
三茶WORK(三軒茶屋の地域密着コワーキング+コミュニティ)
東京都世田谷区・三軒茶屋で住民有志が2019年に開業したコワーキング「三茶WORK」。約200名の会員コミュニティを基盤に、マーケット主催、区の起業支援受託、地域メディア運営、茶沢通りの公共空間社会実験まで担い、民間発のまちづくりの担い手へと発展した事例。
三茶WORKは、東京都世田谷区・三軒茶屋で2019年8月に開業した地域密着型のコワーキングスペースである。「三軒茶屋のまちを楽しむ人の仕事場」を掲げ、街に住むコンサルタントや建築家、デザイナーなどの有志が、住まいの近くで働ける場を求めて立ち上げた。運営する三茶ワークカンパニー株式会社は正社員をほとんど持たず、多様な職業のメンバーが業務委託でかかわる自走型の組織として運営されている。(参考:三茶WORK公式サイト、SUUMOジャーナル)
三軒茶屋エリアに複数の拠点を展開し、会員は約200名(2024年12月時点)。単なる作業場所にとどまらず、会員同士のマッチングや部活動によるコミュニティ形成、年数回のマーケット「SANCHA HAVE A GOOOD MARKET!!!」の主催、世田谷区の事業者支援事業の運営受託、地域メディア「三軒茶屋経済新聞」の運営、さらには行政による茶沢通りの公共空間社会実験との連動まで担い、都市部における民間発のまちづくりの担い手へと発展している点が特徴である。(参考:三茶WORK公式サイト、SUUMOジャーナル)
三軒茶屋は渋谷から東急田園都市線で二駅、下北沢にも近い、東京都心部の人気居住エリアである。飲食店や商店が密集する一方で、駅周辺には「働く場所」としてのコワーキングスペースが存在しなかった。街に住みながらフリーランスや経営者として働く人々は、都心のオフィスやカフェへ出て仕事をするしかなく、「住まいに近い場所で働き、面白い人と出会える場」への潜在的な需要があった。(参考:SUUMOジャーナル)
創業メンバーの吉田亮介氏、千田弘和氏、土屋勇太氏は、いずれも三軒茶屋に長く住み、街に強い愛着を持つ住民だった。SNS上で三軒茶屋に働く場所を求める声がつながり、飲みの席でコワーキングの場をつくろうという話が持ち上がったことから構想が始まった。2018年春にプロジェクトを立ち上げたものの、適した物件がなかなか見つからず、約半年の物件探しを経て2018年11月にようやく現在地を確保した。(参考:せたがやんそん インタビュー)
三軒茶屋駅周辺は、世田谷区が「三茶Crossing」というビジョンのもとでまちづくりを進める地区でもある。区は、まとまった公共空間や歩行者の動線が乏しいこと、建物の老朽化、商業エリアと住宅エリアが調和していないことなどを課題として認識しており、ゆっくり座って過ごせる滞留空間の乏しさも指摘されていた。こうした行政課題と、住民発のコワーキング構想は、後に公共空間の活用という接点で結びついていく。(参考:ソトノバ)
クラウドファンディングによる仲間集め(2019年)
2019年3月にクラウドファンディングを実施し、目標達成率147%を記録した。資金調達以上に重視したのは初期メンバーの確保で、工事着工前に想定席数の100%を超える事前申し込みを得た。開業時から十数名が支援者としてかかわり、コミュニティの核となった。同年8月1日、駅徒歩1分のビル3・4階でグランドオープンした。(参考:PR TIMES プレスリリース、せたがやんそん インタビュー)
「茶や」と「仕事場」の二層構成
拠点は、地域に開かれた社交場としての「茶や(まちの茶屋)」と、会員が集中して働く「仕事場」で構成された。ラウンジ階では日替わり店主が食事を提供する「さんちゃワーク食堂」や、菓子製造許可付きのシェアキッチン「三茶BAKEs」を備え、会員以外も立ち寄れる開かれた場とした。ワークスペースは24時間利用可能な集中作業空間や個室ブース、テラス付きのミーティングスペースなど、用途に応じて選べる構成とした。(参考:三茶WORK公式サイト、SUUMOジャーナル)
コミュニティを動かす仕組み
会員の職業や経験を共有する独自ツール「NEIGHBOR WORK」を通じて、農作業やキャンプ、グルメといったテーマ別の部活動や、会員同士のマッチングを促した。会員はエンジニアが約7割を占め、グループチャット「三茶エンジニアーズ」には約70名が参加。「Web制作でデザイナーやコピーライターを探す」といった実務の協働が日常的に生まれている。新規会員が知り合いをつくれるよう、毎月ランチ会も開催している。(参考:SUUMOジャーナル)
多拠点展開
需要の拡大に合わせて拠点を増やし、栄通りの「SAKAE」や「はなれ」、2024年7月に開業した「三茶オアシス」など、三軒茶屋エリア内に複数の拠点を展開した。いずれも駅周辺の徒歩圏に集積させ、街のなかに面的な仕事場のネットワークを形成している。(参考:三茶WORK公式サイト、三茶オアシスOPEN告知)
まちへの展開:マーケット・行政受託・地域メディア
コワーキング運営で培ったネットワークを、街全体の活動へと広げた。2022年5月に「SANCHA HAVE A GOOOD MARKET!!!」を初開催。世田谷内外の農産物や飲食店が集まるマーケットで、厳選された約40店が並ぶ。また、世田谷区の事業者支援プログラム「SETA COLOR」やインキュベーションプログラム「ネイバースクールSETAGAYA」の運営を受託。会員のエンジニアやライターによる編集部で地域ニュースメディア「三軒茶屋経済新聞」も運営している。(参考:三茶ワークカンパニー、SETA COLOR(note)、三軒茶屋経済新聞)
