Loading...
全国のまちづくり事例記事
つくばエクスプレス沿線・研究学園地区のまちづくり
つくばエクスプレス沿線・研究学園地区のまちづくり

つくばエクスプレス沿線・研究学園地区のまちづくり

つくばエクスプレス沿線・研究学園地区のまちづくり

茨城県
つくば市
#沿線まちづくり
#都市整備
#エリアビジョン
#持続可能な都市
#計画策定
#まちづくり
#つくばエクスプレス
#土地区画整理事業
#宅鉄法
#葛城地区
#研究学園駅
#副都心
#SSCつくば学園南プロジェクト
#つくばスタイル
#立地適正化計画
#過大規模校

つくば市が2005年開業のつくばエクスプレス沿線で、宅鉄法に基づく土地区画整理により5地区・計画人口約8万人の新市街地を整備した事例。研究学園駅周辺に市役所と大型商業を集めて研究学園都市の副都心を形成し全国有数の人口増を実現する一方、学校の過大規模化や旧中心市街地との二極化に直面し、立地適正化計画でコンパクト化へ舵を切る過程を整理する。

つくばエクスプレス沿線・研究学園地区のまちづくり

概要

つくば市のつくばエクスプレス(TX)沿線開発は、2005年8月に開業した鉄道と一体で、沿線に計画的な新市街地を生み出してきた都市づくりである。市内のTX沿線には、研究学園駅周辺の葛城地区(約484.7ヘクタール)、みどりの駅周辺の萱丸地区(約292.7ヘクタール)、万博記念公園駅周辺の島名・福田坪地区(約242.9ヘクタール)と上河原崎・中西地区(約168.2ヘクタール)、つくば駅東側の中根・金田台地区(約189.9ヘクタール)の5地区があり、合計約1,378.4ヘクタール・計画人口約8万人の市街地が、土地区画整理事業として整備されている。なかでも研究学園駅周辺の葛城地区には、2010年に市役所本庁舎が移転し、2008年開業の大型商業施設「iias(イーアス)つくば」が立地するなど、行政と商業の機能が集まり、研究学園都市の「副都心」が形づくられた。 (参考:つくば市 TX沿線開発地区葛城地区 まちづくり計画 - 茨城県つくばエクスプレス沿線

この事例の特徴は、1960〜70年代に国が建設した計画都市「筑波研究学園都市」の上に、TX開業を機にもう一つの計画的な市街地を重ねた点にある。新市街地への子育て世代の流入が続いた結果、つくば市の人口は全国でも有数のペースで増え、2025年の国勢調査速報値では水戸市を抜いて茨城県内最多となった。一方で、急速な人口流入は学校の過大規模化という形で社会基盤を圧迫し、旧来のつくば駅周辺中心市街地や周辺集落との「市内の二極化」も顕在化している。市は2018年に立地適正化計画を策定して多極連携型のコンパクトな都市構造へと舵を切りつつ、2025年以降も研究学園駅周辺の大規模複合開発やデータセンター誘致など、沿線開発の新たな段階に入っている。本事例は、鉄道と一体で新市街地を生み出す手法の到達点であると同時に、急速な成長をどう都市計画に織り込み、管理するかという普遍的な課題を映す素材として読むことができる。 (参考:つくば市 立地適正化計画つくば市、茨城県内人口トップ 水戸市抜き - 茨城新聞

背景・課題

つくば市の母体である筑波研究学園都市は、首都圏の過密緩和と科学技術の振興を目的に、国の計画に基づいて1960〜70年代に建設された計画都市である。約150の研究・教育機関が集積し、つくば駅周辺を中心に研究機関・大学・住宅をゾーニングした計画的な街区と、緑豊かな街路樹軸を備える。ただし長らく市内に旅客鉄道が通っておらず、都心とのアクセスは高速バスと自家用車に頼る、車中心の都市構造を抱えていた。 (参考:つくば市 筑波研究学園都市とは

この状況を一変させたのが、2005年8月に開業したつくばエクスプレスである。秋葉原とつくばを最速45分で結ぶこの路線(約58.3キロメートル、20駅)は、常磐線の混雑緩和と首都圏への住宅地供給を目的に整備された。注目すべきは、その整備手法である。TXは、1989年に制定された「大都市地域における宅地開発及び鉄道整備の一体的推進に関する特別措置法」(通称・宅鉄法)が適用された最初の鉄道であり、鉄道の整備と沿線の宅地開発を一体で進めるスキームのもとで建設された。鉄道用地の一部を沿線の土地区画整理事業のなかで生み出し、新駅の周辺に住宅地・商業業務用地・公共公益用地を計画的に配置していくという仕組みである。 (参考:つくばエクスプレスタウン - UR都市機構つくばエクスプレス線の建設における鉄道と都市との一体整備に関する考察 - 土木計画学研究・論文集

