
ふれあい・いきいきサロン活動
この記事は、my grooveを運営する株式会社Groove DesignsがAIを活用し独自に調査・作成したものです。
福山市社会福祉協議会が支援する住民主体の交流拠点「ふれあい・いきいきサロン活動」。全国共通の枠組みを地域ごとの3類型に落とし込み、住民ボランティアが市内80学区・地区で運営し、国の孤独・孤立対策モデル事業にも位置づけられている仕組みを追う。
福山市社会福祉協議会が支援する「ふれあい・いきいきサロン活動」は、集会所や公民館、自治会館、神社の境内、公園など身近な場所で、地域住民ボランティアが定期的に開く交流の場である。おしゃべりや飲食を軸に、重りを使った体操や脳のトレーニングといった介護予防の取り組みを組み合わせる例も多く、福山市内の80学区・地区で実施されている。(参考:福山市社会福祉協議会)
活動は「ふれあい・いきいきサロン」(年10回以上)、「喫茶店風サロン」(週1回以上)、「高齢者居場所づくり事業」(週2回以上)という開催頻度の異なる3つの類型で構成される。運営費は地域住民からの「地域福祉活動協力金」と、2019年度から福山市が拠出する委託費によって支えられ、参加費は無料または実費(100円〜1,000円程度)と学区ごとに異なる。(参考:福山市社会福祉協議会、福山市社会福祉協議会 わたしのまちのふれあい・いきいきサロン)
福山市は人口45.8万人(21.6万世帯)のうち65歳以上が13.4万人を占め、高齢化率は29.3%に達する(2024年1月時点)。広島県平均(29.9%)に近い水準で高齢化が進み、単身世帯・夫婦のみ世帯の増加とあわせて、高齢者の社会的孤立をどう防ぐかが行政課題として認識されてきた。(参考:福山市 孤独・孤立対策の取組について)
「ふれあい・いきいきサロン」という名称自体は福山市固有のものではない。全国社会福祉協議会が1994年(平成6年)から介護予防の一環として全国的に推進してきた枠組みであり、多くの自治体の社会福祉協議会が同名の事業を運営している。福山市の取り組みは、この全国共通モデルを、頻度の異なる3類型(ふれあい・いきいきサロン/喫茶店風サロン/高齢者居場所づくり事業)に細分化し、地域の実情に合わせて選べる形に落とし込んだ点に特色がある。(参考:健康長寿ネット)
福山市は2022年3月に「福山市地域福祉計画2022」(計画期間2022〜2026年度)を策定し、基本理念「支え合いながら すべての市民がいきいきと心豊かに 安心して暮らせる 共生のまち ふくやま」の下、基本目標の一つに「誰もが孤立せずいきいきと暮らせるつながりづくり」を掲げた。サロン活動を含む「住民が主体となった通いの場」は、小地域福祉ネットワーク活動やまちづくり推進委員会活動などと並び、この計画を具体化する住民主体の地域活動として位置づけられている。(参考:福山市 地域福祉計画2022を策定しました、福山市 孤独・孤立対策の取組について)
国レベルでも2024年に孤独・孤立対策推進法が施行されるなど、社会的孤立への対応は政策課題として重みを増している。福山市は内閣府の「地方版孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム推進事業」に2023年度・2024年度と2年連続でモデル団体として採択され、サロン活動をはじめとする住民主体の通いの場を、行政・NPO・企業等が連携する官民連携プラットフォームの土台として活用する方針を示している。(参考:内閣府 地方版孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム推進事業、福山市 孤独・孤立対策の取組について)
一方、新型コロナウイルスの感染拡大は、既存のサロンや体操教室、認知症カフェなどの「通いの場」の多くを一時休止に追い込んだ。福山市は2022年10月にソフトバンクと連携し、Zoomを使ったオンライン開催を支援するモデル事業を始めており、対面の場が失われるリスクへの備えも、この分野の課題として浮かび上がっていた。(参考:中国新聞デジタル)
1. 頻度別の3類型による制度設計
福山市社協は、全国共通の「ふれあい・いきいきサロン」という枠組みを、開催頻度が異なる3つの類型に整理した。目安として「ふれあい・いきいきサロン」は年10回以上、「喫茶店風サロン」は週1回以上、「高齢者居場所づくり事業」は週2回以上とされる一方、実際の運営頻度は学区ごとに「週1回から2か月に1回」まで幅があり、画一的な基準を強制しない設計になっている。(参考:福山市社会福祉協議会、福山市 孤独・孤立対策の取組について)
