
福山市域における浸水対策協議会
この記事は、my grooveを運営する株式会社Groove DesignsがAIを活用し独自に調査・作成したものです。
平成30年7月豪雨の甚大な浸水被害を受け、国・広島県・福山市・土地改良区が2018年8月に設置した協議会。流域ごとの行程表(ロードマップ)に基づき5年間で172の浸水対策事業を展開し、ポンプ場・雨水貯留施設の整備を継続的に進める。
「福山市域における浸水対策協議会」は、平成30年7月豪雨(西日本豪雨)によって福山市内で発生した甚大な浸水被害(浸水面積約2,000ha、床上浸水約1,300棟)を受け、2018年8月に国・広島県・福山市・土地改良区の4者で設置された。被害原因を流域ごとに分析した上で、河川ごとの行程表(ロードマップ)を策定し、当面・中期・長期の3段階で対策を進める枠組みである。 (参考:福山市域における浸水対策について(福山市公式サイト)、福山市域における浸水対策について~報告書~(広島県公式サイト))
協議会は「床上浸水をなくすこと」を目標に掲げ、2024年7月時点で5年間に国7事業・県64事業・市92事業・土地改良区9事業の計172事業を展開してきた。ポンプ場・排水機場13カ所の整備、雨水貯留施設13カ所(総貯留量約16万㎥)の整備が完了する一方、手城川流域の蔵王ポンプ場のように当初計画から完成が2年延期された事業もあり、行程表は毎年見直しを重ねながら継続的にフォローアップされている。 (参考:広報ふくやま2024年7月特集「自然災害に強いまちづくり浸水対策」(福山市公式サイト)、福山市域における浸水対策のフォローアップを実施しました(令和6年4月)(広島県公式サイト)、福山市のポンプ場完成 2027年度に遅れ 手城川流域の浸水対策 事業費も41億円増(中国新聞デジタル))
2018年7月、西日本一帯を襲った豪雨(平成30年7月豪雨)により、福山市は市政史上初めて大雨特別警報の対象となった。市内では浸水面積が約2,000haに及び、床上浸水は約1,300棟にのぼるなど甚大な被害が発生した。特に市街化が進み雨水の流出量が増大していた手城川流域や、住宅密集地を流れる福川流域では、過去にも大雨のたびに繰り返し被害を受けてきた地区が再び浸水した。 (参考:広報ふくやま2024年7月特集「自然災害に強いまちづくり浸水対策」(福山市公式サイト)、福川排水機場が完成しました(広島県公式サイト))
福山市域の河川・水路は、国が管理する一級河川区間、広島県が管理する区間、福山市が管理する公共下水道・排水施設、農業用水路やため池を管理する土地改良区の施設が入り組んで存在しており、単一の主体だけでは抜本的な浸水対策を講じることが難しい構造にあった。再度の災害を防ぐには、河川管理者や関係機関が縦割りを超えて被害原因を共有し、流域単位で対策を組み立てる必要があった。 (参考:福山市域における浸水対策について(福山市公式サイト))
災害発生から約1カ月後の2018年8月、国(国土交通省中国地方整備局福山河川国道事務所等)、広島県、福山市、土地改良区の4者により「福山市域における浸水対策協議会」が設置された。協議会は3回の会合を重ね、2019年2月8日に被害発生原因の分析結果と対策の方向性を「とりまとめ(概要版)」として公表し、2019年4月には本編4部構成の詳細な報告書を公表した。 (参考:福山市域における浸水対策について~報告書~(広島県公式サイト))
とりまとめを踏まえ、協議会は河川ごとに当面・中期・長期の3段階に整理した行程表(ロードマップ)を策定した。以降、令和元年度(2019年度)から毎年フォローアップを実施し、令和2年6月、令和3年2月(行程表の見直し)、令和4年6月、令和5年7月、令和6年4月(令和5年度第2回、2024年3月19日開催)と、進捗確認と計画変更を重ねてきた。手城川流域で内水を排除するための対策施設整備のように計画期間の変更が生じた事業は、その都度行程表に反映して公開されている。 (参考:福山市域における浸水対策に係る行程表の見直しを実施しました(令和3年2月)(広島県公式サイト)、福山市域における浸水対策のフォローアップを実施しました(令和6年4月)(広島県公式サイト))
