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みんなで考える、とよすの防災(在宅避難を前提とした住民参加型の地域防災)
みんなで考える、とよすの防災(在宅避難を前提とした住民参加型の地域防災)

みんなで考える、とよすの防災(在宅避難を前提とした住民参加型の地域防災)

みんなで考える、とよすの防災(在宅避難を前提とした住民参加型の地域防災)

東京都
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東京都江東区豊洲で、豊洲スマートシティ推進協議会が住民とともに進める地域防災プロジェクト。「在宅避難」が前提となる新興エリアの特性を踏まえ、オンライン意見募集プラットフォーム「my groove」と対面の防災訓練を往復させ、自助から共助(避難所運営)へと段階的に住民の防災意識と行動を促す。

みんなで考える、とよすの防災(在宅避難を前提とした住民参加型の地域防災)

概要

「みんなで考える、とよすの防災」は、東京都江東区の豊洲エリアで、一般社団法人豊洲スマートシティ推進協議会が住民とともに進める地域防災プロジェクトである。協議会は2017年度から地域防災訓練を重ねてきたが、2024年3月にオンラインの住民参加プラットフォーム「my groove」上にプロジェクトページを開設し、「知る」「備える」「助ける」をキーワードに地域防災を考える場を常設化した。運営は協議会会員企業の清水建設株式会社が担う。 (参考:豊洲スマートシティ推進協議会|みんなで考える、とよすの防災(my groove)

このプロジェクトの最大の特徴は、豊洲という新しいまちの特性を出発点に置いている点にある。豊洲には築年の浅い堅牢なマンションが多いため、水害・地震のどちらでも住民の多くは自宅にとどまる「在宅避難」が現実的な選択肢となる。一方で、在宅避難が長期化した場合の備えについては、住民の約80%が「備えはあるが十分ではないかもしれない」と回答していた。この潜在的な不安を起点に、オンラインでの意見募集・アンケートと、対面の地域防災訓練・イベントを往復させながら、家族・マンション・地域それぞれのレベルで防災を「自分ゴト」として考える流れをつくっている。 (参考:みんなで考える、とよすの防災(my groove)

背景・課題

豊洲エリアは、面積約246ha、居住人口約3.7万人・就業人口約4万人(2019年時点)を抱える東京臨海部の大規模再開発エリアである。タワーマンションや大型商業施設、オフィスが集積し、近年人口が急増した。江東区によれば、豊洲を含む同区はその大半が埋立地・盛土地であり、豊洲のような高い盛土地は内陸より標高が高く水害には比較的強い一方、埋立地ゆえの液状化リスクを抱える。首都直下地震では区内のほぼ全域で震度6強以上が想定されている。 (参考:豊洲スマートシティについて江東区の災害と防災対策(江東区)

こうしたまちで防災を考えるとき、固有の難しさがある。新しく堅牢なマンションでは、災害が起きても建物にとどまる「在宅避難」が現実的な選択肢となり、従来型の「避難所に逃げる」防災訓練が住民にとって自分ゴトになりにくい。建物が安全であるがゆえに、かえって防災への切迫感が薄れやすいという構造的な課題である。実際、住民アンケートでは多くの人が「備えはあるが十分とは言えない」と感じており、関心と備えのあいだにギャップが存在していた。 (参考:みんなで考える、とよすの防災(my groove)

加えて、タワーマンションが多い豊洲では、地域の自治を担う町会や管理組合のつながりが新しい住民に行き渡りにくく、災害時の「共助」を支える担い手の確保が課題となる。江東区は「自分たちのまちは自分たちで守る」を掲げ、住民が力を合わせて地域の安全を守る自主防災組織「災害協力隊」を、マンション管理組合や自治会単位で結成・支援しているが、担い手の高齢化や人員確保は各地で共通の悩みとなっている。大規模災害では公的機関による「公助」に限界があるため、住民同士の「共助」をいかに育てるかが、在宅避難を前提とする豊洲では特に重い問いとなる。 (参考:災害協力隊について(江東区)

取り組みのプロセス

起点:2017年度からの地域防災訓練と社会実験「明日の危機」

協議会は2017年度から豊洲エリアの住民とともに地域防災訓練を実施してきた。並行して、運営を担う清水建設は東京大学との3年間の社会連携講座の成果をもとに、臨海部の交通と防災をテーマにした社会実験「明日の危機」を展開した。第1回「水害編」(2022年)では海抜ゼロメートル地帯の広域避難を、第2回「首都直下地震編」(2022年)では帰宅困難者対応と「KO-TO防災ステーション構想」を、第3回「関東大震災100年」(2023年)では水害時のバスを活用した事前避難訓練を扱うなど、展示と実証を重ねてきた。これらの蓄積が、後述するオンライン参加の土台となっている。 (参考:交通防災社会実験「明日の危機」(清水建設)

