
ふくやま実験クエスト(まるごと実験都市ふくやま 課題解決実証実験)
この記事は、my grooveを運営する株式会社Groove DesignsがAIを活用し独自に調査・作成したものです。
福山市が2018年度に始めた「実証実験まるごとサポート事業」と、行政・地域課題を先に示して解決策を募る「ふくやま実験クエスト」を両輪に、AI・IoT等の実証実験を軽支援で継続的に受け入れてきた仕組み。2025年に新規受付を終えるまでの経緯と実績を整理する。
福山市は2018年度、企業や研究機関が持つ先端技術の実証実験を随時受け入れる「実証実験まるごとサポート事業」を創設した。企業側から技術やアイデアを持ち込む「持ち込み型」の窓口で、市が実験場所の調整や広報、モニター募集、関係機関との事前協議などを軽支援としてパッケージで提供する仕組みである。(参考:これまでの実証実験(サポート実績)|福山市)
これに対し、少なくとも2023年度以降は、市があらかじめ行政・地域課題を「クエスト」として複数提示し、全国の企業・研究機関から解決策を募る「ふくやま実験クエスト」が並走してきた。防草対策や鳥獣被害対応、障がい福祉、高齢者の居場所づくりといった、庁内の具体的な悩みを起点にした「逆提案型」の枠組みである。(参考:“ふくやま実験クエスト” 参加企業の募集を開始します!|NEWSCAST、地域や行政の課題解決に向けた実証実験“ふくやま実験クエスト”|NEWSCAST)
両事業は、2019年7月に内閣府「近未来技術等社会実装事業」に採択された「まるごと実験都市ふくやま」構想を大きな旗印としながら、日々の実務レベルでは大型の交通・MaaS実証(自動運転やオンデマンド乗合タクシーなど)とは別レーンで運営され、多品種・少額の実証実験を継続的に受け入れる役割を担ってきた。(参考:先端技術を活用した地域課題解決実証事業「まるごと実験都市ふくやま」の推進|内閣府)2025年4月時点で、両事業とも新規受付を終了している。(参考:これまでの実証実験(サポート実績)|福山市)
福山市は広島県東部・岡山県西部にまたがる備後圏域(8市町、人口約86万人)の連携中枢都市で、人口約46万人を抱える中核市である。都市部、中山間地域、湾岸の工業地帯、島嶼部までを併せ持つ多様な地勢は、後にソフトバンクの担当者が福山を拠点選定する理由として「新しいテクノロジーの実証フィールドとして最適な」エリアと評し、この多様さを"縮図"とも形容したように、実証実験の"フィールドの幅"という観点で強みとなっていた。(参考:地域発のデジタル化推進拠点「せとうち Tech LAB」|ソフトバンクニュース)
2018年5月、福山市はシャープ・ソフトバンクなど産官学7団体と「先端技術によるまちづくり官民協議会」を設立し、IoT・AIをまちづくりに応用する検討を始めた。(参考:福山市、スマートシティーへ官民協議会|日本経済新聞)この協議会と並行する形で、市は同年度、企業から持ち込まれる実証実験の提案を継続的に受け止める窓口として「実証実験まるごとサポート事業」を創設した。単発の技術提案を受けるだけの体制では、公共施設の使用許可や道路占用手続き、警察等関係機関との調整、モニターとなる市民の募集など、企業単独では負担の大きい"現場との接続コスト"がボトルネックになりやすいという課題認識があったとみられる。
2019年7月には、この一連の取り組みが内閣府「近未来技術等社会実装事業」に「先端技術を活用した地域課題解決実証事業~『まるごと実験都市ふくやま』の推進~」として採択され、福山市・福山大学・福山市立大学・シャープ・ソフトバンク・シギヤ精機製作所・メディアテック一心などで構成する「福山市未来技術地域実装協議会」が発足した。採択事業の柱はオンデマンドモビリティ・自動運転、MaaS連携、キャッシュレス決済、医療情報アプリ、ドローン活用など、公共交通の縮小や中心市街地の賑わい創出といった都市規模の地域課題に対応するものだった。(参考:先端技術を活用した地域課題解決実証事業「まるごと実験都市ふくやま」の推進|内閣府)