行政の公共空間社会実験との連動
三軒茶屋駅の周辺は腰を下ろして一息つける空間が乏しいという課題があり、世田谷区は茶沢通りで「SANCHA STREET TERRACE」と呼ぶ社会実験を継続している。車道に人工芝やイスなどを設置して一時的に滞在性を高める取り組みで、令和6年度に実施された「三茶ストリートファニチャーデザインコンペ」の入賞作品が、令和7年6月の社会実験で茶沢通りに設置された。この社会実験に三茶WORKが主催するマーケットが同時開催され、来街者や休憩需要を生み出す賑わいの装置として機能している。(参考:世田谷区公式サイト、ソトノバ)
都市部の「地元」に根ざした職住近接コミュニティ
地方創生の文脈で語られがちなコワーキングやローカルコミュニティを、渋谷至近の大都市部で成立させた点が特徴的である。会員の大半が三軒茶屋やその周辺に住む住民であり、遠方からの「関係人口」ではなく、「地元で働き・暮らす人」の帰属欲求を掘り起こした。都会にもローカルなつながりへの強い需要があることを示している。(参考:SUUMOジャーナル、せたがやんそん インタビュー)
「妄想をカタチに」する自走型の運営
三茶ワークカンパニーは「自分たちのまちから妄想をカタチに」を理念に掲げ、正社員をほとんど置かず、建築家・エンジニア・ヨガインストラクターなど別の生業を持つメンバーが業務委託でかかわる。メンバーが自発的に自分の役割を担う階層のない運営で、クラフトビール醸造やマーケットなど会員発のアイデアが自然に事業化されていく仕組みを備える。(参考:せたがやんそん インタビュー、三茶ワークカンパニー)
コワーキングから地域の中間支援へ
ワークスペース事業を起点に、コミュニティ(部活・マッチング)、イベント(マーケット)、行政受託(SETA COLOR・ネイバースクール)、地域メディア(三軒茶屋経済新聞)、公共空間の社会実験という複数の機能を段階的に積み上げた。単なる貸しスペースではなく、人・事業・行政をつなぐ地域のプラットフォーム=中間支援的な役割へと段階的に発展している点に、一般的な貸しスペース型のコワーキングにとどまらない機能の広がりがある。(参考:三茶ワークカンパニー、SUUMOジャーナル)
なお、受託事業から生まれた事業者の売上や事業継続率など、支援の定量的な成果までは公開情報からは確認できない。運営の持続性は創業メンバーや中心的な会員の求心力にも支えられている面があり、機能の広がりを組織としてどう仕組み化していくかは今後の論点として残る。
コワーキングを「箱」ではなく「コミュニティのエンジン」として設計する — 会員のプロフィール共有ツール、部活動、月次のランチ会など、出会いと協働を意図的に仕掛ける仕組みが、実務マッチングや新規事業を生んだ。ワークスペースを貸すだけでは生まれにくい価値であり、運営の重心を空間管理からコミュニティ運営へ移す発想が参考になる。
民間の賑わいイベントが行政の社会実験を補完する — 民間主催のマーケットと行政の公共空間社会実験を同時開催することで、実験に必要な来街者・滞留需要を民間側が供給する公民連携の形をつくった。集客の担い手を持たない行政単独では成立しにくい社会実験の実効性を高める、再現性のあるモデルである。
住民発の運営体が地域の中間支援を担う — 地域に住み・働く当事者が運営することで、区の事業者支援や地域メディアの受け皿となり、行政と地域プレイヤーをつなぐ中間支援機能を民間が担えることを示した。行政が外部コンサルに委ねがちな支援業務を、地域内の主体に託す選択肢を提示している。
「都市部のローカル」という切り口 — 関係人口の獲得や移住促進が主眼になりにくい大都市部でも、職住近接の需要と地元への愛着を核にコミュニティは成立する。都心近接エリアのまちづくりに応用可能な視点である。一方で、初期の推進力は創業メンバーの多職種ネットワークと街への愛着に負う部分も大きく、この求心力をいかに仕組みへ落とし込むかが、他地域で同様の展開を目指す際の鍵となる。
2026年7月時点の調査内容に基づいて作成
この記事は公開情報に基づき、AIを用いた詳細調査により作成されました。記事内容への修正依頼、お問合せ等は以下までお寄せください。
問い合わせ:support@groove-designs.com
よくあるご質問(FAQ)もあわせてご確認ください。
#
総合計画
#
まちづくり指針
#
エリアビジョン
#
景観計画
#
緑の基本計画
#
公共空間活用
#
ウォーカブル
#
公園活用
#
防災・減災
#
空き家活用
#
エリアプラットフォーム
#
公民連携プラットフォーム
#
公民連携
#
地域コミュニティ
#
地域交流拠点
#
多文化共生
#
子育て支援
#
文化芸術
#
自動運転バス
#
モビリティマネジメント
#
モビリティハブ
#
関係人口
#
移住促進
#
探究学習
#
グリーンインフラ
#
生物多様性
#
参加型予算
#
都市整備
#
まちなか
#
駅前広場
#
協働のまちづくり
#
リノベーションまちづくり
#
フューチャーセンター
#
スマートシティ
#
AI
#
リビングラボ
#
空きスペース活用
#
居場所づくり
#
子ども食堂
#
沿線まちづくり
#
健康
#
社会教育
#
持続可能な都市
#
計画策定
#
まちづくり
#
コミュニティ形成
#
ワークショップ
#
社会実験
#
市民参加
#
子ども・若者
#
子育て世代
#
シニア