
NPO法人すぎなみ環境ネットワーク
1971年の「杉並ごみ戦争」を原点に、行政・市民・事業者の三者協働で30年以上活動を続ける環境NPO。集団回収支援や環境講座を通じ、約10万世帯の区民とともに持続可能な地域づくりを実践している。
NPO法人すぎなみ環境ネットワークは、杉並区を拠点に環境保全活動を展開する市民主導の組織である。1994年に「杉並リサイクル協会」として設立され、2003年にNPO法人化した。163名の会員と35名の職員・スタッフが、杉並区立環境活動推進センターを拠点に、年間100回以上の環境講座、474団体・約9万7千世帯を対象とする集団回収事業の管理、フードドライブなど多様な事業を展開している。 (参考:すぎなみ地域コム、すぎなみ学倶楽部)
設立以来、行政・市民・事業者による「三者協働」という運営形態を30年以上にわたって実践してきた点が最大の特徴である。単なるリサイクル推進にとどまらず、地域コミュニティの維持や環境意識の醸成にも寄与している。
この組織の誕生を理解するには、1971年に勃発した「杉並ごみ戦争」を知る必要がある。高度経済成長期の東京では、23区のごみの7割が江東区に集中し、毎日5,000台以上のごみ収集車が区内を走行していた。悪臭やハエの大量発生、交通渋滞が深刻化し、江東区民の生活は著しく脅かされていた。
問題の発端は1966年11月、東京都が住民への事前説明なく「高井戸に清掃工場を建てる」とチラシ1枚で通知したことだった。予定地には三笠宮殿下も幼少期に訪れた由緒ある藤棚とハス池があり、住民の反発は激しかった。反対する住民らは10日あまりで2万人を超える署名を集め、ゴルフ練習所の鉄塔を見張り所として活用し測量を阻止するなど、組織的な抵抗を展開した。 (参考:すぎなみ学倶楽部)
1971年9月、進展しない計画に業を煮やした江東区議会がごみ持ち込み反対決議を行い、翌日には美濃部亮吉東京都知事が「ゴミ戦争」を宣言。1972年12月には江東区長が杉並区のごみ搬入を道路で阻止する実力行使に出た。その結果、杉並区では収集されないごみが集積所に積み上がり、悪臭とハエが発生する事態となった。
8年間に及ぶ対立は、1974年11月の東京地方裁判所による和解勧告で終結した。この紛争は杉並区民の環境意識を大きく変えた。「ごみ処理を行政任せにしていてはいけない」という自覚が芽生え、1973年には杉並区消費者グループが「第一回不用品交換会」を開催。これが杉並区における市民主導の環境活動の始まりとなった。 (参考:すぎなみ環境ネットワーク)
和解条件として建設された「高井戸市民センター」は現在も図書室やプール、保育施設を備えた複合施設として地域に貢献している。1982年に竣工した杉並清掃工場は、2017年の建て替えを経て、23区で唯一「ごみ焼却の炎の熱を体感できる見学ルート」を持つ環境教育施設となっている。 (参考:すぎなみ学倶楽部)
1974年、東京都の交付金制度により集団回収事業が開始された。当初は17の大規模町会のみの参加だったが、1991年に15世帯程度の小規模な団体でも参加できるよう要件が緩和され、同年10月には249団体・2万世帯まで拡大した。こうした集団回収活動を統括する組織として、1994年に「杉並リサイクル協会」が設立された。 (参考:すぎなみ環境ネットワーク)
しかし1999年、区内全域で行政による資源回収が開始されると、集団回収団体は450から半減するという危機に直面した。このとき再認識されたのが、集団回収が持つ独自の価値だった。報奨金は地域防災や敬老会、子供会の行事などに活用され、単なるごみ回収を超えた地域活動の基盤となっていた。 (参考:杉並区公式サイト)
こうした価値を発展させるため、2003年1月にNPO法人化。2014年12月には高井戸駅前に杉並区立環境活動推進センターがオープンし、活動拠点を確立した。 (参考:内閣府NPOポータル)
NPO法人すぎなみ環境ネットワークの活動は、3つの分野で構成されている。
1. もったいないの精神を活かす事業
不用品のリユース、集団回収の推進、フードドライブなど、資源を無駄にしない取り組みを展開する。環境活動推進センター1・2階の「リサイクルひろば高井戸」では、区民から寄付された食器・衣類・生活雑貨を格安で販売している。寄付の受け付けにあたってはひびや欠け、汚れのある品物は対象外としており、良質な品物のみを扱うことで利用者の信頼を得ている。 (参考:すぎなみ環境ネットワーク)
集団回収事業では、杉並区から委託を受けて登録受付と報奨金支払い業務を実施。2023年6月時点で474団体・約97,140世帯が参加している。一般団体には1キログラムあたり6円、町会・自治会には同7円の報奨金が支給され、地域活動の資金として還元されている。 (参考:すぎなみ環境ネットワーク)
2. みどりに親しみ、知り、育てる事業
自然観察会、野鳥観察会、森林ボランティア活動など、自然環境との関わりを深める取り組みを行う。野川公園での観察会や里山体験、「セミの羽化」観察、「ネイチャーゲーム」など、体験型プログラムを重視している。 (参考:すぎなみ学倶楽部)
3. 環境を意識した暮らし方とコミュニティづくり事業
環境講座、エコイベント、地域連携など、持続可能な地域社会づくりに取り組む。石けん作り、布ぞうり製作、太陽光発電基礎講座など、年間100回以上の講座を開催している。副理事長の浅岡八枝子氏は、知識を伝えるだけの講座では参加者が集まりにくいと語り、体験型プログラムの重要性を強調している。 (参考:すぎなみ学倶楽部)
