
ふくおかいきもの調査隊
福岡市が「生物多様性ふくおかセンター」開設を記念し、民間アプリ「Biome」を活用して始めた市民参加型のいきもの調査。季節ごとにオンライン投稿型の調査を継続開催し、2026年からは対面型の観察イベントにも展開している。
福岡市は2025年1月20日、生物多様性の情報発信と学習機会の提供を目的とした「生物多様性ふくおかセンター」を開設し、これを記念して株式会社バイオームのいきもの収集アプリ「Biome」を活用したオンライン生物調査「始動!ふくおかいきもの調査隊」を開始した。市内で見つけた動植物をスマートフォンで撮影・投稿してもらう仕組みで、AIが名前を判定するため専門知識がなくても参加できる。冬編・秋編と季節を分けて複数回開催されており、回を重ねるごとに参加者数・投稿数が拡大している。2026年からは海の中道海浜公園での対面型観察イベントも始まり、オンライン投稿とリアルな自然体験を組み合わせたプログラムへと発展している。
(参考:生物多様性ふくおかウェブセンターとは、【福岡市×バイオーム】生物多様性ふくおかセンターの開設を記念し、「始動!ふくおかいきもの調査隊」を開催)
福岡市は「生物多様性ふくおか戦略」で「百年後も豊かな自然環境と共生し、その恵みに支えられ、命をつなぐ未来都市『ふくおか』」の実現を掲げ、生物多様性の損失を食い止め回復させる「ネイチャーポジティブ」の取り組みを進めてきた。しかし生物多様性は防災や子育て支援などに比べて市民の関心を集めにくいテーマであり、情報発信の場と、市民が主体的に関わる学習機会の不足が課題となっていた。
(参考:生物多様性ふくおか戦略、生物多様性ふくおかウェブセンターとは)
こうした課題に対応するため、福岡市は生物多様性地域連携促進法第13条に基づく「地域連携保全活動支援センター」として2025年1月20日に生物多様性ふくおかセンターを開設した(同センターは同年4月1日施行の地域生物多様性増進法第28条に基づく「地域生物多様性増進活動支援センター」へと移行し、環境省の30by30アライアンスにも位置づけられている)。行政単独での生物モニタリングには専門人材や予算の制約があることから、既に105万人のユーザーと800万件以上の生物データを蓄積していた民間アプリ「Biome」と連携し、市民参加型のデータ収集を組み合わせる形でセンター開設と同時にオンライン調査を始動させた。
(参考:生物多様性ふくおかウェブセンターとは、自然共生サイト|30by30|環境省、【福岡市×バイオーム】生物多様性ふくおかセンターの開設を記念し、「始動!ふくおかいきもの調査隊」を開催)
1. オンライン調査「冬編」の開始(2025年1〜2月)
生物多様性ふくおかセンターの開設と同日となる2025年1月20日から2月20日まで、「始動!ふくおかいきもの調査隊」としてオンライン調査を実施した。参加者はBiomeアプリをインストールし、福岡市内で見つけた動植物・昆虫・野鳥などを撮影して投稿する。期間中に市内で10種類以上のいきものを投稿すると、双眼鏡・折り畳み式虫取り網・水族館のエコバッグ・スマホ防水ケース・観察ルーペ・記念缶バッジといった賞品(計100名分)への応募資格を得られる仕組みとした。
(参考:【福岡市×バイオーム】生物多様性ふくおかセンターの開設を記念し、「始動!ふくおかいきもの調査隊」を開催、始動!ふくおかいきもの調査隊 - Biome)
2. 季節を分けた反復開催と結果公開
冬編に続き、同年10月18日から12月19日まで「秋編」を開催した。各回の結果は投稿数・発見種数・投稿者数を鳥類、植物、魚類、昆虫・クモ、哺乳類など10のカテゴリ別に集計し、「調査レポート」としてセンターのウェブサイトで公開している。あわせて投稿データをもとにした「ふくおか生物多様性マップ」も公開され、単発イベントではなく、季節ごとに繰り返しデータを蓄積していく調査として運用されている。
(参考:ふくおかいきもの調査隊 調査レポート)
3. 対面型フィールドイベントへの展開(2026年)
2026年5月10日には、国営海の中道海浜公園の環境共生の森を会場に、小学生とその保護者を対象とした定員30名の対面型観察イベント「ふくおかいきもの調査隊〜海の中道海浜公園編〜」を実施した。参加費・入園料ともに無料で、園内を散策しながらBiomeアプリで生きものを撮影・投稿する内容とし、オンライン投稿だけだった2025年の取り組みから、現地での自然体験を伴う形式へと広がりを見せている。
(参考:ふくおかいきもの調査隊2026|海の中道で親子体験 - とくなび福岡)
1. 自治体が独自システムを開発せず既存アプリに乗る低コスト設計
福岡市は専用の投稿システムやデータベースを新たに開発せず、既に105万人のユーザーと800万件以上の生物データ、AIによる種名判定機能を持つ民間アプリ「Biome」上のクエスト機能を利用してイベントを実施した。開発・運用コストを抑えながら、生きものに関心のある既存の利用者層に直接アプローチできる点が特徴である。
(参考:【福岡市×バイオーム】生物多様性ふくおかセンターの開設を記念し、「始動!ふくおかいきもの調査隊」を開催)
2. 「10種類投稿」というわかりやすい達成目標による参加継続の工夫
参加条件を「市内で10種類以上を投稿」という明確な数値目標に設定し、達成者を対象に抽選でプレゼントを用意することで、1回の投稿で終わらせず複数回・複数種の観察を促す設計になっている。AIによる自動判定とアプリ内の図鑑・コレクション機能が、専門知識のない市民でも達成感を得られる仕組みを支えている。
