
ふくやま国際交流協会(FAGE)による多文化共生・日本語学習支援
この記事は、my grooveを運営する株式会社Groove DesignsがAIを活用し独自に調査・作成したものです。
広島県福山市で1990年から続く国際交流団体FAGE。事務局を市役所内に置き、日本語サロンや子ども向け日本語チャレンジ教室、防災訓練を組み込んだ多文化共生大学などを、大学や専門支援団体と役割分担しながら運営する体制を紹介する。
ふくやま国際交流協会(Fukuyama Association for Global Exchange、略称FAGE)は、1990年8月に設立された広島県福山市の国際交流団体である。事務局は福山市役所内の多様性社会推進課に置かれており、行政と一体的に運営されている点が特徴である。(参考:概要 - ふくやま国際交流協会、所在地・アクセス - ふくやま国際交流協会)
主な活動は、外国人市民向けの日本語学習支援(日本語サロン、ワンペアレッスン)、外国にルーツを持つ子どもへの学習支援(日本語チャレンジ教室)、日本文化体験交流(茶道・書道・浴衣着付け等)、そして市と共催する「福山多文化共生大学」や地域フェスティバルの運営である。会員は個人・団体合わせて約200程度(2026年4月時点で191人・26団体)で構成され、ボランティアが日本語支援や通訳、イベント運営の中心的な担い手となっている。(参考:ふくやま国際交流協会 - 福山市まちづくりサポートセンター「まちサポ」)
福山市では外国人住民が過去10年で急増しており、FAGEは福山市立大学や専門の日本語教育支援団体「びんご日本語多言語サポートセンター(びるど)」などと役割を分担しながら、増加する外国人市民の生活基盤づくりを支える地域ネットワークの一角を担っている。(参考:多文化共生社会をめざして ~誰もが大切にされる社会~ - 福山市ホームページ)
福山市の外国人住民は2024年3月時点で62カ国・約1万1000人に達し、10年前と比較して約1.7倍に増加した。国籍別の内訳を見ると、ベトナム出身者が突出して多く、次いで中国、フィリピン、インドネシアの順となっており、留学生と特定の産業分野で働く労働者が多いことが特徴とされている。FAGE自身の会報でも、2025年1月時点で「福山市の外国人人口は1万2千人に近づいており、今後もさらに増加が予想される」と述べられており、増加傾向は継続している。(参考:多文化共生社会をめざして ~誰もが大切にされる社会~ - 福山市ホームページ、ふくやま国際交流協会だより第128号)
こうした人口動態の変化を前に、市は情報や支援が行き届かない層への対応を課題として位置づけてきた。象徴的な契機となったのが2018年の西日本豪雨災害である。当時、外国人市民に災害情報が十分に行き届かなかった経験から、市は災害時の多言語支援の必要性を認識し、災害発生時に避難所で外国人市民とのコミュニケーションを助ける「防災多言語サポーター」を育成する取り組みを始めた。同様に、保健師による子育て世帯への訪問指導に同行し、外国籍の保護者とのやり取りを助ける「子育て支援通訳ボランティア」を育成する講座も開設されている。(参考:多文化共生社会をめざして ~誰もが大切にされる社会~ - 福山市ホームページ)
日本語教育の面でも課題は残っていた。全国的に「生活者としての外国人」向けの日本語教室が存在しない、あるいは不十分な「空白地域」の解消が国の政策課題となっているなかで、福山市も2025年度から、子ども向けの新規教室設置に加え、勤務先や通学先を通じた日本語学習の機会がない外国人労働者などへの支援拡大に乗り出している。これは、FAGEが長年ワンペアレッスンや日本語サロンを継続してきてもなお、対象者の広がりに対して支援体制の拡充が必要とされてきたことを示している。福山市は2025年度から2029年度を計画期間とする「福山市多文化共生推進プラン」を策定し、備後圏域(尾道市・三原市・府中市など7市2町)と基本理念・施策の方向性を共有する形で、多文化共生施策を単独自治体の枠を超えて計画的に進める体制へと移行した。(参考:福山市が外国人の日本語学習を支援 子ども向け教室や機会充実 | 中国新聞デジタル、福山市多文化共生推進プランを策定しました - 福山市ホームページ)
日本語学習支援を3つの形態で展開
FAGEの日本語学習支援は、対象や到達度に応じて3つの形態に分かれている。「日本語サロン」は毎週金曜の午後(15時30分〜17時)、まなびの館ローズコム4階国際サロンを会場に開かれ、初学者から上級者まで幅広い習熟度の外国人市民が集う。教材を用いた学習だけでなく、遊びの要素を取り入れた会話の場や日本文化に触れる機会も組み込まれている。「ワンペアレッスン」は、福山市および近隣エリア在住の外国人市民をボランティアが個別に担当し、マンツーマン形式で基礎的な日本語を教える取り組みであり、個々の生活状況や学習ペースに合わせた支援を可能にしている。さらに、ボランティア同士が日本語支援の課題や教え方について意見交換する「ワンペアレッスンフォローサロン」を不定期に開き、支援の質を維持する仕組みも設けられている。(参考:日本語学習支援 - 福山市ホームページ、ふくやま国際交流協会だより第128号)
