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豊洲地域共創プラットフォーム(複数の市民参加プロジェクトを束ねるエリアの共創ポータル)
豊洲地域共創プラットフォーム(複数の市民参加プロジェクトを束ねるエリアの共創ポータル)

豊洲地域共創プラットフォーム(複数の市民参加プロジェクトを束ねるエリアの共創ポータル)

豊洲地域共創プラットフォーム(複数の市民参加プロジェクトを束ねるエリアの共創ポータル)

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東京都江東区の豊洲で、豊洲スマートシティ推進協議会がオンライン市民参加基盤「my groove」上に開設した常設の共創ポータル。「防災」と「にぎわい」を二大テーマに複数の共創プロジェクトを束ね、住民が「できる時にできる形で」参加でき、オンラインの意見募集と対面活動を往還させている。

豊洲地域共創プラットフォーム(複数の市民参加プロジェクトを束ねるエリアの共創ポータル)

概要

「豊洲地域共創プラットフォーム」は、東京都江東区の豊洲エリアで、一般社団法人豊洲スマートシティ推進協議会(事務局:清水建設)が、オンライン市民参加基盤「my groove」上に開設した常設の共創ポータルである。個別のイベントやアンケートを単発で立てるのではなく、「防災」と「にぎわい」という二つのテーマのもとに複数の共創プロジェクトを一つの入口に束ね、「豊洲に暮らす・働く・訪れるすべての人が主役」となってまちについて考え、育てる場として運用されている。プラットフォームの説明文では、利用者が「まちの動きを知る」「ちょっと声を届ける」「自分も活動に参加してみる」といった関わりを「できる時にできる形で」選べることが掲げられている。 (参考:豊洲地域共創プラットフォーム(my groove)

技術基盤の「my groove」は株式会社Groove Designsが提供するコミュニティエンゲージメント・プラットフォームで、自治体や協議会がオンラインで意見・アイデアを募り、取り組みの進捗を発信できるサービスである。豊洲のポータルは、その「プロジェクトグループ」機能を使って複数の取り組みを統一インターフェースで束ねた構成になっており、配下には住民参加型の地域防災プロジェクト「みんなで考える、とよすの防災」や、来場者・出店者・主催者が交流する「みんなで育てる!豊洲場外マルシェ」などが置かれている。調査時点でポータル自体のフォロワーは約130名にのぼり、住民が個別企画を都度探さなくても、一度フォローすれば複数テーマの動きを継続的に受け取れる仕組みになっている。 (参考:豊洲地域共創プラットフォーム(my groove)豊洲スマートシティ推進協議会(my groove)株式会社Groove Designs

背景・課題

豊洲エリアは、豊洲1〜6丁目を中心とした臨海部のまちで、面積は約246ha、居住人口約3.7万人・就業人口約4万人(いずれも2019年1月時点等)を抱える。タワーマンションや大型商業施設、オフィス、豊洲市場が混在するミクストユース型の市街地で、住民・ワーカー・来街者・観光客と、立場も生活リズムも異なる多様な人々が行き交う。豊洲は2019年5月に国土交通省のスマートシティ「先行モデルプロジェクト」に選定され、東京都の「スマート東京 先行実施エリア」(大丸有・竹芝・豊洲)にも位置づけられた地区である。この選定を受けて2019年に産官学の「豊洲スマートシティ連絡会」と、事業を担う「豊洲スマートシティ推進協議会」が設立された。 (参考:国土交通省 スマートシティ実行計画資料シミズの次世代まちづくり スマートシティ豊洲スマートシティについて

協議会は、観光・周遊、モビリティ、データプラットフォームといったワーキンググループを設け、清水建設が事務局を担いながら、複数の企業・自治体・大学が連携して事業を進めている。エリアの構造的な課題として挙げられてきたのが「回遊性の不足」であり、大型商業施設の来訪者の多くが施設利用後にそのまま直帰してまちなかを歩き回らないこと、地域情報の発信が十分でないことなどが指摘されてきた。賑わいと安全の両面でまちを育てるには、行政や事業者だけで方針を決めるのではなく、実際にまちを使う人々の声を継続的に取り込む仕組みが必要だった。 (参考:豊洲スマートシティについて東京都 スマート東京 採択プロジェクト 豊洲

ここに、市民参加の運営上の難しさが重なる。多忙な現役世代やワーカー、来街者にとって、平日夜や休日に会議室へ足を運ぶ従来型のワークショップ・紙アンケートはハードルが高く、関心の高い一部の住民に参加が偏りやすい。さらに、防災・賑わい・公共空間といった複数のテーマをそれぞれ別の企画として個別に動かすと、住民から見て窓口が分散し、関わりが単発のイベントで途切れてしまう。多様な立場の人が、自分のペースで、関心のあるテーマに継続的に関われる「共通の入口」をどうつくるかが課題であった。 (参考:「まちとの関わりが生まれる、デジタルプラットフォーム」my groove公共R不動産 my grooveインタビュー

