
台東区・ZERO株式会社 食品ロス・CO2削減連携協定(fuubo設置)
この記事は、my grooveを運営する株式会社Groove DesignsがAIを活用し独自に調査・作成したものです。
台東区が2023年1月に区内発スタートアップのZERO株式会社と締結した食品ロス・CO2排出削減の連携協定と、都内自治体で初めて区役所内に設置した無人販売機「fuubo」の、3年以上にわたる継続運用の実態を検証した事例。
台東区は2023年1月17日、区内に本社を置くスタートアップ企業ZERO株式会社と「食品ロス及びCO2排出削減の推進に関する連携協定」を締結した。協定に基づき同年4月3日、食品ロス削減無人販売機「fuubo(フーボ)」を台東区役所1階(浅草側、自動販売機横)に設置し、稼働を開始した。都内の自治体庁舎への導入としては初めての事例となった。 (参考:都内自治体の導入初!台東区と「食品ロス・CO2削減に関する協定」を締結しました。、台東区役所にfuuboを設置しました(台東区公式))
fuuboは、パッケージ変更や賞味期限が近いことなどを理由に通常の流通に乗らなくなった食品を、専用サイトでの事前登録・オンライン決済を経て割引価格で購入できる無人販売機である。購入者は注文後に届くURLからQRコードを読み取って施錠を解除し、商品を受け取る。台東区役所内のfuuboは区役所の開庁時間内であればいつでも受け取りが可能で、水曜窓口延長時間や日曜開庁時にも対応している。 (参考:「fuubo(フーボ)」の利用で食品ロス削減!温室効果ガスも削減!(台東区公式))
協定締結から2026年9月時点で3年半近くが経過しているが、fuuboは区役所内で稼働を継続しており、区は温室効果ガス削減貢献量を月次で公表するなど、設置時の話題づくりにとどまらない運用を続けている。 (参考:「fuubo(フーボ)」の利用で食品ロス削減!温室効果ガスも削減!(台東区公式))
台東区は2021年3月に「台東区食品ロス削減推進計画」を策定し、国の「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」に準じて、2030年度までに食品ロス量を2000年度比で半減させる目標を掲げていた。区内で発生する食品ロスは、東京都の事業系食品ロス量推計と区内の業種別売上高比率から推計した事業系約4,360トン、令和元年度廃棄物排出実態調査に基づく家庭系約3,859トン(区民1人1日あたり52.0グラム)にのぼると見積もられており、家庭・事業者の双方にまたがる課題として整理されていた。 (参考:台東区食品ロス削減推進計画 第4章(台東区公式))
同計画策定の前提となった令和元年度の区民アンケート(n=579)では、「できる範囲で実践している」が83.2%、「本格的に実施している」が5.9%と、あわせて約9割の家庭が食品ロス削減に何らかの形で取り組んでいると回答していた。一方で「実践していない」も7.4%存在しており、区は方針の策定だけでなく、家庭や来庁者が実践のきっかけをつかめる具体的な仕組みづくりを求められていた。 (参考:台東区食品ロス削減推進計画 第4章(台東区公式))
fuuboを開発・運営するZERO株式会社は2021年にサービスを開始した台東区東上野本社のスタートアップで、駅構内やオフィスを中心に導入を拡大し、2022年6月時点で全国34か所に設置していた。一方、都内の自治体庁舎への導入実績はまだ存在していなかった。区の担当者は2022年7月、JR中央線沿線の駅にfuuboが導入されたという記事を目にした。ちょうど食品ロス削減推進計画の策定を終え、新技術を取り入れた施策を検討していた時期と重なったことから、ZERO株式会社に接触した。地元企業との連携・支援という側面も、区が協定締結に動いた決定要因の一つとなっている。 (参考:食品ロス削減を目的に生まれた日本初の無人販売機『fuubo』。取り組みの裏にある“思い”とは(SDGs MAGAZINE)、fuuboの設置エリア拡大が決定!(STRAIGHT PRESS)、【導入インタビュー】台東区が選んだ、新しいフードロス対策(ZERO株式会社note))
