
真駒内駅前地区まちづくり・エリアマネジメント
札幌オリンピック選手村の歴史を持つ真駒内駅前で、2032年度の土地利用再編に向けて住民参加型のまちづくりとエリアマネジメントが進む事例。景観ミーティングやまこフェスを通じた地域協働の取り組み。
札幌市南区の真駒内駅前地区では、2032年度の土地利用再編を目標に、住民参加型のまちづくりとエリアマネジメント活動が展開されている。地下鉄南北線の終点である真駒内駅周辺は、1972年札幌冬季オリンピックの選手村として使用された歴史を持ち、南区全体の交通結節点として重要な役割を担う。しかし、築50年以上の公共施設の老朽化や人口減少・少子高齢化という課題に直面しており、駅前地区の再生が急務となっている。 (参考:真駒内地域/札幌市)
札幌市は2013年に「真駒内駅前地区まちづくり指針」を策定し、その実現に向けて2023年11月に「真駒内駅前地区まちづくり計画」をとりまとめた。計画では、南区複合庁舎の整備や商業系機能を含む民間複合施設の誘致、交流広場の創出などを掲げている。これらのハード整備と並行して、将来の「にぎわいの核」となる広場空間の活用方法を検討するため、地域住民が主体となるエリアマネジメント活動が2024年から本格化している。 (参考:真駒内駅前地区まちづくり計画の策定について/札幌市)
真駒内地域は、戦後の米軍駐留地(キャンプ・クロフォード)が1959年に返還されたことを契機に開発が始まった。北海道は札幌の急激な人口増加に対応するため、1959年から1973年にかけて真駒内団地土地区画整理事業を実施。約165ヘクタールの土地に5,000戸・2万人収容を計画した大規模な住宅団地を整備した。住宅は戸建てと集合住宅に用途を分け、商業施設や道路、公園、学校なども計画的に配置した。 (参考:真駒内 - Wikipedia)
1972年の札幌冬季オリンピック開催決定は、真駒内の発展を加速させた。真駒内公園内に建設された屋外競技場で開会式が行われ、屋内競技場で閉会式が開催された。オリンピック選手村は真駒内団地に設けられ、大会後は公営住宅やUR賃貸住宅として活用されている。現在も「五輪団地」の名称で残り、住棟にはオリンピック開催を記念するロゴが今も残されている。オリンピック開催に合わせて、地下鉄南北線(北24条〜真駒内間)が1971年12月に開業し、真駒内は交通の要衝となった。 (参考:五輪団地のくらし(北海道)|UR賃貸住宅)
真駒内地域の人口は昭和60年をピークに減少傾向が続いている。同時期に入居した住民が一斉に高齢化し、他のニュータウンと同様の課題を抱える。札幌市の統計によれば、真駒内地域の統計区は市内でも特に人口減少率が高い地域に含まれている。2012年4月には駅周辺の小学校4校が2校に統廃合された。 (参考:真駒内地域/札幌市)
駅前には南区役所、区民センター、南保健センターなどの公共施設が集積するが、その多くが築50年以上を経過し機能更新が必要となっている。約3キロ離れた澄川図書館(1983年築)も含め、これらの施設をどのように再編・集約するかが喫緊の課題であった。 (参考:真駒内駅前地区の土地利用再編/札幌市)
札幌市は2013年に「真駒内駅前地区まちづくり指針」を策定し、駅前地区の再生に向けた基本方針を定めた。この指針を具体化するため、2018年度から「真駒内駅前地区まちづくり検討委員会」(学識経験者・事業者)と「真駒内駅前地区まちづくり地域協議会」(地域住民)の二つの組織を設置し、それぞれ6回ずつの会議を重ねた。検討委員会では基本方針や土地利用計画案、スマートコミュニティ形成などを議論し、地域協議会ではワークショップ形式で住民の視点からの意見を収集した。第1回地域協議会には21名が参加し、新型コロナウイルス対策で分割開催となった回もあった。 (参考:真駒内駅前地区まちづくり検討委員会/札幌市、真駒内駅前地区まちづくり地域協議会/札幌市)
2023年11月、これらの検討を経て「真駒内駅前地区まちづくり計画」が策定された。計画では、駅前地区をA街区(商業系機能・交流広場)、B街区(行政機能・複合庁舎)、C街区(地域の魅力発信機能)に区分し、2032年度の開業を目指すスケジュールを示した。 (参考:真駒内駅前地区まちづくり計画の策定について/札幌市)
