
とおり町Street Garden(福山本通・船町商店街アーケード改修)
この記事は、my grooveを運営する株式会社Groove DesignsがAIを活用し独自に調査・作成したものです。
広島県福山市の本通・船町商店街で、老朽化したアーケードを撤去し、ステンレスワイヤーと街路樹による開放的な「緑の商店街」へ再生した事例。空き店舗率の改善や、商店主自ら植栽を管理する「グリーンパトロール隊」など住民主体の維持体制を紹介する。
広島県福山市の中心市街地、JR福山駅から徒歩圏の本通商店街・本通船町商店街(通称「とおり町」)では、老朽化した全蓋式アーケードを撤去し、既存の支柱を活かしながらステンレスワイヤーと街路樹を組み合わせた開放的な街路へ改修する「とおり町Street Garden」プロジェクトが実施された。設計は建築家・前田圭介氏(UID)が担当し、検討開始から数えて約5年をかけて2016年7月に竣工した。 (参考:維持費のかかるアーケードはやめ、緑で商店街をつなぐ。(TOTO通信)、福山市本通・船町商店街アーケード改修プロジェクト(UID))
雨風をしのぐ屋根を失う代わりに、樹木の緑陰と季節の変化を感じられる「緑のアーケード」へと生まれ変わった点が特徴で、2017年度グッドデザイン賞金賞、同年の土木学会デザイン賞優秀賞をそれぞれ受賞した。竣工後は商店主自身が街路樹の手入れを担う「グリーンパトロール隊」などの管理体制を構築し、整備後も継続的に運営を更新している。 (参考:商店街アーケード(グッドデザイン賞)、福山市本通・船町商店街アーケード改修プロジェクト(土木学会デザイン賞)、広島県福山市「とおり町Street Garden」はアーケードを改修し緑あふれる開放的な商店街に(LIFULL HOME'S PRESS))
「とおり町」は1622年の福山城築城とともに形成された町人町を起源とし、江戸時代から商業地として発展してきた歴史を持つ。アーケードは1928年に初めて設置され、その後複数回の改修を経てきたが、直近の全蓋式アーケードも整備から30年以上が経過して老朽化が進み、天蓋の落下により通行人が負傷する事故も発生していた。商店街振興組合にとっては年間100万円を超える維持管理費も負担となっていた。 (参考:アーケード改修をきっかけに緑溢れる公園のような商店街に(中小企業庁)、福山市本通・本通船町商店街(Wikipedia))
老朽化に加えて、1990年代後半以降の郊外型店舗の増加や大規模小売店舗法の緩和、インターネット通販の普及により中心市街地の空洞化が進行し、約100店舗のうち約30店舗(3割)が空き店舗となっていた。店主の平均年齢は70歳を超え、後継者不足も課題として意識されていた。 (参考:空き店舗が急減 「歩く喜び」のデザインで再生した商店街(事業構想))
商店街内では、天蓋上部を通る高圧線の地中化とアーケード撤去の是非が議論されたが、地中化の実現見通しが立たず、アーケードの存続可否と商店街そのものの将来像が問われる状況にあった。2009年施行の地域商店街活性化法を一つの契機として再整備の検討が本格化し、「構造物はお金をかけても経年劣化するが、植物であれば経年劣化しない」という発想の転換から、屋根そのものを撤去して緑化する方向へ舵を切った。 (参考:福山市本通・本通船町商店街(Wikipedia)、アーケード改修をきっかけに緑溢れる公園のような商店街に(中小企業庁))
1. 設計者選定と住民合意形成
設計は建築家・前田圭介氏(UID)が担当し、商店街メンバーへの聞き取り調査を重ねながら計画を具体化した。当初検討されていたアーケード全面更新案から、コストと維持性に優れるステンレスワイヤー案へと方針を転換し、単純な建て替えではなく既存の柱をそのまま残し、旧アーケードが積み重ねてきた時間の痕跡を活かしながら新しい街路の風景を組み立てる方針が採られた。植栽については店舗ごとに相談を重ね、各店の個性を反映した植え込みとすることで合意形成を積み重ねた。 (参考:維持費のかかるアーケードはやめ、緑で商店街をつなぐ。(TOTO通信)、福山市アーケード改修プロジェクト「とおり町Street Garden」(JDN))
