
成城コルティ 開業以来初のリニューアル(駅直結商業施設が多摩産材と地域連携で挑む「地域共生」)
東京都世田谷区の駅直結商業施設「成城コルティ」が、2006年の開業以来初のリニューアルを2025〜2026年に実施。コンセプト「成城の日常、まるごと。」のもと、共用部に多摩山麓産材を用い、地域ゆかりの店舗や地域資源と連動。民間の駅ビルが「地域共生」を軸に日常使いの拠点へと再構築した事例を整理する。
「成城コルティ(SEIJO CORTY)」は、東京都世田谷区成城6丁目、小田急線成城学園前駅に直結する駅ビル型商業施設である。2006年9月に開業し、地下1階・地上4階・延床面積約16,900㎡に、都市型スーパー「Odakyu OX」を核として約36〜38の専門店が入る。施設は株式会社小田急SCディベロップメント(小田急グループ)が運営している。この成城コルティが、2025年秋から2026年春にかけて、開業以来初となる大規模リニューアルを実施した。 (参考:Wikipedia「成城コルティ」、小田急SCディベロップメント プレスリリース(第1弾))
リニューアルのコンセプトは「成城の日常、まるごと。」。特別な目的来店を狙う専門店化ではなく、日々の買い物に使いやすいテナント編成と、館内で自然を身近に感じられる空間設計を組み合わせ、地元住民の生活に根ざした施設への刷新を掲げた。第1弾(2025年9月25日〜)ではカルディコーヒーファーム・JINSの新規出店と既存店の改装に加え、共用部に東京都内産の木材「多摩山麓産材」を導入。第2弾(2026年春)ではユニクロの出店などをもってリニューアルを完結させた。開業から約19〜20年を経た民間駅ビルが、地域の景観・森林・老舗店舗という「地域資源」を軸に自らを再定義した点に、この事例の特徴がある。 (参考:小田急SCディベロップメント プレスリリース(第1弾)、小田急SCディベロップメント プレスリリース(第2弾・完結))
成城コルティは、2006年に成城学園前駅の橋上化・地下化にあわせて整備された駅ビルである。設計は坂倉建築研究所・小田急建設設計共同企業体が手がけ、1階から屋上階へと立体的につながる半屋外空間や、緑化基準を上回る屋上庭園を備え、ヒートアイランド現象の抑制にも配慮した「緑と光あふれる空のある駅ビル」として計画された。施設名「コルティ」は、中庭を意味するイタリア語「Cortile(コルティーレ)」に由来するとされ、駅前に開かれた中庭的な空間を意図していた。 (参考:Wikipedia「成城コルティ」、OdakyuSCポータル「成城コルティ」)
一方、商業施設にとって開業から約19年という時間は、内装・共用部の経年に加え、消費行動やテナントニーズの変化に直面する期間でもある。にもかかわらず成城コルティはこれまで大規模なリニューアルを行っておらず、施設全体の刷新は積み残された課題となっていた。加えて、成城という地域は、閑静な住宅地としてのブランドと、日常的に駅と施設を使う地元住民の生活基盤という二つの性格を併せ持つ。単なる商業テナントの入れ替えではなく、「地域の日常にどう寄り添うか」を施設更新の主題に据える必要があった。 (参考:流通ニュース「成城コルティ/開業以来初のリニューアル」)
こうした背景には、運営会社である小田急SCディベロップメントが2022年12月に制定した地域共生ステートメント「エキチカは、マチチカ、ヒトチカへ。」がある。駅近くの立地を活かし、まち・ひとに近づき、地域とともに「まちに暮らすよろこび」を育てるという方針であり、リニューアルはこの理念を成城で具体化する試みとして位置づけられた。 (参考:小田急SCディベロップメント「地域共生」、小田急SCディベロップメント プレスリリース(第1弾))
リニューアルは、2段階に分けて段階的に実施された。
第1弾(2025年9月〜):日常使いのテナント刷新と共用部の木質化。