2024年度:「在宅避難」をテーマにした意見募集(自助)

2024年3月、協議会は豊洲五丁目・六丁目を対象とした「地域防災」企画と並行して、my groove上に「みんなで考える、とよすの防災」のページを開設した。最初の局面では「豊洲の防災の現状を知ろう」をテーマに、過去のスマート防災の取り組みを振り返りつつ、住民が今感じている防災への思いを共有する3本の意見募集を実施した。設問は、①一番気になる災害は何か、②在宅避難をするとしたら一番不安なことは何か、③地域の防災に取り組むうえでこれからできそうなこと、というものである。約1年半で合計169件の回答・コメントが寄せられた。 (参考:みんなで考える、とよすの防災(my groove)

寄せられた声には豊洲ならではの具体性があった。「気になる災害」では86件のうち圧倒的に地震が選ばれ、「土壌も建物も新しく堅牢で水害の心配は少ないが、エレベーター停止やマンション内の下水管破損、在宅避難の心得不足など未経験のことばかり」といった、高層住宅生活ゆえの不安が語られた。「在宅避難の不安」では67件のうちインフラ・ライフラインへの不安が最多で、「高層階で停電が長引いたら水も出ずエアコンも使えない」「生活用水を流してはいけないときの対策が知られていない」といった、タワーマンション特有の課題が浮かび上がった。 (参考:あなたが豊洲で暮らしていて、一番気になる災害は?(my groove)在宅避難で一番不安なことは?(my groove)

2025年度:「避難所運営」への展開(共助)

2024年度に蓄積した意見を踏まえ、協議会は2025年度のテーマを「避難所運営」に定めた。自助(自分・家族の安全確保)だけでは限界があり、公助も制限される大規模災害時には住民同士の助け合い(共助)が不可欠だ、という整理に基づく方向転換である。my groove上では「避難所」をテーマに6本の意見募集を実施した。設問は、避難所に期待する物やサービス、理想の避難所像、拠点避難所の場所や役割を知っているか、避難時の不安などで、一部は江東区の災害協力隊員に向けた専門的な問いとして設計された。 (参考:みんなで考える、とよすの防災(my groove)

2025年9月23日には、オンラインで集めた意見をアジェンダに反映する形で、「避難所運営」をテーマとした対面の地域防災訓練を開催した。当日は28名の住民が参加(災害協力隊と一般参加者がおよそ6対4)。江東区防災計画課による前年度の「避難所開設訓練」の振り返りと災害協力隊の役割の講義に続き、事前にmy grooveで集めた意見から論点を選んでディスカッションを行った。プライバシー確保(間仕切りテントは52張りあるが全員分はない)、断水時のトイレ、災害協力隊の動き方の優先順位(まず自分のマンションの安全確保と安否確認、落ち着いてから避難所運営を支援)、親が帰宅できず子どもだけが在宅避難になる場合の備えなど、在宅避難前提のまちで避難所をどう位置づけるかが具体的に議論された。 (参考:みんなで考える、とよすの防災(my groove)

「食」を入口にした裾野の拡大

2025年11月には、地域の祭り「喰いしん坊祭り」(豊洲シエルタワー周辺)に出店し、「災害食を作ってみよう」という企画を実施した。カセットコンロと耐熱性ポリ袋を使った湯せん調理を来場者が実際に体験するもので、「簡単焼き鳥丼」「即席麺で作るトマトリゾット風」といった具体的なレシピも公開した。防災訓練には来ない層にも、楽しい食のイベントを入口として在宅避難の備えを伝える試みである。会場では地域防災のパネル展示も行い、参加者からは「災害時でも温かい食事を食べられるのは幸せ」「耐熱袋を常備したい」といった感想が寄せられた。 (参考:みんなで考える、とよすの防災(my groove)豊洲五丁目 喰いしん坊祭り(とよすと)

この事例の特徴

第一の特徴は、オンラインの意見募集と対面イベントを意図的に往復させる設計である。my grooveで集めた住民の不安や論点を、そのまま対面の地域防災訓練のディスカッション・アジェンダに転用し、議論の結果や成果を再びオンラインのレポートとして共有する。この「オンライン→オフライン→オンライン」の循環によって、単発のイベントで終わらず、住民の関心を継続的に蓄積・可視化しながら次の企画へつなげている。

