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つくば市の移住・定住と関係人口創出――「増やす」から「つなぐ」へ
つくば市の移住・定住と関係人口創出――「増やす」から「つなぐ」へ

つくば市の移住・定住と関係人口創出――「増やす」から「つなぐ」へ

つくば市の移住・定住と関係人口創出――「増やす」から「つなぐ」へ

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人口減少が進む日本で増え続ける稀有な都市・つくば市。その人口増は補助金による移住誘致ではなく、TX沿線開発・研究都市・子育て環境・外国人流入に支えられる。「増やす」段階を超えた都市が、二極化や地域とのつながりの弱さ、将来のピークアウトにどう向き合い、関係人口を含む多様な人々を地域につなごうとしているかを整理した。

つくば市の移住・定住と関係人口創出――「増やす」から「つなぐ」へ

概要

つくば市は、人口減少が常態化した日本の自治体のなかで、いまも人口が増え続ける数少ない都市である。総務省「住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数」(2025年8月6日公表)によれば、2025年1月1日時点の人口増加率は1.47%で、市および特別区のなかで全国3位、東京の特別区を除いた「市」では全国1位だった。1年間の人口増加数は3,756人で、そのうち日本人が2,554人、外国人が1,202人を占める。つまり増加分の約3分の1が外国人住民であり、市は子育て世代と外国人を中心に人口が増えていると説明している。 (参考:人口増加率でつくば市が全国1位(2025年8月7日発表資料)- つくば市つくばの人口増加率、全国市区部3位 - 茨城新聞

ただし、この人口増は「移住支援金で東京圏から人を呼び込む」という一般的なイメージとは構造が大きく異なる。つくば市の人口増を支えているのは、つくばエクスプレス(TX)沿線の大規模開発、約150の研究機関が集積する研究学園都市としての吸引力、子育て世帯の転入、そして外国人住民の増加であり、市が東京圏向けの移住支援金(わくわく茨城生活実現事業)を令和7年度をもって終了させている点は象徴的である。本稿は「移住促進・関係人口創出」を補助金施策の紹介としてではなく、"人を増やす"段階をすでに勝ち抜いた都市が直面する次の課題――増えた多様な人々をどう地域につなぎ、市内の二極化や将来の人口減少にどう備えるか――という観点から整理する。 (参考:つくば市わくわく茨城生活実現事業について(終了告知)- つくば市

背景・課題

つくば市の人口は、1963年の筑波研究学園都市建設の閣議了解以降、一貫して増え続けてきた。1987年の合併で市が誕生した時点の約15.7万人から、2005年のTX開通時に約20万人を超え、2025年には約26万人(2025年1月1日時点で259,018人)に達している。この長期にわたる増加の主因を、市の都市計画担当は「つくばエクスプレスの沿線開発」と明確に位置づけている。市内ではTXの4駅(つくば・研究学園・万博記念公園・みどりの)の周辺などで5地区の土地区画整理事業が進み、その計画人口は合計で約8万人にのぼる。研究学園駅周辺の副都心整備や桜地区の住宅開発などにより、新たな住宅地が供給され続けてきたことが、人口増を物理的に下支えしてきた。 (参考:つくば市の人口分布傾向と課題分析(都市計画課)- 内閣府地方創生つくばの人口増加率、全国市区部3位 - 茨城新聞

ここで見落とされがちなのが、転入者の出身地である。市の人口動向分析によれば、転入の主軸は土浦市・水戸市・牛久市など県内・北関東からであり、東京圏(1都3県)との関係ではむしろ若年層が流山市など沿線の下流側へ流出する局面もあった。地域ブロック別の純移動でみると、北関東からの転入超過が大きい一方、東京圏に対しては転出超過の年もある。つまり、つくば市の人口増は「東京圏からの移住」というより、研究学園都市の雇用と子育て環境が県内・近隣からの転入と自然増を呼び込む構造に支えられている。東京23区在住・通勤者を対象とする国の移住支援事業の枠組みは、つくばの人口動態の実態とは必ずしも噛み合っていなかった。 (参考:つくば市の人口分析状況(人口動向分析編)- つくば市

しかし、人口が増え続けるこの都市にも、固有の課題が積み上がっている。第一に、市内の人口動態が二極化していることである。市は「地区別人口の増減には二極化の傾向にある」と明記し、TX沿線を含む谷田部地区・桜地区では年少人口を含めて人口が大きく増える一方、TXから離れた筑波地区・茎崎地区では人口減少と高齢化が進んでいるとする。第二に、急増する人口を受け止めるインフラの逼迫である。とりわけ学校の過密化は深刻で、開校時1,151人だった学園の森義務教育学校は2027年に約3,427人、同719人だったみどりの学園義務教育学校は2030年に約4,576人へ達すると見込まれ、分離新設をしても過大規模校化が懸念されてきた。市は人口増に対応した学校建設のための借入で将来負担比率が高い水準にあるとも分析している。 (参考:第3期つくば市戦略プラン - つくば市TX沿線に小中学校の新設急務 - NEWSつくば