2. 2019年度からの委託費導入と申請窓口の一本化
3類型のうち「高齢者居場所づくり事業」は2019年度に始まり、同年4月からは福山市への申請・相談窓口が社協の「福祉のまちづくり課」に一本化された。週2日以上取り組む団体には補助金が交付されるほか、運営に関わる役員やボランティア向けの交流会も設けられ、立ち上げから継続までを一貫して支援する体制が整えられている。対象は福祉を高める会や自治会といった地域の団体をはじめ、任意のボランティア団体、NPO法人まで幅広く、個人からの相談にも対応している。(参考:福山市 居場所づくりの開設・運営を支援します)
3. 住民ボランティアによる自主運営と多様な活動実態
いずれの類型も、運営主体は同じ地域に住むボランティアである。福山市社協が学区ごとにまとめた活動事例集からは、運営実態の幅広さがうかがえる。例えば南学区の「ふれ愛サロン『みなみ』」は稲荷神社を会場に月1回・年12回、65歳以上の高齢者が1回あたり24人ほど集まり、ボランティア12人が津軽三味線演奏会や地域史講座など回ごとに趣向を変えた催しを用意する。手城学区の「北の茶屋」は公民館で月2回、参加費100円で誰でも参加でき、1回あたり30人が集う。深津学区の「沖組いきいきサロン」は自治会館を会場に、高齢者の安否確認と世代間交流を兼ねた場として運営されている。開催場所は公民館・自治会館・神社・公園まで多岐にわたり、参加費も無料から実費(100円〜1,000円程度)まで学区の裁量に委ねられている。(参考:福山市社会福祉協議会 わたしのまちのふれあい・いきいきサロン)
4. 交流館・まちづくり推進委員会との接続
サロンの会場となる公民館の多くは、小学校区ごとに設置された「交流館」として位置づけられている。交流館は、同じく小学校区単位で組織される住民自治組織「まちづくり推進委員会」の活動拠点でもあり、住民が行政に相談したいときに最初に頼る窓口としての機能もあわせ持つ。サロン活動は、福祉分野の枠内にとどまらず、学区単位の地域自治・まちづくりの取り組みと拠点を共有しながら展開されている。(参考:福山市 孤独・孤立対策の取組について)
5. 対面が難しい局面を補う新たな手法の追加
コロナ禍で対面開催が難しくなった2022年10月、福山市はソフトバンクとの連携協定に基づき、認知症カフェや体操教室、交流サロンなどの通いの場を対象にZoomの使い方を教えるオンライン開催支援モデル事業を始めた。さらに2026年には福山市社協が、既存のサロンが届きにくい地域を補う手段として、キッチンカーを活用した「屋台カフェ」を城北中学校区で開始した。介護専門職と社協職員が同行し、相談窓口の機能も兼ねる試みで、特別養護老人ホームでの開催実績もある。(参考:中国新聞デジタル、中国新聞デジタル)
全国共通モデルを地域の実情に合わせて細分化した柔軟性
全国社会福祉協議会が1994年から推進してきた「ふれあい・いきいきサロン」という共通の枠組みを、福山市は開催頻度の異なる3類型に分けて運用している。年10回程度の緩やかな頻度から週2回以上の高頻度運営まで、同じ制度の中に受け皿を用意することで、担い手の人数や地域の関心の度合いに応じた無理のない継続を可能にしている。(参考:健康長寿ネット、福山市社会福祉協議会)
社協が「直接運営」ではなく「後方支援」に徹する役割分担
福山市社協自身がサロンを運営するのではなく、地域福祉活動協力金と福山市委託費による資金支援、運営者向けの研修・交流会、申請窓口の一本化という後方支援に徹し、実際の運営は各学区の住民ボランティアに委ねられている。この役割分担により、限られた社協の職員体制でも80学区・地区という市内ほぼ全域への展開を支えられる構造になっている。(参考:福山市 居場所づくりの開設・運営を支援します)
福祉施策とまちづくり自治の拠点を共有する構造
サロンの会場である交流館が、小学校区単位の自治組織「まちづくり推進委員会」の拠点でもあることから、サロン活動は高齢者福祉の施策であると同時に、住民自治・まちづくり施策の受け皿としても機能している。福山市が内閣府の孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム推進事業のモデル団体に2年連続で選定された背景には、こうした福祉とまちづくりの拠点を重ねる構造がある。(参考:福山市 孤独・孤立対策の取組について)