TX沿線開発は、東京・埼玉・千葉・茨城の1都3県にまたがる総面積約3,266ヘクタールの広域プロジェクトで、沿線に18の新しいまちが計画された。茨城県は、この事業を常磐新線(TX)関連の都市整備と位置づけ、県とUR都市機構(旧・都市基盤整備公団)が施行主体となって、つくば市内の各地区で土地区画整理事業を進めた。つくば市にとっての課題は、単に住宅地を造成することではなかった。すでに完成された計画都市である研究学園都市の機能と、TX沿線に新しく生まれる市街地をどう関係づけるか、長期にわたる事業のなかで計画人口をいかに定着させるか、そして急増する人口に学校や保育などの社会基盤をどう間に合わせるか――これらが、沿線開発の進行とともに問われていくことになった。 (参考:つくば市 TX沿線開発地区つくばエクスプレスタウン - UR都市機構

取り組みのプロセス

宅鉄法に基づく5地区の土地区画整理(2000年度〜)

つくば市内のTX沿線開発は、平成12年度(2000年度)前後から、5つの地区の一体型土地区画整理事業として本格化した。施行主体は地区ごとに分かれ、研究学園駅周辺の葛城地区(約484.7ヘクタール・計画人口約25,000人)、みどりの駅周辺の萱丸地区(約292.7ヘクタール・約21,000人)、つくば駅東側の中根・金田台地区(約189.9ヘクタール・約8,000人)をUR都市機構が、万博記念公園駅周辺の島名・福田坪地区(約242.9ヘクタール・約15,000人)と上河原崎・中西地区(約168.2ヘクタール・約11,000人)を茨城県が担った。各駅の周辺に商業・業務用地を、その外側に住宅地を計画的に配し、道路・公園・河川などの公共用地を区画整理で確保していく構成である。葛城地区を例にとると、宅地が74.4%、道路・公園緑地・河川などの公共用地が25.6%を占め、宅地のうち商業・業務系が35.2%、住宅系が33.1%という土地利用構成で計画された。 (参考:つくば市 TX沿線開発地区葛城地区 まちづくり計画 - 茨城県つくばエクスプレス沿線

事業の進捗は地区によって差がある。UR施行の葛城地区は平成26年(2014年)6月に換地処分を迎え、平成30年度(2018年度)に事業を完了。みどりの駅周辺の萱丸地区も平成28年(2016年)5月に換地処分を終えた。一方、茨城県が施行する島名・福田坪地区と上河原崎・中西地区は事業期間が令和14年度(2032年度)まで設定されており、調査時点でも造成と用地分譲が続いている。整備済みの地区に住宅と人が集積していく一方で、別の地区はなお造成の途上にあるという、長期事業ならではの時間差を抱えながら、沿線全体のまちづくりが進められてきた。 (参考:つくば市 研究学園駅地区の新住所つくば市 TX沿線開発地区

研究学園駅周辺(葛城地区)の副都心形成(2008〜2010年代)

5地区のなかで、まちづくりの象徴となったのが研究学園駅周辺の葛城地区である。茨城県は葛城地区を「『科学の街・つくば』の副都心」と位置づけ、研究学園駅周辺に地区の核となる商業・業務施設を集めた。実際、駅北側には2008年10月、大和ハウス工業が運営する大型複合商業施設「iias(イーアス)つくば」が開業し、つくばエクスプレス沿線でも最大級の商業核となった。さらに2010年5月には、合併以来市内7か所に分散していたつくば市役所の本庁舎機能が、研究学園駅前の新庁舎(研究学園一丁目)に統合・移転した。行政機能の一体化と市民の利便性向上を狙った移転であり、駅前に行政の核が据えられた。続いて、義務教育学校(春日学園)や消防本部などの公共施設、大型量販店も集積し、駅周辺は数年のうちに研究学園都市のもう一つの中心へと姿を変えた。 (参考:葛城地区 - 茨城県つくばエクスプレス沿線つくば市 研究学園駅地区の新住所