行程表に基づき、国・県・市・土地改良区がそれぞれの管理区域でハード整備を進めてきた。2023年9月時点で、手城川排水機場のポンプ増設(東手城町、県事業)、入江ポンプ場のポンプ増設(松永町、市事業)、戸手ポンプ場のポンプ増設(新市町、市事業)、津之郷町での排水機新設(市事業)、柏迫池(沼隈町)・丙里池(神辺町)でのため池を活用した雨水貯留施設が完成している。手城川流域では2021年8月に松永中学校グラウンド下に約920㎥の雨水貯留施設が完成したほか、東部の福川流域では2024年6月に毎秒9㎥のポンプ能力を持つ福川排水機場(神島町、県事業)が完成した。同流域は平成28年6月豪雨・平成30年7月豪雨と2度にわたり甚大な被害を受けた住宅密集地であった。 (参考:国・県と連携した浸水対策を市内各地で進めています(福山市公式サイト)、福川排水機場が完成しました(広島県公式サイト))
一方、被害が最も集中した手城川流域では、明神町に雨水ポンプ場(蔵王ポンプ場)と全長約3.2kmの地下雨水幹線を新設する事業が進められている。当初は2025年度末の完成を予定していたが、岩盤工事などに時間を要し、雨水幹線については貯留機能のみを2025年6月16日から先行して暫定共用を開始した(貯留能力は25mプール約50杯分に相当する規模)。ポンプ場本体を含む全体の完成は、当初の想定より2年遅い2027年度末までずれ込む見通しとなり、事業費も当初計画より約41億6千万円膨らみ、総額でおよそ251億6千万円に上ることが明らかになっている。 (参考:福山市のポンプ場完成 2027年度に遅れ 手城川流域の浸水対策 事業費も41億円増(中国新聞デジタル)、福山市、手城川流域の雨水管を16日から暫定利用(中国新聞デジタル)、福山市、手城川の蔵王ポンプ場を公開 浸水被害対策(中国新聞デジタル))
このほか、2020年度(令和2年度)に始まった国の個別補助制度を活用し、新浜・一ツ樋・千田・新涯・森脇の各地区と中央ポンプ場を対象に大規模雨水処理施設の整備が進められており、地区ごとに2026年度から2030年度にかけて順次完成する計画である。 (参考:大規模雨水処理施設整備事業について(福山市公式サイト))
ハード整備と並行して、住民が自ら備えるためのソフト対策も進められている。福山市は止水板を住宅や店舗に設置する費用の一部を補助する制度を市内全域を対象に設けているほか、洪水・土砂災害ハザードマップの改訂、家庭ごとの避難行動計画である「マイ・タイムライン」の作成支援、河川の水位や映像をリアルタイムで確認できる防災情報システムの周知を行っている。 (参考:止水板設置補助金制度について(福山市公式サイト)、福山市水害(洪水・土砂災害)ハザードマップを作成しました(福山市公式サイト))
福山市域の河川・水路は、国が管理する一級河川区間、広島県が管理する区間、福山市が管理する公共下水道・排水施設、土地改良区が管理する農業用水路やため池と、管理主体が縦割りに分かれている。協議会はこの4者を一堂に集め、被害原因の分析から対策の優先順位付けまでを共同で行う場として機能しており、単独の自治体や河川管理者だけでは着手しづらい流域単位の対策を可能にしている。 (参考:福山市域における浸水対策について(福山市公式サイト))
協議会が策定した行程表は、完成予定の遅延や事業費の増加が生じた場合もそれを隠さずに毎年のフォローアップで更新・公表している。手城川流域のポンプ場事業で完成が2年遅れ、事業費が約41億円増加したことも行程表の見直しとして公開されており、計画通りに進んでいない事実を含めて説明責任を果たそうとする運用姿勢がうかがえる。 (参考:福山市域における浸水対策のフォローアップを実施しました(令和6年4月)(広島県公式サイト)、福山市のポンプ場完成 2027年度に遅れ 手城川流域の浸水対策 事業費も41億円増(中国新聞デジタル))