既存チャネルを維持したまま補完策を段階的に追加
既存の対面サロンの枠組みを維持したまま、コロナ禍でのオンライン化支援(2022年)、サロンが届きにくい地域への出張型の屋台カフェ(2026年)と、対面での継続が難しい状況や空白地域を補う手段を段階的に付け加えてきた点も特徴である。単一の運営形態に固定せず、状況に応じてチャネルを増やす発想がうかがえる。(参考:中国新聞デジタル、中国新聞デジタル)
活動は福山市内80学区・地区に広がり、市内のほぼ全域をカバーする規模に達している。全国共通の枠組みを、頻度別の3類型という運用ルールに落とし込んだ結果、参加人数もサロンによって5人程度の小規模なものから50人規模まで幅があり、地域の実情に応じた多様な形で継続されている。(参考:福山市社会福祉協議会、福山市社会福祉協議会 わたしのまちのふれあい・いきいきサロン)
政策面では、福山市が内閣府の「地方版孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム推進事業」に2023年度・2024年度と2年連続でモデル団体に採択され、サロン活動を含む住民主体の通いの場が、全国に成果を共有すべき実践事例として国から位置づけられたことが、この時点までの到達点といえる。(参考:内閣府 地方版孤独・孤立対策官民連携プラットフォーム推進事業、福山市 孤独・孤立対策の取組について)
既存の対面型サロンを土台に、2022年のオンライン開催支援、2026年の屋台カフェと、届きにくい層・地域を補う新たなチャネルが段階的に加わっている。城北中学校区での屋台カフェは開始から間もなく、特別養護老人ホームでの開催実績にとどまるが、既存のサロン網を補完する新しい形として展開が続けられている。(参考:中国新聞デジタル)
なお、100歳体操や脳トレなど介護予防プログラムを組み込むサロンも多いが、福山市独自の健康効果に関する定量的な測定データは、公開情報の範囲では確認できなかった。全国的に実施される「いきいき百歳体操」は週1回以上の継続実施が効果的とされ、転倒予防をはじめとする介護予防効果が期待されている。福山市も実施団体への重り・DVD等の器材貸与や、市・リハビリ専門職・地域包括支援センターによる立ち上げ時の技術指導を行っているが、個別サロンの健康アウトカムそのものを検証した公表資料は見当たらない。(参考:福山市 いきいき百歳体操に取り組んでみませんか)
頻度や参加費を一律に定めず、年10回程度の緩やかな運営から週2回以上の高頻度運営まで受け皿を用意する制度設計は、担い手の人数や地域の関心度に差がある中で、無理のない継続を後押しする方法として他地域でも参考になる。均一な基準を課すと、担い手が少ない地域ほど早期に息切れしやすくなると考えられる。
社協・行政が資金支援と研修・相談窓口の一本化という後方支援に徹し、実際の運営は住民ボランティアに委ねる役割分担は、限られた職員体制で広範囲への展開を実現する上で再現性の高い手法である。ただし、この方式は住民ボランティアの継続的な確保が前提となる。住民ボランティアによる運営という性質上、担い手自身も高齢化していく中で、次世代の担い手をどう確保するかは、全国のいきいきサロン活動全般に共通する持続可能性の課題であり、福山市の事例においても今後の展開を左右する要素になり得る。
サロンの会場を、小学校区単位の自治組織の拠点(福山市の場合は交流館)と重ね合わせる発想は、高齢者福祉に限らず他分野のまちづくり施策にも応用可能である。福祉的な「通いの場」を単独の事業として孤立させず、地域自治のインフラと接続させることで、行政内の縦割りを超えた連携を作りやすくなる。
対面での開催が難しくなる局面(感染症の流行、担い手不足による休止など)に備え、オンライン化支援や出張型のサブチャネルをあらかじめ制度として持っておくことは、既存の通いの場が担ってきた社会的つながりの機能を途切れさせないために有効である。福山市はこうした補完策を、既存の対面サロンを廃止せずに段階的に積み増す形で導入しており、単一チャネルに依存しない設計は他地域でも参照しやすい考え方といえる。
2026年9月時点の調査内容に基づいて作成
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