
台東区・東京メトロ 包括連携協定
この記事は、my grooveを運営する株式会社Groove DesignsがAIを活用し独自に調査・作成したものです。
2024年3月、台東区と東京メトロが締結した東京メトロ初の自治体包括連携協定。魅力発信・脱炭素・子ども体験学習の3テーマを掲げ、大河ドラマ関連の発信や上野駅の期間限定ショップ、銭湯スタンプラリーなど地域事業者を巻き込む継続的な共同事業に発展している事例。
2024年3月12日、台東区(区長:服部征夫)と東京地下鉄株式会社(東京メトロ、代表取締役社長:山村明義)は「台東区と東京地下鉄株式会社との包括連携に関する協定」を締結した。東京メトロにとって自治体と結ぶ初めての包括連携協定であり、「まちの魅力創出及び価値向上」「持続可能な社会の構築」「心豊かな生活の機会創出」の3つのテーマを掲げている。 (参考:台東区と東京メトロとの包括連携に関する協定を締結しました|東京メトロ、台東区と東京メトロとの包括連携に関する協定を締結しました|台東区)
協定締結後は、江戸の歴史文化・観光資源を発信するポスターや動画の展開、区内が舞台の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」に合わせた魅力発信、乗務員による子ども向け体験学習に加えて、2025年3月には上野駅構内での期間限定ショップ「たいとうおやつショップ」、2026年6〜7月には地域の浴場組合と連携した「メトロ銭湯スタンプラリー2026」と、協定に基づく具体的な共同事業が継続的に実施されている。 (参考:東京メトロ×台東区 魅力発信イベント!共同で期間限定「たいとうおやつショップ」をオープンします!|東京メトロ、「東京メトロ×台東銭湯『メトロ銭湯スタンプラリー2026』」を実施します!|東京メトロ)
東京メトロと台東区には歴史的なつながりがある。東京メトロの前身にあたる東京地下鉄道は1927年、上野〜浅草間でアジア初となる地下鉄路線を開業しており、東京メトロの本社も台東区内に置かれている。開業から約100年が経過する中で、単なる鉄道事業者と沿線自治体という関係を超えた連携を模索する土壌があった。 (参考:観光発信や体験学習で連携 台東区と東京メトロが協定|東京新聞)
東京メトロは2023年6月27日、組織改正により部相当の「社会・地域コミュニティ活性化プロジェクトチーム」を新設した。鉄道の安全・安定運行にとどまらず、沿線地域のコミュニティ活性化に事業として取り組む体制を社内に整えたことが、自治体との包括連携協定という枠組みに踏み出す前提となっている。 (参考:台東区と東京メトロとの包括連携に関する協定を締結しました|台東区)
一方、台東区側には上野・浅草という広域から人を集める観光資源を抱えながら、区の歴史文化や地域産業の魅力をより広く発信したいという課題があった。特に区内が中心舞台となるNHK大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」の放送が翌2025年に控えており、この機会を活かした発信力の強化が求められていた。両者の思惑が一致したことが、東京メトロにとって初となる自治体との包括連携協定の締結につながった。 (参考:観光発信や体験学習で連携 台東区と東京メトロが協定|東京新聞、台東区、東京メトロと連携協定 魅力発信で地域活性化へ|日本経済新聞)
1. 東京メトロの組織改正とプロジェクトチーム発足(2023年6月)
東京メトロは2023年6月27日付の組織改正で、部相当の「社会・地域コミュニティ活性化プロジェクトチーム」を新設した。地域との関わりを個別の広報・PR活動としてではなく、専門組織を持つ事業領域として位置づけた点が、その後の自治体との包括連携協定の土台となっている。 (参考:台東区と東京メトロとの包括連携に関する協定を締結しました|台東区)
2. 協定締結と3つの連携テーマの設定(2024年3月)
2024年3月12日、台東区と東京メトロは包括連携協定を締結した。協定では「まちの魅力創出及び価値向上」(台東区・沿線エリアの魅力発信)、「持続可能な社会の構築」(ゼロカーボンシティ実現に向けた取り組み)、「心豊かな生活の機会創出」(子どもの体験学習推進等)の3テーマが設定され、以降の具体的な取り組みはこの枠組みに沿って展開されている。 (参考:台東区と東京メトロとの包括連携に関する協定を締結しました|台東区)
3. 大河ドラマ「べらぼう」を契機とした魅力発信
協定に基づき、ポスターや動画を用いて江戸の歴史文化・観光資源・地域産業の魅力を連携して発信する取り組みが行われた。特に2025年放送の大河ドラマ「べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜」は台東区が中心舞台であり、区はこの機会に合わせた魅力発信を協定の柱の一つに位置づけた。 (参考:台東区、東京メトロと連携協定 魅力発信で地域活性化へ|日本経済新聞)
4. 「たいとうおやつショップ」の共同開催(2025年3月)
2025年3月10日から23日までの2週間、東京メトロ沿線や台東区内で営業する事業者が手がけるお菓子・飲料を集めた期間限定店舗「たいとうおやつショップ」が、東京メトロ上野駅構内の売店に登場した。台東区と東京メトロの共同開催で実施された。協定当事者である区と鉄道会社の2者にとどまらず、沿線・区内の個別事業者を巻き込んだ初期の具体的な共同事業である。 (参考:東京メトロ×台東区 魅力発信イベント!共同で期間限定「たいとうおやつショップ」をオープンします!|東京メトロ)
