
福山防災リーダー制度・福山防災大学(防災士養成講座)
この記事は、my grooveを運営する株式会社Groove DesignsがAIを活用し独自に調査・作成したものです。
福山市は2013年度に防災士養成講座「福山防災大学」を開講し、修了者を「福山防災リーダー」として登録・組織化。6ブロック体制の連絡協議会が継続研修と地域派遣を運営し、資格取得後も活動が続く仕組みを構築している。
福山市は2013年度から「福山防災大学~防災士養成講座~」を開講し、修了者や日本防災士機構認定の防災士資格保有者を「福山防災リーダー」として登録する制度を2014年度に整備した。地域の自主防災組織が専門的な知識を持つ人材から助言・協力を得られるようにすることが狙いである。 (参考:福山防災リーダー連絡協議会を設立しました)
2017年7月には登録者自身による「福山防災リーダー連絡協議会」が設立され、市内を中央・東部・西部・南部・北部・神辺の6ブロックに分けたブロック協議会と女性部会という組織体制が整えられた。資格を取って終わりにせず、ブロックごとの総会・研修会、地域からの依頼に応じた講師派遣、活動報告の提出までを一連の仕組みとして運用している点が特徴である。2025年度も定員80名程度で講座を開講しており、13年目に入っても継続している取り組みである。 (参考:2025年度(令和7年度)「福山防災大学~防災士養成講座~」を開講します、2025年度福山防災リーダー連絡協議会総会議案書)
広島県は2025年10月、令和6年能登半島地震で得られた知見を踏まえて南海トラフ地震の被害想定を改定し、福山市では最大震度6強、建物の全半壊約9万6千棟、死傷者約7千人という想定が示されている。福山市は1995年阪神・淡路大震災(震度4)、2000年鳥取県西部地震(震度5弱)、2001年芸予地震(震度5弱)を経験しているが、想定される揺れはこれらを上回る。干拓地や埋立地には軟弱地盤も存在し、液状化の懸念も指摘されている。 (参考:地震に備えて)
こうした被害想定に対し、行政職員だけで市内全域の自主防災組織を支援することには限界がある。防災士は2003年から全国で認証が始まった民間資格で、東日本大震災以降に取得者が増加してきたが、資格を取得しただけでは地域での実動に結びつくとは限らない。福山市はこの課題に対し、資格取得を支援する「養成」の段階と、取得者を地域に接続する「登録・組織化」の段階を分けて設計し、両方を行政が一貫して運営する方式をとった。
1. 防災士養成講座の開講(2013年度~)
「福山防災大学~防災士養成講座~」は、市内在住で防災士資格を未取得の住民を対象とした講座である。2025年度は12月14日、翌年1月18日、2月8日の3日間、まなびの館ローズコムで開催され、定員は80名程度。受講料は無料で、防災士教本代(4,000円)も市が負担する。ただし、日本防災士機構が実施する資格取得試験の受験料(3,000円)と認証登録料(5,000円)は受講者の自己負担となる。修了後は、レポート提出と資格取得試験合格を経て防災士として認証される。 (参考:2025年度(令和7年度)「福山防災大学~防災士養成講座~」を開講します)
2. 福山防災リーダーとしての登録(2014年度~)
講座修了者は原則として「福山防災リーダー」に登録される。既に防災士資格を保有している住民も、登録届出書を危機管理防災課に提出することで登録・更新が可能である。 (参考:防災リーダー登録申請について)
3. 連絡協議会の設立と6ブロック体制の整備(2017年7月)
2017年7月23日、登録者同士が知見を共有し連携を深める場として「福山防災リーダー連絡協議会」の設立総会が開催された。設立から間もない2017年11月時点で登録者は177名に上った。市内を中央・東部・西部・南部・北部・神辺の6ブロックに分け、各ブロックに会長・副会長・幹事を置く体制とし、加えて女性の参画を意識した女性部会も設けられた。協議会の会長・副会長・幹事は各ブロック会長の中から選任され、任期は2年である。 (参考:福山防災リーダー連絡協議会を設立しました、2025年度福山防災リーダー連絡協議会規約)
4. 年間を通じた研修サイクルの運営
各ブロックは年1回以上の総会・研修会を開催し、市危機管理防災課の職員による講義(南海トラフ地震への備え、水害への備え、令和6年能登半島地震への派遣報告など)や、外部講師によるVR・AR防災体験研修(アウトドア防災ガイド あんどうりす氏)を実施している。女性部会は新聞紙スリッパ作りやパッククッキング、普通救命講習など、生活に密着した独自プログラムを運営する。西部ブロックは地元の遺芳丘小学校で防災教室を開くなど、次世代への啓発にも取り組んでいる。 (参考:2025年度福山防災リーダー連絡協議会総会議案書、2024年度福山防災リーダー連絡協議会総会議案書)
5. 地域への紹介・派遣とフィードバック
学区や自主防災組織が研修会・防災訓練の講師を必要とする場合は、「福山防災リーダー紹介依頼書」を危機管理防災課へ提出する仕組みがあり、これをもとに市が登録者一覧から適任者を選んで紹介する。派遣後、リーダーは「防災リーダー活動報告書」を市に提出する仕組みになっており、依頼から実施、報告までが一つのサイクルとして運用されている。 (参考:防災リーダー紹介依頼書について)
