
自動運転バスの社会実装に向けた取組(レベル4実装を見据えた段階的実証)
この記事は、my grooveを運営する株式会社Groove DesignsがAIを活用し独自に調査・作成したものです。
広島県福山市は2018年度から自動運転バスの実証実験を重ね、2022年の接触事故や2024年の車両トラブルを乗り越えながら改善を積み重ね、2026年9月にレベル2の定常運行を開始。2027年度のレベル4実装を目指す段階的な取り組み。
福山市は2018年度から自動運転バスの社会実装に向けた取り組みを継続し、2026年9月6日にはJR福山駅と市民交流拠点「まちづくりプラザふくやま(愛称:大和建設まちテラスふくやま)」を結ぶ自動運転レベル2の路線バスの定常運行を開始した。運転手が同乗して監視・補助を行うレベル2から、将来的には運転手を必要としない「レベル4」への移行を見据え、2027年度の社会実装を目標に掲げている。 (参考:福山市「自動運転バスの実装に向けた取組について」)
この間、市はほぼ毎年度、公道での実証実験を重ねてきた。2022年には接触事故、2024年には車両の部品破損トラブルを経験しながらも、原因を公表し対策を講じたうえで実験を再開するというプロセスを繰り返している。単発の実証実験で完成形を目指すのではなく、複数年度にわたる継続的な検証を通じて段階的にレベルを引き上げていく点が、この取り組みの特徴である。 (参考:福山市「自動運転バスの実装に向けた取組について」)
福山市では、人口減少やバス運転手の担い手不足を背景に路線バスの減便・廃止が進み、自家用車を運転できない高齢者を中心に移動手段の確保が課題となっていた。 (参考:山陽新聞「自動バスに試乗 滑らか安全運行『お見事』 福山市中心部での実証実験」)
こうした課題に対し、市は2018年5月にシャープやソフトバンク、福山市立大学などと共同で官民協議会を設立し、IoT・AIなどの先端技術を活用したスマートシティの実現に着手した。 (参考:日本経済新聞「福山市、スマートシティーへ官民協議会」)
同じく2018年3月には、広島県内で初めてとなる普通乗用車による自動運転の公道実証実験を日吉台地区(日吉台公民館から日吉台小学校の周辺、往復約2km)を走行し、地元の住民らおよそ100人が実際に乗り込んで体験した。目的は自動運転技術の実用化に向けた社会的な受容性の醸成と、高齢者の移動手段確保に向けた効果的な手法の検証だった。 (参考:福山市「【福山のあゆみ】2018年(平成30年)の主な出来事」)
2019年度には、内閣府の「先端技術を活用した地域課題解決実証事業」に「まるごと実験都市ふくやま」として採択され、自動運転をAI・IoT・ドローン・キャッシュレスと並ぶ重点分野の一つに位置づけた。以降、市はデジタル化推進課を中心に、公共交通の維持と高齢者の移動手段確保を目的として、バス型車両による自動運転の実証実験を継続的に実施していくことになる。 (参考:内閣府「先端技術を活用した地域課題解決実証事業~『まるごと実験都市ふくやま』の推進~」)
1. バス型車両による本格実証と接触事故(2021年度)
2022年3月22日から24日にかけて、バス型車両を用いた実証実験が実施された。実験は、運転席に運転手が乗車した状態で走行する「レベル3相当」の公道走行(エフピコアリーナふくやま〜福山駅前間、往復約5.4km)と、遠隔監視のもとで運転席を無人化する「レベル4相当」の走行(みらい創造ゾーン内の閉鎖空間、周回約0.7km)を組み合わせたもので、日本モビリティ株式会社が委託を受けて運行した。 (参考:福山市「2021年度(令和3年度)自動運転実証実験の実施について」)
