
京の高校生探究パートナーシップ事業「京都探究エキスポ」
この記事は、my grooveを運営する株式会社Groove DesignsがAIを活用し独自に調査・作成したものです。
京都府・京都市の両教育委員会が府市連携で実施する高校生向け探究学習プログラム。年次の合同発表会「京都探究エキスポ」を生徒実行委員会が自ら企画・運営し、初年度から1年で参加校・発表数を大きく伸ばしている。
「京の高校生探究パートナーシップ事業」は、京都府教育委員会と京都市教育委員会が府市連携で実施する高校生向けの探究学習プログラムである。府立・市立という学校設置者の垣根を越えて、生徒が「総合的な探究の時間」等で取り組んだ探究活動の成果を発表・交流する場を設けることを目的に、2024年度から開始された。中核となるのは、府内公立高校の生徒が一堂に会して探究成果を発表し合う年次イベント「京都探究エキスポ」で、これに加えて夏には体験型ワークショップ「京都探究クエスト」を実施している。 (参考:京都府教育委員会:京の高校生探究パートナーシップ事業)
2025年度の「京都探究エキスポ2025」は2025年12月20日、京都市左京区の国立京都国際会館で開催され、府内55校の公立高校に加え、中学生や国際校の生徒、起業家も参加し、合計226本の探究成果が披露された。発表者716名、来場者を含め1,200名超が参加する規模となり、初開催の2024年度(51校・116本発表・約1,100名)から1年で大きく拡大した。企画・運営の中心を担うのは生徒自身で構成する実行委員会であり、大人が主催する発表会に生徒が「参加する」のではなく、生徒が「作る」イベントとして設計されている点が一貫した特徴になっている。 (参考:京都市教育委員会事務局:「京都探究エキスポ2025」の開催について、京都市教育委員会事務局:「京都探究エキスポ2024」の開催について)
事業の出発点は、2024年4月の府市トップミーティング(京都府知事と京都市長が政策協議を行う場)における合意である。「府市・高大連携を通した探究学習の推進」を掲げ、高大連携やSTEAM教育、起業といった視点を取り入れたワークショップなど、府立高校と市立高校が合同で行うジョイント事業として「京の高校生探究パートナーシップ(仮称)」の導入が決まった。2022年度の学習指導要領改訂以降、各校で「総合的な探究の時間」への取り組みが本格化していたが、その成果発表や交流の場は基本的に校内、あるいは同一設置者内(府立同士・市立同士)にとどまりやすく、学校の枠を超えて生徒同士が学び合う機会は限られていた。 (参考:京都市:令和6年度第1回「府市トップミーティング」概要)
2024年度に初開催した「京都探究エキスポ2024」は、この課題設定に対する最初の具体策として位置づけられる。同年12月21日、国立京都国際会館で府立・市立高校51校、総勢1,128名が参加して開催され、閉会式では次年度の継続開催を望む声が上がるなど好評だったと伝えられている。この初回の手応えを踏まえ、2024年11月7日の第3回府市トップミーティングでは、翌年度以降も京都探究エキスポを継続実施することに加え、学校現場を交えて今後の連携方針を話し合うための会議体を新たに立ち上げることが決まった。単発の交流イベントで終わらせず、府庁・市役所の関係部局とも連携しながら制度として定着させる方針が、この段階で明確になっている。 (参考:京都府:令和6年度第3回府市トップミーティング、国立京都国際会館:京都探究エキスポ)
第一段階は、府市トップミーティングによる事業の合意形成と制度設計である。首長級の政策協議の場で「京の高校生探究パートナーシップ事業」の導入と継続実施を決め、学校現場が参画する協議会を設置することで、単年度の企画倒れに終わらない実施体制を整えた。教育委員会だけでなく、府・市それぞれの関連部署とも連携する方針を持っている。 (参考:京都府:令和6年度第3回府市トップミーティング)
