
福岡市総合図書館システム刷新
福岡市総合図書館(福岡市早良区)は2024年10月、AIが言葉から本を提案する「蔵書探索AI」やWeb上で書架を眺められる「Web書棚」を備えたシステムへ刷新し、同年12月には学習室の座席オンライン予約制度も導入した。
福岡市総合図書館(福岡市早良区百道浜、本館と市内11分館・アミカス図書室から成るネットワーク型の公共図書館)は、2024年10月1日に検索・予約システムを刷新した。従来のタイトルや著者名によるキーワード検索に加え、興味・関心を表す自由な言葉を入力するとAIが関連する本を紹介する「蔵書探索AI」、検索した本に関連する資料をオンライン上の書架として並べて表示する「Web書棚」、気になる本を分野別に登録できる「マイ本棚」を新たに導入した。総合図書館ホームページを経由せず蔵書検索・電子図書館ページへ直接アクセスできるダイレクトURLも用意された。(参考:福岡市 新しくなった図書館システムの入り方をご案内します、福岡市政だより令和6年10月15日号)
続く同年12月4日には、従来紙の座席券で運用していた本館学習室(102席と72席の計174席)の利用方法をオンライン予約制に切り替えた。事前のWeb予約は11月27日から受け付けを開始し、貸出カードとパスワードがあれば7日先までの予約や空席確認ができるようになった。(参考:福岡市総合図書館 ご利用ガイド、福岡市総合図書館公式X)
福岡市総合図書館は1996年開館の、図書・文書・映像の3部門を持つ生涯学習の中枢施設として、本館と市内11分館・アミカス図書室によるネットワークで公共図書館サービスを提供してきた。(参考:福岡市総合図書館の概要)
刷新前の蔵書検索は、利用者があらかじめ読みたい本のタイトルや著者名を把握していることを前提としたキーワード検索が中心だった。目的の本が定まっていない利用者が新たな本と出会う手段は限られており、オンライン上で「偶然の出会い」を生み出す仕組みが課題となっていた。(参考:福岡市政だより令和6年10月15日号)
また、本館の学習室は紙の座席券を窓口で受け取る運用となっており、来館前に空席状況を確認したり、席を確保したうえで来館したりすることができなかった。オンラインで座席の予約・確認を完結できる仕組みへの移行が求められていた。(参考:福岡市総合図書館 ご利用ガイド)
全国的にも、公共図書館がAIによる推薦機能や、実際の書架を眺めるような感覚で資料を探索できる仮想書架機能を導入する動きが広がりつつあり、福岡市の取り組みはこうした潮流のなかに位置づけられる。(参考:「蔵書探索AI」をはじめとする新たなサービスを開始します(岐阜県立図書館)、カレントアウェアネス・ポータル)
1. 検索・予約システムの刷新(2024年10月1日)
福岡市は2024年10月1日、図書館システムを一斉に刷新した。刷新初日はアクセス数が想定を上回り、サイトへの接続が一時不安定になった。市はこれを受け、ホームページを経由せず蔵書検索・AI提案・電子図書館の各ページへ直接アクセスできるダイレクトURLを案内し、混雑時のアクセス手段を補った。(参考:福岡市 新しくなった図書館システムの入り方をご案内します)
2. 学習室の座席予約制への移行(2024年11月27日〜12月4日)
新システムの稼働から約2か月後、学習室の運用方法も切り替えられた。11月27日にWeb事前予約の受付を開始し、12月1日に紙の座席券による従来運用を終了、12月4日から予約制に完全移行した。段階的な告知と移行期間を設けることで、利用者が新しい予約方法に慣れる猶予を確保した形である。(参考:福岡市総合図書館公式X、福岡市総合図書館 ご利用ガイド)
3. 会員登録・利用開始のオンライン化
新システムでは、行政手続きのオンライン窓口「ふくおかサポート」を通じた貸出カードの申請にも対応し、来館せずに図書館サービスの利用を開始できる経路が用意された。(参考:福岡市政だより令和6年10月15日号)
キーワードではなく「関心」から本を探す設計