しかし初日、公道走行の2便目において、県道22号線(福山鞆線)を走行中の自動運転バスが並走していたトラックと接触する事故が発生した。乗員に怪我はなかったが、市は同年7月に事故原因を公表し、走行ルートの設定が隣接車線に近づきすぎていたこと、車線境界線(白線)のない区間での安全検証の不足、運転手による周囲確認が十分でなかったことを要因として挙げた。一方で、自動運転の制御プログラムそのものには問題が見られなかったとも説明している。 (参考:福山市「2021年度(令和3年度)自動運転実証実験の接触事故に関する報告について」、中国新聞「事前設定ルート、右側に寄り過ぎ 3月の自動運転バス事故で福山市が原因公表」)
2. 事故の教訓を踏まえた技術改善(2023年度)
事故を受け、市は2023年秋に改良版の実証実験を実施した。JR福山駅前からエフピコアリーナふくやままでのルートで約10日間実施されたこの実験では、車両の位置精度を高めるための特殊な路面塗料や、信号情報を受信するシステムを新たに導入し、安全性の向上を図った。当時、福山市デジタル化推進課長を務めていた藤井寛氏は「まずは安全に実験を行い、一歩ずつサービスの実装に近づけていきたい」と述べている。 (参考:MOOVマガジン「広島県福山市で自動運転『レベル4』実証実験開始へ」)
3. 大規模実証とレベル2定常運行の開始(2025〜2026年)
2025年度は、ティアフォーへの委託により、12月1日・2日の関係者向け試乗を経て、12月3日から2026年3月4日までの約60日間、福山駅前〜エフピコアリーナふくやま間(約2.7km)で一般向けの試乗を実施した。目的はレベル4実現に向けた課題抽出と、路車協調センサの有効性検証である。この間、福山市レベル4モビリティ・地域コミッティのメンバーが参加する意見交換会や、プロバスケットボールチーム「広島ドラゴンフライズ」とのコラボレーションによる乗車体験会(2026年2月7日)なども実施され、幅広い層への周知が図られた。 (参考:福山市「2025年度(令和7年度)自動運転実証実験について」、中国新聞「福山で自動運転バスの実証実験始まる」)
そして2026年9月6日、これまでの実証実験を経て、福山駅と市民交流拠点「まちづくりプラザふくやま(愛称:大和建設まちテラスふくやま)」を結ぶ区間で、自動運転レベル2の路線バスの定常運行が始まった。車両はティアフォー製の「Minibus2.0」(定員15人、最高速度40km/h)で、片道約15分、当初は午前8時台から午後4時台に1日21便(往路11便・復路10便)を運行し、11月からは午後6時台まで運行時間を拡大して1日26便に増便する計画である。運賃は同区間の既存路線バスの運賃(210円)を参考に検討されており、交通系ICカードと現金の両方に対応する。 (参考:福山市「自動運転バスの実装に向けた取組について」、Yahoo!ニュース(山陽新聞デジタル)「広島県福山市に『まちテラス』9月6日オープン 福山駅から自動運転直通バス運行」)
1. 失敗を公開し改善につなげる継続的なプロセス
福山市の取り組みの特徴は、2022年の接触事故のような具体的な失敗を経験しながらも、原因を公表したうえで対策を講じ、実証実験を継続してきた点にある。一度の失敗で撤退するのではなく技術的な改善を重ねることで、レベル2の定常運行という次の段階に到達している。この透明性のあるプロセスは、他地域が同様の実証実験を検討する際に、段階的に技術を成熟させていくための参考になる。
2. 「実験都市」としての制度的な受け皿
福山市は2018年頃から「実証実験まるごとサポート事業」や「ふくやま実験クエスト」など、民間企業が先端技術の実証実験を市内で行う際に行政が支援する制度を整備してきた。自動運転バスは「まるごと実験都市ふくやま」というブランディングのもとで継続的に実施されてきた複数の実証テーマの一つであり、単発のイベントではなく、庁内の推進体制(デジタル化推進課)と制度的な枠組みのなかで多年度にわたり積み上げられてきた。 (参考:福山市「これまでの実証実験(サポート実績)」)
3. 実際の移動需要と結びつけた路線設計
