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NPO法人すぎなみ子育てひろばchouchou
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NPO法人すぎなみ子育てひろばchouchou

NPO法人すぎなみ子育てひろばchouchou

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東京都杉並区上荻で2002年に母親たちの自主的な勉強会として始まった子育て支援団体が、NPO法人化を経て区の産前産後ヘルパーや一時預かりの委託事業を担うようになり、2022年には自ら認可保育所「樹保育園」を開設するに至った、20年超にわたる展開過程を追った事例。

NPO法人すぎなみ子育てひろばchouchou

概要

NPO法人すぎなみ子育てひろばchouchou(シュシュ)は、東京都杉並区上荻を拠点に活動する子育て支援団体である。2002年4月、社会福祉協議会の「きずなサロン」事業として発足し、子育て中の母親たちによる勉強会やボランティア活動を重ねながら、2006年12月11日に東京都からNPO法人としての認証を受けた。 (参考:東京都生活文化局 NPO法人台帳運営について|chouchou公式サイト

現在は「つどいの広場上荻」「赤ちゃんカフェ」「きずなサロンプチシュシュ」といった親子の居場所事業、「ひととき保育上荻」や杉並区の子ども・子育てプラザでの一時預かり、産前・産後支援ヘルパーの派遣、親子リトミック、多世代居場所など、乳幼児期から多世代交流までをカバーする複数の事業を展開している。2022年4月には、それまで5年間運営してきた保育室を土台に、認可保育所「樹保育園」を自ら開設した。市民の自主活動として出発した団体が、区からの委託事業の受け皿となり、最終的に認可保育施設の運営主体にまで至った点が、この事例の展開過程としての特徴である。 (参考:運営について|chouchou公式サイト施設案内 樹保育園|杉並区公式ホームページ

背景・課題

chouchouの活動が始まった2002年は、厚生労働省が乳幼児の親子が身近な地域で気軽に集える場をつくる「つどいの広場事業」を制度化した年でもある。同事業の狙いは、子育て中の親の負担感を和らげ、地域の子育て支援機能を充実させることにあった。行政による拠点整備の制度が動き出したのとほぼ同じ時期に、杉並区上荻では子育て経験のあるスタッフを中心に、母親が孤立しないよう勉強会を開き、ひろばを立ち上げるという住民主体の動きが立ち上がっていた。 (参考:つどいの広場事業の実施について|厚生労働省「親子の孤立を防ぐ地域に根付いた支援」|Ameba塾探し

取材当時、団体の副理事長を務めていた神地恵美氏自身も、当初は一利用者としてひろばに通っていた一人だった。核家族化が進み、身近に相談相手のいない環境で乳幼児を育てる親が増えるなかで、専門職員による相談窓口とは別に、同じ立場の親同士が気軽に顔を合わせられる場を地域の中に置く必要があるという課題意識が、活動の出発点にあった。 (参考:「親子の孤立を防ぐ地域に根付いた支援」|Ameba塾探し

自主的なひろば活動から数年を経て、団体は2006年にNPO法人としての認証を東京都から受けた。定款では「地域の子育て中の家族とそれを支援する地域住民や関係機関そして社会に対して、子育て・子育ち環境の向上に資する活動を広く行い、社会全体の子育て・家庭環境支援の充実と次世代育成に寄与すること」を目的として掲げており、対象を利用者である親子だけでなく、それを支える地域住民や関係機関にまで広げている点が読み取れる。 (参考:東京都生活文化局 NPO法人台帳

取り組みのプロセス

1. 自主活動からひろば事業へ(2002年〜2006年)

活動は、子育て中の親どうしの勉強会という小さな単位から始まった。ボランティアベースでひろばを開き、そこに通っていた利用者がスタッフ側に回るという循環を重ねながら、地域に根ざした活動として定着させていった。2006年12月11日、東京都からNPO法人としての認証を受け、法人格を持つ団体として事業を継続する体制を整えた。 (参考:東京都生活文化局 NPO法人台帳「親子の孤立を防ぐ地域に根付いた支援」|Ameba塾探し

2. 事業メニューの多角化(法人化後〜)