一方で、こうした大型の交通・MaaS実証だけではカバーしきれない、鳥獣被害や空き家、福祉現場の人手不足といった庁内各課の個別課題も多く残っていた。「まるごとサポート事業」はあくまで企業側からの持ち込みを待つ受け身の窓口であるため、市が本当に解決してほしい課題に技術提案が向かうとは限らない。2020年度には新型コロナウイルス対応として「withコロナをスマートに」をテーマに実証実験を募る回が組まれ、支援メニューの拡充と経費の一部補助が始まるなど、早い段階からテーマを絞った公募の試みが重ねられていた。(参考:「withコロナをスマートに」をテーマに実証実験を募集、福山市|新・公民連携最前線)こうした運用の延長線上で、行政課題を先に明示して解決策を募る「ふくやま実験クエスト」という形が定着していったとみられる。
1. 実証実験まるごとサポート事業(随時募集・持ち込み型)
企業や大学・研究機関がAI・IoT等の技術やアイデアを随時持ち込み、市が実証実験場所の提供・調整、ホームページやSNSでのPR、警察等関係機関との事前協議支援、モニターとなる参加者の募集支援などをメニューとして提供する。補助金の交付は必須ではなく、案件によっては場所提供や広報支援のみで完結するケースもある。2018年度から2024年度にかけて、公開されている実績一覧だけで13件の実証実験がこの枠組みで実施された。(参考:これまでの実証実験(サポート実績)|福山市)
2. ふくやま実験クエスト(年次テーマ公募・逆提案型)
市が年度当初に複数の行政・地域課題を「クエスト」として公表し、全国の企業・研究機関から解決策の応募を受け付ける。オンラインプレゼンテーションによる審査を経て、毎年度おおむね2件程度が採択される。2024年度は所定の補助金に加え、広報支援、公共施設や市保有データの提供、関係機関との調整支援がセットで提供された。(参考:地域や行政の課題解決に向けた実証実験“ふくやま実験クエスト”|NEWSCAST)
2023年度に提示された課題は「防草対策の効率化」「福山駅前周辺の環境美化(路上喫煙・ごみ対策)」「郊外型団地の買い物環境整備」「障がい者の社会参加支援」の4つで、募集期間は同年5月8日から6月22日だった。(参考:“ふくやま実験クエスト” 参加企業の募集を開始します!|NEWSCAST)このうち採択されたのは、竹チップ・筏チップを敷設して防草効果と有害鳥獣忌避効果を検証する株式会社TEGOの案件と、コミュニケーションロボット「BOCCO emo」を使って高齢者の買い物を音声で補助するユカイ工学株式会社の案件(セコム、株式会社ププレひまわりが協力)の2件だった。(参考:ふくやま実験クエスト 支援事業一覧|福山市)
2024年度の課題は「鳥獣対策(問い合わせ対応と有害鳥獣対策の効率化)」「天然記念物の状況把握・分析の効率化」「障がい福祉事業所の空き状況把握とマッチング支援」「高齢者を含む誰もが楽しめる居場所づくり」の4つで、募集期間は同年4月15日から5月28日だった。(参考:地域や行政の課題解決に向けた実証実験“ふくやま実験クエスト”|NEWSCAST)採択されたのは、IoTセンサーで天然記念物の植物が生息する自然環境をリアルタイムに把握するSCSK株式会社の案件(株式会社Skeedが協力)と、リアルとデジタルを掛け合わせて多世代が参加するコミュニティ形成を支援する福山電業株式会社の案件だった。(参考:ふくやま実験クエスト 支援事業一覧|福山市)
3. 分野を問わない実証実験の蓄積(2018〜2025年)
両事業を通じて、モビリティ・決済といった典型的なスマートシティ分野にとどまらず、実に幅の広い実証実験が積み上がった。指静脈認証による生体認証決済(東芝テック・アララ・日立製作所と地場スーパーのエブリイ、2019年)、電動キックボードの走行実証(Luup、2019年)、AIによる認知機能低下予測付き見守りライト(ユニマット リタイアメント・コミュニティ、NTTレゾナント、TIS、2020年)、簡易水位計・河川監視システム(ソフトバンクや太陽誘電など、2020〜2022年)、出没検知センサーによる鳥獣対策(株式会社電信、2021年)、ガソリンスタンドの店舗網を拠点として活用したドローンのシェアリング(ツネイシCバリューズ、ENEOSホールディングス、センシンロボティクス、2022年)、福山大学による海中探査ロボットの実証(2021〜2023年)、福山デニム素材を使ったIoTペットウェア(関西大学、ソフトバンク、帝人フロンティア、篠原テキスタイル、2023年)などが、いずれも「まるごとサポート事業」の枠組みで実施されている。(参考:実証実験まるごとサポート事業 支援事業一覧|福山市)
