
札幌市脱炭素先行地域事業推進
札幌市が産学官連携で進める脱炭素先行地域事業。都心民間施設群のZEB化、北海道初の大規模商用水素ステーション整備、北海道大学との連携など、積雪寒冷地のモデル構築を目指す取り組み
札幌市は2022年11月、北海道ガス、北海道熱供給公社、北海道電力、北海道大学、ノーステック財団の5者との共同提案により、環境省の「脱炭素先行地域」第2回公募に選定された。「ゼロカーボン都市『環境首都・SAPP‿RO』を目指して」をテーマに、2030年までに対象地域の民生部門(家庭・業務)における電力消費由来のCO2排出実質ゼロを目標として掲げる。 (参考:札幌市公式サイト、環境省報道発表)
対象となるのは、札幌都心民間施設群(30施設)、水素モデル街区(2施設)、北大北キャンパス(1施設)、公共施設群(1,394施設)の4エリアである。当初計画に含まれていたオリンピック・パラリンピック関連施設については、2030年冬季大会の招致断念を受けて分類変更や除外がなされた。 (参考:環境省 令和5年度進捗状況報告票)
札幌市は2008年に「環境首都・札幌」を宣言し、2020年2月には「ゼロカーボンシティ」を目指すことを表明した。2030年までに市内の温室効果ガス排出量を2016年比で55%削減する目標を設定している。 (参考:環境省 再エネスタート インタビュー)
一方で、北海道の積雪寒冷気候という地理的特性が、脱炭素化を進めるうえでの固有の課題となっている。冬期の暖房需要が大きく、太陽光発電の効率も積雪の影響を受けやすい。また、2018年9月の北海道胆振東部地震では全道規模のブラックアウト(大停電)が発生し、エネルギー供給のレジリエンス(強靭性)確保の重要性が改めて認識された。 (参考:札幌市水素ステーション整備公募プロポーザル)
都心部では2020年から2030年にかけて建物の建替えがピークを迎えており、この機会を逃さず省エネ・再エネ技術を導入することが求められている。また、人口減少や都市基盤の老朽化という中長期的な課題への対応も必要となっている。 (参考:都心におけるエネルギーの取組)
2022年5月、札幌市は「札幌都心E!まち開発推進制度」の運用を開始した。対象区域は立地適正化計画で「都市機能誘導区域(都心)」として位置付けられた約480haである。延べ面積5,000平方メートルを超える建物の建替え・増築に際し、事業者に対して事前協議と運用実績報告を義務付けている。 (参考:札幌都心E!まち開発推進制度)
協議では建物の省エネ化(ZEB化)、太陽光発電などの再生可能エネルギー設備の導入、再エネ由来電力の調達を誘導する。一定の基準を満たした建物は「ゼロカーボン推進ビル」として認定を受けることができ、企業がこうしたビルに入居する場合は賃料補助などのインセンティブが適用される。2023年には「IKEUCHI GATE」が札幌市初のゼロカーボン推進ビル認定を取得した。 (参考:池内グループ プレスリリース)
札幌市は2018年に「札幌市水素利活用方針」を策定し、水素社会の実現に向けた取り組みを本格化させた。2023年6月には、北海道の再生可能エネルギーのポテンシャルを活用して世界中からGX(グリーントランスフォーメーション)投資を呼び込むため、「Team Sapporo-Hokkaido」を設立した。
水素モデル街区は、旧中央体育館跡地である大通東5丁目・6丁目の市有地に整備が進められている。第1弾として、2023年2月の公募プロポーザルでエア・ウォーター株式会社が最優秀提案者に選定され、北海道初となる大規模商用水素ステーション「エア・ウォーター水素ステーション札幌大通東」が2025年4月1日にオープンした。水素供給能力は500立方メートル毎時以上、供給圧力は82MPa(820気圧)であり、乗用車型の燃料電池車に加え、路線バスや物流トラックといった大型の商用車両への水素充填にも対応できる。 (参考:エア・ウォーター プレスリリース)
第2弾として、隣接する水素ステーションから供給されるエネルギーを活用した複合施設の建設が計画されている。2024年11月から公募が開始され、2025年3月末に土屋ホーム不動産の提案「(仮称)LAPEACE SOSEI(ラピス創成)」が選定された。水素と木造建築を組み合わせた環境配慮型施設として、2027年度末の整備完了、2028年度の開業を予定している。 (参考:土屋ホーム不動産 ニュースリリース)
都心部では、北海道ガスと北海道熱供給公社が運営するエネルギーネットワークの脱炭素化が進められている。コージェネレーションシステム(CGS)を活用したエネルギー供給において、燃料をカーボンニュートラル天然ガス(CNガス)に切り替えることで、電力・熱両面でのCO2排出削減を図る。
2024年7月1日、さっぽろ創世スクエア(札幌市中央区北1条西1丁目)において、使用する電力・熱のCO2排出量が実質ゼロとなった。同施設の地下4階にある創世エネルギーセンターには天然ガスコージェネレーションシステム(700kW×2台)とボイラーが設置されており、CNガスへの切り替えと非化石証書を活用した電力調達により、年間約9,200トンのCO2削減を実現している。カーボン・オフセットした熱供給は北海道初の取り組みである。 (参考:北海道ガス プレスリリース)