区内小中高等学校への出張環境学習支援も重要な活動の一つである。「総合的な学習の時間」での「ヤゴ救出大作戦」「五感を使って春(秋)をさがそう」、高等学校の「人間と社会」での授業など、幅広い年齢層を対象としたプログラムを提供している。
2025年7月には、食品トレー製造大手の株式会社エフピコと共同で「環境出前授業」を開催。参加した21名の子どもと保護者が、食品トレーやペットボトルのリサイクルについて学び、VRを使ったリサイクル工場見学体験や「プラ板キーホルダー」制作を行った。企業のノウハウや資源を活用した環境学習プログラムとして注目される。 (参考:PR TIMES)
「すぎなみエコ路地フェスタ」は、「ストップ!温暖化 いま私たちにできること」をテーマに、区内で活動する環境団体がパネル展示、ワークショップ、トークショーを行う環境イベントである。環境活動推進センターを会場に、毎年秋に開催されている。 (参考:すぎなみ学倶楽部)
最大の特徴は、1994年の設立以来30年以上にわたって「行政・市民・事業者の三者協働」を実践してきた点である。行政だけでも市民だけでも事業者だけでもなく、三者が対等な立場で環境問題に取り組むという当時としては画期的なモデルだった。杉並区からの委託事業と自主事業を組み合わせることで、持続可能な運営体制を確立している。
「杉並ごみ戦争」という対立の経験を、協働による環境活動という形で昇華させた点も特筆される。かつての紛争の舞台となった高井戸地区に活動拠点を置き、清掃工場は環境教育施設として活用されている。対立から協働への転換という歴史は、組織のアイデンティティの根幹をなしている。
環境講座では、座学よりも体験型プログラムを重視している。自然体験やものづくり講座は特に人気が高く、募集時に定員の約10倍の応募が集まることもある。この人気は、区民の環境活動への関心の高さを示すと同時に、プログラム設計の工夫が奏功していることを物語る。
集団回収事業は単なる資源回収にとどまらず、地域コミュニティを維持する機能を果たしている。報奨金は地域防災、敬老会、子供会の行事などに活用され、住民同士のつながりを生み出している。また、集団回収には資源持ち去り防止効果もある。
会員数は2023年7月の約150名から2025年7月の163名へと約8.7%増加している。 (参考:すぎなみ地域コム)
集団回収事業
| 年度 | 登録団体数 | 参加世帯数 |
|---|---|---|
| 1991年 | 249団体 | 約20,000世帯 |
| 2009年 | 374団体 | 約70,000世帯 |
| 2018年 | 525団体 | 約99,949世帯 |
| 2023年 | 474団体 | 約97,140世帯 |
1999年の行政回収開始により一時半減した団体数は、2014年に450団体台まで復活。これは15年かけて集団回収の価値が再評価された証である。ただし2018年以降は再び減少傾向にあり、地域コミュニティの希薄化への対応が課題となっている。 (参考:すぎなみ環境ネットワーク)
環境講座
リサイクルひろば高井戸
行政・市民・事業者が対等な立場で環境問題に取り組む「三者協働」モデルは、他地域でも応用可能である。ポイントは、行政からの委託事業と自主事業を組み合わせることで、財政的な持続可能性と活動の自由度を両立させている点にある。
杉並区では「ごみ戦争」という対立経験が、その後の環境活動を支える原動力となった。地域固有の歴史や経験を、活動のアイデンティティとして位置づけることで、住民の参加意識を高めることができる。
集団回収は資源回収だけでなく、地域コミュニティの維持、報奨金による地域活動への還元、資源持ち去り防止など多様な機能を持つ。行政回収が整備された地域でも、集団回収を継続・発展させる意義は大きい。
「座学では人が集まらない」という現場の声は、環境教育のあり方を示唆している。自然観察、ものづくり、VR体験など、五感を使った体験型プログラムが区民の参加意欲を高める上で効果的である。
2026年3月時点の調査内容に基づいて作成
この記事は公開情報に基づき、AIを用いた詳細調査により作成されました。記事内容への修正依頼、お問合せ等は以下までお寄せください。
#
総合計画
#
まちづくり指針
#
エリアビジョン
#
景観計画
#
緑の基本計画
#
公共空間活用
#
ウォーカブル
#
公園活用
#
防災・減災
#
空き家活用
#
エリアプラットフォーム
#
公民連携プラットフォーム
#
公民連携
#
地域コミュニティ
#
地域交流拠点
#
多文化共生
#
子育て支援
#
文化芸術
#
自動運転バス
#
モビリティマネジメント
#
モビリティハブ
#
関係人口
#
移住促進
#
探究学習
#
グリーンインフラ
#
生物多様性
#
参加型予算
#
都市整備
#
まちなか
#
駅前広場
#
協働のまちづくり
#
リノベーションまちづくり
#
フューチャーセンター
#
スマートシティ
#
AI
#
リビングラボ
#
空きスペース活用
#
居場所づくり
#
子ども食堂
#
沿線まちづくり
#
健康
#
社会教育
#
持続可能な都市
#
計画策定
#
まちづくり
#
コミュニティ形成
#
ワークショップ
#
社会実験
#
市民参加
#
子ども・若者
#
子育て世代
#
シニア