「ＳＤＧｓ」という言葉をご存じですか。

SDGsとは、2015年に国連サミットで採択された「持続可能な開発目標( Sustainable Development Goals )」です。2030年までに達成すべき17の世界共通の目標が設定されており、誰一人取り残さない社会の実現を目指し、経済・社会・環境をめぐる課題に統合的に取り組むことが期待されています。

三田市は、「ＳＤＧｓ」が掲げる「誰ひとり取り残さない」「持続可能な」「パートナーシップ」などの理念を実現し、次の時代にも輝く三田市であり続けることを目指しています。

新春座談会では、『だれでもスタートできるＳＤＧｓへのチャレンジ』をテーマに、日頃からさまざまな立場でＳＤＧｓにつながる取り組みに関わっておられる４人をお迎えして話を伺いました。

―　ＳＤＧｓは皆さんの活動とどのようにつながっているのでしょうか？

ニューメキシコ大学で講師を務めているので、４番目のゴール「質の高い教育をみんなに」を目標の一つに活動しています。例えば、市産業政策課と連携し、三田市で起業したい学生や市民を対象とした海外研修のインターンシップなどに取り組んでいます。

高校生の頃から興味があったＳＤＧｓ。大学のサポートもあり、入学を機に、友人と「ＳＤＧｓｔｅｐ(エスディージーズステップ)」プロジェクトを始めました。「ＳＤＧｓｔｅｐ」は「Ｆｉｒｓｔ(ファースト) ｓｔｅｐ(ステップ)」と「ＳＤＧｓ」を掛け合わせた造語です。興味はあるけど、何ができるかわからなかった自分。みんなも何から取り組んだらいいのか悩んでいると思い、主に小学生を対象にＳＤＧｓへのファーストステップにつなげるイベントを企画し、取り組んでいます。

子育てをスタートしたのは、初めて住むまち、知り合いもいない三田市でした。不安はあったけど、とても子育てがしやすく、「いつか三田に恩返ししたい」という思いでママを元気にするサークル「ミラクルウィッシュ」を立ち上げました。子ども服のリサイクルや、防災に関心があり、市協働事業の一環で取り組み始めた「さんだ女子防災部」など、今はＮＰＯ法人として活動しています。

市内で野菜を生産しています。収穫した新鮮な野菜をすぐに消費者に届けるため、自社配送で販売店に納品しています。その生産の過程で生じる規格外野菜は、非常にもったいないですが、廃棄処分する以外の選択肢がありませんでした。そこで12番目のゴール「つくる責任 つかう責任」に着眼し、毎週土曜に市内の商業施設で、規格外野菜の盛り放題の販売会を始めました。本当は地元三田の皆さんに規格品を食べてほしいけど、手頃な価格でまずは三田の野菜のおいしさを知ってもらうことを目指す取り組みです。

三田市は、10年後のまちの将来像を示す第５次総合計画を昨年策定しました。ＳＤＧｓの理念に通じる「共生」「再生」「共創(きょうそう)」の視点で住み続けられるまちづくりを目指しています。昨年７月から12月まで実施した「わたしのＳＤＧｓ宣言キャンペーン」では、日々の生活の中で自分が取り組む目標を宣言し、その実践状況を共有することで、市全体でＳＤＧｓに取り組む機運の醸成を図りました。今、子どもたちにはなぜ17の目標が生まれたのか、地球が抱える課題、ＳＤＧｓの背景を考えてほしいです。

多様な主体の連携によりまちに活気を

―　ＳＤＧｓの基本理念の一つに「パートナーシップ」がありますが、皆さんの活動ではどのような新しい関係が生まれていますか？

子育て中の親子と地域コミュニティとの関わりが持てる場を提供するため、ママたちが講座やブースを出展する「ミラクル親子パーク」を開催しています。今年は市内の市民活動団体が主催する「市民活動まつり」との共催で行いました。このとき、「活動内容を発信したい」「教室をしたいけど、場所がない」など参加団体からのさまざまな声を聞き、課題を解決するために、私たちにもお手伝いできることがたくさんあると感じました。私たちもイベント中、手薄になる写真撮影は写真部の中高生に、子ども向けのイベントは大学生に力を貸してもらい、とても助かっています。

アメリカで関わったスタートアップ企業は、デジタル化が苦手な高齢者の団体を支援する事業ですごく成功しています。最近は、大学生も参画し、アルバイト感覚でサポートする事例もあります。

 同じ大学の教育学部の学生団体と互いのアイデアを融合させて、「ＳＤＧｓ運動会」の企画を進めています。子どもたちが楽しくＳＤＧｓを学び、自分にできることは何かを考えられる運動会にしたいです。西宮聖和キャンパスの教育学部と私たち神戸三田キャンパスの総合政策学部の学生がそれぞれ学んできたことを生かし、アイデアを出し合っています。

市内や兵庫県内、大阪府内の子ども食堂に規格外となった野菜を無償提供しています。子どもの成長や健康に必要な料理を提供したいと考えている子ども食堂の関係者と出会ったことで、子どもたちに栄養価の高いものを食べてほしいという私の願いが実現しています。ＳＤＧｓの３番目のゴール「すべての人に健康と福祉を」を一つの目標に、これからも取り組んでいきます。