葛城地区のまちづくりでは、緑や水辺を計画的に組み込んだ点も評価されている。区画整理にあわせて整備された研究学園駅前公園(約7.3ヘクタール)は、開発前から残る樹林や湿地を保全しながら、芝生広場や野鳥の池、古民家を再生した「つくばスタイル館」などを備える。この一連の取り組みは、2024年度の国土交通省「グリーンインフラ大賞」を受賞した。同賞は葛城地区を、「森と都市機能の調和から生まれる新しい暮らし方」を掲げ「水と緑のネットワーク構想」に基づいた環境配慮型のまちづくりとして評価し、開発段階から地域運営段階への移行や住民との協働の点を挙げている。 (参考:つくば市 研究学園駅前公園研究学園都市エリア 葛城地区(グリーンインフラ大賞)- UR都市機構

「つくばスタイル」のブランド化と用地分譲(2000年代〜現在)

新市街地への居住を促すため、茨城県とUR都市機構は「つくばスタイル」というライフスタイルのブランドを掲げた。これは、「都市・自然・知」というキャッチフレーズが示すように、商業や医療などの都市サービス、筑波山をはじめとする自然、研究機関が集まる知的環境を一体で享受でき、「住み、働き、学び、遊ぶ」暮らしを地域内で実現できる、という訴求である。県はTX沿線の3市(つくば市・つくばみらい市・守谷市)を対象とする移住情報メディアを運営し、職住近接と自然との共生を前面に出して子育て世代を呼び込んだ。区画整理で生み出された保留地や事業用地は、県の宅地整備販売課などを通じて住宅事業者向け・商業業務向けに分譲され、その公募は2024〜2026年にかけても、上河原崎・中西地区や島名・福田坪地区などで継続している。 (参考:つくばスタイル茨城県つくばエクスプレス沿線地域のまちづくり最新情報 - 茨城県

人口流入と社会基盤の追随(2010年代後半〜)

沿線開発が進み人口が集積すると、最も切迫した課題として表れたのが、学校の収容力の不足だった。研究学園地区とみどりの地区では子育て世代の転入が突出し、2018年4月に開校した小中一貫の義務教育学校が、開校直後から想定を超える児童生徒を抱え込んだ。学園の森義務教育学校は開校時の1,151人から2022年12月時点で約2,039人へと膨らみ、全国でも有数のマンモス校となった(2022年12月には全校児童生徒約2,039人で「だるまさんが転んだ」のギネス世界記録を更新している)。みどりの学園義務教育学校に至っては、分離新設をしない場合は2030年に最大約4,576人(開校時の約6.3倍)に達するとの推計が示された。両校とも開校翌年に十数〜二十数教室を増築する事態となり、文部科学省が早期解消を促す「過大規模校(31学級以上)」の状態が現実化した。 (参考:増え続けるTX沿線の児童生徒 3校新設急務 - NEWSつくば2039人でギネス達成 学園の森義務教育学校 - NEWSつくば

市はこれに対し、新設校の建設で応じた。2023年4月には学園の森義務教育学校から分離する形で研究学園小学校・研究学園中学校が、万博記念公園駅周辺には香取台小学校が開校。2024年4月にはみどりの学園から分離するみどりの南小学校・みどりの南中学校が開校した。注目すべきは、当初は小中一貫の「義務教育学校」として設けた学校が過大規模化した経験を踏まえ、その後の新設では小学校と中学校を別々の学校として整備する方針に転じた点である。急増する需要に施設整備を後追いで合わせながら、過大規模化の反省を次の学校づくりに反映させていった。 (参考:増え続けるTX沿線の児童生徒 3校新設急務 - NEWSつくばつくば市 みどりの学園 学校建設の検討状況

沿線開発の新段階と都市構造の見直し(2018年・2025年〜)

外延的に市街地が広がる一方で、市は集約型への政策的な舵取りも進めた。2018年9月に策定した立地適正化計画(2025年1月に都市計画マスタープランと同時改訂)は、「多極ネットワーク型の持続可能でコンパクトな都市」を目標に掲げ、居住誘導区域・都市機能誘導区域を定めて、つくば駅周辺などの拠点を公共交通で結ぶ構造を描いた。居住誘導区域内の人口密度を2015年の40.3人/ヘクタールから2035年に48.6人/ヘクタールへ高める目標を置くなど、拡散した市街地を緩やかに集約へ向ける方針が示されている。 (参考:つくば市 立地適正化計画