法人化以降、拠点である「つどいの広場上荻」を軸に、事業を段階的に広げていった。0歳児とその家族に対象を絞った「赤ちゃんカフェ」は毎週水曜日の午前9時から11時に開催し、靴職人や助産師など地域の専門職を招いた講座、育児相談、手遊びの日などを組み合わせている。定員10名程度に対しスタッフ3名で対応する小規模な運営とし、赤ちゃんがぐずり始める前の30分程度で講座を終えるなど、乳児連れでも参加しやすい時間設計をしている。親子リトミックは発達段階に応じて3クラスに分け、産前・産後支援ヘルパーの派遣、出張ひろば「プチシュシュ」、一時保育「ひととき保育上荻」も順次立ち上げた。 (参考:団体訪問 NPO法人すぎなみ子育てひろばchouchou「赤ちゃんカフェ」|すぎなみ協働プラザ特定非営利活動法人 すぎなみ子育てひろばchouchou|すぎなみ地域コム

3. 区の委託事業の受け皿になる

自主事業の実績を重ねる過程で、chouchouは杉並区からの委託事業も担うようになった。区民を対象とする産前・産後支援ヘルパー、多胎児家庭家事育児支援ヘルパーの派遣のほか、上荻から離れた子ども・子育てプラザ天沼、子ども・子育てプラザ善福寺における一時預かり事業も受託している。従事するヘルパーは主に30〜50代の女性で、保育・介護分野の資格を持つ人、あるいは自身の育児経験を活かす人が中心となっており、いずれも区の研修修了が条件とされている。区が独自窓口を新設するのではなく、地域で実績を積んだ既存のNPOに事業を委ねる形で、支援の担い手を広げた事例といえる。 (参考:産前・産後支援ヘルパー・多胎児家庭家事育児支援ヘルパー|chouchou公式サイト

4. シュシュ保育室の運営(認可保育所開設の前段階)

一時保育や産前産後ヘルパーと並行して、chouchouは認可外の「シュシュ保育室」を5年間運営した。この期間に蓄積した保育の実務経験と地域からの信頼が、後の認可保育所開設の土台になっている。 (参考:「親子の孤立を防ぐ地域に根付いた支援」|Ameba塾探し

5. 認可保育所「樹保育園」の開設(2022年4月)

シュシュ保育室での実績を踏まえ、chouchouは2022年4月1日、杉並区上荻3丁目に認可保育所「樹保育園」を開設した。開設時点の定員は0歳児3名・1歳児10名・2歳児12名の計25名で、0〜2歳児のみを対象とする小規模な形での出発だった。園名は「樹木のようにたくましく根をはり、生きる力を育む」という理念に由来し、子どもの自主性を尊重し「失敗を恐れず、自ら考え、行動していく」姿勢を職員も共に育むという方針が掲げられている。認可保育園の建設工事にあたっては、親子ひろば事業を一時休止する必要が生じ、20年間積み重ねてきた居場所事業を一時的に止めてでも新しい事業に踏み出す判断があったことがうかがえる。 (参考:樹保育園|えんさがそっ♪樹保育園公式サイト「親子の孤立を防ぐ地域に根付いた支援」|Ameba塾探し

6. 地域交流の場としての「シュシュサロン」

ひろば事業と並行して、chouchouは週1回の「シュシュサロン」に加え、月1回のペースで地域の多様な職業人をゲストに招くトークイベントを開催している。靴職人、リトミック講師、飲食店経営者、銭湯経営者、ジャズシンガー、助産師など、これまでに10回(chouchou公式サイト掲載情報時点)にわたり異なる職業の人物のキャリアや人生を聞く企画を続けており、子育て中の親子に地域社会との接点を提供する場として機能している。 (参考:シュシュサロン特別ゲストデー|chouchou公式サイト

この事例の特徴

利用者がスタッフに転じる循環構造

副理事長の神地恵美氏自身がかつての利用者だったように、chouchouはひろばに通っていた保護者がスタッフ側に回る循環を持つ団体である。子育て経験者が支援の担い手になることで、専門職員だけでは得にくい「利用者目線」を運営に反映し続けてきた。この循環は特定の個人の力量に依存する属人的な仕組みではなく、20年以上にわたって世代交代を重ねながら維持されてきた運営原理である点が、他地域への応用可能性を持つ。 (参考:「親子の孤立を防ぐ地域に根付いた支援」|Ameba塾探し

行政委託と自主事業を両輪で持つ

chouchouは、会費と寄付で運営する自主事業(つどいの広場、赤ちゃんカフェ、シュシュサロンなど)と、杉並区からの委託事業(産前・産後支援ヘルパー、子ども・子育てプラザでの一時預かり)を同時に運営している。委託事業は上荻から離れた天沼・善福寺エリアにも及んでおり、拠点を固定した「点」の活動にとどまらず、区内の複数拠点に自団体のノウハウを展開する形になっている。自主財源の事業だけで運営基盤を作ったうえで、行政からの委託を段階的に引き受けていった順序が、財源の性格が異なる複数事業を破綻なく両立させる要因になっている。 (参考:産前・産後支援ヘルパー・多胎児家庭家事育児支援ヘルパー|chouchou公式サイト

