企業版リノベーションスクールって？

令和7年9月4日から、沼津市で「企業版リノベーションスクール」が始まりました。

 「リノベーションスクール」と聞くと、「どこかの建物を直すの？」「施設改修の話かな？」と思われるかもしれません。けれど、“リノベーション”には「手を加えてよくする」「修復・再生」という意味と同時に、「改革・刷新」という意味合いもあります。

2015年から始まった沼津のリノベーションスクールは、形を変えて昨年から「企業版」として展開されています。沼津には、地域で活躍する多くの“リノベーションまちづくりに関わるキーマン”がいますが、もし企業として沼津をリノベーションしていけたらどうだろう。そして、そのキーマンたちと一緒に地域を盛り上げていけたら最高なんじゃないか。

そんな想いから、今回は10社が参加。まちづくりに取り組む先行事例を学び、自社プロジェクトをブラッシュアップしていきます。

「地域をよくする＝自分たちの暮らしをよくする」。企業も地域も、そして沼津に住む人の暮らしも豊かになる。そのために、企業が自社だけで完結せずに、異業種と語り合ったり、サービスを磨いたり、ときにはコラボレーションしたり・・そんな多様な“化学変化”を起こしていくのが、このスクールの主旨です。

このレポートを書かせていただいているのは、株式会社シゲタコーポレーション専務取締役の重田知佐（作山知佐）です。沼津を中心に、静岡県東部のタイルの施工や販売の仕事に携わっています。

令和６年度の企業版リノベーションスクールに参加したことで視野が広がり、全国でたくさんのまちづくりをされている企業や事業を知ることができました。その知見を実際に沼津でも生かしていきたいと思っています。

そして、このスクールを通じて「地域にはこんなに多くの企業が新しい事業や地域への想いを持っている」ということを知ってもらえたらうれしいです。異業種同士が集まり、会話を通して地域や新規事業を深掘りしていく姿を、これからもレポートしていけたらと考えています。

スクールマスターは『パブリックライフ』の著者であり、株式会社まめくらし代表取締役の青木純さん」

今回のスクールマスターは、『パブリックライフ』の著者であり、株式会社まめくらし代表取締役の青木純さん。進行は敏腕助手の西えみりさん。そして、第1回リノベーションスクールで参加した株式会社桃中軒の宇野社長、株式会社大志建設の杉澤社長が、全ての会にメンターとして関わってくださいます。

純さんは、2015年のリノベーションスクール立ち上げ前から、ずっと沼津に携わってきた方です。全国のさまざまな地域のキーパーソンと誠実に、そして愛情をもって向き合いながら「ローカルに幸せな日常をつくる」ということを、ひたむきに実践してこられました。そんな純さんが毎回招いてくださるゲスト講師は、普段の暮らしの中ではなかなか出会えないような人たちばかり。

地域や事業をおもしろおかしく語りながらも、実は大きなことを成し遂げている。そんな方々の話を聞けるからこそ、毎回が刺激の連続です。

参加するたびに視点が広がり、人や物の見方が深まっていく。これからあと5回がますます楽しみです。

初回は、青木さんと沼津市の企業2社がメンターとして登場

沼津の駅弁といえば、誰もが一度は耳にしたことのある桃中軒。その歴史は、沼津のまちの歴史と深く重なり合ってきました。駿河湾の豊かな食材を活かしたお弁当は、地域の顔とも言える存在です。しかし、2020年1月以降は状況が一変。売上が90%減少し、創業以来初めて経営が厳しくなり、1か月半も稼働を止めざるを得ませんでした。そこから挑戦が始まります。最新の冷凍技術「プロトン凍結」を活用し、自宅でも変わらぬ味を楽しめる仕組みを構築。「静岡健康弁当」の開発では賞を受賞し、メディアにも多数取り上げられました。さらに現在は海外取引にも進出し、新しい可能性を切り拓いています。宇野さんの歩みは、地域の食を守りながら革新を重ねていく姿そのもの。強い説得力がありました。

「地域に必要とされる存在でありたい」その言葉通り、いつもはスーツや作業服姿の杉澤さんはまちづくりを気軽な気持ちで取り組んでもらいたいと、ラフなTシャツ姿で登壇。気取らないスタイルながら、語られる内容は実に骨太でした。

生活に欠かせないインフラを支える土木事業を基盤にしつつ、2015年からリノベーションスクールに関わり続け、幻の第1号物件の改修など数々の実績を積み重ねてきました。人と人を繋げ、地域に必要とされる役割を果たしてきた経験がにじみ出るプレゼンテーション。さらに耕作放棄地を活用して栽培したさつまいも「沼るいも」を通じた販売3か年計画など、地域資源を活かした新しい取り組みも紹介してくれました。