2025年以降は、沿線開発が新たな局面を迎えている。研究学園駅南側の学園南地区では、大和ハウス工業が日本自動車研究所の未利用地を取得し、「(仮称)SSC(スーパーサイエンスシティ)つくば学園南プロジェクト」(敷地約15.5ヘクタール)を進めている。県内最大規模となる総戸数602戸の分譲マンションに加え、商業施設、研究・物流・保育の各機能を組み合わせた複合開発で、2025年に造成・本格着工し、2029年春の「まち開き」を目指す。なお当初は私立の茗溪学園中学校高等学校の移転(2029年4月予定)も計画に含まれていたが、建設費の高騰で想定を大幅に上回る費用が見込まれたため、学園側が2025年に移転計画の中止を決め、現校地での段階的な施設整備に方針を切り替えている。つくば駅前でも、2025年に保育園・クリニック・オフィス・店舗を集めた複合施設が開業した。さらに、市が保有していた高エネルギー加速器研究機構南側の未利用地(約45.5ヘクタール)には、豪州系のグッドマングループによる最大1,000メガワット級の大規模データセンターの立地が計画され、第1棟(50メガワット級)が2026年に完成する予定である。 (参考:(仮称)つくば学園南プロジェクト 本格着工 - 大和ハウス工業(PR TIMES)29年春に「まち開き」 研究学園駅南の大規模開発 - NEWSつくば移転計画の中止と今後の教育環境整備について - 茗溪学園つくば市 高エネ研南側用地の利活用グッドマン つくば市で2026年にデータセンター開業へ - クラウドWatch

この事例の特徴

第一の特徴は、鉄道整備と宅地開発を一体で進める宅鉄法のスキームを、全国でも最大級の規模で実装した点である。TXは宅鉄法が適用された最初の鉄道であり、鉄道用地の一部を沿線の土地区画整理事業のなかで生み出す仕組みのもとで、つくば市内だけでも5地区・約1,378ヘクタール・計画人口約8万人の市街地が計画された。新駅の設置と新市街地の造成を同時に設計できるこの手法は、既成市街地の改造とは異なり、白紙に近い土地に駅と街を一から配置できる強みを持つ。鉄道と都市の一体整備を分析した研究では、まちづくり側の関係者の約8割が連携の成果に満足した一方、鉄道と区画整理の事業行程の違いや地価下落への対応が課題として残ったとされ、この手法が持つ可能性と難しさの両面を示している。 (参考:つくばエクスプレス線の建設における鉄道と都市との一体整備に関する考察 - 土木計画学研究・論文集つくばエクスプレスタウン - UR都市機構

第二に、すでに完成された計画都市の上に、もう一つの計画的な市街地を重ねたという「二重性」である。つくばは1970年代に国がつくり上げた研究学園都市を母体としながら、その本来の中心であるつくば駅周辺とは別に、研究学園駅周辺(葛城地区)へ市役所と大型商業を意図的に集め、新たな副都心を形づくった。行政の核(市役所)と商業の核(iiasつくば)をひとつの駅周辺に短期間で集積させ、研究学園都市の重心の一部を新市街地側へ移したことは、「核を新しく設計する」というまちづくりの明確な意思を示すものだった。一方で、この重心の移動は、後述する旧中心市街地との関係という新たな論点も生んでいる。 (参考:葛城地区 - 茨城県つくばエクスプレス沿線つくば市におけるつくばエクスプレス開通による沿線地域の変容 - 地理空間

第三に、人口増という「成果」が、ほぼ同時に社会基盤への負荷として表面化し、その対処の過程に学習が組み込まれた点である。沿線開発が呼び込んだ子育て世代の集中は、税収や活力の増大という果実をもたらすと同時に、学校の過大規模化という形で行政に難題を突きつけた。市は、当初採用した義務教育学校がマンモス化した経験を踏まえ、後続の新設校では小学校と中学校を分ける設計へ切り替えるなど、需要に追われながらも方針を修正していった。成長を歓迎するだけでも、抑制するだけでもなく、急増する需要と施設整備のタイムラグにどう向き合うか――その試行錯誤が、この事例には色濃く表れている。 (参考:増え続けるTX沿線の児童生徒 3校新設急務 - NEWSつくば