計画策定後、将来整備される交流広場の活用方法を住民とともに検討するため、エリアマネジメント活動が始まった。2024年3月3日には南区民センターで「地域主体のまちづくり『エリアマネジメント』を考える」と題したイベントを開催し、100名を超える参加者を集めた。札幌市立大学の片山めぐみ准教授による「役割と居場所があるコミュニティ」についての講演、札幌駅前通まちづくり株式会社による先行事例の紹介、UR都市機構による住宅団地での多世代交流の取り組み、まなびまくり社による若年層参画の報告など、多角的な視点からエリアマネジメントの可能性が提示された。 (参考:真駒内駅前地区まちづくり「地域主体のまちづくり『エリアマネジメント』を考える」を開催しました。/札幌市)
エリアマネジメント活動の中核として、地域イベント「まこフェス」が誕生した。2024年9月28日に開催された「まこフェス2024」は、廃校を活用した施設「まこまる」(旧真駒内緑小学校)を会場に、約1,500人の来場者を集めた。イベントでは、マルシェ・キッチンカーによる地域産品の販売、マンドリンアンサンブルやバンドによる音楽会、真駒内地域のガイドツアー(計3回・約45名参加)、ガラス細工や木工などのアートワークショップ、フィンランド発祥のスポーツ「モルック」体験、プレーパークや子育てサロンなど多彩なプログラムが展開された。 (参考:「まこフェス2024」を開催しました。/札幌市)
まこフェスの企画・運営は、全4回のプロジェクトミーティング(7月〜月1回、土曜15時〜17時)を通じて住民が主体的に行った。ミーティングでは単なるイベント準備にとどまらず、真駒内地域のまちづくりについての意見交換も行われた。 (参考:「まこフェス2024」と令和6年度のエリアマネジメントの取組/札幌市)
2025年度は「まこフェス2025」を9月15日(月曜・祝日)に開催予定で、会場を「まこまる」に加えて真駒内駅前広場と真駒内中学校東側市道にも拡大する。プロジェクトミーティングは5月31日に第1回(42名参加)、7月12日に第2回(24名参加)が開催され、コンテンツアイデアの出し合いや企画書作成、現地確認と実施計画作成が進められている。 (参考:「まこフェス2025」と令和7年度のエリアマネジメントの取組/札幌市)
2025年度は、土地利用再編後の駅前景観を住民とともに検討する「景観ミーティング」も実施されている。「真駒内駅前地区景観デザインガイドライン」の策定に向けた取り組みで、第1回(2025年8月23日・47名参加)では「大切にしたい景観」と「未来の景観」をテーマにグループワークを実施。第2回(2025年10月25日・32名参加)では「景観配慮のポイントと手法例(案)」について意見交換を行った。11月にはパネル展示と意見箱の設置も行われ、ガイドライン案に対するパブリックコメントを2026年2月16日まで募集している。 (参考:真駒内駅前地区の景観に係る取組/札幌市)
真駒内駅前地区の取り組みで際立つのは、交流広場や商業施設といったハード整備が完了する前の段階から、エリアマネジメントの実践を開始している点である。2032年度の開業を7年以上先に控えた今から、住民がプロジェクトミーティングを通じてまちの使い方を構想し、仮設的なイベントで実験を重ねている。既存の場所(まこまる、駅前広場)を活用しながら将来のにぎわいを先取りし、その経験を計画にフィードバックするアプローチは、完成後に活用団体を募集する従来型の公共空間整備とは一線を画す。
「まこまる」(旧真駒内緑小学校)には、2015年に開設された「子どもの体験活動の場Coミドリ」がある。子どもたちが自然素材や道具を使って自由に遊べるプレーパークとして運営されており、木〜日曜および祝日の水曜に開設され、無料・予約不要で利用できる。 (参考:「子どもの体験活動の場Coミドリ」について/札幌市)
