ価値を再び高めて将来世代へ受け渡すことを計画の主眼とし、現状約60万人の来園者を100万人へと引き上げる目標を掲げた。これは現状比で約1.6倍にあたる意欲的な水準であり、既存施設の更新だけでなく、滞在価値を高める新たな機能の追加を要する設定である。 (参考:かみね公園活性化基本計画(日立市)

同時に、市営の大規模レジャー施設を税負担だけで再生・維持し続けることの限界も背景にあった。動物園・遊園地・プールといった施設は維持管理コストが大きく、入園料・利用料収入だけで更新投資を賄うのは難しい。そこで市は、眺望という公園最大の資源を活かせる頂上部に着目し、民間の資金とノウハウで収益施設と公共空間を一体整備するPark-PFIを、財政負担を抑えながら魅力を高める手段として検討するに至った。 (参考:かみね公園にPark-PFIで交流拠点、日立市がサウンディング(日経BP・新公民連携最前線)

取り組みのプロセス

取り組みは、構想(2020年)→計画(2021年)→個別事業の具体化(2023〜2024年)という段階を踏んでいる。基本計画では公園全体をいくつかのゾーンに区分し、なかでも中央部に位置する「交流やすらぎゾーン」を、来園者が滞在し交流する空間として再生の中心に据えた。100万人という目標は、このゾーニングを軸に各エリアの役割を整理したうえで掲げられている。 (参考:かみね公園活性化基本計画(日立市)

計画を具体化する最初の事業として選ばれたのが、頂上芝生広場へのPark-PFIによる交流拠点施設の整備である。市はまず2023年に事業者との対話(サウンディング型市場調査)を実施し、民間の関心や事業条件を探った。そのうえで事業の基本方針として、頂上の眺望と飲食を結び付けた滞在空間づくり、芝生広場を舞台としたにぎわいの形成、地域の観光価値を高める新たなコンテンツの創出という3つの方向性を整理している。 (参考:かみね公園にPark-PFIで交流拠点、日立市がサウンディング(日経BP・新公民連携最前線)

Park-PFIの枠組みでは、民間事業者がカフェ・レストランなどの飲食店や売店といった「公募対象公園施設」を自らの負担で整備・運営し、その収益力を前提に、展望台・休憩所・広場などの「特定公園施設」を併せて整備する役割を担う。日立市の公募では、対象は頂上芝生広場内の約7,000平方メートルとされ、提案にあたっては展望台と屋外テラス席の設置を事業者に求める必須要件とし、完成後の特定公園施設は市へ引き渡すことが条件づけられた。市は2023年12月下旬に公募設置等指針を公表し、2024年2月から3月中旬に公募設置等計画を受け付け、5月上旬に設置等予定者を選定する日程を組んでいた。 (参考:かみね公園にPark-PFIで交流拠点、日立市がサウンディング(日経BP・新公民連携最前線)

しかし、この公募は応募者がないまま募集を終え、設置等予定者の選定には至らなかった。日立市公式サイトの当該事業ページも、その後「募集終了」として扱われている。眺望という強みを民間収益施設に結び付けようとした試みは、少なくとも初回の公募では事業者の参画を得られなかった。 (参考:かみね公園にPark-PFIで交流拠点、日立市がサウンディング(日経BP・新公民連携最前線)

一方で、公園の中核施設である動物園では、Park-PFIとは別に市の直接投資による更新が継続的に進められてきた。2018年には爬虫類と市の鳥ウミウを展示する「はちゅウるい館」が開館し、2022年には新猛獣舎「がおーこく」が完成している。これらの更新を経て、飼育動物は約100種・約570点規模へと拡充されている。基本計画が描く魅力向上は、民間活用による交流拠点では実現しなかった一方、公共投資による動物園のリニューアルという形で着実に進んでいる、という二面性がある。 (参考:日立市かみね動物園(Wikipedia)日立市かみね動物園(日立市)

この事例の特徴

第一の特徴は、計画の目玉に据えた官民連携手法が、計画策定段階の想定どおりには進まなかった点を含めて事例化できることである。多くの公園再生事例がPark-PFIの「成功」を語るなかで、本件は人口規模約16万人の地方都市・高台立地・季節性のある集客という条件下で、公募が不調に終わった経緯を残している。これは、Park-PFIが万能ではなく、立地と市場の条件に成立可否が左右されることを具体的に示す数少ない参照点となる。 (参考:かみね公園にPark-PFIで交流拠点、日立市がサウンディング(日経BP・新公民連携最前線)