調査時点の成果

  • 全国有数のペースで人口が増え、県内最大都市となった:つくば市の人口は国勢調査ベースで、2005年の約20.1万人から2010年21.5万人、2015年22.7万人、2020年24.2万人、2025年(速報)約26.9万人へと一貫して増加した。2020年からの5年間の増加率は約11.3%で、「市」として全国第1位。2025年国勢調査速報では水戸市(約26.6万人)を上回り、1975年以来約50年ぶりに茨城県内人口第1位となった。住民基本台帳ベースでも2026年に27万人を超えており、TX沿線への子育て世代の流入が増加の主因とされる。(参考:つくば市、茨城県内人口トップ 水戸市抜き - 茨城新聞人口増加率全国1位に - NEWSつくば
  • 計画的な新市街地と副都心機能が形成された:研究学園駅周辺の葛城地区(2014年換地処分・2018年度事業完了)やみどりの駅周辺の萱丸地区(2016年換地処分)では市街地形成が進み、研究学園駅周辺には市役所・大型商業・学校・消防本部などが集積して副都心が立ち上がった。区画整理にあわせて整備された研究学園駅前公園は、2024年度のグリーンインフラ大賞を受賞している。(参考:つくば市 TX沿線開発地区研究学園都市エリア 葛城地区(グリーンインフラ大賞)- UR都市機構
  • 新たな大規模開発が継続的に立地している:2025年以降も、研究学園駅南の「(仮称)SSCつくば学園南プロジェクト」(敷地約15.5ヘクタール、分譲マンション602戸・商業等の複合開発、2029年春まち開き予定。当初予定された私立中高の移転は建設費高騰により2025年に中止)や、市有未利用地への大規模データセンター(豪州系グッドマングループ、最大1,000メガワット級、第1棟2026年完成予定)など、沿線への投資が続いている。(参考:(仮称)つくば学園南プロジェクト 本格着工 - 大和ハウス工業(PR TIMES)つくば市 高エネ研南側用地の利活用

一方で、成果を冷静に見るうえで留意すべき点もある。第一に、人口増の裏側で社会基盤が逼迫した。学園の森義務教育学校が約2,039人(2022年)、みどりの学園義務教育学校が分離新設をしない場合は2030年に最大約4,576人と推計されるなど、TX沿線の学校は過大規模化し、市は2023〜2024年に複数の新設校を急ぎ整備せざるを得なかった。第二に、新市街地の繁栄と裏腹に、つくば駅周辺の旧中心市街地は核店舗の撤退が相次いだ。西武筑波店が2017年に、イオンつくば駅前店が2018年に撤退して商業ビル「クレオ」は全館休業に追い込まれ、駅前の人通りは大きく落ち込んだ(その後、商業棟はトナリエつくばスクエアとして再生、別棟跡地は住宅へ転換)。あわせて、北条・小田・谷田部など旧来の周辺市街地では少子高齢化と商業の衰退が進み、市が「周辺市街地の振興に向けた取組方針」を掲げる状況にある。新市街地への集中と周辺の縮小という「市内の二極化」は、沿線開発がもたらした課題として残っている。第三に、県施行の2地区は2032年度まで事業が続く長期プロジェクトであり、計画人口の定着や保留地の処分はなお途上にある。 (参考:増え続けるTX沿線の児童生徒 3校新設急務 - NEWSつくば西武筑波店が閉店 - 日本経済新聞つくば市 周辺市街地の振興に向けた取組方針

他地域への示唆

鉄道と宅地の一体整備は強力だが、成果が出るまでの「時間軸のリスク」を織り込む必要がある。 つくばのTX沿線開発は、新駅と新市街地を同時に設計できる宅鉄法スキームの威力を示す一方、県施行地区が2032年度まで続くように、区画整理事業は数十年単位の長期戦になる。鉄道事業と宅地造成の進行が噛み合わなかったり、地価が下落したりすれば、保留地処分や計画人口の定着は計画通りには進まない。沿線開発や大規模区画整理を検討する自治体は、初期の人口計画を楽観で固めず、長期にわたる需給の変動や事業の段階差を前提に、資金計画と社会基盤整備のスケジュールを描いておくことが現実的である。 (参考:つくばエクスプレス線の建設における鉄道と都市との一体整備に関する考察 - 土木計画学研究・論文集

人口増は「自動的な成功」ではなく、社会基盤の容量を需要曲線で先読みして初めて成果になる。 つくばでは、子育て世代の集中が学校の過大規模化を招き、義務教育学校が全国有数のマンモス校となるなど、住宅供給に教育施設の整備が追いつかない局面が生じた。新市街地は若い世代が一斉に入居するため、児童生徒数が短期間に山なりで膨らみ、その後に減少へ転じやすい。住宅地を計画する段階で、入居のテンポと学齢人口のピークを地区単位で予測し、学校・保育の用地と増設余地をあらかじめ確保しておくことが、後手に回りがちな社会基盤整備を前倒しする鍵になる。 (参考:増え続けるTX沿線の児童生徒 3校新設急務 - NEWSつくば