2025年9月25日、2階にコーヒー・食品専門店の「カルディコーヒーファーム」と、アイウェアの「JINS」が新規オープンした。あわせて生活雑貨の「Afternoon Tea LIVING」が改装オープンし、10月7日には「三省堂書店」が2階へ移転オープンした。いずれも来店頻度の高い日常使いの業種で、コンセプト「成城の日常、まるごと。」に沿ったテナント構成の見直しである。 (参考:小田急SCディベロップメント プレスリリース(第1弾)、トラベル Watch「成城コルティ リニューアル」)
第1弾で特徴的だったのは、テナント更新と同時に館内共用部を木質化したことである。駅コンコースに面した入口部分や館内の通路、休憩スペース、さらに新設のベンチには、東京都内で育てて生産された木材である「多摩山麓産材」を用いた。日常の買い物のなかでも木の温もりや自然の心地よさを感じられる空間を目指したもので、施設の設計思想である「自然との共生」を、屋上庭園に続いて館内へと展開する狙いがあった。 (参考:小田急SCディベロップメント プレスリリース(第1弾)、トラベル Watch「成城コルティ リニューアル」)
地域材の意味づけと現場理解。
多摩山麓産材は、木を伐り出して使い、植え直して育てるという営みを繰り返すことで森林を持続的に保つ地域材であり、成城の景観を支える国分寺崖線のみどりや、その水源となる多摩川上流域の森林とつながる資源として意味づけられた。単に「木を使う」だけでなく、運営会社の社員が地元の成城自治会と連れ立って多摩地域で森林を守る取り組みの現場を訪れ、素材への理解を深めたうえで導入した点が、この取り組みのプロセスの特徴である。 (参考:小田急SCディベロップメント プレスリリース(第1弾))
第2弾(2026年春):ユニクロ出店とリニューアル完結。
2026年4月10日、2階に「ユニクロ」が新規オープンし、リニューアルが完結した。あわせてインテリア・生活雑貨の「GEORGE'S」やフレンチレストラン「グランファミーユ・シェ松尾」などが改装・出店した。ユニクロは「成城の街と共に歩む店舗」を掲げ、成城ゆかりのイラストレーター・五月女ケイ子による「地域紹介ウォール」や、店内の地域紹介ディスプレイBOX・地域MAPを設けるなど、店舗単位で地域とのつながりを表現した。 (参考:小田急SCディベロップメント プレスリリース(第2弾・完結))
完結にあわせて実施された地域連携企画も、成城という土地に根ざしたものだった。成城石井・成城アルプスといった地域ゆかりのブランドや小田急のキャラクター「もころん」とコラボした限定商品やノベルティの配布、地域ブランド商品が当たる抽選会などを、オープンにあわせて展開した。 (参考:小田急SCディベロップメント プレスリリース(第2弾・完結))
1. 内装リニューアルを「地域の景観・森林の物語」に接続した。
一般に商業施設の共用部改装は意匠や快適性の問題として語られがちだが、成城コルティは共用部の木質化を、成城の景観を形づくる国分寺崖線のみどり、その水源である多摩川上流域の森林、そして伐採・植栽・保育で回る森林循環という土地の文脈に結びつけた。さらに社員が自治会とともに森林保全の現場を訪れることで、素材選定を「地域理解の実践」に変えている。ありふれた内装更新に、その土地でしか成り立たない意味づけを与えた点が特徴である。 (参考:小田急SCディベロップメント プレスリリース(第1弾)、トラベル Watch「成城コルティ リニューアル」)
2. 「日常使い」を明確な軸に据えた。
導入したのは食品(カルディ)、アイウェア(JINS)、書店、生活雑貨、日常衣料(ユニクロ)といった来店頻度の高い業種であり、コンセプトも「成城の日常、まるごと。」と、非日常の集客ではなく生活基盤としての機能を前面に置いた。住宅地の駅ビルという立地特性に対し、目的来店型ではなく日常導線に沿う施設像を選んだ意思が明確である。 (参考:流通ニュース「成城コルティ/開業以来初のリニューアル」、小田急SCディベロップメント プレスリリース(第2弾・完結))
3. 施設・テナント・企画の三層で「地域共生」を実装した。
