
自動運転バス実証実験・試乗会(緑区あすみが丘)
千葉市が2026年3月、緑区あすみが丘・土気地区でレベル2自動運転バスの無料試乗会を実施。バス運転士不足で路線バスの縮小が進むなか、幕張新都心で蓄積した実証知見を初めて郊外住宅地の生活交通に応用し、国への財政支援要望にもつなげた取り組み。
千葉市は2026年3月1日から4日までの4日間、緑区のあすみが丘・土気地区で、自動運転レベル2のバスによる無料試乗会を実施した。運行は京成バス千葉イースト株式会社が担い、土気駅からブランニューモール付近、あすみが丘南に至る既存の路線バス区間を使用した。実施主体は千葉市総合政策局未来都市戦略部国家戦略特区推進課で、1便あたりの乗車定員は10名、事前予約制を基本としつつ空きがあれば当日先着順でも乗車できる方式がとられた。 (参考:千葉市:自動運転バスの無料試乗会を実施します!)
千葉市は2016年の国家戦略特区指定以降、幕張新都心を舞台に自動運転モビリティの実証を積み重ねてきたが、あすみが丘・土気地区での試乗会はその知見を初めて既存の郊外住宅地に展開した事例である。背景には全国的なバス運転士不足による路線バスの減便・廃止圧力があり、市はこの試乗会を「将来的な幕張新都心を始めとする市域内への展開を目指す」モデルケースと位置づけている。千葉日報の報道によれば、あすみが丘地区では2027年度をめどとした本格導入も視野に入っているとされる。 (参考:千葉市:自動運転バスの無料試乗会を実施します!、自動運転バス実証走行 あすみが丘地区27年度、本格導入へ 千葉市|千葉日報オンライン)
千葉市公式の発表によれば、市内のバス運転士数は令和3年度末に比べて約4%(約100人)減少しており、これに伴い運行便数も令和6年2月時点の約8,810便から同年8月時点で約8,070便へと、約8.4%(約740便)減少した。この減便は、令和6年4月1日に適用された自動車運転者の労働時間等に関する改善基準告示(いわゆる「2024年問題」)を受けて、令和5年度中から継続してきたものである。 (参考:千葉市:市内のバスに関する情報)
運転士不足は路線の縮小にとどまらず、廃止の動きにも直結している。花見川区でJR幕張駅を発着し1日あたり約1000人が利用する路線について、運行事業者が廃止の意向を示す事態が生じた。神谷俊一千葉市長はこれを「地域の死活問題」と位置づけ、事業者に廃止延期や地元説明会の開催を求めるとともに、運転士確保支援などを通じた路線維持に力を入れる姿勢を示している。 (参考:バス路線廃止巡り「地域の死活問題」 千葉市長|千葉日報オンライン)
あすみが丘は1982年から組合施行の土地区画整理事業(土気南土地区画整理事業)によって造成が始まった郊外住宅地で、隣接する土気駅を拠点に京成バス千葉イーストが4路線を運行してきた。都心から距離のある郊外の戸建て中心の住宅地であり、路線バスが住民の主要な移動手段となっている点で、花見川区をはじめとする市内の他の郊外部と共通する生活交通の課題を抱える地域である。 (参考:あすみが丘 - Wikipedia)
千葉市は2016年の国家戦略特区指定を受け、幕張新都心を中心にパーソナルモビリティ、自動運転車、サービスロボット、MaaS、電動キックボードなど多様な次世代モビリティの実証を継続してきた。2019年には県内で初めてハンドルなしの自動運転バス(NAVYA ARMA)を走行させるなど、複数年にわたり自動運転技術の知見を蓄積してきた実績があり、あすみが丘・土気地区への展開はこの蓄積を前提に実施された。 (参考:千葉市:自動運転モビリティの導入、千葉市:これまでのモビリティの取組み)