「ひろば」から「認可保育所」への段階的な移行

子育てひろばを運営する市民団体が、一時保育、認可外保育室運営という段階を踏んだうえで、最終的に認可保育所の運営主体になった点は他の子育てひろば事例ではあまり見られない展開である。ひろば運営で培った「乳幼児と長時間向き合う」実務ノウハウを、単発の交流事業にとどめず、施設整備を伴う恒常的な保育インフラへと発展させた流れは、地域の子育て支援団体が到達しうる一つの成長モデルを示している。 (参考:施設案内 樹保育園|杉並区公式ホームページ

調査時点の成果

認可保育所の定員拡大

樹保育園は2022年4月の開設時、0〜2歳児のみを対象に定員25名(0歳3・1歳10・2歳12)でスタートしたが、杉並区が公表する最新の施設情報では、対象年齢が就学前まで広がり、定員は0歳3・1歳10・2歳10・3歳12・4〜5歳24の計59名に拡大している。開設時の最年少クラスの子どもたちが年齢を重ねるのに合わせてクラスを増設してきたとみられ、小規模スタートから完全な認可保育所へと実績を積み上げてきたことが確認できる。 (参考:樹保育園|えんさがそっ♪施設案内 樹保育園|杉並区公式ホームページ

複数事業の同時継続

つどいの広場、赤ちゃんカフェ、きずなサロンプチシュシュ、ひととき保育、産前産後支援ヘルパー、親子リトミック、多世代居場所、樹保育園という8種類以上の事業を、20年以上にわたり止めることなく運営している。会員数は54名(すぎなみ地域コムの掲載情報時点)で、会費・寄付という自主財源と、区からの委託費という異なる性格の資金を組み合わせて運営基盤を維持している。 (参考:特定非営利活動法人 すぎなみ子育てひろばchouchou|すぎなみ地域コム

地域との接点の広がり

赤ちゃんカフェの講座には靴職人や助産師といった地域の専門職が継続的に協力し、シュシュサロンのゲストトークは10回(公式サイト掲載情報時点)を数える。子育て支援を入口にしながら、参加する親子と地域の職業人・事業者との接点を作る場として機能してきた実績がある。 (参考:団体訪問 NPO法人すぎなみ子育てひろばchouchou「赤ちゃんカフェ」|すぎなみ協働プラザシュシュサロン特別ゲストデー|chouchou公式サイト

他地域への示唆

「利用者からスタッフへ」の循環を制度として設計する

chouchouの運営を支えてきたのは、特定のカリスマ的な創業者ではなく、ひろばを利用していた保護者が担い手側に回るという循環である。これは特別な資格や資金を必要とせず、日々の運営のなかで利用者に運営への関与を促す機会をつくれば、他地域の子育てひろばでも再現可能な仕組みである。属人的なリーダーシップに頼らず継続性を確保する方法として参考になる。

自主事業の実績を、委託事業を引き受ける根拠にする

chouchouは、会費・寄付による自主事業で地域からの信頼と運営ノウハウを積み上げたうえで、産前産後ヘルパーや一時預かりといった行政委託事業を引き受けていった。先に委託を受けてから実績づくりを始めるのではなく、自主事業での実績を先に作ってから委託の担い手になるという順序を踏んだことで、行政側も安心して事業を任せられる関係が築かれたと考えられる。委託事業への参入を目指す地域団体にとって、この順序は再現可能な戦略である。

「ひろば」の先に何を見据えるかを早い段階から考える

子育てひろばは単体では利用者の滞在時間が短く、事業として広がりにくい面がある。chouchouは、ひろば運営で得た乳幼児対応のノウハウを一時保育、認可外保育室、そして認可保育所へと段階的に発展させることで、地域の子育て支援における役割を拡張してきた。ひろば事業を単発の交流拠点で終わらせず、次にどのような機能を積み増せるかという発展の道筋を早期に描いておくことは、他地域の子育て支援団体にとっても検討に値する視点である。

行政区域内の複数拠点にノウハウを横展開する

chouchouは拠点である上荻だけでなく、天沼・善福寺の子ども・子育てプラザでも一時預かり事業を担っている。一つの拠点で培ったノウハウを、施設を新設せずに区内の既存施設へ横展開する形は、限られた予算のなかで支援エリアを広げたい自治体にとっても、実績のある地域団体に運営を委ねるという選択肢の参考になる。

参照元


2026年8月時点の調査内容に基づいて作成

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