2026年9月からの定常運行は、単に自動運転技術を試すための路線ではなく、老人大学などが入居する新たな市民交流拠点と福山駅を結ぶという具体的な移動需要に対応する形で設計されている。技術実証と地域の交流拠点整備を一体で進めることで、実証実験を終えた後も利用され続ける路線としての持続性を確保しようとしている点は、実証実験が「実験で終わってしまう」ことを避けるための工夫といえる。 (参考:Yahoo!ニュース(山陽新聞デジタル)「広島県福山市に『まちテラス』9月6日オープン 福山駅から自動運転直通バス運行」)
4. 国の制度を活用した専門知見の導入
福山市は「福山市レベル4モビリティ・地域コミッティ」を通じて、レベル4自動運転の許認可取得に向けた課題や工程を国・専門家と共有しながら検証を進めている。自治体単独で技術的な課題に対応するのではなく、国の枠組みを活用しながら地域の実情に合わせた検証を進めるアプローチは、同様にレベル4を目指す他の自治体にとっても参考になる。 (参考:福山市「2025年度(令和7年度)自動運転実証実験について」)
定量的な成果
2025年度の実証実験(2025年12月3日〜2026年3月4日の60日間)では、延べ1,404人の乗車実績があり、この間、事故やトラブルの発生は確認されていない。試乗者へのアンケートでは91%が「満足」と回答し、94%が実装後の利用意向を示すなど、利用者からの評価は高い水準にある。 (参考:中国新聞「福山市の自動運転バス実験、60日間で1404人乗車」、福山市「2025年度(令和7年度)自動運転実証実験について」)
定性的な成果
2026年9月には、実証実験の段階から一歩進み、運賃を収受する路線バスとしての定常運行が始まった。当初1日21便で運行を開始し、11月には26便に増便する計画であることは、需要に応じて段階的にサービスを拡大していく姿勢の表れである。また、調査時点で確認できた範囲では、2022年の接触事故以降、同様の衝突事故は報告されておらず、技術的な改善が安全性の向上につながっていることがうかがえる。 (参考:福山市「自動運転バスの実装に向けた取組について」)
一方で、2027年度の目標とするレベル4(完全無人運転)の実装については、調査時点(2026年9月)で具体的な実施時期や区間は公表されておらず、レベル2の定常運行を安定させながら検証を積み重ねている段階にある。
1. 失敗の公表と改善のサイクルを制度として持つこと
自動運転の実証実験では、事故やトラブルが一定の確率で発生しうる。福山市の事例は、そうした事象を隠さずに原因を公表し、具体的な対策とともに実験を再開するというサイクルを繰り返すことで、住民や関係者の信頼を維持しながら技術水準を引き上げてきた。この姿勢は特定の技術者や事業者の力量に依存するものではなく、原因究明と対策のプロセスを標準化することで、他の自治体でも再現可能な手法である。
2. 単発の実証実験ではなく、複数年度の積み重ねとして設計すること
福山市は2018年度から8年近くにわたり、車両の種類やレベルを段階的に引き上げながら実証実験を継続してきた。一度の実証実験で完成形を目指すのではなく、毎年度の実験で得られた課題を次年度の実験設計に反映させる継続的な体制を庁内に置くことは、レベル4のような長期目標を掲げる技術実証において有効である。
3. 技術実証と具体的な生活需要を結びつけること
2026年9月からの定常運行は、市民交流拠点の開設という具体的な事業と連動させることで、実証実験の枠を越えた実用的な路線として位置づけられている。自動運転技術そのものの検証を目的化するのではなく、既存の移動ニーズ(このケースでは老人大学等への通所需要)と結びつけることで、実証終了後も継続利用される仕組みを作ろうとしている点は、他地域が自動運転の社会実装を検討する際の具体的な設計指針となる。
2026年09月時点の調査内容に基づいて作成
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