1. 幕張新都心を舞台にした自動運転バスの段階的な実証(2019年〜2023年)
千葉市は2019年10月、県内で初めてハンドルなしの自動運転バス「NAVYA ARMA」を走行させたのを皮切りに、2020年には幕張新都心内のイオンモール周辺、約1.6キロにわたる区間、2022年にイオンモールと温浴施設「湯楽の里」を結ぶ区間、2023年には幕張新都心の周回ルート全域へと、実証エリアを段階的に拡大してきた。群馬大学、イオン株式会社、京成電鉄、SBドライブ株式会社など複数の学術機関・民間企業と連携した体制で進められている。 (参考:千葉市:自動運転モビリティの導入)
2. デジタルツインによる安全性検証(自治体として全国初)
千葉市は、自治体として全国で初めての試みとして、幕張新都心の約3.8kmのルートを仮想空間上に再現し、過去の事故データや実際の交通流データに基づく複数のシナリオでシミュレーションと実走行を組み合わせた安全性検証を実施した。この取り組みにより、県内で初めてとなる夜間走行の実証にもつなげており、自動運転車を走らせられる状況の幅を広げる結果になっている。 (参考:千葉市:【全国初】デジタルツインを活用した自動運転の安全性検証)
3. あすみが丘・土気地区での無料試乗会の実施(2026年3月)
こうした幕張新都心での実証蓄積を踏まえ、千葉市は2026年3月1日から4日まで、緑区あすみが丘・土気地区で自動運転レベル2バスの無料試乗会を実施した。運行区間は土気駅から大椎町南までで、乗降場所は土気駅、ブランニューモール付近(降車のみ)、あすみが丘南の3か所。運行は既存の路線バス事業者である京成バス千葉イーストが担い、システムが加減速とハンドル操作を同時に制御する一方、運転手が常時同乗して周辺を監視し、緊急時には手動運転に切り替える体制がとられた。 (参考:千葉市:自動運転バスの無料試乗会を実施します!)
4. 九都県市首脳会議を通じた国への財政支援要望(2026年5月)
試乗会から2か月後の2026年5月26日、神谷俊一千葉市長は、東京都・神奈川県・埼玉県・千葉県とその政令指定都市で構成される九都県市首脳会議の代表として、自動運転バスの社会実装に向けた財政支援を国に要望した。要望では、実証段階でかかる初期費用に加え、導入後も継続して発生する維持コストが事業者側の負担となっている点を挙げ、国に財政面での後押しを求めている。 (参考:「自動運転バスの社会実装に向けた支援について」の要望 九都県市代表の千葉市長|チバテレ+プラス、自動運転バス実装支援を 千葉市、国に要望 九都県市首脳会議|千葉日報オンライン)
1. 商業集積エリアの実証を既存の郊外住宅地へ転用
千葉市のこれまでの自動運転モビリティ実証は、幕張新都心という計画的に整備された商業・業務集積エリアを舞台としてきた。あすみが丘・土気地区は1980年代から造成が進んだ既存の郊外住宅地であり、道路形状や沿道環境が幕張新都心とは異なる生活道路である。ゆとりある道路空間を前提に技術検証を積み重ねてきたエリアから、住民の生活動線に組み込まれた既存市街地へと実証の舞台を移した点が、これまでの千葉市の取り組みとの違いである。
2. 新設インフラを伴わない実証設計
試乗会は、土気駅からあすみが丘南に至る既存の路線バスの停留所・ルートをそのまま活用して実施された。新たな停留所や専用レーンを整備するのではなく、既存の生活交通インフラの上に自動運転車両を走らせる形をとったことで、住民にとって普段利用している路線の延長として体験しやすい実証設計になっている。 (参考:千葉市:自動運転バスの無料試乗会を実施します!)