子どもの学習を支える「日本語チャレンジ教室」
外国にルーツを持つ小学生を対象にした「日本語チャレンジ教室」は、夏休み・冬休みの長期休暇中に宿題のサポートを行う事業である。2025年夏には7月24日から8月18日にかけて、西部市民センターとまなびの館ローズコムの2会場で計8日間開催され、子ども延べ61人に対し、協会会員や高校生を含むボランティアが延べ75人体制でサポートに入った。運営には、後述する専門支援団体「びるど」の代表を務める人物がコーディネーターとして携わっており、使わなくなった小学校教科書や地図帳を地域から募って教材として活用するなど、限られた予算のなかで工夫した運営が行われている。(参考:ふくやま国際交流協会だより第131号)
防災訓練を核とした「福山多文化共生大学」
市と共催する「福山多文化共生大学」は、講座やワークショップを通じて多文化共生への理解を広げる事業だが、近年は防災をテーマにした実践的なプログラムに力点が置かれている。2024年度の第2回は「外国人市民のための総合防災訓練」として11月24日に西深津小学校で開催され、福山市内全域で同時実施される既存の総合防災訓練の枠組みに、外国人市民と支援ボランティアが加わり、地域住民と肩を並べて訓練を体験する形が取られた。避難、受付、消火訓練、土のう作り、発電機の操作体験、VR体験、間仕切りテント設置といった一連の訓練メニューに、留学生や防災多言語サポーターを務める協会会員が加わり、参加した地域住民からは「一緒に訓練ができて、活気付いた」という感想が寄せられている。新規の防災事業を立ち上げるのではなく、市が毎年実施している既存の総合防災訓練に外国人市民の参加枠を組み込む形をとっている点が特徴である。(参考:ふくやま国際交流協会だより第128号)
日本文化体験と地域フェスティバルによる双方向交流
FAGEは茶道体験、書道体験、浴衣着付け体験といった日本文化体験プログラムを、外国人市民と協会会員がペアで参加する形式で定期的に開催している。2024年度の茶道体験では参加者12人のうち10人が、書道体験では18人のうち16人が外国人市民であり、日本人参加者が少人数で外国人参加者を丁寧にサポートする構成になっている。また、福山東ロータリークラブと共催する「ふくやま多文化交流フェス」では、英語絵本サロンや中国語・韓国語の会話サロンのメンバーがステージ発表やワークショップを行うほか、防災多言語サポーターによる防災啓発ブースを併設するなど、文化交流と防災啓発を組み合わせたイベント運営を行っている。(参考:ふくやま国際交流協会だより第128号、ふくやま国際交流協会だより第131号)
大学・専門支援団体との役割分担によるネットワーク運営
FAGEは単独で全ての支援を担うのではなく、地域の他団体と役割を分担する形で活動している。福山市立大学は2018年度から毎年「びんご多文化共生連続ワークショップ」を開催しており、専門的な日本語教育支援を行う「びんご日本語多言語サポートセンター(びるど)」の代表者が運営に携わるなど、大学・NPO・国際交流協会の間で人材や知見が循環する関係が築かれている。FAGE会報でも、日本語サロンで通訳ボランティアを務める会員が同時に「びるど」のやさしい日本語講座を支援している事例が紹介されており、ボランティア個人が複数団体を横断して活動することで、支援ネットワーク全体の連携が保たれている。2025年12月には、外国人市民が「福山はどんなまち?」というテーマで地域づくりについて意見を交わす「びんご多文化フォーラム2025」が福山市立大学で開催される予定であり、対話とレクリエーションを組み合わせた場づくりが計画されている。(参考:びんご日本語多言語サポートセンター「びるど」の宮野代表が佐藤理事長・学長を表敬訪問しました|福山市立大学、ふくやま国際交流協会だより第131号、こんな活動をしています|びるど)
独立法人ではなく行政内事務局型の運営体制
FAGEの最大の特徴は、専用の事務所や独自の法人格を持つ形態ではなく、事務局を福山市役所内の多様性社会推進課に置き、市の職員体制と一体化した形で運営されている点である。会報の発行や問い合わせ対応もすべて市役所の窓口を通じて行われており、担当者の異動があっても組織としての継続性が保たれやすい構造になっている。多くの国際交流協会が独立した公益法人やNPOとして運営される中で、行政組織に内包された運営形態を長期にわたり維持している点は、他地域の類似団体と比較した際の際立った特徴といえる。(参考:所在地・アクセス - ふくやま国際交流協会)
既存の行政事業に多文化共生の視点を組み込む「アドオン型」の展開
福山多文化共生大学の防災訓練が象徴するように、FAGEの取り組みの多くは、市がもともと実施している総合防災訓練などの既存事業に、外国人市民の参加枠や多言語対応を追加する形で展開されている。ゼロから新しい大規模事業を立ち上げるのではなく、既にある行政の枠組みに多文化共生の視点を組み込むことで、限られた予算や人員でも継続的に取り組みを積み重ねてきた。(参考:ふくやま国際交流協会だより第128号)
ボランティアの継続的な人材循環
