
中島公園魅力継承コンテンツ試行運営業務
札幌市が中島公園の魅力を一体的に発信するため、公式Instagramの運用やイベント開催を通じて実証実験を行う取り組み。有識者検討会の議論を踏まえ、施設間連携によるソフト面の強化を目指す。
札幌市は2025年度から、中島公園全体の魅力を一体的に発信する実証実験「中島公園魅力継承コンテンツ試行運営業務」を開始した。札幌コンサートホールKitaraや国指定重要文化財の豊平館など、園内には多様な施設があるが、各施設の運営主体が別々であるため公園全体を統一的にPRする機会が限られていた。この課題を解消するため、公式Instagramの運用や園内イベントの開催を通じて、公園の魅力を包括的に伝える取り組みを進めている。(参考:大通公園・中島公園あり方検討)
中島公園は札幌市中央区に位置し、藻岩山を望む立地で豊かな緑と菖蒲池などの水辺空間を有する都市公園として市民に親しまれてきた。園内には札幌コンサートホールKitara、豊平館、北海道立文学館、中島児童会館、札幌市天文台、人形劇場こぐま座など多様な文化・芸術施設が集積している。(参考:中島公園公式サイト)
しかし、2023年度から2024年度にかけて開催された有識者会議「大通公園・中島公園あり方検討会」では、以下の課題が指摘された。
特に中島公園周辺では、札幌パークホテル跡地に2033年度開業予定の新MICE施設(最大5,000人規模)の整備が計画されている。こうした周辺開発の動向を踏まえ、公園のソフト面の充実が急務となっていた。(参考:新MICE施設整備)
札幌市は2023年11月から2025年1月にかけて、専門家による「大通公園・中島公園あり方検討会」を計6回開催した。中島公園については「今あるみどりや芸術・文化を磨き上げること」「新たな機能により魅力を向上すること」「周辺エリアも含めて活性化させること」の3つの観点から検討が行われた。(参考:あり方検討会の内容)
検討会での議論を踏まえ、2025年3月に「中島公園未来への魅力継承プラン」が策定された。周辺開発が構想・検討段階にある過渡期であることから、当面はソフト面を中心に公園の魅力や取り組みの方向性を整理する内容となっている。プラン策定にあたっては、指定管理者である公園緑化協会、Kitara、豊平館など園内8施設・事業者と、周辺の飲食・宿泊事業者など17事業者へのヒアリングが実施された。(参考:中島公園未来への魅力継承プラン)
魅力継承プランに基づき、札幌市は「中島公園魅力継承コンテンツ試行運営業務」を公募型企画競争で募集し、株式会社KITABAが受託者に選定された。2025年9月から中島公園公式Instagram(@nakajima_park_official)の運用を開始し、四季折々の公園の魅力やイベント情報を発信している。(参考:Instagram運用ポリシー、公募情報)
本事業の特徴は、管理者の異なる複数施設を横断して、公園全体としての魅力を発信する点にある。従来は各施設が個別に広報活動を行っていたが、本事業では札幌市みどりの推進部が主導し、園内施設と連携しながら統一的な情報発信を行う体制を構築した。(参考:Instagram運用ポリシー、公募情報)
周辺の大規模開発(新MICE施設)が構想段階にある中、まずはソフト面の施策を先行して実施している。ハード面の整備は周辺開発の動向を見据えながら、園内施設の更新時期に合わせて検討していく方針である。(参考:中島公園未来への魅力継承プラン)
2025年11月には「秋のNAKAやすみ」と題したイベントを開催。キッチンカーや「ひがほん暮らしの朝市」、謎解き公園巡り、ガイドツアーなど多彩なプログラムを通じて、公園の回遊性向上や来訪者ニーズの把握を図っている。同時期には紅葉ライトアップや焼き芋テラスも開催され、秋の中島公園を楽しむ複合的な取り組みとなっている。(参考:中島公園公式Instagram)
本事業は2025年度に開始されたばかりであり、成果の検証はこれからの段階にある。現時点で確認できる取り組みは以下の通り。
今後は参加者の意見収集や反応分析を通じて、取り組みの効果検証と改善が行われる見込みである。
都市公園内に複数の施設が存在し、管理者が異なる場合、情報発信が分散しがちになる。本事例のように自治体が主導して統一的な情報発信の仕組みを構築することは、他地域の都市公園でも参考になる。
大規模な周辺開発が計画されている場合、ハード整備を待たずにソフト面の取り組みを先行させるアプローチは、過渡期における公園の魅力維持・向上策として有効である。
約2年間にわたる有識者検討会での議論を経て具体的な施策に落とし込むプロセスは、関係者の合意形成と専門的知見の活用の両面で参考となる。
2026年4月時点の調査内容に基づいて作成
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