6. 規約の継続的な見直し
2025年7月の総会では、女性部会を正式に規約上へ位置付ける改正と、実態に合わなくなった「地域役員部会規約」の廃止が議決された。2017年の制定以降、2025年までに5回改定されており、組織の実情に合わせて運用を調整し続けている。 (参考:2025年度福山防災リーダー連絡協議会総会議案書)
資格制度と地域実装を分離しつつ接続する二層構造
防災士は全国共通の民間資格であり、取得後の活動の場は資格制度そのものには組み込まれていない。福山市は、この資格取得を支援する「養成」の役割と、取得者を地域の需要につなぐ「登録・組織化・派遣」の役割を分けて設計し、両方を危機管理防災課が一貫して運営することで、資格が地域資源として機能し続ける仕組みを作っている。
学区と市全域の中間に位置するブロック協議会
6ブロック体制は、個々の学区単位の自主防災組織と市全体の間に位置する中間組織として機能している。ブロック単位で総会や研修会を開くことで、近隣の学区同士が情報交換しやすい規模を保ちながら、行政が全ての運営に直接関与しなくても組織が自走できる構造になっている。
リーダー自身が講師を務めるピア型の研修
研修会の講師は市職員だけでなく、登録者自身が務める場合もある。2024年度・2025年度の総会議案書には、女性部会の会員が講座資料の作り方やパッククッキングを教える研修会や、曙学区自主防災協議会の会長が自学区の訓練実施報告を他ブロックに共有する研修会が記録されている。行政からの一方向的な知識提供ではなく、登録者間で経験が循環する場が組み込まれている。 (参考:2025年度福山防災リーダー連絡協議会総会議案書)
需要起点の派遣モデル
紹介制度は、地域側からの依頼を起点として人材を紹介する仕組みであり、市が一方的にリーダーを割り当てるものではない。限られた登録者数を、実際に研修や訓練を必要としているタイミングの地域に振り向けられる設計になっている。
福山市における防災士の累計認証登録者数は、日本防災士機構の集計で1,240人(2026年8月末現在)に上る。同じ広島県内の中核市である呉市(295人)と比較すると、福山市の防災士数はかなり多い水準にある。ただし、これは防災士資格保有者全体の数であり、市への登録手続きを経た「福山防災リーダー」の人数と同一ではない点には留意が必要である。 (参考:防災士認証登録者数(都市別))
福山防災リーダー連絡協議会は2017年11月時点で177名の登録者を集めており、以降も6ブロック体制のもとで組織的な活動を継続している。2024年度の総会議案書には、女性部会総会、6ブロックそれぞれの総会・研修会、福山ばら祭りや「ゆめフェスタ」での啓発活動、市総合防災訓練への協力など、年間を通じて20件を超える活動が記録されており、単発の講座開催ではなく通年で組織が稼働していることが確認できる。 (参考:福山防災リーダー連絡協議会を設立しました、2025年度福山防災リーダー連絡協議会総会議案書)
養成講座自体も2013年度の開始から2025年度まで13年連続で開講されており、2025年度は定員80名程度に対して申し込みが締め切られるなど、一定の応募が継続的に確保されている。 (参考:2025年度(令和7年度)「福山防災大学~防災士養成講座~」を開講します)
民間資格を地域実装に接続する行政の役割
防災士に限らず、地域活動に関連する民間資格の多くは、取得後の活動の場までは制度化されていない。福山市の事例は、自治体が「養成講座の提供」「登録・組織化」「需要に応じた紹介」までを一貫して担うことで、資格を地域の実働資源に転換できることを示している。既存の民間資格制度を持つ他の政策分野(防犯、環境、福祉など)でも応用可能な発想である。
中間組織による自走化の設計
学区単位の自主防災組織と市全体の間にブロック協議会という中間層を置くことで、行政が全ての活動を直接運営しなくても、登録者同士の情報交換や研修が回る構造を作っている。人口規模が大きく学区数の多い自治体ほど、こうした中間組織の効果は大きいと考えられる。
依頼ベースの人材配分
地域からの依頼を起点に人材を紹介する仕組みは、限られた登録者を実際に必要とされる場に届けやすく、行政が一律に活動を割り当てるより効率的な配分を可能にする。登録者数が少ない自治体でも導入しやすい設計である。
制度は運用しながら見直す前提で設計する
規約が設立から2025年までに6回改定され、女性部会の正式化や実態に合わない部会の廃止が行われている点は、制度を一度作って終わりにせず、活動実態に応じて継続的に手直しする運用姿勢を示している。他地域で同様の仕組みを立ち上げる際も、初期設計を完成形と考えず、数年単位で組織構造を見直す前提を持つことが参考になる。
留意点
一方で、研修会の講師を特定の登録者が長年にわたって務めている記録も見られ、活動の中心を担う人材への依存が生じている可能性がある。役員任期を2年と定めて属人化を抑える工夫はあるものの、講師役や地域リーダーの後継者育成は、制度が長期化するほど課題になり得る点には注意が必要である。 (参考:2025年度福山防災リーダー連絡協議会総会議案書、2024年度福山防災リーダー連絡協議会総会議案書)
2026年9月時点の調査内容に基づいて作成
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