導入検討にあたっては、いくつかの懸念も存在した。無人販売機であることによる防犯面の不安(「扉が開いた際に全ての商品が取れてしまうのでは」という懸念)、高齢者の多い地域特性を踏まえたキャッシュレス決済への対応、庁舎内での設置場所の確保に加え、都内の自治体庁舎への導入実績が一件もない前例のなさが、最大のハードルだったという。 (参考:【導入インタビュー】台東区が選んだ、新しいフードロス対策(ZERO株式会社note))
1. 連携協定の締結(2023年1月17日)
台東区とZERO株式会社は、食品ロスの有効活用促進、食品ロス及びCO2排出削減に向けた普及啓発、環境教育の推進の3点を柱とする連携協定を締結した。当時の服部征夫区長は「食品ロスを削減するためには、一人ひとりが『もったいない』の心を育み、区民・事業者・来街者・区などみんなで取り組むことが必要」とコメントしている。 (参考:台東区とZERO株式会社との連携協定締結について(台東区公式)、都内自治体の導入初!台東区と「食品ロス・CO2削減に関する協定」を締結しました。(ZERO株式会社プレスリリース))
2. fuuboの設置と懸念点への対応(2023年4月3日)
協定締結から約2か月半後、台東区役所1階の浅草側、既存の自動販売機の隣という目立つ場所にfuuboを設置し、稼働を開始した。防犯面については、購入者本人しかロック解除できない専用サイト経由の認証システムと防犯カメラの搭載で対応し、設置場所についても最終的に来庁者の目に触れやすい1階を選んでいる。 (参考:都内自治体で初導入 台東区役所にfuuboを設置(ZERO株式会社プレスリリース)、【導入インタビュー】台東区が選んだ、新しいフードロス対策(ZERO株式会社note))
3. 区内事業者の随時募集による供給網の拡大
区は個包装済み・常温配送可能・賞味期間1か月以上残存という条件を満たす区内事業者を随時募集しており、清掃リサイクル課が窓口となって受け付けている。fuuboに並ぶ商品の供給元を区内経済にも広げる設計になっている。 (参考:食品ロス削減無人販売機「fuubo(フーボ)」に商品を提供したい区内事業者を随時募集しています(台東区公式))
4. 運用の継続とメディア露出への対応
設置直後はメディア報道によって認知度が急速に高まり、問い合わせが増加したが、案内体制を整えることで対応した。2026年9月時点でも区は月次の温室効果ガス削減貢献量を公式サイトで公表し続けており、設置イベントを単発の話題づくりで終わらせず、日常的な取り組みとして運用している。 (参考:【導入インタビュー】台東区が選んだ、新しいフードロス対策(ZERO株式会社note)、「fuubo(フーボ)」の利用で食品ロス削減!温室効果ガスも削減!(台東区公式))
1. 「協定」という形式によるコミットメントの明確化
単にベンダーの製品を庁舎の一角に置くという調達的な導入ではなく、区長とZERO株式会社が連携協定を締結するという形式を取ったことで、食品ロス削減・CO2排出削減・環境教育という3つの目的が対外的に明文化された。これにより、fuuboの設置自体が区の食品ロス削減推進計画を体現する象徴的な取り組みとして位置づけられ、単なる福利厚生的なサービス導入とは異なる公共的な意味づけがなされている。
2. 地元スタートアップとの連携という選定理由
台東区がZERO株式会社を選んだ決定要因の一つは、同社が区内(東上野)に本社を置くスタートアップであったことだった。全国に展開実績のある事業者だからという理由だけでなく、地域に根ざした企業と組むことで、環境施策と地域企業支援を同時に進める狙いが背景にあった点は、単純な環境配慮機器の導入以上の意味を持つ。 (参考:【導入インタビュー】台東区が選んだ、新しいフードロス対策(ZERO株式会社note))
3. 前例のなさへの正面からの対応