第二段階は、生徒自身による実行委員会の組成である。2025年度の実行委員会は、府立高校と市立高校を合わせた13校・56名の生徒で構成され、実行委員長1名・副実行委員長6名のもとで「講演会チーム」「発表会チーム」「会場運営チーム」の3部門に分かれて活動した。実行委員会は「交わり、めぐらせ、共に高みをめざす出会いを」という全体スローガンを掲げ、各チームの活動目標を統合する形で当日の企画を作り上げた。 (参考:京都市教育委員会事務局:「京都探究エキスポ2025」の開催について)
第三段階は、約3か月半にわたる準備プロセスである。2025年9月14日に清水寺で20名が参加するプレ実行委員会を開催したのを皮切りに、10月4日に市立開建高校で第1回、11月4日にオンラインで第2回の実行委員会を開き、11月6日には国立京都国際会館で会場下見を実施した。12月13日には府立鳥羽高校で最終準備となる第3回実行委員会を行い、12月20日の本番を迎えている。開催後も1月24日に府立鳥羽高校で第4回実行委員会(振り返り会)を、31日にはオンラインで最後の振り返り会を開き、次年度に向けた改善提案をまとめた。 (参考:京都市教育委員会事務局:「京都探究エキスポ2025」の開催について)
第四段階が、当日のプログラム運営である。開会式では京都府教育長・京都府知事・京都市長が挨拶し、慶應義塾大学教授の安宅和人氏が「残すに値する未来を考える」と題した基調講演を行った。続くパネルディスカッションでは東京大学の鈴木寛教授がモデレーターを務め、教育とAIの関係や学びの未来について代表生徒4名と議論した。探究成果発表会はEvent hallとAnnex hallの2会場で同時開催され、府内公立高校55校に加え、課外活動団体、高校教職員、中学生、京都インターナショナルスクールの生徒、起業家(株式会社ローカルフラッグ)も発表に加わり、226本の発表が並んだ。 (参考:京都市教育委員会事務局:「京都探究エキスポ2025」の開催について)
第五段階として、エキスポと並行して夏に実施される体験型ワークショップ「京都探究クエスト」がある。「どう生きるか」を全体テーマに、2日間の日程で実施される。1日目は南北2コースに分かれ、南部コースは西芳寺で坐禅と庭園鑑賞を、北部コースは天橋立・智恩寺周辺でフィールドワークを行う。2日目には両コースの生徒が清水寺に合流し、講話や他校生との対話交流を通じて自身の「モノの見方」を問い直す機会としている。 (参考:京都市教育委員会事務局:京都探究クエストの実施について)
第一の特徴は、生徒を「発表者」以上の「運営主体」に据えた設計である。実行委員会をチーム制で組織し、当日のプログラム構成から会場運営まで生徒自身が担う体制は、探究学習の成果を発表させるだけでなく、イベントの企画・運営そのものを探究的な学びの機会として位置づけている。実行委員会が独自にスローガンを掲げ、複数回の会議とプレイベントを重ねて本番に臨む進め方は、学校側や教育委員会が用意した枠組みに生徒を当てはめるのではなく、生徒の主体性を前提に事業を組み立てている点で特徴的である。 (参考:京都市教育委員会事務局:「京都探究エキスポ2025」の開催について)
第二の特徴は、府と市という異なる設置者の教育委員会が、首長級の政策協議の場を起点に連携している点である。府立高校と市立高校は所管が異なり、日常的な交流機会は必ずしも多くないが、府市トップミーティングでの合意という上位のガバナンスを起点に、教育委員会同士の実務連携、さらには学校現場が参画する協議会の設置へと段階的に体制を厚くしている。教育委員会限りの調整ではなく、首長間の合意を土台にすることで、単年度事業で終わらせない継続性を確保している。 (参考:京都府:令和6年度第3回府市トップミーティング)
第三の特徴は、成果発表型の「京都探究エキスポ」と、内省・対話型の「京都探究クエスト」という性格の異なる2つのプログラムを組み合わせている点である。エキスポが探究活動の「成果」を可視化し他者と競い合い・学び合う場であるのに対し、クエストは寺社仏閣や自然環境を舞台に、成果を問う前段階として自分自身の問いや価値観に向き合う場になっている。発表機会の提供だけに偏らず、探究のプロセス自体を支える体験を年間プログラムとして組み込んでいる。 (参考:京都市教育委員会事務局:京都探究クエストの実施について)