(参考:【福岡市×バイオーム】生物多様性ふくおかセンターの開設を記念し、「始動!ふくおかいきもの調査隊」を開催)
3. 法制度に基づく継続事業としての位置づけ
本取り組みは単発のキャンペーンではなく、生物多様性地域連携促進法・地域生物多様性増進法に基づく「地域生物多様性増進活動支援センター」の事業の一部として実施されている。予算単年度の広報イベントとしてではなく、法制度上の位置づけを持つセンター運営の一環に組み込まれている点が、他の市民参加型キャンペーンと異なる特徴である。
(参考:生物多様性ふくおかウェブセンターとは)
4. オンライン調査から対面型体験へのステップアップ設計
2025年はオンライン投稿型の調査から始め、参加実績やデータの蓄積を経た2026年に、家族連れを対象とした対面型の観察イベントへと展開した。低コストで始められるオンライン施策によって関心層の裾野を広げたうえで、より手間のかかる対面イベントを設計するという段階的なアプローチをとっている。
(参考:ふくおかいきもの調査隊2026|海の中道で親子体験 - とくなび福岡)
投稿数・参加者数の拡大
2025年冬編(1月20日〜2月20日、2025年3月10日発表)では投稿者147人・投稿1,745件・発見種588種であったのに対し、秋編(10月18日〜12月19日、2026年1月28日発表)では投稿者471人・投稿5,630件・発見種1,471種となった。投稿者数・投稿件数はいずれも約3.2倍、発見種数は約2.5倍に増えており、回を重ねるごとに参加規模が拡大している。ただし冬と秋では生物の活動量自体が異なるため、この増加を広報効果のみに帰することはできず、季節要因も影響していると考えられる。
(参考:ふくおかいきもの調査隊 調査結果 2025年冬編、ふくおかいきもの調査隊 調査結果 2025年秋編)
季節による生物相の違いの可視化
冬編では投稿全体の約46.6%(814件)を鳥類が占め、ジョウビタキやカルガモなど冬季に見られる野鳥の記録が中心だった。一方、秋編では植物が投稿全体の約50%(2,833件)を占め、昆虫・クモも1,149件と冬編(38件)から大きく増加した。同一地域を対象に季節を分けて調査することで、市内の生物相の季節変化がデータとして可視化されている。
(参考:ふくおかいきもの調査隊 調査結果 2025年冬編、ふくおかいきもの調査隊 調査結果 2025年秋編)
プログラムとしての継続・拡張
2025年のオンライン調査は冬編・秋編と複数回にわたって継続され、2026年には海の中道海浜公園での対面型観察イベントも実施された。単発の記念イベントで終わらず、開催形式を広げながら運用が続いている。
(参考:ふくおかいきもの調査隊 調査レポート、ふくおかいきもの調査隊2026|海の中道で親子体験 - とくなび福岡)
1. 独自開発せず民間の生物調査プラットフォームに参加する選択肢
Biomeは福岡市のほかにも、環境省との「気候変動いきもの大調査」、東京都との「東京いきもの調査団」、沖縄県竹富町での外来種調査など、複数の自治体・省庁が同じアプリ基盤を活用して市民参加型調査を実施している。福岡市の事例に限らず、既に一定のユーザー基盤とAI判定機能を持つ民間サービスと連携する方法は、自前でシステムを構築する予算や技術者を持たない自治体でも再現しやすいモデルである。
(参考:市民協働いきもの調査 - Biome、東京都 x バイオーム『東京いきもの調査団 2025夏編』開始、環境省×バイオーム 気候変動いきもの大調査とは?、「Starlink Business」とアプリ「Biome」を活用した外来種調査を実施しました)
2. 達成条件と抽選をセットにした参加継続の仕組み
「10種類投稿で抽選」という明確でわかりやすい目標設定は、1回きりの投稿で終わらせず、複数回・複数種の観察を促す動機づけとして機能している。生物調査に限らず、住民に継続的な行動を促したい市民参加型施策全般において、達成条件を数値化してインセンティブと結びつける設計は応用可能な要素である。
(参考:【福岡市×バイオーム】生物多様性ふくおかセンターの開設を記念し、「始動!ふくおかいきもの調査隊」を開催、始動!ふくおかいきもの調査隊 - Biome)
3. 法制度への位置づけによる事業継続性の確保
本取り組みは地域生物多様性増進法に基づく支援センター事業の一部として運営されており、単年度の広報予算に依存する一過性のキャンペーンとは異なる継続性を持っている。他地域が同様の市民参加型調査を企画する際も、単発イベントとして完結させるのではなく、既存の法制度や計画に位置づけて継続的な枠組みとして設計できないかを検討する価値がある。
(参考:生物多様性ふくおかウェブセンターとは)
4. オンラインで関心層を可視化してから対面接点を設計する順序
福岡市はまずオンライン投稿型の調査で参加実績とデータを蓄積し、そのうえで家族連れ向けの対面型観察イベントを企画した。運営負荷の大きい対面イベントをいきなり大規模に実施するのではなく、低コストなオンライン施策で関心層の存在を確認してから対面接点を設計するという順序は、限られた人員・予算で市民参加型事業を立ち上げたい他地域にとって参考になる進め方である。
(参考:ふくおかいきもの調査隊2026|海の中道で親子体験 - とくなび福岡)
2026年8月時点の調査内容に基づいて作成
この記事は公開情報に基づき、AIを用いた詳細調査により作成されました。記事内容への修正依頼、お問合せ等は以下までお寄せください。
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