
杉並区空家等対策計画・特定空家等への対応
杉並区は2016年策定・2023年改定の空家等対策計画のもと、放置すれば危険な特定空家等とその予備群である管理不全空家等を二段階で判定し、指導から除却まで段階的に対応。民間事業者と協働した相談窓口・マッチング支援も両輪で推進する。
杉並区は2016年(平成28年)8月に「杉並区空家等対策計画」を策定し、2023年(令和5年)4月に改定した。計画は「空家等の発生抑制と適正な管理」「空家等の利活用の促進」「管理不全な空家等への対応」の3本柱に、多様な主体との連携を加えた枠組みで、区内の空き家問題に総合的に対応している。(参考:空家等対策計画のご案内|杉並区公式ホームページ、杉並区空家等対策計画|杉並区公式ホームページ)
この事例の特徴は、危険な状態に至る前の「管理不全空家等」と、既に著しく危険・不衛生な状態にある「特定空家等」を区分し、二段階で判定・対応する仕組みを整えている点にある。2026年2月27日時点で、特定空家等は10件を判定し8件を除却済み、管理不全空家等は20件を判定している。並行して、民間事業者と協働した相談窓口やマッチング支援により、規制的な対応だけでなく利活用の促進にも取り組んでいる。(参考:特定空家等への対応|杉並区公式ホームページ、管理不全空家等への対応|杉並区公式ホームページ)
全国的な人口減少・高齢化を背景に空き家問題が広がるなか、杉並区内でも管理の行き届かない空き家で老朽化や庭木の繁茂が進み、近隣の建物や住民の生活環境に支障をきたすケースが顕在化してきたことが、対策に着手する契機となった。(参考:空家等対策|杉並区公式ホームページ)
こうした状況を受けて国は2014年(平成26年)11月に「空家等対策の推進に関する特別措置法」を制定し、2015年(平成27年)5月26日に施行した。同法により、放置すれば倒壊等著しく保安上危険となるおそれがある、または著しく衛生上有害となるおそれがある空き家を「特定空家等」と定義し、市区町村長が所有者に対して助言・指導、勧告、命令等の措置を講じられる法的枠組みが整えられた。杉並区の空家等対策計画は、この法律に基づく法定計画として2016年8月に策定されている。(参考:特定空家等への対応|杉並区公式ホームページ)
2023年の改定は、単独の見直しではなく、上位計画である杉並区住宅マスタープランの改定に合わせて行われた点が特徴である。区はこれまでの空家等対策の成果と課題を踏まえつつ、「住宅都市としての価値を更に高め、暮らしやすく良好な住環境を実現する」ことを改定の目的として掲げている。(参考:空家等対策計画のご案内|杉並区公式ホームページ)
1. 計画改定の検討プロセス
改定にあたっては、区長の附属機関である杉並区空家等対策協議会が2021年12月から2023年1月にかけて検討・審議を重ねた。2021年12月14日にこれまでの取り組みと課題を整理し、2022年6月29日に素案を検討、同年8月30日に素案を修正した上で、2023年1月17日に計画案を答申している。その後、2023年2月22日から3月27日にかけて区民等の意見提出手続き(パブリックコメント)を実施し、意見3件・延べ6項目を踏まえて同年4月に計画を最終決定した。行政主導の検討に加えて外部有識者による協議会と区民意見聴取の両方を経て改定するプロセスを踏んでいる。(参考:空家等対策計画のご案内|杉並区公式ホームページ)
2. 二段階の実態把握・判定フロー
杉並区は、空き家実態調査や区民からの相談に伴う現地調査・立入調査を通じて空き家の管理状況を把握し、「管理状況判定票」や「特定空家等判定票」といった判定基準に基づいて対応レベルを判断している。適切な管理が行われず、放置すれば特定空家等に該当するおそれがある段階は「管理不全空家等」として指導・勧告の対象とし、既に倒壊等の危険や衛生上の問題が著しい段階は「特定空家等」として助言・指導から勧告、命令へと段階的に法的措置を強めていく仕組みになっている。(参考:管理不全空家等への対応|杉並区公式ホームページ、特定空家等への対応|杉並区公式ホームページ)