ＳＤＧｓの17番目のゴールは「パートナーシップで目標を達成しよう」。行政だけではできないこともあり、益田さんのミラクルウィッシュのような活動団体や増田さんのような学生の力など、多様な主体といかに連携していくかが大切です。それぞれに強みや弱みがあるので、力の合わせ方もとても重要になります。ＳＤＧｓの中でも、パートナーシップが世界で一番必要とされていると思います。

大学でＳＤＧｓを学んでいると、個人の行動にどんな意味があるのか疑問を持つことがありました。今は、まず一人一人が日常の行動を変化させることで、社会の大きな変化へとつながると思っています。一人の意識の変化を広げていくことが、パートナーシップにも影響を与えると思います。

 今、世界が直面している問題は、パートナーシップをどのように組み直すかということです。三田市においても、行政と事業者の公民連携や、市民団体との協働事業、多様な主体同士のマッチング支援など、新たなパートナーシップによる相乗効果を、人口減少にも負けないまちづくりに生かしていきます。

誰でもスタートできる　ＳＤＧｓへのチャレンジ

―　ＳＤＧｓを意識して、生活の中でどのようなことに取り組んでいますか？

スーパーなどで新鮮な商品を求めて、棚の奥の商品を取る人がいます。結果として賞味期限の近いものが売れ残って捨てられてしまうことが多いので、すぐに食べるものは手前の商品を購入するようにしています。ちょっとした小さな心がけですが、日々取り組んでいることの一つです。

防災にも関連するのですが、常に飲み物を持っておくということが習慣になっていて、それもペットボトルではなく水筒にするように常に意識しています。

マイボトルの他に、買い物の際にフードロスを出さないようにも気をつけています。少量パックを購入するなど、必要な量を無駄なく使い切ることを心がけています。

日本では過剰包装が多くみられます。海外では、野菜などは山積みで、必要な量を自分で詰めたりしますが、日本は一つずつ包装しているんだと帰国して驚いたことがあります。海外のように、自分が購入する量を決めるというのは選択肢が多くて魅力的だと思います。市長が、個人的に取り組んでいる活動はありますか？

「もったいない」を合言葉に家族とＳＤＧｓの話をしています。私も皆さんのようにマイボトルを持ち歩いています。家族は友達とフリーマーケットを企画するなど、日本のもったいない精神を生かして、消費者の「つかう責任」を実践しています。私もその取り組みに少しずつですけど、参加しています。また、８番目のゴール「働きがいも 経済成長も」でも、特に働きがいを意識しています。立場上、市職員にも働きがいを持ってもらえるように心がけています。一つ一つ積み重ねることで、職員とワンチームになって、市民の皆さんに質の良いサービスを提供していきたい。これが、私自身にとっての生きがいにもつながっています。

―　ＳＤＧｓの活動を、どのように取り組んでいくか、宣言をお願いします？

ＳＤＧｓ運動会のイベントを成功させたいです。西宮聖和キャンパスの学生と初めて合同開催しますが、今回の機会を大切にし、いい関係を続けていきたいです。また、英語が好きなので、大学卒業後は英語力を生かして、海外で活躍したいです。活動の中で貧困の解決に関わる仕事に就きたいと思っています。

障害のある人を雇用して、収穫した野菜の選別や定植作業をしてもらう農福連携に取り組んでいきたいです。農作業をすることで体を動かし、太陽にあたり、自然に触れることで健康になることもきっとあるはずです。ぜひ、農業と福祉をつなげて双方にとっていい形になるよう、「すべての人に健康と福祉を」に取り組んでいきたいと思います。

「さんだ女子防災部」の活動として、災害に備える心構えを皆さんに常に持ってもらえるように、楽しい防災の取り組みを企画開催していきたいです。また今、私たちの活動拠点となる空き家を三田市内で探しています。しんどさを抱えている女性たちが多いので、そこで互いに支え合い、癒し合える場づくりをしていきたいと思います。

ＳＤＧｓの達成目標年次である２０３０年までの限られた時間の中で、市長の責務として、各施策においてＳＤＧｓの理念を実践し、市民と共に、誰ひとり取り残さないための持続可能なまちづくりを目指していきます。三田の魅力は、都市部と農村部の距離感が近いところですが、環境やコミュニティの考え方には違いもあり、課題もあります。さまざまな課題に対して、市民、地域、事業者、そして行政が互いに協力し、パートナーシップを築きながら、参画するよりよい社会づくりを促し、三田が住み続けられるまち、住み続けたいまちであり続けるために、まちづくりを進めていきます。

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今年度の振り返りフェーズです。SDGsを考えるワークショップからスタートし、議論した内容をとりまとめ情報を掲載します。来年度に向けた指針も公開する予定です。

木を増やそう！

【新春座談会】だれでもスタートできる　ＳＤＧｓへのチャレンジ

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さんだ市民参加プラットフォーム

三田市

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三田市では、市民のみなさんと一体になってSDGsに取り組むため、さまざまなアイデアを頂き”SDGsさんだの木”を広めていきます。

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