蔵書探索AIは、書名や著者名を入力する従来の検索と異なり、「新しいことを始めたい」「ハラハラドキドキのサスペンス」といった、利用者の関心や気分をそのまま言葉にして入力できる設計になっている。目的の本が定まっていない利用者でも、自身の興味を言語化するだけで候補に出会える点が、従来のキーワード検索との違いである。(参考:福岡市政だより令和6年10月15日号)
書架を眺める体験のオンライン再現
Web書棚は、検索した本に関連する資料を、実際の図書館の書架に並んでいるような見せ方でオンライン表示する機能である。同様の「仮想書架」型の機能は、文京区の3D書架ブラウジングサービスや東京都立図書館の電子書架など、複数の図書館で並行して検討・導入が進んでいる(なお、福岡県立図書館も2026年3月に同名の「Web書棚」機能を別途導入している)。福岡市総合図書館の事例は、こうした全国的な仮想書架導入の潮流の一角として位置づけられる。(参考:カレントアウェアネス・ポータル)
検索・書架体験・座席予約を一体で刷新
福岡市の刷新は、AIによる本の提案、オンライン書架での探索、興味に基づく個人本棚の作成、そして学習室の座席予約という、利用者が来館前後に接する複数の接点を、ひとつのシステム更新のタイミングでまとめて再設計した点に特徴がある。個別機能を単発で追加するのではなく、オンラインでの「探す・借りる・使う」という一連の利用者体験をまとめて更新した取り組みといえる。(参考:福岡市 新しくなった図書館システムの入り方をご案内します、福岡市総合図書館 ご利用ガイド)
刷新初日にアクセス集中により接続しづらい時間帯が生じたことは、新システムへの利用者の関心の高さを示す一方で、大規模な公共サービス刷新に伴うアクセス集中への備えという運用上の課題も浮き彫りにした。(参考:福岡市 新しくなった図書館システムの入り方をご案内します)
学習室については、174席分の座席状況をオンラインで確認・予約できる体制が整い、紙の座席券を受け取るために来館する必要があった従来の運用から、来館前に利用の可否を判断できる運用へと変わった。(参考:福岡市総合図書館 ご利用ガイド)
なお、蔵書探索AIの利用件数や、導入後の貸出数・来館者数への影響を示す統計は、2026年8月の調査時点で福岡市から公表されていない。機能の利用実態については、今後の公表を注視する必要がある。
AIによる本の提案や仮想書架は「自前開発」でなくとも導入できる
岐阜県立図書館も福岡市と同名の「蔵書探索AI」機能を2025年3月に導入しており、同様の名称・仕組みのサービスが複数の自治体で採用されている。AIによる書籍推薦や仮想書架表示は、図書館システムの更新に合わせて調達できる機能としてすでに製品化されつつあり、独自にAIを開発する体力がない自治体でも、システム更新のタイミングを捉えることで同種の機能を導入できる可能性がある。(参考:「蔵書探索AI」をはじめとする新たなサービスを開始します(岐阜県立図書館))
大規模刷新はアクセス集中を織り込んだ広報・運用設計が要る
刷新初日に接続が不安定になった事例は、住民の生活に密着したシステムを一斉切り替えする際、想定を超えるアクセスが発生しうることを示している。ダイレクトURLの案内のように、混雑時の代替アクセス手段をあらかじめ用意しておくことは、他自治体が同種のシステム更新を行う際にも参考になる。(参考:福岡市 新しくなった図書館システムの入り方をご案内します)
機能ごとの段階的な移行が利用者の負担を軽減する
福岡市は検索システム全体を10月に一斉更新した一方、学習室の座席予約制は約2か月後に、事前告知とWeb予約の先行受付期間を設けたうえで移行した。すべての変更を同時に行うのではなく、利用者の行動変容が必要な機能ほど移行期間を分けて設計する進め方は、他の公共施設が予約系システムを更新する際の参考になる。(参考:福岡市総合図書館公式X)
2026年8月時点の調査内容に基づいて作成
この記事は公開情報に基づき、AIを用いた詳細調査により作成されました。記事内容への修正依頼、お問合せ等は以下までお寄せください。
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