5. 「メトロ銭湯スタンプラリー2026」への連携拡大(2026年6〜7月)
2026年6月15日から7月20日まで、東京メトロは「東京都公衆浴場業生活衛生同業組合台東支部」と共催し、台東区の後援を得て「メトロ銭湯スタンプラリー2026」を実施した。上野・浅草・入谷の東京メトロ対象3駅と、台東区の浴場組合に加盟する区内銭湯全20軒、松坂屋上野店・浅草文化観光センターを巡ってスタンプを集める企画で、獲得数に応じてオリジナルシール・温泉タオル・風呂桶が先着でもらえる仕組みとなっている。協定締結から2年余りを経て、連携の担い手が沿線飲食・物販事業者から地域の業界団体(浴場組合)へと広がっている。 (参考:「東京メトロ×台東銭湯『メトロ銭湯スタンプラリー2026』」を実施します!|東京メトロ)
1. 鉄道事業者にとって初めての自治体包括協定という枠組み
東京メトロが自治体と包括連携協定を結ぶのはこの台東区との協定が初めてである。個別の企画ごとに都度合意を取り交わすのではなく、魅力発信・脱炭素・生きがいづくりという3つの抽象的なテーマをあらかじめ協定として明文化し、その傘の下で複数年にわたり具体施策を積み重ねていく形を取っている。
2. 抽象的な協定を「年次イベント」に翻訳して運用
協定文書自体は理念的な3テーマの提示にとどまるが、実際には2025年3月の「たいとうおやつショップ」、2026年6〜7月の「メトロ銭湯スタンプラリー」と、ほぼ年1回のペースで具体的な集客企画に落とし込まれている。協定を締結して終わりにせず、毎年更新される具体的なアウトプットに変換している点が特徴である。
3. 協定当事者を超えた地域プレイヤーの巻き込み
協定の当事者は台東区と東京メトロの2者だが、実施段階では沿線・区内の飲食物販事業者(たいとうおやつショップ)や地域の業界団体である浴場組合(メトロ銭湯スタンプラリー)など、協定に直接名を連ねていない地域のプレイヤーを企画ごとに巻き込んでいる。回を重ねるごとに関与する主体が広がり、二者間協定が地域全体を巻き込む面的な取り組みへと発展している。
4. 駅を地域情報発信の物理的接点として活用
「たいとうおやつショップ」は上野駅構内の売店を、「メトロ銭湯スタンプラリー」は上野・浅草・入谷の駅そのものをスタンプラリーの拠点として使っている。日常的に多くの人が行き交う駅施設を、地域産業や観光資源への入口として機能させている点は、鉄道事業者との連携ならではの強みである。
具体的な共同事業が2年以上にわたり継続実施
2024年3月の協定締結以降、単発のセレモニー的な協定にとどまらず、2025年3月・2026年6〜7月と、年1回程度のペースで具体的な共同企画が実際に実施されている。協定締結時点で示された3テーマ(魅力発信・脱炭素・子どもの体験学習)のうち、魅力発信と子どもの体験学習については、大河ドラマ関連の情報発信、乗務員による体験学習、たいとうおやつショップ、メトロ銭湯スタンプラリーといった具体的な取り組みとして継続的に形になっていることが、公式発表から確認できる。 (参考:東京メトロ×台東区 魅力発信イベント!共同で期間限定「たいとうおやつショップ」をオープンします!|東京メトロ、「東京メトロ×台東銭湯『メトロ銭湯スタンプラリー2026』」を実施します!|東京メトロ)
定量的な成果指標は非公開
台東区・東京メトロのいずれからも、各企画の来場者数や売上、体験学習の参加人数といった定量的な実績データは公表されておらず、本調査の範囲では確認できなかった。
脱炭素分野は具体施策の公表情報が限定的
協定で掲げられた3テーマのうち「持続可能な社会の構築(ゼロカーボンシティ実現)」については、協定発表時点でのテーマ提示以降、本調査で確認できた範囲では具体的な個別施策の公表情報が見当たらなかった。魅力発信・体験学習の2テーマに比べて進捗の可視化が遅れている、あるいは対外発表されていない可能性がある。
受益者が重なる鉄道事業者との連携は再現性が高い
鉄道事業者にとって沿線住民は日常的な利用者そのものであり、自治体が目指す地域活性化と鉄道事業者が求める沿線価値の向上は利害が重なりやすい。台東区の事例のように、鉄道事業者側に地域連携を担う専門組織(社会・地域コミュニティ活性化プロジェクトチームのような部署)が存在すれば、他の沿線自治体でも同様の枠組みを提案しやすい。
包括協定を「定期的な具体企画」に翻訳して継続性を担保する
理念的なテーマを掲げるだけの協定は形骸化しやすいが、台東区・東京メトロの事例は年1回程度のペースで具体的な集客企画を実施することで、協定を実質的に機能させ続けている。包括協定を締結する自治体は、締結後にどのような具体的なアウトプットへ落とし込むかを合わせて設計することが、協定を継続的な関係として維持するうえで重要になる。
協定当事者以外の地域プレイヤーを都度巻き込む設計
自治体と鉄道事業者という二者間の協定であっても、実施段階で沿線事業者や業界団体(商店会、浴場組合等)を巻き込む設計にすることで、協定の効果を特定の主体に限定せず地域全体に広げられる。協定の枠組み自体は固定しつつ、関わる地域プレイヤーを企画ごとに入れ替えていく運用は、他地域でも応用しやすい考え方である。
外部コンテンツの機会を柔軟に取り込む
大河ドラマの放送という外部の話題性を、既存の包括協定の枠組みの中に柔軟に組み込んで魅力発信の具体施策としている点は、協定を固定的な内容に縛らず、その時々の地域の機会に接続させる運用として他地域でも参考になる。
2026年9月時点の調査内容に基づいて作成
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