
福山ネウボラ(切れ目のない子育て支援・相談窓口「あのね」)
この記事は、my grooveを運営する株式会社Groove DesignsがAIを活用し独自に調査・作成したものです。
広島県福山市はフィンランド発祥の「ネウボラ」を基盤に、市内13カ所の相談窓口「あのね」、経済的支援、商業施設内拠点「ネウボラセンター」を組み合わせ、妊娠期から若者期まで一体的に支える体制を構築している。
広島県福山市は、フィンランド語で「アドバイスの場」を意味する母子保健モデル「ネウボラ」を基盤に、妊娠期から出産・子育て期、さらに若者期までを対象とする相談・支援体制「福山ネウボラ」を展開している。市内13カ所に設置した相談窓口「あのね」では、看護職(保健師・助産師・看護師のいずれか)・保育士の資格を持つ「ネウボラ相談員」が、対面・電話に加えオンライン(Zoom)でも相談に応じる。(参考:ネウボラ相談窓口「あのね」について)
2025年4月からは、妊娠届出時に妊婦1人あたり5万円の「妊娠支援金」、出生届出後に胎児1人あたり5万円の「子育て支援金」を給付する「妊娠・子育て支援金」制度も始まり、相談による伴走型支援と経済的支援を組み合わせている。(参考:妊娠・子育て支援金について)
さらに2025年9月には、JR福山駅前の商業施設・天満屋福山店内に相談・手続き・遊びの機能を集約した拠点「ネウボラセンター」を開設し、2026年4月にはネウボラ推進課の一部業務が同施設に移転したのに合わせて、10代から30代を対象とする「ユースセンターふらっと」も同じ建物内にオープンした。妊娠期の支援にとどまらず、若者の居場所づくりまで対象を広げている点が、この事例の大きな特徴である。(参考:ネウボラセンター、ユースセンター ふらっと)
福山市は人口約44万人の中核市であり、全国的な少子化の流れの中で出生数の減少という課題に直面してきた。市がまとめた「福山市人口減少対策アクションプラン2023」によれば、出生者数はこの5年間でおよそ600人落ち込んでいる。合計特殊出生率自体は全国や広島県の平均を上回って推移しているが、出産を担う若年世代の女性人口の減少が、出生数減少の主因とされている。(参考:福山市人口減少対策アクションプラン2023(案))
同プランはまた、晩婚化や共働き家庭の増加によって仕事と育児の両立が難しくなっている状況が、今後さらに少子化を加速させかねないと指摘し、進学期・就職期のライフステージ、とりわけ15〜24歳の若年女性の転出超過が続いていることを課題として挙げている。子育て世代を地域に定着させるためには、妊娠・出産期から切れ目なく寄り添う支援環境の整備が必要とされていた。(参考:福山市人口減少対策アクションプラン2023(案))
こうした状況を受け、福山市は妊娠・出産・子育てに関する相談窓口が保健部門や保育部門などに分かれていた従来の体制を見直し、フィンランドの「ネウボラ」を参考に母子保健と子育て支援を一体的に提供する仕組みづくりを進めてきた。2020年度から2024年度を計画期間とする「福山市ネウボラ事業計画」を策定し、子育て家庭向けの施策や体制の整え方の方向性を示している。(参考:「福山市ネウボラ事業計画」を策定しました)
1. 相談窓口「あのね」の市内13カ所への展開
福山市は、看護職(保健師・助産師・看護師のいずれか)・保育士の資格を持つ「ネウボラ相談員」を配置した相談窓口「あのね」を、本庁舎のほか松永・北部・東部・神辺の各支所、市立の保育所・こども園に併設する支援ルームなど、市内13カ所に分散して設置した。相談は対面・電話に加え、事前予約制でZoomによるオンライン相談にも対応し、1回あたり約30分を目安に、妊娠準備から出産、母乳・ミルクの心配ごと、仕事と育児の両立、保育施設の情報まで幅広い相談に応じている。(参考:ネウボラ相談窓口「あのね」について、福山のネウボラ施設)
2. 相談と一体化した経済的支援