2. 技術検証と関係機関協議
採用するステンレスワイヤーについては50年の耐久性を確認するための暴露試験・摩耗試験を実施した。また警察・道路管理者など関係機関との協議を重ね、地下埋設の鋼製支柱を採用することで歩行者の安全を確保しながら高木の植樹を可能にした。 (参考:維持費のかかるアーケードはやめ、緑で商店街をつなぐ。(TOTO通信)、アーケード改修をきっかけに緑溢れる公園のような商店街に(中小企業庁)、広島県福山市「とおり町Street Garden」はアーケードを改修し緑あふれる開放的な商店街に(LIFULL HOME'S PRESS))
3. 設計・施工
設計は2011年4月から2015年3月にかけて行われ、施工は2015年4月に着手し2016年7月に竣工した。全長約440m、幅員8mの区間を対象に、既存の鉄骨支柱を保持したまま天蓋を撤去し、直径3mmのステンレスワイヤー約7,000本を張り渡して軽やかな新しい「天蓋」を構成した。路面は白御影石の粗ビシャン仕上げの石畳とし、ダウンライト照明によって木々の影を路面に投影する演出も取り入れられた。植栽には高木・中木・低木・地被類が組み合わせて用いられている。 (参考:維持費のかかるアーケードはやめ、緑で商店街をつなぐ。(TOTO通信)、福山市本通・船町商店街アーケード改修プロジェクト(UID)、アーケード改修をきっかけに緑溢れる公園のような商店街に(中小企業庁)、広島県福山市「とおり町Street Garden」はアーケードを改修し緑あふれる開放的な商店街に(LIFULL HOME'S PRESS))
4. 竣工後の管理体制構築
行政に街路樹管理まで担う余裕がなかったことを背景に、商店主自身が学びながら植栽の維持管理を担う「グリーンパトロール隊」を結成した。その後、街路樹の手入れは商店街全体の活動から個々の店舗が自店前を受け持つ形へと役割分担が進み、2025年には手入れの知識がない人でも管理しやすいよう「みどりのお手入れガイドブック」を作成してノウハウを標準化した。あわせて、家庭や店舗から出る生ゴミをバッグ型・木枠型のコンポストで堆肥化し、街路樹の肥料として還元する「とおり町コンポストプロジェクト」も展開されている。 (参考:広島県福山市「とおり町Street Garden」はアーケードを改修し緑あふれる開放的な商店街に(LIFULL HOME'S PRESS))
1. 「建て替え」ではなく「継承」の設計思想
老朽アーケードを単純に建て替えるのではなく、既存の支柱をそのまま活かし、商店街を見守ってきた構造物の面影を新しい街路デザインへと溶け込ませた点が特徴である。歴史的な連続性を保ちながら開放性を獲得するというアプローチは、老朽化したインフラを抱える他の商店街にも応用しうる考え方である。 (参考:前田圭介 / UIDが、5年の歳月を費やして完成した、広島県福山市のアーケードを改修するプロジェクト「とおり町Street Garden」(architecturephoto.net)、福山市アーケード改修プロジェクト「とおり町Street Garden」(JDN))
2. コストと耐久性を検証したうえでのワイヤー構造採用
全面更新であれば数億円規模になる工事を、ステンレスワイヤーの採用によって圧縮しながら、50年の耐久性を事前の暴露試験で確認したうえで導入した。デザイン性だけでなく技術検証を伴って構造を選定した点が、同種の老朽アーケード改修事例との違いといえる。 (参考:維持費のかかるアーケードはやめ、緑で商店街をつなぐ。(TOTO通信))
3. 竣工後の運営まで組み込んだ設計
グリーンパトロール隊やコンポストプロジェクトのように、整備後の維持管理を商店主自身が担う仕組みをあらかじめ組み込んで設計・運用してきた点も特徴である。管理主体を各店舗単位に分担し、ガイドブックでノウハウを標準化することで、特定の担い手の熱意に依存しない継続性を持たせている。 (参考:広島県福山市「とおり町Street Garden」はアーケードを改修し緑あふれる開放的な商店街に(LIFULL HOME'S PRESS))
1. 空き店舗の減少
