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ホタルの里づくり(若槻地区環境保全活動)
ホタルの里づくり(若槻地区環境保全活動)

ホタルの里づくり(若槻地区環境保全活動)

ホタルの里づくり(若槻地区環境保全活動)

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長野市若槻地区の住民自治協議会自然環境部会が、住宅地を流れる小河川・土京川に生息するゲンジボタルの生息環境を保全し、事前学習会と観賞会「ホタルウイーク」を組み合わせて実施することで、住民の環境理解と世代を超えた地域交流を育んできた活動。

ホタルの里づくり(若槻地区環境保全活動)

概要

若槻地区は長野市北部、標高923mの三登山(みとやま)山麓に広がる、旧北国街道沿いの11区からなる地区で、人口約19,563人・8,809世帯を数える(令和8年4月時点)。住宅地化・商業化が進むこの地域で、若槻地区住民自治協議会の環境部自然環境部会は、地区内を東西に流れる小河川「土京川」に生息するゲンジボタルを地域の宝として守り育てる「ホタルの里化」に取り組んでいる。 (参考:若槻地区住民自治協議会 コミュニティわかつき|若槻地区の概要若槻地区住民自治協議会 コミュニティわかつき|環境部

活動は、事前にホタルの生態を学ぶ「ホタル学習会」と、乱舞の最盛期に合わせて開催する観賞会「ホタルウイーク」を軸とし、ボランティア団体「ほたるサポーターズクラブ」や部会横断の「ホタルウィーク実行委員会」が運営を支えている。子どもたちから「ホタルさんへのお手紙」を募る活動など、次世代への環境教育も意識されている。2023年10月には長野市内の住民自治協議会交流会で紹介され、他地区の自然保護活動との交流の機会にもなった。 (参考:市民協働サポートセンターまんまる「地域まんまる『おらほの自慢聞いとくらいっ!』まとめ」

背景・課題

若槻地区はかつて桑畑やりんご畑、水田が広がる農村地域だったが、若槻大通りやサンロードなどの都市計画道路の整備とともに宅地化・商業化が進み、住宅と商業施設が広がる街へと様変わりしてきた。三登山の裾野には今も里山の緑や湧水、ため池、そして土京川のような小河川が点在しているが、都市化の中でこうした身近な自然をどう次世代に残すかが地域の課題として意識されてきた。 (参考:若槻地区住民自治協議会 コミュニティわかつき|若槻地区の概要

こうした問題意識を背景に、住民自治協議会は2012年度から自然資源の調査・記録に取り組み、2015年度には土京川のホタルを18件中の1番目に位置づけた「若槻自然遺産ガイドマップ」を刊行している(調査・選定の経緯は「若槻自然遺産巡り散策コースマップ作成事業」の記事を参照)。同ガイドマップは土京川について、欅や胡桃が茂る急な崖を南側に、なだらかな台地を北側に配した地形が、ホタルの乱舞に適した環境を生み出していると説明しており、ホタルの生息環境が地形と植生の両方に支えられていることがうかがえる。 (参考:若槻自然遺産ガイドマップ(PDF)

一方で、観賞地点は住宅地に近接しながらも街灯や柵のない自然地形であるため、来訪者の安全確保が運営上の課題となっている。 (参考:個人ブログ「長野市でもホタルが見れるなんて知らなかった!!」

取り組みのプロセス

環境部・自然環境部会による通年の保全活動

若槻地区住民自治協議会の環境部には「自然環境」部会が置かれ、侵略的な外来種や有害植物の除去、ため池や河川の水質チェック、自然観察会の実施、若槻自然遺産の活用、環境問題に関する啓発活動、家庭ごみの削減など幅広いテーマに取り組んでいる。ホタルの里化はこの部会が担う事業の一つに位置づけられ、三登山トレッキングコース愛護会やほたるサポーターズクラブといった協力団体と連携しながら進められている。 (参考:若槻地区住民自治協議会 コミュニティわかつき|環境部

ホタル学習会による事前学習

観賞シーズンを前に、若槻コミュニティセンターで「ホタル学習会」を開催し、ホタルの生態について住民が学ぶ機会を設けている。年間行事予定では6月上旬に実施されており、観賞会を単なるイベント消費で終わらせず、参加者がホタルの生育環境への理解を持った上で鑑賞に臨めるようにする位置づけである。 (参考:若槻地区住民自治協議会 コミュニティわかつき|年間行事予定

ホタルウイークでの観賞会運営

ホタルの乱舞が最盛期を迎える時期に合わせ、土京川沿いの「土京川ホタル観賞路」で1週間程度の「ホタルウイーク」を開催する(2026年度は6月27日〜7月5日)。観賞地点は住宅地に隣接しながらも街灯や柵のない自然地形であるため、地域ボランティアが誘導路にロープを張るなどして案内し、来訪者が暗がりでも安全にホタルを楽しめるよう対応している。鑑賞自体は無料だが、募金箱を設置して保全活動への協力を呼びかけている。 (参考:若槻地区住民自治協議会 コミュニティわかつき|年間行事予定個人ブログ「長野市でもホタルが見れるなんて知らなかった!!」