3. 利活用促進の相談窓口とマッチング支援
区は住宅課空家対策係に空き家問題全般の相談窓口を一元化し、月1回の無料相談会では弁護士・司法書士・宅地建物取引士など複数分野の専門家が対応する。加えて、民間事業者である株式会社細田工務店と協働協定を結び、電話・メール・フォームによる相談受付や、売却・賃貸・リフォームといった活用方法の相談支援を委ねている。この窓口では、空き家所有者と地域貢献活動を希望する団体・個人とを結びつけるマッチング支援も行っており、内覧会の開催など伴走型の支援を継続している。(参考:杉並区空家等利活用相談窓口|杉並区公式ホームページ、空家等対策|杉並区公式ホームページ)
4. 除却費用の助成制度
倒壊の危険性が高い特定空家等またはそれに準じる建築物を解体する所有者に対しては、老朽危険空家除却費用の助成制度を設けている。対象は個人所有かつ住宅部分の延床面積が2分の1以上で年間を通じて使用されていない建物に限られ、共同住宅・長屋の場合は全住戸が空室であることが条件となる。複数の所有者がいる場合は全員の同意が必要で、住民税を滞納していないことなど申請者側の要件も設けられている。(参考:老朽危険空家除却費用の助成制度|杉並区公式ホームページ)
予防段階と危険段階を切り分けた二段階判定
多くの自治体の空家対策が「特定空家等」への該当可否のみを判定基準とするのに対し、杉並区は特定空家等に至る前段階の「管理不全空家等」を独立したカテゴリーとして設け、早期の指導・勧告の対象としている。2026年2月時点で管理不全空家等の判定件数(20件)が特定空家等の判定件数(10件)を上回っており、危険度が著しく高まる前の段階で行政が関与する運用が実際に機能していることがうかがえる。(参考:管理不全空家等への対応|杉並区公式ホームページ、特定空家等への対応|杉並区公式ホームページ)
規制と利活用促進を両輪で進める体制
特定空家等・管理不全空家等への法的対応という規制的な側面と、民間事業者と協働した相談窓口・マッチング支援による利活用促進という2つの機能を、同じ住宅課空家対策係が一元的に担っている。所有者にとっては「除却・是正を求められる窓口」と「活用方法を相談できる窓口」が分かれていないため、規制と支援のどちらの入口からも同じ相談体制につながる設計になっている。(参考:空家等対策|杉並区公式ホームページ、杉並区空家等利活用相談窓口|杉並区公式ホームページ)
上位計画と連動した改定タイミングの設計
2023年の計画改定は、単独のスケジュールではなく上位計画である住宅マスタープランの改定に合わせて実施された。空家等対策を住宅政策全体の一部として位置づけ、整合性を保ちながら改定するタイミング設計は、個別計画が乱立しがちな自治体の政策体系において参考になる点である。(参考:空家等対策計画のご案内|杉並区公式ホームページ)
約10年にわたる継続的な実態調査
区は2013年11月、2019年9月、2025年3月の3回にわたり空き家実態調査を実施し、報告書として公表している。約6年間隔で調査を繰り返すことで、空き家の発生・解消状況を定点観測し、計画改定や施策の見直しの基礎データとして活用できる体制を10年以上にわたり維持している。(参考:空き家実態調査報告書|杉並区公式ホームページ)
特定空家等の判定・除却実績
2026年2月27日時点で、特定空家等として10件を判定し、うち8件(8割)の除却が完了している。特定空家等は法的措置の対象となる最も深刻な段階であるため、判定された物件の大半が最終的に除却まで至っている点は、助言・指導から勧告、命令に至る段階的な法的措置の枠組みが実効性を持って機能していることを示している。(参考:特定空家等への対応|杉並区公式ホームページ)