第三に、地域とのつながりの弱さである。市の分析では、自治会・町内会への加入率は施行時特例市23団体中19位、「このまちに愛着を持っている」とする市民の割合や居住期間20年以上の人口割合も下位にとどまる。転入が多く居住期間の短い住民が多いことが背景にあり、増え続ける新住民をどう地域に結びつけるかが構造的な弱みとして浮かび上がっている。そして第四に、この増加もいずれは止まる。市の人口ビジョンは将来人口のピークを見据えており、社会保障・人口問題研究所の推計でも増加が続くのは2040年頃までで、その後は減少に転じると見込まれている。 (参考:第3期つくば市戦略プラン - つくば市

取り組みのプロセス

「増やす」を目標から外す――未来構想の人口ビジョン

つくば市の特徴は、人口戦略の目標設定そのものにある。市は2020年に改定した「つくば市未来構想」で、将来人口を2048年に約29万人のピークに導くことを目標に掲げた。ただしその表現は「人口のピークを大きくし、遅らせ、かつ維持していく」というもので、単純な増加の最大化ではなく、ピークを緩やかにして長く保つという持続可能性志向に立っている。合計特殊出生率が2030年に1.8、2040年に2.1へ向上すると仮定し、社会増(転入)と自然増(出生)の両輪を重視する点も、「呼び込み」だけに頼らない姿勢を示している。 (参考:つくば市未来構想 改定(案)- つくば市第3期つくば市戦略プラン - つくば市

この未来構想のなかで、市は関係人口を「移住した定住人口でも、観光に来た交流人口でもない、地域や地域の人々と多様に関わる者」と定義している。これは「定住人口でも交流人口でもなく、地域や地域の人々と多様に関わる人々」「観光以上移住未満」とする総務省・内閣府の定義をそのまま地域戦略に取り込んだものである。人口減少と高齢化で地域の担い手不足が進むなか、移住という結節点に至らない多様な関わりも、まちづくりの力として位置づけようという発想がここにある。 (参考:つくば市未来構想 改定(案)- つくば市関係人口とは - 内閣府地方創生関係人口 - 総務省

補助金から「暮らし方」の発信へ――つくばクラフトライフ

人口増を補助金に頼らないつくば市の移住・定住プロモーションは、金銭的インセンティブよりも「暮らし方」の発信に重心がある。市は「つくばクラフトライフ」というテーマを掲げ、地域のなかで新たな仕事や暮らしを自らの手でつくる人々――カフェ経営者、職人、酒造に携わる人など――のストーリーを冊子『つくばスタイルCRAFT』や「クラフトライフSTORY」として発信している。研究学園都市の都市機能と豊かな自然、知的な環境を組み合わせた生活像を提示し、補助金の多寡ではなく「ここでどう暮らせるか」を訴求するアプローチである。 (参考:移住・定住(つくばクラフトライフ)- つくば市

なお、TX沿線移住の広域ブランドである「つくばスタイル」や移住情報サイト「新つくば」は、つくば市単独ではなく茨城県が運営し、つくば市・つくばみらい市・守谷市の3市を対象としている。移住者インタビューやエリア情報を発信するこれらの媒体は、つくば市の移住プロモーションを広域で補完する役割を担っている。一方で、東京23区からの移住者を対象に就業・テレワーク・起業・関係人口のいずれかを要件として単身・世帯・子どもの数に応じた支援金を交付する「わくわく茨城生活実現事業」については、つくば市は令和7年度をもって独自の交付事業を終了した。人口増が続くつくば市にとって、東京圏向けの一律的な移住支援金の優先度は相対的に低かったことがうかがえる。 (参考:新つくば(茨城県つくばエクスプレス沿線移住情報)- 茨城県わくわく茨城生活実現事業(茨城県移住支援金)- 茨城県つくば市わくわく茨城生活実現事業について(終了告知)- つくば市