まこフェスはこのCoミドリと連携し、プレーパークや子育てサロンをプログラムに組み込むことで、子育て世代の参加を促している。廃校という「負の資産」を地域の交流拠点として再生させた経験が、駅前広場という新たな公共空間の活用構想に活かされている。
住民参加の仕組みとして、目的や関心に応じた複数のチャンネルが用意されている。イベントの企画・運営に関わりたい人は「まこフェス」のプロジェクトミーティングへ、駅前の景観について意見したい人は「景観ミーティング」へ、という形でテーマ別に参加機会が分けられている。参加希望者はメールで事前登録するだけで、継続的に情報が届く仕組みになっており、参加のハードルを下げている。 (参考:「まこフェス2025」と令和7年度のエリアマネジメントの取組/札幌市、真駒内駅前地区の景観に係る取組/札幌市)
2024年3月のエリアマネジメント講演会では、札幌駅前通まちづくり株式会社の事例が紹介された。同社は札幌駅前通地区で15年以上にわたりエリアマネジメントに取り組み、広場を中心としたまちづくりの経験を蓄積している。真駒内は、都心部で確立された手法を郊外の地域交流拠点に応用しようとする試みといえる。 (参考:真駒内駅前地区まちづくり「地域主体のまちづくり『エリアマネジメント』を考える」を開催しました。/札幌市)
まこフェス2024では約1,500人の来場者を記録し、地域イベントとして一定の集客力があることが確認された。プロジェクトミーティングへの参加者も、2025年度第1回には42名が集まるなど、継続的な関与者が生まれている。 (参考:「まこフェス2024」を開催しました。/札幌市、「まこフェス2025」と令和7年度のエリアマネジメントの取組/札幌市)
景観ミーティングには第1回47名、第2回32名が参加し、住民の景観に対する関心の高さがうかがえる。グループワークを通じて「大切にしたい景観」「未来の景観」について具体的な意見が収集され、景観デザインガイドライン案に反映されている。 (参考:真駒内駅前地区の景観に係る取組/札幌市)
2025年に旧北海道警察官舎の解体作業が開始され、物理的な再開発も動き出した。A街区(商業系機能・交流広場)の開発事業者公募は2026年度に予定されており、事業化検討協力者との対話では、エリアマネジメントの地域への波及・展開についても協議が行われている。 (参考:真駒内駅前地区の土地利用再編/札幌市)
子どもの体験活動の場Coミドリは2025年度から横浜植木株式会社が管理・運営を担当し、プレーパークや体験プログラム、子ども食堂などを継続的に実施している。まこフェスとの連携も維持されており、エリアマネジメント活動の基盤となっている。 (参考:「子どもの体験活動の場Coミドリ」について/札幌市)
真駒内の事例は、大規模な土地利用再編を伴うまちづくりにおいて、完成の7年以上前からエリアマネジメント活動を開始することの意義を示している。早期から住民が関わることで、計画への当事者意識が醸成され、完成後のスムーズな運用につながる可能性がある。他地域でも、ハード整備のスケジュールにかかわらず、住民参加のソフト事業を先行させることは検討に値する。
まこまる(旧真駒内緑小学校)のように、廃校や低利用の公共施設を暫定的な活動拠点として活用することで、本格的な施設整備を待たずにエリアマネジメントの実践と人材育成を進められる。全国的に廃校が増加する中、まちづくりの実験場として活用する手法は参考になる。
「まこフェス」(イベント企画・運営)と「景観ミーティング」(計画への提言)という異なる性質の参加機会を用意することで、関心や得意分野が異なる住民それぞれが関われる仕組みを実現している。テーマ別に参加チャンネルを分けるアプローチは、多様な住民の参画を促す上で有効といえる。
学識経験者・事業者による「検討委員会」と地域住民による「地域協議会」を並行して設置し、それぞれ6回ずつの会議を経て計画を策定したプロセスは、専門的知見と住民視点を両立させる仕組みとして参考になる。両者の意見を調整しながら計画をまとめる札幌市の役割も重要である。
2026年4月時点の調査内容に基づいて作成
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