持ち込み型と逆提案型の二枚看板
「まるごとサポート事業」(企業起点で技術シーズを随時受け止める)と「実験クエスト」(行政起点で課題を明示し解決策を募る)を両輪で運営した点が特徴である。前者だけでは市の困りごとに技術提案が向かうとは限らず、後者だけでは企業側のシーズ発掘の間口が狭くなる。福山市はこの2つを別事業として並走させることで、シーズ起点とニーズ起点の双方から実証実験を集める体制を作った。
大型実証とは別レーンでの軽量運用
内閣府の近未来技術等社会実装事業や国土交通省のスマートシティモデル事業に紐づく自動運転・MaaS実証は、独立した推進体制と数千万円規模の交付金で運営される一方、「まるごとサポート事業」「実験クエスト」は小口の補助金と、非資金型の支援(場所調整、広報、許認可の橋渡し、モニター募集)を中心に据えた。大型実証とは別レーンに軽量な受け皿を用意したことで、予算規模の大きくない技術シーズや、単発・短期間の検証にも間口を開けた。
行政の"地味な困りごと"まで公募対象にした点
実験クエストが提示した課題は、交通や決済のような定番のスマートシティ領域ではなく、天然記念物のモニタリング、防草対策、障がい福祉施設の空き状況マッチング、高齢者の居場所づくりといった、担当課レベルの具体的な行政課題だった。スマートシティ関連の実証実験が交通・エネルギー・観光に集中しがちな中、地味だが現場ニーズの強い分野にまで公募の対象を広げたことは、この事例の独自性といえる。
実証で終わらせない導線が一部で確認できる
見守りライトの案件(ユニマット リタイアメント・コミュニティほか、2020年)では、実証実験終了後、この事業を実施した企業が取得データをもとにしたレポート機能を備えた見守りライトを商品化し、市場での販売を始めたことが確認されている。すべての案件がこうした事業化につながったわけではないが、単なる「実験場所の貸し出し」にとどまらず、実装・商用化への足がかりとして機能した例が少なくとも1件記録されている点は注目に値する。(参考:実証実験まるごとサポート事業 支援事業一覧|福山市)
公開されている実績資料をもとに集計すると、2018年度から2024年度にかけて「まるごとサポート事業」で13件、「実験クエスト」で4件、合計17件の実証実験がこの枠組みで実施・支援された(内閣府事業に紐づく自動運転・オンデマンド乗合タクシー等の大型実証は含まない)。(参考:実証実験まるごとサポート事業 支援事業一覧|福山市、ふくやま実験クエスト 支援事業一覧|福山市)
個別案件の成果は定性的な評価が中心である。ガソリンスタンドの店舗網を拠点として活用したドローンシェアリングは「全国初」の試みと位置づけられ、貸出・受け渡しの手続き上の課題を洗い出せたと報告されている。河川監視システムでは、大雨時の水位上昇が想定より短時間で起きることをデータから把握できたことや、「リモートで現場状況が把握でき、職員が現地対応するまでの時間が早くなった」という利用者の声が確認された。鳥獣の出没検知センサーは蔵王学区の8カ所に設置され、設置期間中、最も検知数の多かった地点では200回を超える検知を記録し、出没位置の傾向を地図上で可視化できたと報告されている。電動キックボードの実証では、約100名が試乗し、多くの参加者が自転車と同程度の安全性を感じたとのアンケート結果が得られた。(参考:実証実験まるごとサポート事業 支援事業一覧|福山市)
実験クエストの2案件のうち、BOCCO emoによる買い物支援は2023年11月から2024年1月までの約3カ月間の短期実証として実施された(竹チップ・筏チップによる防草事業は開始時期のみ確認でき、終了時期は公開資料からは確認できない)。いずれも操作性や効果の検証結果は報告されているものの、その後の本格導入や事業化に至ったかどうかは、2026年9月時点で確認できる公開情報からは判断できない。(参考:ふくやま実験クエスト 支援事業一覧|福山市)