改修前に約100店舗中約30店舗(3割)あった空き店舗は、竣工から間もない2017年時点の報道では30店から10店以下まで減少したと報告されている。LIFULL HOME'S PRESSの記事によれば、改修から約9年が経過した2025年3月時点でも空き店舗率は10%未満で推移しており、効果が単年度にとどまらず持続していることがうかがえる。 (参考:空き店舗が急減 「歩く喜び」のデザインで再生した商店街(事業構想)、アーケード改修をきっかけに緑溢れる公園のような商店街に(中小企業庁)、広島県福山市「とおり町Street Garden」はアーケードを改修し緑あふれる開放的な商店街に(LIFULL HOME'S PRESS))
2. 新規出店の呼び込み
空き店舗を活用した新規出店も継続している。2016年には空き店舗を改修したコミュニティハウス「umbrella」がカフェや古書店、工房などを併設する形で開業し、2023年にはキッチン付きレンタルスペース「imanoma」が別の空き店舗に開業した。 (参考:アーケード改修をきっかけに緑溢れる公園のような商店街に(中小企業庁))
3. 対外的な評価
2017年度グッドデザイン賞金賞を受賞したほか、同年の土木学会デザイン賞優秀賞も受賞した。土木学会の審査講評では「新しい『人の暮らしに向き合う』商店街として秀逸」と評され、「歩車共存道となっている通りの植栽と舗装が織りなすシーケンシャルな個性的な風景」が創出された点が評価されている。 (参考:商店街アーケード(グッドデザイン賞)、福山市本通・船町商店街アーケード改修プロジェクト(土木学会デザイン賞))
4. 来街行動の変化
改修に携わった商店街振興組合理事長は、竣工後の変化として「散歩する人がかなり増えた」「水やりをしていると木の種類を尋ねる人がいて、なかには店に入ってきてくれる人もいる」と証言しており、街路が滞留・回遊の場として機能し始めていることがうかがえる。2025年3月時点で街路樹は13樹種・約82本にまで育っている。 (参考:維持費のかかるアーケードはやめ、緑で商店街をつなぐ。(TOTO通信)、広島県福山市「とおり町Street Garden」はアーケードを改修し緑あふれる開放的な商店街に(LIFULL HOME'S PRESS))
1. 「建て替えか撤去か」の二択に代わる選択肢
老朽化したアーケードや公共インフラを抱える商店街の議論は、全面建て替えか撤去かの二択で語られがちである。とおり町の事例は、既存構造を活かしながら軽量な素材で開放性を獲得する「ワイヤー化」という第三の選択肢を、耐久性の技術検証と関係機関協議というプロセスを踏んで実現した点で、同種の課題を抱える他地域にとって参考になる。 (参考:維持費のかかるアーケードはやめ、緑で商店街をつなぐ。(TOTO通信))
2. 将来の維持管理費まで見据えた整備計画
「経年劣化しない植物」への発想転換は、初期整備費だけでなく竣工後の維持管理費まで含めて構造物のあり方を見直す視点を提供する。公共空間整備を検討する自治体や商店街にとって、竣工後の管理体制(担い手・仕組み)を整備計画の段階から組み込むことの重要性を示す事例といえる。 (参考:アーケード改修をきっかけに緑溢れる公園のような商店街に(中小企業庁)、広島県福山市「とおり町Street Garden」はアーケードを改修し緑あふれる開放的な商店街に(LIFULL HOME'S PRESS))
3. 管理を属人化させない仕組みづくり
グリーンパトロール隊から各店舗による個別管理への移行、ガイドブックによるノウハウの標準化という段階的な変化は、住民主体の維持管理体制を特定の担い手に依存させず、店舗単位で分担・継承できる仕組みへと落とし込んだ過程として読み取れる。ハード整備と同時に、竣工後の運営体制を反復可能な形で設計する視点は、他地域でも再現性を持って参照できる。 (参考:広島県福山市「とおり町Street Garden」はアーケードを改修し緑あふれる開放的な商店街に(LIFULL HOME'S PRESS))
2026年09月時点の調査内容に基づいて作成
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