関係人口を地域戦略に組み込む――周辺市街地振興と要件の見直し

つくば市は第3期戦略プラン(2025〜2029年度、まちづくりの理念は「つながりを力に未来をつくる」)で、関係人口を二つの文脈で位置づけている。一つはシティプロモーションで、人口減少・少子高齢化が進むなかでも「国内外から興味・関心を集め、交流人口・関係人口を拡大していくことの重要性は高まっている」とする。もう一つが、人口が減る筑波・茎崎地区などを対象とした「周辺市街地振興」である。ここでは大学・民間企業・地域外の協力者といった外部人材との協働を進め、「地域への興味・関心を持つ人を増やしていく」方針を掲げ、地域づくりのアイデア提案件数(2023年の年間28件を2029年に32件へ)といったKPIを設定している。増える地域には新住民を区会につなぐ仕組みを、減る地域には外部の関わりを呼び込む仕組みを、と地区の事情に応じて関係人口の使い分けを図っている点が特徴的である。 (参考:第3期つくば市戦略プラン - つくば市

制度面では、移住支援金の関係人口要件にも変化が起きている。茨城県は2025年4月1日から、移住支援金を関係人口の枠で受給する際の要件に「農林水産業等への就業」を必須とし、テレワーク要件も「恒常的に通勤しない」「週20時間以上のテレワーク」へと厳格化した。これは国の移住支援事業の枠組みのなかで、各市町村が関係人口の中身を地域の担い手不足に合わせて設計できる柔軟性を活かしたものである。つくば市自体は移住支援金事業を終えているが、県全体としては「関係人口」を担い手確保の政策手段として具体化させる動きが進んでいる。 (参考:移住支援金(関係人口要件の変更)- いばらき移住定住ポータルRe:BARAKI移住支援金 - 内閣府地方創生

この事例の特徴

第一の特徴は、「移住促進=補助金で人を呼ぶ」という一般的な図式が、つくば市にはほとんど当てはまらない点である。多くの自治体が東京圏向けの移住支援金を競うように整備するなか、人口増が続くつくば市はその独自交付事業をむしろ終了させた。人口増の実体は、TX沿線の大規模開発による住宅供給、研究学園都市の雇用、子育て環境、そして外国人住民の流入という構造的な吸引力にある。補助金で限界的に人を動かす施策と、都市そのものの構造で人が集まる状態とは、まったく性質が異なる。つくばの事例は、移住支援金の有無で語られがちな移住促進の議論を、「そもそも何が人を集めているのか」という構造の問いへと引き戻す。 (参考:つくば市の人口分布傾向と課題分析(都市計画課)- 内閣府地方創生人口増加率でつくば市が全国1位 - つくば市

第二に、人口戦略の目標が「増やす」ではなく「ピークを遅らせ、維持する」へとシフトしている点である。人口が増えている都市が、増加の最大化ではなく持続可能性を前面に掲げるのは珍しい。背景には、TX沿線の子育て世帯がいずれ一斉に高齢化することや、増加もいずれ止まるという冷静な見通しがある。市は将来、研究学園都市地域とTX沿線地域を核(ハブ)とし、従来の市街地を生活拠点(スポーク)とする「ハブアンドスポーク型」の集約的な都市構造への移行も構想しており、人口増の局面のうちに将来の縮小に備えようとしている。 (参考:つくば市未来構想 改定(案)- つくば市第3期つくば市戦略プラン - つくば市

第三に、関係人口の捉え方が、つくばの固有資源と結びついている点である。一般に関係人口は、ふるさと納税や祭りへの参加、農山村でのワーケーションなどで語られることが多い。これに対しつくば市が抱える関係人口の源泉は、約150の研究機関と約2万人の研究者、世界約117の国・地域から学生が集まる筑波大学、JICA筑波の研修生、スタートアップの集積といった知的・国際的なネットワークである。研究や留学、起業を通じて地域と多様に関わる人々を「観光以上移住未満」の関係として束ねられることは、研究学園都市ならではの強みであり、多くの地域が農林水産業を中心に関係人口を設計するのとは異なる軸を持っている。 (参考:第2次つくば市グローバル化基本指針(案)- つくば市つくば市未来構想 改定(案)- つくば市

調査時点の成果

まず明確なのは、人口増という結果そのものである。2025年1月1日時点で人口増加率1.47%、特別区を除く市で全国1位という水準は、増加率の年次推移(2023年2.30%で市区1位、2024年1.21%で7位、2025年1.47%で3位)をみても、上下しつつ高い水準を保っている。人口減少が進む同規模都市が多いなかで、転入超過と自然増の両方を維持し続けていること自体が、研究学園都市としての吸引力とTX沿線開発の効果を示す成果といえる。 (参考:人口増加率でつくば市が全国1位 - つくば市