導入検討時点で都内自治体庁舎での導入実績はゼロであり、防犯面やキャッシュレス対応への懸念が先行しやすい状況だった。台東区はこれらの懸念を理由に検討を先送りするのではなく、認証の仕組みや設置場所の工夫で懸念を個別に解消したうえで導入に踏み切っており、前例のない施策に対する自治体としての意思決定プロセスそのものが、他自治体にとって参考になる。 (参考:【導入インタビュー】台東区が選んだ、新しいフードロス対策(ZERO株式会社note))
継続運用と定量データの公表
fuuboは2023年4月の設置以来、2026年9月時点まで台東区役所内での稼働を継続している。区は公式サイト上で温室効果ガス削減貢献量を月次更新しており、直近では月間54kg-CO2相当の削減に貢献したと公表している。これは消費電力445Wの家庭用エアコンを225時間分節電した場合に相当する量で、単発のキャンペーンではなく、継続的な効果測定・情報発信が行われている点が確認できる。 (参考:「fuubo(フーボ)」の利用で食品ロス削減!温室効果ガスも削減!(台東区公式))
フードドライブなど関連施策への波及
ZERO株式会社によるインタビュー記事では、fuuboの設置をきっかけに区が別途実施しているフードドライブへの食品寄付が増加したことが紹介されている。また、区職員の中にもfuuboのヘビーユーザーが存在するといい、庁舎内での日常的な利用習慣として定着しつつある様子がうかがえる。 (参考:【導入インタビュー】台東区が選んだ、新しいフードロス対策(ZERO株式会社note))
利用者数・購入点数等の定量データは非公開
一方で、fuuboの利用者数や商品の累計販売点数、参加事業者数といった定量的な利用実績は、台東区・ZERO株式会社のいずれからも公表されておらず、本調査の範囲では確認できなかった。区が継続的に公表しているのは温室効果ガス削減貢献量のみであり、食品ロス削減量そのもの(重量・金額換算等)についても具体的な数値は確認できていない。
「協定」という枠組みでスタートアップの製品導入を公共的な取り組みへと格上げする
ベンダー調達として一台の機器を置くのではなく、首長名での連携協定という形式を取ることで、担当課だけでなく組織全体の取り組みとして位置づけやすくなる。単体の環境配慮アイテムの導入を検討している他自治体にとっても、協定という枠組み自体が、庁内外への説明や継続的な予算確保を後押しする再現性のある手法といえる。
懸念点を洗い出したうえで個別に潰す導入プロセス
台東区の事例では、防犯・キャッシュレス対応・設置場所という具体的な懸念が事前に整理され、それぞれに対する対応(認証の仕組み、防犯カメラ、目立つ場所への設置)が取られたうえで導入に至っている。前例のなさを理由に検討を止めるのではなく、懸念を要素分解して一つずつ解消するプロセスは、無人サービスや新しい技術の庁舎導入を検討する他自治体でも応用可能である。
地元企業との連携による環境施策と産業振興の両立
全国展開する大手事業者に限らず、区内本社のスタートアップと組んだ台東区の選択は、環境施策を単独の目的とせず、地域企業支援という文脈にも位置づけた点に特徴がある。自治体が地域内にサステナビリティ関連のスタートアップを抱えている場合、環境部局と産業振興部局が連携して同様のスキームを検討する余地があるだろう。
定量的な効果検証は今後の課題
台東区の事例は、月次の温室効果ガス削減貢献量という指標を継続的に公表している点で情報開示が進んでいるが、利用者数や食品ロス削減量そのものといった、施策全体の効果を評価するための定量データは限定的である。他地域で同様の取り組みを検討する際は、導入初期の段階から利用実績や削減効果を体系的に記録・公表する設計を組み込むことが、事例としての説得力を高めるうえで有効と考えられる。
2026年9月時点の調査内容に基づいて作成
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