実行委員会の組織化と子ども向けの工夫

ホタルウイークの実施にあたっては、自然環境部会が中心となって部会横断の「ホタルウィーク実行委員会」を立ち上げ、鑑賞路の整備や事前イベントの運営を担っている。あわせて、子どもたちから「ホタルさんへのお手紙」を募る活動を行い、次世代がホタルを身近な存在として意識するきっかけをつくっている。 (参考:市民協働サポートセンターまんまる「地域まんまる『おらほの自慢聞いとくらいっ!』まとめ」

この事例の特徴

学習・保全・鑑賞・交流を一連の流れとして設計している点

多くのホタル観賞イベントが「見る」ことに主眼を置くのに対し、若槻地区の取り組みは事前の学習会、日常的な水質調査や外来種駆除といった保全活動、鑑賞会、子どもの手紙活動までを一つの流れとして構成している。単発のイベントではなく、環境教育と自然保護、地域交流を組み合わせた通年型のプログラムになっている点が特徴である。 (参考:若槻地区住民自治協議会 コミュニティわかつき|環境部若槻地区住民自治協議会 コミュニティわかつき|年間行事予定

専門組織ではなく住民自治協議会が主体である点

活動を担うのは環境NPOや専門機関ではなく、全戸加入を前提とする住民自治協議会の一部会と、そこに協力するボランティア団体(ほたるサポーターズクラブ、三登山トレッキングコース愛護会)である。地縁組織が母体であることで、特定の個人の熱意に依存せず、区長部や公民館部会など他部会とも連携しながら継続運営できる体制になっている。 (参考:若槻地区住民自治協議会 コミュニティわかつき|環境部

調査時点の成果

地域内外での認知の広がり

2023年10月24日に長野市役所講堂で開催された住民自治協議会交流会「おらほの自慢聞いとくらいっ!」(主催:市民協働サポートセンターまんまる、参加89人・16地区の住民自治協議会等)で、若槻地区は「ホタルの里づくり」を発表事例として紹介した。発表では、他の地区でホタルの活動をしている団体があれば交流したいとの呼びかけも行われた。同じ交流会ではヒメボタルの保全に取り組む七二会地区も発表しており、他地区の自然保護活動との接点が生まれる機会となった。 (参考:市民協働サポートセンターまんまる「地域まんまる『おらほの自慢聞いとくらいっ!』まとめ」nagacle「『おらほの自慢 聞いとくらいっ!』長野市内の住民自治協議会が交流」

継続的な来訪と定性的な評価

活動紹介では「ホタルの鑑賞時期になると多くの人が訪れ、リピーターも多い」との評価が示されている。土京川のホタルは、2015年に住民自治協議会が刊行した「若槻自然遺産ガイドマップ」でも18件中の1番目に紹介される「若槻の名所」「若槻の宝」として位置づけられており、地域資源としての認知は活動が対外的に紹介される以前から積み重ねられてきたことがうかがえる。一方、2017年の来訪者による現地レポートでは、鑑賞できるホタルの数は少なく、「たしなむ程度」との記述もあり、大規模な観光名所というより、身近な自然を楽しむ小規模な地域活動として運営されている実態も見て取れる。 (参考:nagacle「『おらほの自慢 聞いとくらいっ!』長野市内の住民自治協議会が交流」若槻自然遺産ガイドマップ(PDF)個人ブログ「長野市でもホタルが見れるなんて知らなかった!!」

他地域への示唆

鑑賞イベントを環境教育の機会に転換する設計

「ホタル学習会」を鑑賞会の前段に組み込むことで、単発の観賞イベントを生態理解につなげる教育機会に転換している。自然観察を伴う地域イベントを企画する他地域にとっても、鑑賞前に学習の場を設けるという順序立てた設計は再現しやすい工夫である。 (参考:若槻地区住民自治協議会 コミュニティわかつき|年間行事予定

自然地形をそのまま活用する際の安全管理モデル

観賞地点に照明や柵を新設せず、ボランティアによる誘導とロープでの案内という運用でリスクに対応している点は、大規模なインフラ整備を伴わずに自然環境を活かした鑑賞イベントを実施したい地域にとって現実的なモデルとなる。 (参考:個人ブログ「長野市でもホタルが見れるなんて知らなかった!!」

地縁組織による継続運営という再現可能性

環境保全と聞くと専門知識を持つNPOや行政主導の取り組みを連想しがちだが、若槻地区の事例は全戸加入型の住民自治協議会が母体となり、ボランティア団体と連携しながら継続してきた点に再現性がある。特定の篤志家や専門家に依存する体制ではなく、既存の自治組織の枠組みを活用する形は、他地域の住民自治組織にも応用しやすい。 (参考:若槻地区住民自治協議会 コミュニティわかつき|環境部

参照元


2026年8月時点の調査内容に基づいて作成

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