北海道大学北キャンパスは脱炭素先行地域の対象エリアの一つとして位置付けられている。同大学では施設整備において省エネ化を積極的に進めており、2023年に竣工した北キャンパス総合研究棟8号館(ICReDD棟)ではZEB Ready相当の認証(BELS評価)を取得した。また、北海道産学官協働センター「コラボほっかいどう」でもZEB Ready認証を取得し、建物の基準一次エネルギー消費量を54%削減することが可能となった。 (参考:ノーステック財団 プレスリリース)
2023年には北海道大学、北海道電力、ノーステック財団の3者が「北海道大学キャンパスにおけるゼロカーボン実証実験事業に関する連携協定」を締結した。「北大イノベーション・コモンズ」構想のもと、電力の脱炭素化と非常時のエネルギー供給安定性を両立させる「エネルギーレイク」の構築に取り組んでいる。 (参考:北海道電力 ニュースリリース)
公共施設群については、市有施設および未利用地への太陽光発電設備導入が計画されている。合計316施設で32,206kWの導入を目指しており、内訳は新設施設16件(626kW)、既存施設293件(7,086kW)、未利用地7件(24,494kW)となっている。
札幌市の脱炭素先行地域事業は、以下の点で他の地域と異なる独自性を持つ。
産学官6者による共同提案体制:札幌市に加え、エネルギー供給事業者(北海道ガス、北海道熱供給公社、北海道電力)、大学(北海道大学)、研究開発支援機関(ノーステック財団)が共同提案者として参画している。それぞれが専門性を活かした役割を担うことで、エネルギー供給から研究開発まで一貫した取り組みが可能となっている。
積雪寒冷地における先進モデルの構築:北海道特有の気候条件のもとで、省エネ・再エネ技術の実証を行うことで、同様の課題を抱える寒冷地域への展開可能性を追求している。特に、冬期の暖房需要に対応するための熱供給システムの脱炭素化は、他の寒冷地域にとっても参考となりうる。
水素社会への先行的対応:北海道は洋上風力などの再生可能エネルギーのポテンシャルが高く、余剰電力を活用した水素製造の可能性がある。札幌市は消費地として、水素の需給一体型サプライチェーンの構築を目指している。大型商用車両にも対応する水素ステーションの整備は、物流分野の脱炭素化への貢献も期待される。
災害レジリエンスとの両立:2018年の北海道胆振東部地震の経験を踏まえ、脱炭素化とエネルギー供給の強靭化を同時に進める設計となっている。さっぽろ創世スクエアは、2018年の北海道胆振東部地震の際に施設内のコージェネレーションシステムが停電時も稼働を維持し、帰宅できなくなった人々を受け入れる避難場所として活用された実績を持つ。
2024年7月1日、さっぽろ創世スクエアにおいて電力・熱由来のCO2排出量実質ゼロを達成した。年間約9,200トンのCO2削減効果があり、北海道初のカーボン・オフセット熱供給の事例となった。 (参考:北海道ガス プレスリリース)
2025年4月1日には、北海道初の大規模商用水素ステーション「エア・ウォーター水素ステーション札幌大通東」が本格運営を開始した。札幌市は2030年までにFCバス・トラック約20台の普及を見込んでいる。 (参考:エア・ウォーター プレスリリース)
札幌都心E!まち開発推進制度による事前協議済件数は29件に達し、地域熱供給システムへの接続面積は860,659平方メートル(採用率92%)、分散電源容量は35,834kW(採用率59%)となっている。平均BEI(建築物エネルギー性能指標)は0.74であり、省エネ性能の向上が進んでいる。 (参考:都心におけるエネルギーの取組)
一方で、課題も明らかになっている。令和5年度の進捗報告によれば、札幌駅の北側と南側のエネルギーネットワーク接続については、資材高騰の影響により段階的な整備が必要となり、計画期間内の竣工が困難となる可能性がある。また、カーボンニュートラルメタンの実装に際しては、需要家のコスト負担が課題であり、値差補填の検討などが必要とされている。 (参考:環境省 令和5年度進捗状況報告票)
既存エネルギーインフラの段階的転換:札幌市の事例は、既存のエネルギーネットワークを活用しながら段階的に脱炭素化を進めるアプローチを示している。特に、CNガスへの燃料転換は、設備の大規模な更新を要さずにCO2削減を実現できる過渡期の手法として、他の都市でも検討に値する。
建替え機会を捉えた誘導制度:札幌都心E!まち開発推進制度は、民間開発の機会を捉えて省エネ・再エネ技術の導入を誘導する仕組みである。容積率緩和や補助金などのインセンティブ設計は、同様の制度を検討する自治体にとって参考となる。
広域連携による再エネ調達:札幌市は域内完結ではなく、北海道全体の再エネポテンシャルを活用する広域連携の視点を持っている。石狩市の洋上風力など、近隣地域の再エネ開発と連携した電力調達や水素製造は、消費地と生産地が離れている地域での脱炭素化モデルとなりうる。
計画変更への柔軟な対応:2030年冬季オリンピック招致の断念に伴い、対象施設の分類変更や除外が行われた。社会情勢の変化に応じて計画を柔軟に見直す姿勢は、長期的な脱炭素事業を進めるうえでの現実的な対応として参考になる。
2026年4月時点の調査内容に基づいて作成
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