第二に、サウンディングを経てなお応募がなかったという順序である。事前対話で関心を示す事業者がいても、それが実際の応募・出店という投資判断に直結するとは限らない。アイデア段階の関心と、収益施設を自己負担で建て年間を通じて運営する事業性評価との間には距離があることが、この経過から読み取れる。 (参考:かみね公園にPark-PFIで交流拠点、日立市がサウンディング(日経BP・新公民連携最前線)

第三に、民間活用が不調でも、公共投資による動物園の段階的更新は並行して進み、公園全体の魅力向上は止まっていない点である。再生を「民間連携による一棟の交流拠点」に一本化せず、既存施設の更新という公共主体の手段を併走させていたことが、計画全体の前進を支えている。 (参考:日立市かみね動物園(Wikipedia)

調査時点の成果

調査時点(2026年6月)で確認できる到達点は、次のように整理できる。まず計画面では、将来ビジョンを示す基本構想と、ゾーニングおよび具体的取組をまとめた基本計画が策定・公表され、年間来園者100万人という明確な目標と再生の骨格が示されている。これは再生を進めるための前提整備として機能している。 (参考:かみね公園活性化基本計画(日立市)かみね公園活性化基本構想(日立市)

一方、計画の目玉だったPark-PFIによる交流拠点施設は、2024年の公募で応募がなく、事業者選定に至っていない。頂上芝生広場での新たな収益施設・展望機能の整備は、調査時点で実現していない。100万人目標に対する到達度(現状は約60万人規模)も、公表された確定値としては確認できず、目標と現状には依然として大きな開きがある。 (参考:かみね公園にPark-PFIで交流拠点、日立市がサウンディング(日経BP・新公民連携最前線)日立市かみね公園(Wikipedia)

その一方で、公共投資による動物園の更新は成果として確認できる。「はちゅウるい館」(2018年)、新猛獣舎「がおーこく」(2022年)の整備により展示内容が拡充され、飼育規模も約100種・約570点へと広がった。本事例の現時点の成果は、「計画の整備」と「公共主体による中核施設の段階的更新」が進む一方、「民間活用による新規拠点の創出」は未達という、手段ごとに濃淡のある状態として捉えるのが正確である。 (参考:日立市かみね動物園(Wikipedia)日立市かみね動物園(日立市)

他地域への示唆

第一に、Park-PFIの成立は「公園の魅力」よりも「事業の採算」で決まる、という点である。眺望や桜といった景観資源は来園動機にはなっても、それだけで年間を通じた飲食・物販の収益を保証しない。高台立地でアクセスに一手間がかかり、来園者数に季節変動がある公園では、民間が収益施設を自己負担で建て運営する判断のハードルは高い。同種の地方公園でPark-PFIを検討する自治体にとって、商圏人口・来園の季節性・通年需要を冷静に見積もることが出発点になる。 (参考:かみね公園にPark-PFIで交流拠点、日立市がサウンディング(日経BP・新公民連携最前線)

第二に、サウンディングの「手応え」を過信しないことである。事前対話は有用だが、関心表明と実際の応募は別物であり、対話では出店条件・想定売上・市の負担分担といった採算の核心まで詰め切れないことがある。再現性のある教訓としては、サウンディングの段階で事業者に求める投資規模・回収期間・リスク分担を具体的に提示し、関心が投資判断に耐えるかを早期に検証することが挙げられる。必須提案(本件では展望台・屋外テラス席)が事業者の負担感を高めていなかったかという、条件設計の振り返りも有効である。 (参考:かみね公園にPark-PFIで交流拠点、日立市がサウンディング(日経BP・新公民連携最前線)

第三に、再生手段を一つに賭けない設計の有効性である。日立市の事例は、民間活用が不調でも、公共投資による動物園更新という別手段が並走していたために、公園全体の魅力向上は継続した。官民連携・直接投資・指定管理など複数の手段を、施設の収益性や公共性に応じて使い分け、一手段の不調が再生全体を止めない構えをとることは、多くの自治体に応用できる。収益が見込みにくい中核公共施設は公共投資や指定管理で支え、収益が立つ周辺機能に限って民間活用を狙う、という役割分担の考え方が示唆として残る。 (参考:日立市かみね動物園(Wikipedia)かみね公園活性化基本計画(日立市)

参照元

2026年06月時点の調査内容に基づいて作成

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