国際性の高まりも顕著である。市の資料によれば、外国人住民は2022年10月時点で11,721人、総人口の約4.6%を占め、これは全国平均(約2.3%)や茨城県全体(約2.5%)を大きく上回る。その国籍・地域は145にのぼり、約25万人規模の都市に150近い国・地域の人々が暮らすことを、市は「日本有数の多様な都市」と自認している。在留資格では「留学」「研究」「高度専門職」などが高い比率を占め、年齢では20〜39歳が約6割と、研究・教育を軸に若く高度な人材が集まる構造がうかがえる。外国につながる児童・生徒も2022年時点で833人と、6年間で約2.4倍に増えている。2025年の人口増加分の約3分の1が外国人だったことと合わせれば、つくばの人口増は国際化と一体で進んでいる。 (参考:第2次つくば市グローバル化基本指針(案)- つくば市人口増加率でつくば市が全国1位 - つくば市

一方で、本稿が焦点を当てる「増えたあとの課題」については、成果はまだこれからというのが実態である。市内の二極化は依然として残り、筑波・茎崎地区などでは人口減少と高齢化が進む。地域とのつながりの弱さも、自治会加入率や愛着度の低さとして数値に表れたままである。周辺市街地振興のKPIは設定されたばかりで、関係人口施策が二極化の是正にどれだけ寄与したかを示す定量的な評価は、調査時点では確認できなかった。つくば市が令和7年度に移住支援金事業を終えたこと自体、東京圏向けの一律施策よりも構造的な強みと内発的な課題に資源を振り向ける判断ともいえるが、その効果検証はこれからの論点である。 (参考:第3期つくば市戦略プラン - つくば市つくば市わくわく茨城生活実現事業について(終了告知)- つくば市

他地域への示唆

最も再現性のある学びは、移住促進を「補助金の設計」ではなく「人が集まる構造の把握」から始めるという順序である。つくばの人口増は、TX沿線の住宅供給・研究学園都市の雇用・子育て環境・国際性という構造に支えられており、東京圏向けの移住支援金はその実体とは噛み合っていなかった。だからこそ市はその独自交付を終えられた。多くの地域が移住支援金の額や対象で競い合う前に、自地域の人口移動が実際にどこから・誰によって生じているのかを冷静に分析することが、限られた資源の配分を誤らないための出発点になる。つくばが示すのは、誰がなぜ集まる(あるいは集まらない)のかという構造分析の重要性であり、これは人口増の都市にも減少の都市にも等しく当てはまる。

二つ目は、「増やす」ことが必ずしもゴールではない、という視点である。つくばは人口が増え続けてもなお、二極化・地域とのつながりの弱さ・将来のピークアウトという課題を抱える。人口増は、増えた人々が地域に根づき、市内のどこに住んでも一定の生活の質が保たれて初めて意味を持つ。市が人口戦略の目標を「ピークを遅らせ、維持する」と表現し、ハブアンドスポーク型の都市構造を早めに構想しているのは、増加の局面のうちに縮小へ備える発想である。人口減少に悩む地域にとっても、目標を「総数を増やす」から「住む人を地域につなぎ、生活圏を持続させる」へ置き換える姿勢は応用できる。

三つ目は、関係人口を自地域の固有資源に即して定義し直すことである。つくばにとっての関係人口は、研究者・留学生・スタートアップといった知的ネットワークであり、農山村が農林水産業の担い手を関係人口に求めるのとは軸が違う。茨城県が移住支援金の関係人口要件に「農林水産業等への就業」を加えたように、関係人口は地域の担い手不足の中身に合わせて柔軟に設計できる。重要なのは、他地域の成功例(ふるさと納税やワーケーションなど)をなぞることではなく、自地域に「観光以上移住未満」で関われる人は誰かを具体的に特定し、その人々と地域を結ぶ回路を用意することである。

ただし、移植できるのは個別の条件ではなく考え方である点には留意が必要である。約150の研究機関や世界中から集まる学生といったつくばの資源は、他地域に等しく存在するものではない。再現すべきは「研究都市」そのものではなく、人が集まる構造を直視し、増やすことを目的化せず、増えた多様な人々を地域につなぐ仕組みを準備するという設計思想である。同時に、つくばでも二極化や地域とのつながりの弱さの解消はこれからの課題であり、構造に恵まれた都市であってもなお「つなぐ」ことの難しさは残る。人を集める段階を超えた先に、誰もが取り組むべき本当の課題があることを、この事例は示している。

参照元


2026年6月時点の調査内容に基づいて作成

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この記事は公開情報に基づき、AIを用いた詳細調査により作成されました。記事内容への修正依頼、お問合せ等は以下までお寄せください。

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