
「チーム綱まち」による新島・中島商店街のまちづくりワークショップ
この記事は、my grooveを運営する株式会社Groove DesignsがAIを活用し独自に調査・作成したものです。
沖縄県与那原町の商工会青年部発の任意グループ「チーム綱まち」が、県のおきなわ地域未来創造プロジェクトを活用し、空洞化した新島・中島の旧商店街地区でワークショップを重ね、地区計画づくりと「与那原町まちなか協議会」設立、空き店舗を活かした相談窓口・レンタルスペースの開設まで進めた事例。
沖縄県与那原町の新島区・中島区は、かつて商店街が賑わいを見せていたが、周辺自治体への大型商業施設の進出により空き店舗が目立つ「旧商店街地区」となっていた。与那原町商工会の青年部を中心とした任意グループ「チーム綱まち」は、沖縄県の「おきなわ地域未来創造プロジェクト」(スクラム研修)に採択され、2025年度(令和7年度)に全6回のワークショップを実施。空き店舗・空き地の実態調査や先進地事例の学習を重ねながら、地区計画づくりと「まちづくり協議会」「まちづくり会社」の設立に向けたロードマップを住民・商工会・行政で共有した。 (参考:成果事例集 おきなわ地域未来創造プロジェクト2025「事例1 与那原チーム綱まち」)
2026年度(令和8年度)には後継の助成金を活用してワークショップをさらに2回実施するとともに、任意組織「与那原町まちなか協議会」を設立。旧店舗を改修した事務所を開設し、有料レンタルスペースの運用や専門家による無料相談会など、住民が具体的に使える拠点としての機能を先行して立ち上げている。 (参考:与那原町内に新たなレンタルスペース誕生!(与那原町商工会))
与那原町の新島区・中島区には、かつて「えびす通り会」「親川通り会」「中央通り会」という3つの通り会が軒を連ね、多くの買い物客で賑わっていた。しかし平成に入り、隣接する南風原町・西原町・南城市佐敷地区に大型ショッピングセンターが相次いで開業したことで顧客が流出し、3つの通り会は消滅。家族経営の商店が中心だったこともあり、後継者や買い手が見つからないまま閉店した店舗が目立つようになった。同地区は国道331号線沿い・オリオン通りの一部を含む那覇広域都市計画における商業系用途地域(約10ヘクタール)に指定されており、大規模開発が可能な潜在力を残す一方、隣接するマリンタウンMICEエリアの開発に引きずられる形で無計画な開発が進むリスクや、約20年前に策定された基本計画の形骸化、行政・商工会・住民の三者が足並みを揃えて動く体制が整っていなかったことも課題だった。 (参考:成果事例集 おきなわ地域未来創造プロジェクト2025「事例1 与那原チーム綱まち」)
こうした状況の中、2024年10月には閉店していた旧伊集商店を地域住民とともにリノベーションした「ミージマ共同売店」(飲食店併設)が新島地区にオープンした(同年11月には観光大使を招いたオープニングセレモニーの様子がテレビで報じられている)。約1年前に同店舗で開催されたアートイベントに700人以上が来場したことをきっかけに、代表の大木太平氏が地域住民とともに解体から塗装まで手掛けて開業に至った。以降、与那バル酒場粋、手登根珈琲(テトネコーヒー)、MUSIC BAR OPEN MICなど新規店舗が相次いで開業し、20~30代の新しい客層も生まれ始めていた。 (参考:#IMAGINEおきなわ vol.75 21世紀、与那原に爆誕!ミージマ共同売店(QAB琉球朝日放送)、成果事例集 おきなわ地域未来創造プロジェクト2025)
こうした民間発の再生の動きを面的なまちづくりへとつなげるため、与那原町商工会メンバーを中心とした任意グループ「チーム綱まち」が結成された。商工会側の説明によれば、令和4年度以降、新島・中島エリアのまちづくりに関する議論を途切れさせずに続けてきたという。2025年度に沖縄県の「おきなわ地域未来創造プロジェクト」の支援を受けたことで、この議論が全6回のワークショップという具体的なプロセスへと発展した。 (参考:令和8年度 新島・中島エリア第1回まちづくりワークショップのご案内(与那原町商工会))
1. スクラム研修(2025年度・全6回のワークショップ)
沖縄県商工労働部中小企業支援課が主催する「おきなわ地域未来創造プロジェクト」のスクラム研修に採択され、専門家の伴走支援を受けながら全6回のワークショップを実施した。前半では、北海道富良野市の「フラノマルシェ」や岐阜県多治見市のまちづくり会社設立プロセスをオンラインで学ぶ先進地事例学習(第4回では多治見まちづくり会社代表取締役・小口英二氏が講師)を行い、並行して日本建築家協会(JIA)沖縄支部の協力を得て、地区内の空き地・空き店舗がどこにどれだけあるかを洗い出すとともに、不動産所有者が今後どうしたいと考えているかを聞き取る調査を行った。第5回(2025年12月16日)では、新島・中島地区内の空き店舗を実際に見て回りながら所有者を特定する手順を確認するまち歩きを実施した。 (参考:第5回まちづくりワークショップの開催について(与那原町商工会)、成果事例集 おきなわ地域未来創造プロジェクト2025)
2. 中間報告会(2025年10月28日)
新島地区の親川広場管理棟で中間報告会を開催し、総勢32名が参加した。与那原町商工会・當間卓会長による中間発表、JIA沖縄支部相談役・伊良波朝義氏による調査データ報告、専門家・メンターの國廣純子氏と廣瀬陽氏によるオンラインでの報告、町まちづくり課による地区計画の説明が行われ、照屋勉町長も出席して意見交換を行った。閉会後は、開業から1年が経過していたミージマ共同売店で参加者によるまちづくり談義が続けられた。 (参考:【報告】まちづくり中間報告会(おきなわ未来創造プロジェクト)(与那原町商工会))