日本語チャレンジ教室のコーディネーターが同時に専門支援団体「びるど」の代表を務め、日本語サロンの通訳ボランティアが「びるど」のやさしい日本語講座も支援するなど、少数の担い手が複数の団体・事業を横断して活動する構造が会報から確認できる。属人的な依存という側面はあるものの、地域の外国人支援に関わる人材が組織の垣根を越えて情報や経験を共有し合う土壌が、35年におよぶ活動の継続性を支える一因になっていると考えられる。(参考:ふくやま国際交流協会だより第128号、ふくやま国際交流協会だより第131号)
継続実施の実績
FAGEは1990年の設立以来、35年以上にわたり日本語学習支援と多文化交流事業を継続している。日本語サロンやワンペアレッスンは定例事業として定着し、地域における外国人支援の基盤となっている。会員数は2026年4月時点で個人191人・団体26団体であり、地元企業や商工団体を含む幅広い団体会員に支えられている。(参考:ふくやま国際交流協会だより第128号、ふくやま国際交流協会 - 福山市まちづくりサポートセンター「まちサポ」)
日本語チャレンジ教室の参加実績
2025年夏の日本語チャレンジ教室では、延べ61人の子どもと延べ75人のボランティアが参加した。保護者からは「こども達にとって、大きな手助けになっています」「日本語能力がアップしました」という声が、ボランティアからは「外国にルーツをもつ子と交流できることは貴重だと感じた」という感想が寄せられており、子どもの学習支援とボランティア側の異文化理解の両面で成果が確認されている。(参考:ふくやま国際交流協会だより第131号)
防災訓練への参加を通じた地域住民との関係構築
福山多文化共生大学第2回の総合防災訓練では、留学生や外国人市民が地域の防災訓練に実地で参加し、受け入れ側の地域住民からも「一緒に訓練ができて、活気付いた」「これからも他の機会で交流できたらいいね」という肯定的な反応が得られている。単発のイベントではなく、市の総合防災訓練という毎年実施される枠組みに組み込まれていることから、今後も継続的な関係構築の機会として活用される見込みである。(参考:ふくやま国際交流協会だより第128号)
行政計画への発展
FAGEをはじめとする地域の草の根の取り組みの蓄積を背景に、福山市は2025年度から2029年度の5年間を計画期間とする「福山市多文化共生推進プラン」を策定し、備後圏域7市2町と共通の理念・施策体系を持つ広域的な計画へと発展させた。2025年度からは、子ども向け日本語教室を新たに設けるとともに、勤務先や通学先経由での学習機会を持たない外国人労働者などへの支援強化にも取り組んでおり、FAGEが長年担ってきた日本語学習支援の対象範囲を、行政計画レベルで補完・拡張する動きが始まっている。(参考:福山市多文化共生推進プランを策定しました - 福山市ホームページ、福山市が外国人の日本語学習を支援 子ども向け教室や機会充実 | 中国新聞デジタル)
事務局の行政内設置は、担い手不足に悩む地域での持続可能性確保の選択肢になり得る
国際交流協会やまちづくり団体の多くが、専任職員の確保や事務局運営の担い手不足に悩む中、FAGEのように事務局機能を行政組織内に置き、既存の職員体制の中で運営を継続するモデルは、外部資金や専任人材の確保が難しい中小規模の自治体にとって、組織の持続可能性を高める一つの選択肢となり得る。ただし、その分、施策の独自性や機動力は行政の意思決定サイクルに影響を受けやすくなる面もあり、独立性を重視する地域では単純な模倣ではなく、役割分担の設計が必要である。
既存の行政事業に対象者を追加する「アドオン型」は低コストで再現しやすい
福山多文化共生大学の防災訓練のように、新規事業を立ち上げるのではなく、市がすでに毎年実施している既存事業に外国人市民の参加枠や多言語サポートを組み込む手法は、追加予算を最小限に抑えながら多文化共生の実践機会を作り出せる点で、他の自治体でも再現性が高いアプローチである。防災、子育て、生涯学習など、多くの自治体がすでに持っている既存事業の棚卸しを行い、多言語・多文化対応の視点を後付けで組み込める余地がないかを検討することは、新たな事業を一から企画するよりも着手のハードルが低い。
生活支援・専門日本語教育・地域交流を複数団体で分担するネットワーク型モデル
福山市の事例では、FAGEが日本語サロンや異文化交流イベントといった間口の広い活動を担う一方、専門的な日本語教育やJLPT対策、子どもの学習支援教室は「びんご日本語多言語サポートセンター(びるど)」が担い、大学は研究・研修の場を提供するというように、機能ごとに異なる主体が役割を分担している。一つの団体があらゆる支援を抱え込むのではなく、地域内の複数団体がそれぞれの専門性を活かして機能分担し、ボランティアなどの人材が団体を横断して関わることで、限られた地域資源の中でも支援の幅と深さを両立させている点は、外国人住民が急増している他地域においても参考になる設計思想である。(参考:こんな活動をしています|びるど)
2026年9月時点の調査内容に基づいて作成
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