共用部(多摩山麓産材)という施設レベル、ユニクロの地域紹介ウォールという個店レベル、成城石井・成城アルプスとのコラボや先着ノベルティという企画レベルと、異なる粒度で地域との接点を重ねた。地域共生を抽象的なスローガンで終わらせず、空間・店舗・イベントの複数レイヤーに具体化している点が、運営会社の地域共生ステートメント「エキチカは、マチチカ、ヒトチカへ。」を体現する形になっている。 (参考:小田急SCディベロップメント プレスリリース(第2弾・完結)、小田急SCディベロップメント「地域共生」)
4. 施設がもともと備える地域拠点機能を土台にしている。
成城コルティ3階には、区の委託事業である一時預かり「ほっとステイ」や親子の居場所「おでかけひろば」、認証保育所などからなる「子育てステーション成城」が入り、施設は駅直結の子育て拠点でもある。2階のプラザは地域のイベント会場としても使われてきた。今回のリニューアルは、こうした既存の地域拠点機能の上に、日常使いと地域共生を重ねた更新と捉えられる。 (参考:世田谷区「子育てステーション成城」、OdakyuSCポータル「成城コルティ」)
現時点で確認できる成果は、開業以来初となる大規模リニューアルを、2025年秋の第1弾から2026年春の第2弾まで計画どおり完結させたことである。日常使いのテナント刷新(カルディ・JINS・三省堂書店・ユニクロほか)と、共用部の木質化という空間更新の双方を実現し、施設の物理的な老朽・陳腐化への対応と、地域共生というブランド方針の具体化を同時に進めた。 (参考:小田急SCディベロップメント プレスリリース(第2弾・完結))
定性的な成果としては、「地域材の活用」「個店の地域連携」「地域ブランドとのコラボ」という複数の仕掛けを通じて、駅ビルが地域資源とつながる回路を設計できたことが挙げられる。運営会社はこのリニューアルを、地域との「共生の形を育てるための節目」と位置づけている。 (参考:小田急SCディベロップメント プレスリリース(第2弾・完結))
一方で、留意すべき点もある。本調査で参照した公開資料の範囲では、来館者数・売上・回遊性の変化といった定量的な効果や、多摩山麓産材の使用量、森林循環への具体的な寄与を示すデータは確認できなかった。地域共生の取り組みが施設の集客や地域経済にどの程度結びついたかは、今後の運用実績の蓄積と公表を待つ必要がある。現段階の評価は、あくまで「意欲的な設計と完結した実装」までにとどまる点は明確にしておきたい。
成城コルティの事例は、住宅地の駅ビルや沿線商業施設を「地域共生の拠点」として再構築したい事業者・自治体にとって、いくつかの再現性のある示唆を含む。
ただし、成城石井・成城アルプスといった全国的知名度を持つ地域ゆかりブランドの存在や、成城という強い住宅地ブランドは、この地に固有の条件でもある。同種のブランド資源に乏しい地域では、連携先の掘り起こしや物語づくりに、より丁寧な準備を要する可能性がある点は割り引いて捉える必要がある。
2026年7月時点の調査内容に基づいて作成
この記事は公開情報に基づき、AIを用いた詳細調査により作成されました。記事内容への修正依頼、お問合せ等は以下までお寄せください。
問い合わせ:support@groove-designs.com
よくあるご質問(FAQ)もあわせてご確認ください。
#
総合計画
#
まちづくり指針
#
エリアビジョン
#
景観計画
#
緑の基本計画
#
公共空間活用
#
ウォーカブル
#
公園活用
#
防災・減災
#
空き家活用
#
エリアプラットフォーム
#
公民連携プラットフォーム
#
公民連携
#
地域コミュニティ
#
地域交流拠点
#
多文化共生
#
子育て支援
#
文化芸術
#
自動運転バス
#
モビリティマネジメント
#
モビリティハブ
#
関係人口
#
移住促進
#
探究学習
#
グリーンインフラ
#
生物多様性
#
参加型予算
#
都市整備
#
まちなか
#
駅前広場
#
協働のまちづくり
#
リノベーションまちづくり
#
フューチャーセンター
#
スマートシティ
#
AI
#
リビングラボ
#
空きスペース活用
#
居場所づくり
#
子ども食堂
#
沿線まちづくり
#
健康
#
社会教育
#
持続可能な都市
#
計画策定
#
まちづくり
#
コミュニティ形成
#
ワークショップ
#
社会実験
#
市民参加
#
子ども・若者
#
子育て世代
#
シニア