3. 第6回(最終)ワークショップと最終報告会(2026年1月~2月)
2026年1月22日に第6回(最終)ワークショップを商工会館で開催し、これまでの5回分の議論を振り返りつつ、翌年度以降どう取り組みを続けていくかを話し合った。続く2026年2月10日には親川広場管理棟で町民向けの最終報告会を開催し、23名が参加。當間卓会長による最終発表、ミージマ共同売店代表・大木太平氏による「まちづくりへの想い」の共有、専門家からの報告、照屋勉町長の挨拶、喜屋武力副会長の閉会挨拶という流れで進行し、新島区で大木氏らを中心に若い世代がすでに動かし始めていた自主的なまちづくりの機運を取り込みつつ、話し合いの場となる「まちづくり協議会」と、事業実施を担う「まちづくり会社」の両方を今後立ち上げていく方向性が示された。 (参考:第6回(最終)まちづくりワークショップの開催について(与那原町商工会)、【報告】新島・中島地区のまちづくり地域報告会(与那原町商工会))
4. アフターフォロー研修と「与那原町まちなか協議会」の設立(2026年度)
2026年度(令和8年度)は、公益社団法人沖縄県地域振興協会の地域活性化助成金を活用し、アフターフォロー研修として追加のワークショップを2回実施した。第1回(6月9日)、第2回(6月23日)とも、新島・中島エリアでどんなまちにしたいかを話し合う発想出しに加え、空いている店舗の活かし方や、運営主体となる協議会が担うべき役割について意見を出し合った。これと並行して、商工会を中心に任意組織「与那原町まちなか協議会」が設立され、2026年6月には旧店舗「元 華むら」(新島地区)を改修した事務所を開設した。 (参考:令和8年度 新島・中島エリア第1回まちづくりワークショップのご案内(与那原町商工会)、第2回新島・中島地区まちづくりワークショップの開催について(与那原町商工会)、与那原町内に新たなレンタルスペース誕生!(与那原町商工会))
商工会青年部発の任意グループが起点
行政主導の計画策定ではなく、商工会青年部を中心とした任意グループ「チーム綱まち」が発意し、住民による自主的な空き店舗リノベーション(ミージマ共同売店)の動きと連動させながらプロセスを組み立てた点が特徴である。専門家派遣を受けつつも、議論の主体はあくまで地域の商業者・住民に置かれている。 (参考:成果事例集 おきなわ地域未来創造プロジェクト2025「事例1 与那原チーム綱まち」)
制度面(地区計画)と組織面(協議会・会社)を並走させるロードマップ設計
成果事例集で公表されたスケジュール表では、「チーム綱まちが企画全体をリード」しながら、2025~2027年頃に地区計画の検討・制定を進めると同時に、まちづくり協議会の設立から不動産活用・創業支援等を担う「まちづくり会社」設立までを2030年に向けた時間軸で描いている。話し合いの場(協議会)と、収益事業を担う実行主体(会社)を分けて設計している点は、単発のワークショップで終わらせないための工夫といえる。 (参考:成果事例集 おきなわ地域未来創造プロジェクト2025)
大規模整備を待たず、空き店舗を使った「小さな拠点」を先行実装
まちづくり協議会や地区計画の完成を待たず、旧店舗を改修した事務所を有料レンタルスペース(1エリア1時間500円、貸切1時間2,000円)や無料相談会の会場として先行して稼働させている。住民が実際に使える「場」を早期に用意することで、まちづくり組織の存在を可視化している。 (参考:与那原町内に新たなレンタルスペース誕生!(与那原町商工会))
複数年度・複数の助成制度をまたいだ継続実施
2025年度の沖縄県「おきなわ地域未来創造プロジェクト」(スクラム研修)から、2026年度の公益社団法人沖縄県地域振興協会「地域活性化助成金」(アフターフォロー研修)へと、実施主体となる助成制度を切り替えながら取り組みを継続している点も、単年度の補助事業になりがちな地域商業活性化事業としては特徴的である。 (参考:令和8年度 新島・中島エリア第1回まちづくりワークショップのご案内(与那原町商工会))
なお、地区計画の制定や「まちづくり会社」の設立は、調査時点(2026年8月)では成果事例集のロードマップ上でも今後の課題として位置づけられており、協議会設立と拠点開設が完了した段階にとどまる。 (参考:成果事例集 おきなわ地域未来創造プロジェクト2025)
民間の自然発生的な動き(空き店舗のリノベーション)を、公的な支援制度(スクラム研修等の専門家派遣型研修)を使って計画的な地区再生プロセスへとつなぐアプローチは、同様に商店街の空洞化に直面する他地域でも再現しやすい。ポイントは、既に住民や事業者が自主的に始めている小さな動き(本事例ではミージマ共同売店)を否定せず、その担い手を公式なプロセスに巻き込みながら、制度(地区計画)と組織(協議会・会社)の両面のロードマップを描いたことにある。
また、「まちづくり協議会」のような合意形成の場と、収益事業を担いうる「まちづくり会社」のような実行主体を、設立時期をずらしつつ計画に組み込んでいる点も参考になる。話し合いの場だけでは活動が継続しにくく、事業体だけでは住民の合意を得にくいという、地域商業再生における典型的な課題への一つの対応策といえる。
加えて、大規模な整備事業や組織の完成を待たずに、既存の空き店舗を使った相談窓口・レンタルスペースという小規模な拠点を先行して開設し、住民が実際に「使える場所」を早期に提示した点は、体制構築に時間のかかる地域商業活性化事業において、関係者のモチベーションを維持する上でも応用可能な工夫といえる。
2026年08月時点の調査内容に基づいて作成
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