蔵王ポンプ場のように完成までに数年単位を要する大型ハード事業を抱える一方で、止水板補助金やハザードマップ、マイ・タイムラインといった短期間で導入できるソフト対策を同時に進めている。大規模インフラの完成を待つ間も住民が自ら被害を軽減できる手段を用意している点は、長期化しがちなインフラ整備と住民の防災行動を接続する工夫といえる。 (参考:止水板設置補助金制度について(福山市公式サイト))
2024年7月時点で、協議会の枠組みのもとポンプ場・排水機場13カ所の整備が完了し、雨水貯留施設13カ所で計約16万㎥の貯留能力が確保された。手城川流域では2021年8月に松永町の雨水貯留施設(約920㎥)が、福川流域では2024年6月に福川排水機場(ポンプ能力毎秒9㎥)が完成するなど、繰り返し被害を受けてきた地区で具体的な排水能力の強化が進んでいる。 (参考:広報ふくやま2024年7月特集「自然災害に強いまちづくり浸水対策」(福山市公式サイト)、福川排水機場が完成しました(広島県公式サイト))
最重点区域である手城川流域の蔵王ポンプ場・雨水幹線事業は、岩盤工事の難航などにより完成が当初予定より2年遅れ、事業費も約41億6千万円増加した。2025年6月には雨水幹線の貯留機能のみを暫定的に先行共用させる形で対応しており、大規模な地下インフラ整備が計画通りに進みにくいという現実も、この事例からは読み取れる。 (参考:福山市のポンプ場完成 2027年度に遅れ 手城川流域の浸水対策 事業費も41億円増(中国新聞デジタル))
2026年6月24日からの大雨では、市内の建物浸水は新市町の床上3カ所・床下13カ所にとどまり、人的被害や避難者もなく、土砂災害の発生もなかった。2018年時点の被害規模(浸水面積約2,000ha、床上浸水約1,300棟)と単純比較できるものではないが、被害の広がり方は大きく異なっている。一方で、行程表に基づく幹線整備が及んでいない福山駅周辺・三之丸町エリアでは、2024年8月4日のゲリラ豪雨で浸水被害が発生しており、抜本対策となる幹線(直径1.2m)の完成は2028年度が目標とされている。整備が完了した流域と、これから対策が及ぶ流域とでなお差があることも、調査時点で確認できる事実である。 (参考:令和8年6月24日からの大雨による災害対応状況及び被害状況について(第3報)(福山市公式サイト)、令和6年8月4日の福山市中心部の浸水被害について(貝原大和のHP))
一つの流域の中に国管理・県管理・市管理・土地改良区管理の施設が混在する状況は、福山市に限らず多くの地方都市に共通する構造である。被害発生を契機に、管理主体の異なる関係機関を一つの協議会に集め、原因分析から対策立案までを共同で行う枠組みは、特定の首長や部署の熱意に依存せず、他地域でも制度として再現しやすい手法である。
当面・中期・長期に対策を切り分けたロードマップを策定するだけでなく、遅延や事業費増加を含めて毎年フォローアップし公開し続ける運用は、完成までに数年から10年単位を要する防災インフラ整備において、住民や議会に対する説明責任を保ちながら進行管理する一つの型として参考になる。
大規模な排水施設やポンプ場は計画から完成までに長い年月を要し、その間にも豪雨は繰り返し発生しうる。止水板補助金やハザードマップ、マイ・タイムラインといった短期間で導入できる対策を並行させ、ハード整備が完了するまでの「時間差」を住民の自助行動でカバーする発想は、同様に大型インフラ整備を抱える他地域でも応用できる。
福山駅周辺・三之丸町エリアで2024年8月に発生した浸水は、行程表に基づく整備がまだ及んでいない区域にはリスクが残ることを示している。流域ごとに対策の優先順位をつける手法は限られた予算・人員のもとでは合理的である一方、優先順位が低い、あるいは行程表の対象外となっている区域のリスクをどう可視化し住民に周知するかは、他地域が同様の流域別ロードマップを運用する際にも意識すべき論点である。
2026年9月時点の調査内容に基づいて作成
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