
豊野地区防災ガイドブック改訂
令和元年東日本台風で甚大な浸水被害を受けた長野市豊野地区が、住民自治協議会主導で防災ガイドブック第2版を全戸配布し、避難遅れゼロを目指す取り組み
2019年10月の令和元年東日本台風で甚大な浸水被害を受けた長野市豊野地区では、住民自治協議会が主体となり、2023年に防災ガイドブックとマップの第2版を作成し全戸配布を実施した。2021年5月の避難情報制度改正への対応と、「逃げ遅れゼロ」の実現を目指した取り組みである。各地区での防災学習会の開催や、毎年10月13日の「伝えていく集い」による教訓継承活動を展開している。2024年8月には防災拠点「豊野防災交流センター」が開所し、ハード・ソフト両面での地域防災力強化が進んでいる。
2019年10月12日から13日にかけて、台風19号が日本列島を襲った。長野市穂保地区で千曲川の堤防が約70mにわたって決壊し、濁流が豊野地区を含む市東北部に流れ込んだ。穂保から津野、国道18号を越え、北部工業団地、新幹線車両センターを経由して浅川の堤防を越え、赤沼から豊野地区へと到達した。 (参考:令和元年東日本台風災害対応検証報告書)
豊野地区では公共施設が集中する中心部で最大260cmの浸水被害に見舞われ、豊野支所は床上浸水により1階の執務スペースが完全水没した。支所は行政・福祉・教育等の機能が麻痺する事態に陥った。長沼支所と合わせた被害額は2億2,200万円に上る。長沼・豊野地区を含む市東北部では、住家の全壊が1,034世帯、床上1m以上の大規模半壊も多数発生した。市内の浸水被害は約1,500ヘクタール以上に広がり、4,000棟を超える住家が被災、2名が犠牲となり、被害総額は約1,100億円に達した。 (参考:令和元年東日本台風 長野市災害記録誌)
この災害を通じて、以下の課題が浮き彫りになった。避難情報の理解不足による避難行動の遅れ、警戒レベルや避難情報に関する住民の認識の低さ、地域の浸水リスクや避難場所の周知不足、そして災害の記憶と教訓を継承する仕組みの必要性である。さらに2021年5月に災害対策基本法が改正され、「避難勧告」が廃止されて「避難指示」に一本化されるなど避難情報制度が大きく変更されたことから、住民への周知と理解促進が急務となった。 (参考:新たな避難情報について)
豊野地区住民自治協議会は、長野市の「ながのまちづくり活動支援事業」を活用し、「わが家の防災ガイドブック・マップ」第2版を作成した。2021年の制度改正に対応した新しい警戒レベル・避難情報の説明、豊野地区の浸水リスクを示す地図、各家庭で確認すべき災害種別と避難場所の記載、水害・土砂災害・地震対策の網羅、緊急連絡先の一覧化などを盛り込み、シール付きで各家庭に貼って確認できる仕様とした。完成したガイドブックは豊野地区の全世帯に配布された。 (参考:豊野地区住民自治協議会、ナガクル)
ガイドブック配布と並行して、各地区で防災学習会を実施した。住民が実際にガイドブックを手に取りながら、警戒レベルの意味と取るべき行動、地域の浸水想定区域と避難場所の確認、避難のタイミングと経路の検討、非常持出品の準備、災害時の情報収集方法について学習する場を設けた。配布だけで終わらせず、理解を深める機会を設けることで実効性を高めている。
毎年10月13日(千曲川堤防決壊の日)には、被災の記憶と教訓を継承するための集いを開催している。住民が被災体験を語り合い、「逃げ遅れゼロ」への決意を新たにする場となっている。「ありがとうをあなたに」をテーマに、復興を支援した人々への感謝と、教訓を次世代へ伝えていく活動を継続している。 (参考:ナガクル)
ガイドブック改訂事業と並行して進められていた防災拠点が、2024年8月3日に完成した。開所式には地元住民ら約110人が参加。愛称「ゆたかのてらす」には、地域に希望の光をもたらしたいという願いが込められている。 (参考:信濃毎日新聞デジタル)