第二に、自助から共助へという段階的なテーマ設計である。2024年度はまず「在宅避難」という、自分の家・家族という最も身近で関心を持ちやすいテーマから入り、2025年度に「避難所運営」という共助のテーマへと広げた。関心の高い個人レベルの不安を入口にして、地域全体の助け合いへと参加者の視野を段階的に広げる順序は、防災が自分ゴトになりにくい新興エリアならではの工夫といえる。

第三に、「在宅避難を前提とするまちでの防災」という固有の条件のもとで防災像を組み立て直している点である。建物が安全であるがゆえに切迫感が薄れやすいという構造を踏まえ、「避難所に逃げる」防災ではなく「在宅で生き延びる/在宅避難者を避難所が支える」という、豊洲の実態に即した防災像を住民と一緒に描いている。豊洲スマートシティ推進協議会という官民連携の器、江東区防災計画課の協力、清水建設の運営リソース、そして東京大学との社会連携講座の知見が、この継続的な取り組みを支えている。 (参考:豊洲スマートシティ(清水建設)

調査時点の成果

意見募集を通じて、豊洲の防災課題が定量・定性の両面で可視化された。3本の意見募集で合計169件の声が集まり、「気になる災害は地震が圧倒的(86件)」「在宅避難の不安はインフラ・ライフラインが最多(67件)」といった傾向と、エレベーター停止や高層階での断水など、タワーマンション特有の具体的不安が言語化された。これは、行政の一般的なハザード情報だけでは捉えにくい、住民目線の生活実感に基づく課題把握といえる。 (参考:みんなで考える、とよすの防災(my groove)

2025年9月の避難所運営訓練では、意識面・行動面の変化が確認された。開催後アンケートでは回答者16名中88%が「災害協力隊に対する考え方に変化があった」と回答し、「入隊しようと思った」「顔の見える日常をつくる必要性を感じた」といった声が寄せられた。担い手不足が課題となる災害協力隊への加入意向という、認知から行動への一歩につながる反応が確認された。また、回答者全員が訓練を「とても参考になった/やや参考になった」と評価した。 (参考:みんなで考える、とよすの防災(my groove)災害協力隊について(江東区)

一方で、各意見募集の回答数は数十件規模、対面イベントの参加者は数十名規模であり、エリアの人口規模に照らせば参加者層はまだ限られている。回答者の中心は50〜60代であったとされ、子育て世代や就業者など他の層への広がりは今後の課題である。「食」を入口にしたイベントは、こうした裾野拡大に向けた具体的な試みと位置づけられる。 (参考:みんなで考える、とよすの防災(my groove)

他地域への示唆

この事例が示す最も普遍的な論点は、「安全に見えるまちほど防災が自分ゴト化しにくい」というパラドックスへの向き合い方である。新築マンションや再開発で生まれた新しい市街地では、建物の堅牢さが住民の安心につながる反面、防災への当事者意識が育ちにくい。豊洲の取り組みは、「逃げる防災」を前提にせず、その地域の実態(ここでは在宅避難)から防災像を組み立て直すという発想の転換を示している。同様の特性を持つ湾岸・郊外のタワーマンション地区にとって参考になる視点である。

第二に、オンライン参加と対面の場を循環させる運用の型は、他地域でも再現性がある。住民の不安や関心をオンラインで広く集め、それを対面ワークショップの議論テーマへ変換し、結果を再びオンラインで共有する。この往復は、限られたイベント機会を「点」で終わらせず、関心の蓄積を「線」にしていくための実装可能な仕組みであり、プラットフォーム(本事例ではmy groove)があれば自治体や協議会が取り入れやすい。

第三に、関心の入口を工夫した段階設計が挙げられる。最も身近な「自宅・家族」から入って「地域・共助」へ広げる順序、そして防災訓練に来ない層に向けて「食」という楽しい体験を入口にする手法は、参加の裾野を広げるうえで応用しやすい。ただし、この継続性は協議会という官民連携の枠組みと、清水建設・東京大学・江東区といった専門リソースに支えられている面があり、同様の体制を持たない地域でどこまで再現できるかは、運営主体の確保という条件とあわせて検討する必要がある。属人的な熱意だけに依存しない、組織的な運営の器をどう用意するかが、横展開の鍵となる。

参照元

2026年6月時点の調査内容に基づいて作成

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この記事は公開情報に基づき、AIを用いた詳細調査により作成されました。記事内容への修正依頼、お問合せ等は以下までお寄せください。

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