2025年4月からは、国の妊婦支援給付金制度を活用し、妊娠届出時に妊婦1人あたり5万円(妊娠支援金)、出生届出後に胎児1人あたり5万円(子育て支援金)を給付している。流産・死産や人工妊娠中絶となった場合も対象に含め、申請は福山市公式LINEまたは電子申請システムから行う仕組みとした。相談窓口での面談を経済的支援の起点に位置づけることで、現金給付のみに終わらせず、相談を通じた継続的な関わりの中で支援につなげる設計としている。(参考:妊娠・子育て支援金について)
3. 相談窓口の環境改善
2025年1月には、福山市役所本庁舎7階にあった相談窓口の内装を刷新した。声が漏れにくいレイアウトに変更するなどプライバシーに配慮した設計とし、子ども連れでも落ち着いて利用できる雰囲気づくりを図った。(参考:福山市がネウボラ相談窓口を一新 プライバシー配慮、声漏れにくく)
4. 商業施設内へのワンストップ拠点「ネウボラセンター」開設
2025年9月6日、天満屋福山店8階に、相談・手続き・遊びの3機能を集約した「ネウボラセンター」を開設した。0〜3歳向けのプレイルームを設置したほか、4〜8歳向けの遊戯場「ネウボランド」を新設し、絵本約5,000冊をそろえる「えほんの国」も併設した。同じフロアの「つながルーム」では、母子健康手帳の交付や保育所入所、放課後児童クラブの利用申請といった手続きに加え、不登校やひきこもりに悩む若者向けの相談にも対応している。(参考:ネウボラセンター、福山の天満屋にネウボラセンター開所 切れ目なく子育て支援)
2026年4月13日には、ネウボラ推進課のうち「こども家庭・あのね担当」(妊産婦・乳幼児健診、産前産後支援)、「子育てみまもり担当」(児童虐待・ヤングケアラー対応)、「親子支援担当」(ひとり親相談、妊娠・子育て支援金、こども食堂等)が本庁舎からネウボラセンター7階に移転した。一方で、親子健康手帳の交付や産前面談、基本的な子育て相談を担う「あのねふくやま」(保育指導課)や、児童手当・こども医療費助成などの給付事務は、引き続き本庁舎7階で対応する体制を維持しており、全機能を一括移転したわけではない。(参考:福山市ネウボラ推進課がネウボラセンター(天満屋福山店)に移転します、福山市が天満屋に子育て支援拠点「ネウボラ」、本格稼働)
5. 若者期への対象拡大「ユースセンターふらっと」
2026年4月18日、ネウボラセンターと同じ天満屋福山店7階に、10代から30代を対象とする「第3の居場所」としてユースセンター「ふらっと」を開設した。自主学習や交流のためのスペース、卓球台やダンス用の鏡などを備え、利用は無料でスタッフが常駐する。所管はネウボラ推進課であり、「妊娠期から子育て期までの切れ目ない支援」という理念を若者の自立支援にまで広げる位置づけとされている。(参考:こども・若者が主役の新たな居場所「ユースセンター ふらっと」)
分散型の相談窓口と集約型のワンストップ拠点の併存
福山ネウボラは、生活圏内で相談しやすい13カ所の「あのね」窓口という分散型アクセスと、天満屋福山店に相談・手続き・遊びを集約した「ネウボラセンター」という集約型の利便性を、どちらか一方に絞らず両立させている点に特徴がある。しかも移転後も基本相談機能の一部は本庁舎に残しており、機能ごとに最適な立地を使い分ける段階的な再編として進めてきたことがうかがえる。(参考:福山市ネウボラ推進課がネウボラセンター(天満屋福山店)に移転します)
民間商業施設への行政機能の集約
新設拠点を市役所敷地内ではなく、JR福山駅前の商業施設・天満屋福山店の7〜8階に設けた点も特徴的である。買い物や通勤・通学の動線上に子育て相談・手続き機能を配置することで、平日夜間や休日にも立ち寄りやすい環境をつくっている。(参考:ネウボラセンター)
相談を起点とした経済的支援の設計
妊娠支援金・子育て支援金の申請自体は電子申請で完結する一方、その前提としてネウボラ相談員による面談・相談体制が並走している。給付金を「渡して終わり」にせず、相談窓口との接点をつくる機会として位置づけている点は、単純な現金給付施策との違いといえる。(参考:妊娠・子育て支援金について)