3. 実証と広域連携による政策提言を連動させた展開
あすみが丘・土気地区での実証にとどまらず、その2か月後には市長が九都県市首脳会議の代表として国に財政支援を要望する動きへとつながっている。単独の実証実験で終わらせず、実証で見えた事業者の費用負担という課題を、首都圏の複数自治体が足並みをそろえて国に提起する政策提言の材料として活用している点は、他の自動運転バス実証事例と比べても特徴的である。 (参考:「自動運転バスの社会実装に向けた支援について」の要望 九都県市代表の千葉市長|チバテレ+プラス)
1. 4日間の試乗会実施
2026年3月1日から4日までの4日間、緑区あすみが丘・土気地区で自動運転レベル2バスの無料試乗会が予定どおり実施された。乗車定員は1便あたり10名で、事前予約枠に加えて土気駅とあすみが丘南からは空きがあれば当日先着順での乗車も可能とされた。参加者数や利用者の反応に関する公式な集計結果は、本稿執筆時点では公表が確認できていない。 (参考:千葉市:自動運転バスの無料試乗会を実施します!)
2. 本格導入に向けた方針の報道
千葉日報は「自動運転バス実証走行 あすみが丘地区27年度、本格導入へ」との見出しで、あすみが丘地区における自動運転バスの本格導入方針を報じている。ただし当該記事は有料会員限定であり、具体的な運行形態や導入時期の詳細、事業スキームについては本稿執筆時点では確認できていない。 (参考:自動運転バス実証走行 あすみが丘地区27年度、本格導入へ 千葉市|千葉日報オンライン)
3. 国への財政支援要望という次の一手
試乗会の実施から間を置かず、千葉市長が九都県市首脳会議の代表として自動運転バスの社会実装支援を国に要望したことは、実証実験の実施だけで終わらせず、実装段階の費用負担という具体的な課題を政策提言に落とし込んだ動きとして確認できる。ただし、この要望に対する国の対応や、具体的な支援内容の決定については、本稿執筆時点では明らかになっていない。 (参考:「自動運転バスの社会実装に向けた支援について」の要望 九都県市代表の千葉市長|チバテレ+プラス)
1. 都心部での実証知見を郊外の生活交通課題へ転用する発想
多くの自治体では、自動運転バスの実証は商業施設周辺や再開発エリアなど、比較的整備された環境で先行しがちである。千葉市の事例は、そうした実証で得た技術・運用上の知見を、運転士不足によって維持が難しくなりつつある既存の郊外住宅地の生活交通に転用する道筋を示している。実証の舞台を一つのエリアに固定せず、課題がより切実な地域へと展開していくという発想は、複数の実証フィールドを抱える他の中核市・政令市にも応用しやすい。
2. 既存インフラを活用し新規投資を抑えた実証設計
新たな停留所やレーンを整備せず、既存の路線バスの停留所・ルートをそのまま使って自動運転車両を走らせた設計は、実証段階での投資規模を抑えつつ、住民が「いつものバス」の延長として体験できるという利点を持つ。自動運転バス導入を検討する他地域にとっても、まず既存インフラの上で技術検証を行うという順序は、初期投資と住民の心理的抵抗の両方を抑える再現性のある手法といえる。
3. 単独自治体の財政力を超える課題は広域連携で国に提起する
神谷市長が要望で指摘したように、自動運転バスは実証段階の初期投資に加え、実装後も継続的な維持費用がかかり、運行事業者や単独の自治体だけで負担しきれない側面がある。千葉市が単独で国に要望するのではなく、九都県市首脳会議という首都圏の複数自治体の枠組みを通じて財政支援を求めた手法は、同様の費用負担の壁に直面する他の自治体が、広域連携によって政策提言の実効性を高める際の参考になる。
4. 技術実証を「運転士不足」という構造課題の文脈に位置づける意義
千葉市内では、あすみが丘・土気地区の実証と並行して、花見川区で1日約1000人が利用する路線の廃止危機が表面化しており、市長はこれを「地域の死活問題」と表現している。自動運転バスの実証を、先端技術の展示にとどめず、運転士不足によって現に縮小しつつある生活交通をどう維持するかという具体的な課題の文脈に位置づけていることは、住民や事業者の当事者意識を得やすくする観点からも、他地域が自動運転バスの導入を検討する際に参考になる視点である。
2026年8月時点の調査内容に基づいて作成
この記事は公開情報に基づき、AIを用いた詳細調査により作成されました。記事内容への修正依頼、お問合せ等は以下までお寄せください。
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