2025年4月時点で、「まるごとサポート事業」「実験クエスト」はいずれも新規受付を終了している。この終了時期は、福山市が「ふくやまICT戦略」に続く「福山市デジタル戦略」(2025〜2030年度)を策定した時期と重なっているが、新戦略のもとで実証実験の受け皿がどのような形に再編されるかは、参照した公開資料からは確認できなかった。(参考:これまでの実証実験(サポート実績)|福山市、福山市デジタル戦略を策定しました|福山市)
大型実証と並走できる「軽量な受け皿」を別枠で持つ
自動運転やMaaSのような数千万円規模・複数年にわたる大型実証は、多くの自治体にとって国の補助事業採択が前提となり件数を絞らざるを得ない。福山市は、それとは別に小口の補助と非資金型支援を軸にした軽量な受け皿を用意し、7年近くにわたって多品種・少額の実証実験を継続的に受け入れた。財政規模の大きくない自治体でも、大型実証の有無にかかわらず「まず試せる窓口」を安価に持続させられることを示す設計といえる。
持ち込み型だけに頼らず、行政課題を明示する公募を重ねる
企業からの技術提案を待つだけの窓口では、提案の量や分野が偶発的になり、行政が本当に解決したい課題に結びつくとは限らない。福山市は持ち込み型の運用を数年重ねた後、コロナ対応のテーマ制公募を経て、行政課題を先に提示して解決策を募る「実験クエスト」という逆提案型の枠組みを付加した。実証実験の受け入れ体制を立ち上げる自治体にとって、「まず窓口を作り、運用しながら課題提示型を重ねる」という順序は再現性のある参考例になる。
公募テーマをスマートシティの定番領域に限定しない
実験クエストが天然記念物のモニタリングや防草対策、福祉施設のマッチングといった庁内の細かな行政課題まで公募対象にした点は、スマートシティ施策が交通・エネルギー・観光に偏りがちな中で、他地域が公募テーマを設計する際の視点を広げる材料になる。特定の技術分野を指定せず「解決したい課題」を提示する方式は、庁内のどの部署にとっても実証実験を活用する入り口になり得る。
「実証件数」の先にある実装率の可視化が次の課題
一方で、16件の実証実験のうち本格導入や事業化まで公開情報で追跡できた案件は限定的だった(見守りライトの一般販売化が確認できた程度)。実証実験を数多く受け入れる制度は「試せる場」としての価値を示した一方、実証後にどれだけの案件が実装・事業化に進んだかを継続的に追跡し公表する仕組みまでは、少なくとも参照した公開資料からは確認できなかった。同種の制度を設計する他自治体にとっては、受け入れ件数だけでなく、実証後の追跡・公表の仕組みをあらかじめ組み込んでおくことが、制度の効果を検証可能にするうえでの課題として示唆される。
2026年9月時点の調査内容に基づいて作成
この記事は公開情報に基づき、AIを用いた詳細調査により作成されました。記事内容への修正依頼、お問合せ等は以下までお寄せください。
問い合わせ:support@groove-designs.com
よくあるご質問(FAQ)もあわせてご確認ください。
#
総合計画
#
まちづくり指針
#
エリアビジョン
#
景観計画
#
緑の基本計画
#
公共空間活用
#
ウォーカブル
#
公園活用
#
防災・減災
#
空き家活用
#
エリアプラットフォーム
#
公民連携プラットフォーム
#
公民連携
#
地域コミュニティ
#
地域交流拠点
#
多文化共生
#
子育て支援
#
文化芸術
#
自動運転バス
#
モビリティマネジメント
#
モビリティハブ
#
関係人口
#
移住促進
#
探究学習
#
グリーンインフラ
#
生物多様性
#
参加型予算
#
都市整備
#
まちなか
#
駅前広場
#
協働のまちづくり
#
リノベーションまちづくり
#
フューチャーセンター
#
スマートシティ
#
AI
#
リビングラボ
#
空きスペース活用
#
居場所づくり
#
子ども食堂
#
沿線まちづくり
#
健康
#
社会教育
#
持続可能な都市
#
計画策定
#
まちづくり
#
コミュニティ形成
#
ワークショップ
#
社会実験
#
市民参加
#
子ども・若者
#
子育て世代
#
シニア