妊娠期から若者期までの対象拡大
ネウボラセンターの開設に続き、同じ建物内に10代〜30代向けの「ユースセンターふらっと」を配置したことで、支援対象を妊娠・乳幼児期に限定せず、思春期・若者期まで一気通貫でカバーする体制になった。子育て支援と若者支援を別々の部局・施設で縦割りに扱うのではなく、同じ理念のもとで一体的に運営している点は、他の自治体の子育て支援策にはあまり見られない設計である。(参考:こども・若者が主役の新たな居場所「ユースセンター ふらっと」)
相談実績の蓄積
福山市が公表している情報によれば、市内13カ所の相談窓口「あのね」は全国の中核市の中で窓口数が最も多く、相談件数はこれまでの累計で12万件を上回る規模に達しているという。相談窓口を分散配置し、看護職・保育士資格を持つ専門職を継続的に配置してきたことが、この相談実績の蓄積につながっている。(参考:福山の子育て環境の魅力)
経済的支援の運用開始
2025年4月から、妊娠支援金・子育て支援金(合計10万円)の給付が始まり、電子申請による受付と口座振込までの一連の運用が稼働している。(参考:妊娠・子育て支援金について)
拠点整備の段階的な完了
2025年1月の本庁舎窓口の改装、同年9月のネウボラセンター8階部分の開設、2026年4月のネウボラ推進課一部業務の移転とユースセンター「ふらっと」の開設と、拠点整備は約1年半をかけて段階的に進められてきた。2026年9月時点で、相談・手続き・経済的支援・遊び場・若者の居場所という複数機能が同一エリアに揃う体制がほぼ完成している。(参考:ネウボラセンター、福山市ネウボラ推進課がネウボラセンター(天満屋福山店)に移転します、こども・若者が主役の新たな居場所「ユースセンター ふらっと」)
なお、これらの取り組みが出生数や合計特殊出生率、若年女性の転出超過といった人口動態の指標そのものにどの程度影響したかを示す定量的な検証結果は、調査時点では公表が確認できなかった。相談体制・拠点整備・経済的支援という「入口」の整備が先行している段階であり、政策効果の検証は今後の課題として残されている。
分散拠点と集約拠点は二者択一ではない
相談窓口を生活圏内に分散配置して身近さを確保しつつ、手続きや遊び場を含む複合機能は一カ所に集約するという二段構えの設計は、人口規模の異なる自治体でも応用できる考え方である。すべてを一つの拠点に統合しようとせず、機能ごとに最適な立地・配置を見極める発想は、拠点整備を検討する他自治体にとって参考になる。
中心市街地の商業施設は行政機能の受け皿になり得る
新設の拠点を市役所敷地内に建設するのではなく、既存の商業施設のフロアを活用して整備したことは、中心市街地の空きフロア対策や商業施設の集客力向上に悩む自治体にとっても応用可能な手法である。行政機能を商業施設に置くことで、買い物や通勤・通学の動線上で自然に立ち寄れる環境をつくれる点は、新規の公共施設整備よりも初期投資を抑えられる可能性がある。
給付金を相談体制とセットで設計する発想
経済的支援を給付するだけでなく、その前後に相談員との接点を組み込むことで、支援を必要とする世帯を継続的に把握できる仕組みになる。単発の給付金事業を検討している自治体にとって、相談体制と組み合わせる設計は、支援の実効性を高める一つの選択肢となりうる。
子育て支援と若者支援を同じ理念でつなぐ
妊娠期から乳幼児期を対象とする子育て支援の延長線上に、思春期・若者期の居場所づくりを位置づけた点は、縦割りになりがちな行政サービスを一つの理念で貫く発想として示唆に富む。子育て支援策と若者支援策をそれぞれ個別に検討している自治体にとって、両者を同一部局・同一拠点で運営する選択肢は、対象者が成長しても支援の窓口が変わらないという安心感を提供できる可能性がある。
2026年9月時点の調査内容に基づいて作成
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