取り組みのプロセス

オンライン基盤の導入とポータル化

協議会は、オンラインの市民参加基盤「my groove」を導入し、自らの組織ページのもとに「豊洲地域共創プラットフォーム」というプロジェクトグループを開設した。ここに「防災」と「にぎわい」を二大テーマとして掲げ、複数の共創プロジェクトを一つのポータルに集約している。my grooveでは、各プロジェクトをフォローし、意見募集やアンケートに回答し、コメントを投稿でき、運営側は取り組みの段階(フェーズ)や成果をレポートとして発信できる。住民は関心のあるテーマだけを選び、「ちょっと声を届ける」程度の軽い関与から始められるよう設計されている。 (参考:豊洲地域共創プラットフォーム(my groove)公共R不動産 my grooveインタビュー

「防災」テーマ:意見募集と対面訓練の往還

ポータルの中核を担うのが、2024年に開設された防災プロジェクト「みんなで考える、とよすの防災」である。協議会が2017年度から続けてきた地域防災訓練の蓄積を土台に、my groove上で「知る」「備える」「助ける」をキーワードとした意見募集を常設化した。豊洲は新しく堅牢なマンションが多く大半の住民が「在宅避難」を前提とする、という地域特性を出発点に、2024年度は「在宅避難」(自助)、2025年度は「避難所運営」(共助)へとテーマを段階的に広げている。オンラインで集めた住民の不安や論点を、そのまま対面の地域防災訓練のディスカッション・アジェンダに転用し、結果を再びオンラインで共有する「オンライン→オフライン→オンライン」の循環が、このプロジェクトの運用の型となっている。 (参考:みんなで考える、とよすの防災(my groove)

防災をめぐるリアルな取り組みは、ポータルの外側でも厚みを増している。協議会は2024年5月に江東区と防災支援協定を締結し、産官学民連携での防災社会実験や避難所運営サポーターとの連携などを進める枠組みを整えた。こうした自治体・専門組織との連携が、オンラインで集めた声を実際の防災行動につなぐ受け皿になっている。 (参考:江東区 豊洲スマートシティ推進協議会との防災支援協定

「にぎわい」テーマ:マルシェと公共空間の共創

もう一方のテーマである「にぎわい」では、2026年4月に「みんなで育てる!豊洲場外マルシェ」というオンライン共創コミュニティが開設された。毎月開催される豊洲場外マルシェを、単発のイベントとしてではなく来場者・出店者・主催者がともに継続的に育てていく場として位置づけ、この三者が、感想や次回への要望、出店者からの限定メニューの告知などを書き込み合い、寄せられた声をどう実現したかを主催者がレポートで返す仕組みになっている。これに先立ち、協議会は2024年に「みんなでつかう、とよすのオープンスペースについて考えよう!」という公共空間活用の共創プロジェクトも立ち上げ、「豊洲×楽しむ/学び/防災」の切り口でアイデアを募り、マルシェ会場での対面ワークショップと接続するなど、賑わいの場を街の将来を語り合う場へ広げる試みを重ねてきた。 (参考:みんなで育てる!豊洲場外マルシェ(my groove)豊洲スマートシティ推進協議会(my groove)

「できる時にできる形で」を支える設計

これらのプロジェクトに共通するのは、参加の入口を可能な限り低くする設計である。my grooveは、もともと仕事や子育てで多忙な人でもオンラインで意見を述べられ、検討が始まった後の段階からでも関われることを狙ったプラットフォームで、まちの動きを知る段階から、コメントで少し声を届ける段階、そして実際のイベントに足を運ぶ段階へと、関与の度合いを段階的に深めていけるサイクルが想定されている。豊洲のポータルは、この段階設計を「防災」と「にぎわい」という複数テーマにわたって束ねることで、住民が自分の関心と都合に合わせてどこからでも入れる構えをとっている。 (参考:公共R不動産 my grooveインタビューエリマネこ Groove Designsインタビュー

この事例の特徴

第一の特徴は、個別の市民参加企画を一つの常設ポータルに束ねる「ポータル型」の運用である。my grooveには、計画策定型・アクティビティ型・ポータル型という活用の型があり、豊洲のケースは複数の取り組みを一つの入口にまとめるポータル型にあたる。単発の意見募集やイベントを都度立ち上げるのではなく、「豊洲地域共創プラットフォーム」という持続的な器を一つ用意し、その中で防災・にぎわいの各プロジェクトを走らせる。住民は一度フォローすれば複数テーマの動きを継続的に受け取れるため、まちとの関わりが単発で途切れず、関心がストックとして蓄積されていく。 (参考:豊洲地域共創プラットフォーム(my groove)note Groove Designs 三田市の活用事例