第四の特徴は、大学の研究者や有識者を招きつつ、生徒と対等な立場で対話させる場を作っている点である。2024年度は東京大学の松尾豊教授による生成AIをテーマにした講演とパネル討論、2025年度は慶應義塾大学の安宅和人教授による基調講演と、東京大学の鈴木寛教授がモデレーターを務めるパネルディスカッションを実施し、いずれも代表生徒が壇上で研究者と直接議論する構成をとっている。有識者の知見で発表の質を担保しながら、生徒を一方的な聴講者にとどめない設計になっている。 (参考:国立京都国際会館:京都探究エキスポ、京都市教育委員会事務局:「京都探究エキスポ2025」の開催について)
初開催の2024年度は、府立・市立高校51校(市立9校・府立42校)から総勢1,128名(高校生466名、中学生124名、大学教員・大学院生51名、その他関係者)が参加し、116本の探究成果が発表された。閉会式では次年度の継続開催を望む声が上がったと伝えられており、初年度から一定の手応えを得たことがうかがえる。 (参考:京都市教育委員会事務局:「京都探究エキスポ2024」の開催について)
2025年度の「京都探究エキスポ2025」では、参加校が京都府内公立高校全55校に拡大し、発表本数は226本と初年度の約2倍に増えた。発表者716名、来場者を含め1,200名超が参加し、実行委員会も府立・市立13校56名体制へと規模を広げている。京都新聞は同イベントについて、消しゴムの使い方の工夫や交通渋滞の分析など、高校生ならではの視点によるユニークな探究発表があったと報じており、テーマの多様性の面でも広がりが見られる。 (参考:京都府教育委員会:京の高校生探究パートナーシップ事業、京都新聞:京都府の公立高校で生まれた「探究活動」の成果は)
制度面での成果としては、2024年11月の府市トップミーティングで翌年度以降の継続実施と、学校現場が参画する協議会の設置が合意されたことが挙げられる。単発の交流イベントとして終わらせず、府市連携の枠組みそのものを制度化した点は、2025年度の規模拡大という結果にもつながっている。また、2025年度の実行委員会は開催後に振り返り会を2回実施し、改善提案をまとめる仕組みを設けている。次年度の運営に生徒自身の振り返りを反映させるサイクルが動いていることは確認できるが、その提案が具体的にどう反映されたかについては、2026年8月時点で公開されている情報からは確認できない。 (参考:京都府:令和6年度第3回府市トップミーティング、京都市教育委員会事務局:「京都探究エキスポ2025」の開催について)
第一に、教育委員会同士の実務調整だけに委ねず、首長級の政策協議の場を合意形成の起点に据える手法は、設置者(都道府県立・市区町村立)をまたぐ教育連携を検討する他地域にとって参考になる。府市トップミーティングでの合意を土台にすることで、継続実施の判断や学校現場を交えた協議会の設置といった、教育委員会単独では進みにくい体制強化を実現している。都道府県と政令指定都市・中核市のように学校設置者が分かれる地域であれば、同様の枠組みは応用しやすい。 (参考:京都府:令和6年度第3回府市トップミーティング)
第二に、生徒を発表の「対象」ではなく企画・運営の「主体」として位置づける設計は、特定の学校や教員の熱意に依存しない再現性のあるモデルである。実行委員会をチーム制で組織し、複数回の会議体とプレイベントを通じて準備プロセスそのものを可視化している点は、他地域が生徒主体のイベントを立ち上げる際の実務的な手順として参考にできる。 (参考:京都市教育委員会事務局:「京都探究エキスポ2025」の開催について)
第三に、成果発表(エキスポ)と内省的な体験学習(クエスト)を組み合わせ、単発のイベントではなく年間を通じた複数プログラムとして設計している点は、探究学習支援を検討する他地域にとって示唆的である。発表会だけを用意すると「発表するための探究」に偏りかねないが、成果を問う前段階で自分自身の問いに向き合う機会を別途設けることで、探究のプロセス全体を支える構成になっている。 (参考:京都市教育委員会事務局:京都探究クエストの実施について)
2026年8月時点の調査内容に基づいて作成
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