大志建設が持つ「地域に根ざした信頼」と「挑戦する姿勢」が、参加者に大きな刺激を与えたことは間違いありません。

第2回は老舗から大手まで、10社が参加！

今期は、沼津に関わりのある10社が参加してくれました。名前を聞いただけでピンとくる会社から、実はすごい取り組みをしている企業まで、バラエティ豊かな企業様たちが勢揃い。

株式会社ウェルビーイング/株式会社在宅支援センターふれあい

創業者は「ただ地域の人を助けたい」という想いから事業をスタート。今では静岡県内に33事業所を展開するまでに成長されています。今回は、昨年から新たに挑戦している「食」の事業をさらにブラッシュアップすることを目的に参加されました。

沼津西武跡地ラクーン7階にある緑ヶ丘接骨院をはじめ、愛鷹公園の指定管理を担い、さらに陸上クラブチームも運営。健康を軸に幅広い事業を手がけています。社長の栗田さんのバイタリティあふれるプレゼンは「沼津をもっと元気にしたい」という情熱そのものでした。

「ジャクエツ」という名前に馴染みのない方もいるかもしれませんが、業界ではとても有名な企業。本社は福井にあり、2024年には「医療的ケア児も遊べる遊具」でグッドデザイン大賞を受賞するなど、革新的な取り組みをしています。子どもに関わる遊具や教材を幅広く扱い、沼津のお母さんたちからも期待が寄せられています。

東海旅客鉄道株式会社（JR東海）

言わずと知れた大企業、JR東海。今回参加してくれたのは入社数年の若手3名でしたが、そのプレゼンは驚くほど上手で圧巻でした。地域と訪れる人をつなぐ「共創型メディア」を立ち上げており、地域企業と一緒に進めていきたいという熱意を語ってくださいました。

静岡県のコーヒー消費量は全国最下位――そんな県で93年間コーヒーを販売し続けてきた老舗です。キャラクター「トミちゃん」を見ればピンとくる方も多いでしょう。今では食品の総合商社として沼津に拠点を構え、「地域に選ばれる会社になりたい」と力強く語ってくださいました。

蕎麦粉やそばを使ったクラフトビールなど、ユニークな挑戦を続ける坂東製粉。坂東社長のプレゼンでは、蕎麦の花と富士山の美しい景色が映し出され、強い印象を残しました。「沼津で生まれ育ち、沼津が大好きだから地域に貢献したい」という言葉が心に響きました。

創業81年の老舗製作所。駅北にオープンしたアウトドア専門店をはじめ、ファクトリーショップやカフェスペース、オリジナルブランドなど、次々と新しい事業を展開しています。

宮内社長のプレゼンからは「次はもっと新しいことを仕掛けるぞ」というエネルギーが伝わりさらに地域を盛り上げる新しい挑戦への期待が膨らみました。

株式会社山口製作所/Lodestone 合同会社

従業員1,000名を抱える山口製作所と、そこから今年立ち上げられた新会社lodestone。25歳の小澤さんが2社の代表として参加し、ブランディングからイベントまで幅広く手掛ける取り組みを紹介してくださいました。「地域のブランドをもっと盛り上げたい」という熱意がひしひしと伝わってきました。

ヤマハモーターハイドロリックシステム株式会社

沼津市とパートナーシップ協定を結んでいる企業。“揺れを科学する”という高度な技術を持つ会社です。すでに地域環境保全のプランを考えられていて、これをどう実現していくかが今後の課題とのこと。メンターからも「続けることに意味がある」と評価され、地域の未来に期待が膨らみました。

国道1号線沿いに古くからあるケーキ屋さん。大和社長はこれまでの紆余曲折を率直に語りながらも、地域イベントへの参加や学びに積極的に取り組んでいます。小柄な体からは想像できないほど力強いスピーチで、「地域をよくしたい、やりたいことがたくさんある」と意欲を語られました。

今回新たに参加した10社に、第1回からの参加企業を加えると合計19社。これまで沼津のリノベーションスクールから生まれた事業は、なんと82件を超えるそうです。「今年はどんな事業が立ち上がるのか？」目が離せない半年になりそうです。

※第２回の実施日は、9月25日（木）です。

新規_Microsoft_PowerPoint_プレゼンテーション.jpg

令和７年度　企業版リノベーションスクール

令和７年度　企業版リノベーションスクール＠沼津（第１回レポート）

ポータルカバー画像1.png

ぬまぷら

沼津市

企業版リノベーションは、市内で事業を展開する企業が、全６回のプログラムを通じて、ゲスト講師によるアドバイスや、参加企業同士の連携により、地域課題の解決に繋がる事業を検討する「実践型スクールプログラム」です。ここでは、各回で参加企業が事業を練り上げる過程をレポートとしてお届けします！

令和７年度 企業版リノベーションスクール＠沼津（第１回レポート）

お知らせを受け取る

令和７年度　企業版リノベーションスクール＠沼津（第１回レポート）