第二に、「できる時にできる形で」という段階的・低関与の参加設計である。会議室に集まるワークショップを起点にせず、まずオンラインで広く認知と関心の入口をつくり、コメントや「いいね」といった軽い関与から、対面のイベント・訓練への参加へと段階的に深めていく。この設計は、従来の市民参加で取りこぼされがちだった多忙な現役世代やワーカー、来街者にも参加の余地を開くもので、立場の異なる多様な人を「主役」として巻き込もうとする豊洲の狙いと整合している。 (参考:豊洲地域共創プラットフォーム(my groove)公共R不動産 my grooveインタビュー

第三に、運営主体が単独の行政や一企業ではなく、官民連携の協議会である点と、汎用プラットフォームの上にポータルを構築している点である。事務局を清水建設が担い、自治体・企業・大学が連携する協議会という器が、観光・モビリティ・データといった機能横断の事業の一環として共創ポータルを位置づけている。基盤となるmy grooveは杉並区「すぎなみプラス」や沼津「ぬまぷら(NUMAZU JAMS)」など全国で導入が進む汎用サービスであり、豊洲固有のシステムを独自開発したわけではない。継続的な運営の器と、横展開可能な基盤の組み合わせが、取り組みを属人的な熱意だけに依存させない構造を生んでいる。 (参考:シミズの次世代まちづくり スマートシティnote Groove Designs 2025年の振り返り

調査時点の成果

参加の広がりは、定量的にも一定の蓄積が確認できる。調査時点で、ポータル本体のフォロワーは約130名、中核の防災プロジェクトの参加者は約120名にのぼる。一方、2026年4月開設のマルシェ共創コミュニティの参加者は十数名、公共空間プロジェクトの参加者も十数名規模で、テーマによって立ち上がりの段階に差がある。防災が継続的に積み上がってきた中核である一方、にぎわい系のプロジェクトはまだ初期段階にあり、ポータル全体としては「防災が牽引し、にぎわいが続く」という濃淡を伴った状態にある。 (参考:豊洲地域共創プラットフォーム(my groove)みんなで育てる!豊洲場外マルシェ(my groove)

中核の防災プロジェクトでは、オンラインと対面を往還させる運用が具体的な成果につながっている。在宅避難をテーマにした3本の意見募集には合計169件の声が集まり、「気になる災害は地震が圧倒的」「在宅避難の不安はインフラ・ライフラインが最多」といった、行政の一般的なハザード情報だけでは捉えにくい住民目線の課題が言語化された。2025年9月の避難所運営訓練の開催後アンケートでは、回答者16名中88%が「災害協力隊に対する考え方に変化があった」と回答し、認知から行動への一歩につながる反応が得られている。オンラインの意見募集が、対面の議論と住民の意識変化を生む起点として機能していることを示す結果である。 (参考:みんなで考える、とよすの防災(my groove)

他地域への示唆

第一の示唆は、市民参加を「単発の企画」から「常設のポータル」へと組み替える発想である。多くの地域では、計画策定やイベントのたびにアンケートやワークショップを立ち上げ、終われば住民との関わりが途切れる。豊洲のように、一つの持続的なプラットフォームを用意し、その中で複数テーマのプロジェクトを走らせれば、住民は一度フォローするだけで関わり続けられ、関心がストックとして積み上がる。デジタル参加基盤の価値を「一度の意見収集」ではなく「継続的な関係の蓄積」に置く視点は、他地域でも応用しやすい。 (参考:豊洲地域共創プラットフォーム(my groove)note Groove Designs 三田市の活用事例

第二に、複数テーマの共通入口と、オンライン↔オフラインの往還を組み合わせる運用の型は再現性がある。防災で確立した「オンラインで声を集め、対面の場で議論し、結果をオンラインに戻す」循環を、にぎわい・公共空間といった別テーマにも横展開する構えは、テーマごとに参加の仕組みを作り直す手間を省き、運用ノウハウを共有できる。賑わいイベントやマルシェなど既存の集客の場を持つ地域であれば、そこに対話の場を併設しつつオンライン基盤につなぐことで、同様の往還を組みやすい。 (参考:みんなで考える、とよすの防災(my groove)みんなで育てる!豊洲場外マルシェ(my groove)

第三に、継続主体と汎用基盤の組み合わせによる持続性である。豊洲では、特定の個人や単発の補助事業ではなく、地域企業が集う官民連携の協議会が運営の器となり、全国で使われる汎用プラットフォームの上にポータルを構築している。独自システムを抱えず、属人的な熱意にも依存しない体制は、取り組みを長く続けるうえで参考になる。一方で、こうしたポータルの運用には、フォロワーを継続的に増やし、寄せられた声にレポートで応え、テーマ間の濃淡を運営し続ける体制とコストが前提となる。複数テーマを並走させると熟度に差が出やすい点は、導入を検討する地域が現実的に織り込んでおくべき条件である。自地域の規模や運営力に応じて、束ねるテーマの数と更新の頻度を見極めることが、ポータル型を機能させる鍵となる。 (参考:豊洲スマートシティについて公共R不動産 my grooveインタビュー

参照元

2026年6月時点の調査内容に基づいて作成

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