新しい都市核をつくるなら、既存の核との役割分担を同時に設計しないと「二極化」を招く。 つくばは研究学園駅周辺に副都心を計画的に形成した半面、機能の重心が移った結果、つくば駅周辺の旧中心市街地では核店舗の撤退が続いた。郊外に新たな拠点を整備する施策は、既存中心市街地から商業や人の流れを奪い、まちの活力を二分するリスクを併せ持つ。新拠点の整備とあわせて、既存の中心や周辺集落に担わせる役割を明示し、複数の拠点を公共交通で結ぶ多核連携の構造を初めから描くことが、地域全体の持続性につながる。つくばが拡散的な開発の後に立地適正化計画でコンパクト化へ舵を切った経緯は、外延的拡大と集約型都市の両立がいかに難しいかを物語っている。 (参考:つくば市におけるつくばエクスプレス開通による沿線地域の変容 - 地理空間つくば市 立地適正化計画

初期の設計判断を「失敗から学んで修正する」仕組みがあると、まちは強くなる。 つくばは、当初導入した小中一貫の義務教育学校が過大規模化した経験を、その後の新設校で小学校と中学校を分ける判断へと反映させた。大規模な開発では、最初の設計がすべて正解とは限らない。先行地区で生じた不具合を率直に検証し、後続の地区や施設の設計へ素早くフィードバックする運用は、長期にわたる開発ほど効いてくる。計画を一度決めたら変えない硬直した進め方ではなく、地区ごとの実績を次の判断材料として開く姿勢が、再現性のある教訓として参考になる。 (参考:増え続けるTX沿線の児童生徒 3校新設急務 - NEWSつくばつくば市 みどりの学園 学校建設の検討状況

参照元


2026年6月時点の調査内容に基づいて作成

茨城県
つくば市
#沿線まちづくり
#都市整備
#エリアビジョン
#持続可能な都市
#計画策定
#まちづくり
#つくばエクスプレス
#土地区画整理事業
#宅鉄法
#葛城地区
#研究学園駅
#副都心
#SSCつくば学園南プロジェクト
#つくばスタイル
#立地適正化計画
#過大規模校

この記事は公開情報に基づき、AIを用いた詳細調査により作成されました。記事内容への修正依頼、お問合せ等は以下までお寄せください。

問い合わせ:support@groove-designs.com

よくあるご質問(FAQ)もあわせてご確認ください。


茨城県の他の事例

茨城県 / 日立市

日立市総合計画・ひたち成長戦略プラン・立地適正化計画(多極ネットワーク型コンパクトシティ)

南北に細長くJR常磐線5駅を抱える日立市が、総合計画・立地適正化計画・都市計画マスタープランを連動させ、駅を核とした多極ネットワーク型コンパクトシティへ都市構造を再編する計画体系の事例。2025年改定で防災指針を組み込んだ点が特徴。

#総合計画
#まちづくり指針
#沿線まちづくり

活動のテーマで探す

#

総合計画

#

まちづくり指針

#

エリアビジョン

#

景観計画

#

緑の基本計画

#

公共空間活用

#

ウォーカブル

#

公園活用

#

防災・減災

#

空き家活用

#

エリアプラットフォーム

#

公民連携プラットフォーム

#

公民連携

#

地域コミュニティ

#

地域交流拠点

#

多文化共生

#

子育て支援

#

文化芸術

#

自動運転バス

#

モビリティマネジメント

#

モビリティハブ

#

関係人口

#

移住促進

#

探究学習

#

グリーンインフラ

#

生物多様性

#

参加型予算

#

都市整備

#

まちなか

#

駅前広場

#

協働のまちづくり

#

リノベーションまちづくり

#

フューチャーセンター

#

スマートシティ

#

AI

#

リビングラボ

#

空きスペース活用

#

居場所づくり

#

子ども食堂

#

沿線まちづくり

#

健康

#

社会教育

#

持続可能な都市

#

計画策定

#

まちづくり

#

コミュニティ形成

#

ワークショップ

#

社会実験

#

市民参加

#

子ども・若者

#

子育て世代

#

シニア

©︎ 2022 Groove Designs, Ltd.