管理不全空家等への早期対応の広がり
同時点で管理不全空家等は20件が判定されている。特定空家等に該当する手前の段階で20件を捕捉できていることは、実態調査や区民相談を通じた早期発見の仕組みが一定程度機能していることを示す一方、今後これらの物件がどの程度改善に至るかは、これから積み重なるデータで検証が必要な段階にある。(参考:管理不全空家等への対応|杉並区公式ホームページ)
3回の実態調査によるデータ基盤の蓄積
2013年、2019年、2025年の3回にわたる実態調査により、区は10年以上のスパンで空き家の状況変化を把握できるデータ基盤を構築している。個別の調査結果の詳細な数値は報告書本体に記載されているが、こうした定点調査の継続自体が、場当たり的でない政策立案の土台になっている。(参考:空き家実態調査報告書|杉並区公式ホームページ)
杉並区の取り組みからは、他地域でも再現可能な示唆がいくつか見て取れる。第一に、「特定空家等」の判定のみに頼らず、その手前の段階を独立したカテゴリーとして運用する二段階の判定制度は、法律上の枠組みを超えた自治体独自の工夫であり、条例や運用要綱の整備によって他自治体でも導入しやすい仕組みである。特定空家等としての判定を待ってから対応するのではなく、管理不全の兆候が見えた時点で指導に入ることで、行政代執行のような重い手段に頼らずに解決できる可能性を広げられる。
第二に、規制窓口と利活用相談窓口を同一の係に一元化し、民間事業者との協働によって相談対応のキャパシティを補う体制は、専門人員を十分に確保しにくい自治体でも取り入れやすいモデルといえる。所有者から見て「相談する窓口が一つである」ことは、放置せず早期に相談する動機付けにもつながりやすい。
第三に、計画改定を単独で行うのではなく、住宅政策全体を扱う上位計画の改定サイクルに合わせるという設計は、個別計画が乱立し整合性を欠きがちな自治体の政策体系全体を見直す際の参考になる。空家対策を独立した課題としてではなく、住宅政策の一部として位置づけることで、施策間の矛盾を避けやすくなる。
一方で、特定空家等の除却が進んでいる背景には、法律に基づく強制力のある措置と老朽危険空家の除却費用助成を組み合わせている点が寄与していると考えられ、判定・指導の仕組みだけでなく、所有者が実際に除却や改善に動きやすくする経済的な後押しをセットで設計することも、他地域が参考にできるポイントである。
2026年8月時点の調査内容に基づいて作成
この記事は公開情報に基づき、AIを用いた詳細調査により作成されました。記事内容への修正依頼、お問合せ等は以下までお寄せください。
問い合わせ:support@groove-designs.com
よくあるご質問(FAQ)もあわせてご確認ください。
#
総合計画
#
まちづくり指針
#
エリアビジョン
#
景観計画
#
緑の基本計画
#
公共空間活用
#
ウォーカブル
#
公園活用
#
防災・減災
#
空き家活用
#
エリアプラットフォーム
#
公民連携プラットフォーム
#
公民連携
#
地域コミュニティ
#
地域交流拠点
#
多文化共生
#
子育て支援
#
文化芸術
#
自動運転バス
#
モビリティマネジメント
#
モビリティハブ
#
関係人口
#
移住促進
#
探究学習
#
グリーンインフラ
#
生物多様性
#
参加型予算
#
都市整備
#
まちなか
#
駅前広場
#
協働のまちづくり
#
リノベーションまちづくり
#
フューチャーセンター
#
スマートシティ
#
AI
#
リビングラボ
#
空きスペース活用
#
居場所づくり
#
子ども食堂
#
沿線まちづくり
#
健康
#
社会教育
#
持続可能な都市
#
計画策定
#
まちづくり
#
コミュニティ形成
#
ワークショップ
#
社会実験
#
市民参加
#
子ども・若者
#
子育て世代
#
シニア