施設は2019年の台風で浸水被害を受けた市営住宅沖団地跡に整備された。約8,000平方メートルの敷地に、延床面積約973平方メートルの木造平屋建ての建物と広場、駐車場を配置。地元要望を受けて2020年に市が整備を決定し、2023年3月着工、2024年5月完成という経緯をたどった。 (参考:株式会社第一設計、信濃毎日新聞デジタル)
一般的な防災マニュアルではなく、2019年の実際の被災経験から得られた教訓を反映している。どこがどの程度浸水したのか、どのタイミングで避難すべきだったのかといった具体的な知見が盛り込まれており、地域の実情に即した内容となっている。
2021年5月の避難情報制度改正を受け、速やかにガイドブック改訂に着手した。「避難勧告」と「避難指示」の違いがわかりにくいという従来の課題に対応し、新制度に基づく正確な情報を住民に提供することで混乱を防いでいる。
ガイドブックを配布するだけでなく、地区別学習会を組み合わせることで住民の理解度を高めている。紙媒体の配布だけでは活用されにくいという課題を認識し、住民が実際に手を動かして確認する場を設けた。
「10.13を伝えていく集い」を毎年開催することで、災害の記憶を風化させない仕組みを構築している。単発のイベントではなく、持続可能な継承活動として位置づけている。
豊野防災交流センターは「フェーズフリー」の設計思想を採用。平常時は交流ラウンジ、図書コーナー、料理スタジオ、学習室として地域交流の場となり、災害時は多目的ホールや防災備蓄倉庫を活用した活動拠点として機能する。浸水対策として、地盤を約1.2m盛土し、さらに高さ約0.8mの鉄筋コンクリート製腰壁を設置することで、道路面より約2m高い床レベルを確保している。脱着式止水板、マンホールトイレ、救助用ボート6艇、太陽光発電システム、地下雨水貯留槽なども完備。ただし浸水想定区域内のため水害時の避難所としては使用せず、大規模地震や土砂災害時の地域避難所として活用する。 (参考:株式会社第一設計、長野市ナビ)
防災ガイドブック・マップは豊野地区全世帯への配布を完了した。各地区での防災学習会を通じて警戒レベルや避難情報の理解が地域全体で深まり、「逃げ遅れゼロ」という目標が共有されている。「10.13を伝えていく集い」は毎年継続して開催され、世代を超えた教訓継承の仕組みが確立されつつある。
豊野防災交流センター開所式には約110人が参加し、地域の関心の高さを示した。2024年10月には長野県NPOセンターが「水害を乗り越え 長野市豊野・長沼でつくったつながり」と題した講座を開催。豊野防災交流センターを会場に、とよの復向チーム集楽元快の清水厚子代表らが事例発表を行い、復興プロセスと地域のつながりづくりが県内外に発信された。 (参考:長野県NPOセンター)
豊野地区は甚大な被害を「地域防災力強化」という資産に変えることに取り組んでいる。被災の記憶を風化させず、具体的な教訓として形にすることで、次の災害への備えとして活用している。
行政主導ではなく、住民自治協議会が主体となって防災活動を推進している点が特徴的である。住民に最も近い組織が主導することで、地域の実情に即した取り組みが可能となる。
国の制度改正は専門的で住民にとって理解しにくい場合がある。住民自治協議会が行政情報を地域の文脈に即して「翻訳」し、わかりやすく伝える中間組織として機能している。
防災交流センターという施設整備と、ガイドブック改訂・学習会というソフト施策を両輪で進めることで相乗効果を生んでいる。どちらか一方ではなく、両者を組み合わせることで地域防災力を多層的に強化している。
2026年3月時点の調査内容に基づいて作成
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